● パワーポップとはなんぞや?
パワーポップとは何か?はっきりいってそういったジャンルはこの世に存在しないし、
それがどのようなものか定義するのは難しい。(いや音楽ジャンルについて定義したりすることにそもそも
あまり意味などないし、はっきり言って私自身は嫌いである。)まあ無理に説明してもそのイメージに
個人でかなり差の出ることは確実であろう・・・と思っていた。
しかし、こともあろうに、最近パワーポップが巷で小さなブームらしい。渋谷の
HMVには“Power POP”という棚が!!?今まで必至に探していた音源が、再発でこともなげに入手できたりして、
何ともいやはやな感じである。本家アメリカでも「POPTOPIA!」というパワーポップのイベントなども
続いていたりして、なかなかの盛況ぶりのよう。
そういった状況の中で、“パワーポップとは?”を検証していくとやっぱりある
程度範囲が見えてくる。以下私の考えたところを述べてみよう。
★ This is POWER POP !!
- その基礎となるスタイルが確立されたのは1970年代であるのは疑いようがない。through the punk、
80年代を目前にした60年代ビートの復興、といった感じ?
- 70年代後半〜80年代初期にL.A.、Bostonなどで活動していたインディバンド群がその典型と言える。
- 加えてそれ以前のポップ・ロックやグラム・ロック、パンク、当時のティーン・ポップからポップな
ハードロックなどを含め、パワー・ポップという言葉は使われるようになったようだ。
- アメリカが中心だが、それに限ったシーンではない。
- こんなこと言い出すときりがないが、60年代の影響(特に例の4人組やモッズ系)が色濃い。
- キャッチー・メロディアスな曲、きれいなコーラス、小気味よいロックンロールが基本。
- 基本的にHotではなく、Cool。
- アンダーグラウンド、インディな活動の色濃い。
なんてなるべく客観的に箇条書きすると偉そうだが、これを悪意の解釈、
善意の解釈をすると・・・
− 悪意の解釈 −
- プログレやらハードロックやらとにかく劇的なRockの変化の時期に時代遅れなダサい音楽を頑なにプレイし、時代にほとんど無視された。
- 当地ですら無名なのだから、日本での知名度など無に等しい。
- レコファンで¥300ぐらいで叩き売られているようなくそダサいジャケットのアーティスト群。
- 細身のスーツを着て張りのある声で 3分ぐらいの曲を次々に演奏。コーラスが妙に分厚く綺麗で、今をいつだと思っているんだい?とばかりのダサさ。
− 善意の解釈 −
- 何かと理屈っぽい音楽のあふれる中、キャッチーなメロディ、パワフルサウンドで価値を世に問い続けた、ある意味パンク第2世代。
- イーグルスなど非常に大規模なもの一色だったアメリカに起こったインディペンデントなムーブメント。その後のR.E.M.などカレッジチャート系バンドやいわゆるグランジと言われるような人たちへの影響も大。
- ジャケットには基本的に自らが写るというのが基本。この辺りも例の4人組の影響を感じたり感じなかったり。
- ロックンロールとは何だい?というのを何の虚飾もなくシンプルに提示し続けた。
- アンダーグラウンドに固執する傾向は近今インディシーンの Do It Yourself 精神へと継承されている。
どうも善意の解釈は説得力が弱いなあ・・・・・・まあ悪意の解釈ははっきり言って
当たってるので、興味のない人はどうぞ手を出さないでください。「買って損した!」とか憤慨されても
困るので・・・ははは。
もっと具体的に説明してくれないとよくわからないという人のために、70年代の後半から
80年代前半のパワーポップ群で最も有名なアーティストを挙げれば、つまるところ「THE KNACK」という
ことになるだろう。彼らはその成功でこの手のバンドのメジャーへの活路を切り開いたが、また便乗偽物
まねバンドなどの横行で結局ムーブメントを収束させることにもなってしまった悲劇(喜劇?)の人達だ。
(無論彼らが悪いわけではない。彼らの1st Albumは大ヒットした“My Sharona”を除いてすべて名曲だ。
いやもちろん“My Sharona”もいい曲だが、今聞くとちょっと毛恥ずかしいというか、古臭いというか・・・
一発屋に見られているのもあるが・・・)この「THE KNACK」をの名前を見てこの先もう見る気の失せた人も
いるでしょう。まあそういう人はそれで正しいと思います。どうぞ随意に。
これだけゴタクを並べましたが果たして何か心に引っかかるものがあったでしょうか?
興味のある方、どうぞ他のアーティスト紹介なども見て下さい。
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AZUMA.Yoshikazu(C)1999