● 日本酒用語集

[あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ]

[あ][あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ]

あみのさんど【アミノ酸度】

 酒のなかのアミノ酸の総量を表したもの。
アミノ酸が多いと、酒の味が濃くなる。  
10ミリリットルの酒に対し、水酸化ナトリウム溶液に
ホルマリン溶液を加えて測定したときのミリリットル数
を表す。 

あらばしり【荒走り】 

 搾りの行程で、醪は酒袋と呼ばれる布の袋に入れて搾
り器のなかに積み込まれる。 最初に醪を詰めた袋の自重
ででてきた酒のことを「荒走り」と言う。 

あるこーる【アルコール】

 エタノール。エチルアルコール。水に次ぐ日本酒の主
成分。酔いの原因。少量の飲用は食欲増強など数々の効
能がある。過多の飲用がもたらす害は述べるまでもない。
 自然発酵が作り出すアルコールはその副生物とともに
非常にバランスがよい。例えすべての酒の成分がわかっ
てそれを人工的に混ぜ合わせても決して同じ味にはなら
ない。そこが自然のすごいところだ。

いちごう【一合】

 0.18039リットル。

いっしょう 【一升】

 1.8039リットル。十合 = 一升

いっと 【一斗】

 18.039リットル。十升 = 一斗

いっこん【一献】 

1.一杯の酒。
2.ひとたび盃をさすこと。転じて、酒のふるまい。小
  酒宴。
3.室町時代以後の礼法で、客に、肴に盃をそえて出し、
  酒を三杯すすめること。 

おけがい【桶買い】

 他の酒蔵の造った酒をまるごと買って自社の名前で売
ること。主に有名大手によって古くから行われている。
 委託醸造と異なる点は醸造元の表記すらされないとこ
ろである。慣習とはいえ、何故こんなことがまかり通る
のかなんとも不思議である。

おとこざけ【男酒】

 硬水で造った酒は傾向として辛くなる。名水「宮水」
で造った無骨な辛い灘酒などは「男酒」と呼ばれる。
 しかし今灘のどれだけの蔵がまじめに酒を造っている
ことか・・・

おんなざけ【女酒】

 軟水で造った酒は甘く軟らかな味になる傾向がある。
硬水の取れない広島では逆に軟水でうまい酒を造る
努力を続けてきて灘とは違った方向性ですばらしい酒質
を確立した。灘の男酒に対して広島の酒などは「女酒」と称
される。

[か][あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ]

かねつさっきん【加熱殺菌】

 →火入れ

かっせいたんろか【活性炭濾過】

 ほとんどの安酒で行われる加工技術。大正末期に登場
した。色や雑味をとることで質の悪さもかなりごまかす
ことができる。酒を平たく個性のないものへと変えるば
かりか、使い過ぎると俗に「炭臭い」と呼ばれる匂いが
付く。

かん【燗】

 お燗。お酒を温めること。 

かんぱい【乾杯・乾盃】

 杯の酒を飲みほすこと。特に、宴会で、杯を捧げて慶
事または人の健康を祝して、その酒を飲みほすこと。 

きいっぽん【生一本】

 同一の醸造場で作られた酒のみを使用した純米酒のこ
と。 

ききさけ・ききざけ【聞酒・利酒】

 酒の良否を鑑定すること。またそのために味わってみ
る酒。 
 底に藍色の2本線が入った白磁の蛇の目猪口(ちょこ)
を使い、色・香り・味の順でみていくのが一般的。 

ききさけし【きき酒師】

 わかりやすく言うと“日本酒版ソムリエ”。日本酒を
はじめとする酒類全般の知識やその香味を明確に説明で
き、お客に対して酒の選択や適切な料理を勧めるなどの
助言ができる有資格者のこと。
 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会の主催する
認定試験に合格し、期限資格を認定登録されている人物。
(「きき酒師必携」(柴田書店)より)

きもと【生_】

 酒母の種類の一つ。酒母の項参照のこと。

きゅうべつせいど【級別制度】

 1992年に廃止された全く意味をなさなかった日本酒の
級別制度。質よりも税制度としての意味合いが強く、特
級・一級・二級があり級が高いと法外な税金を納めなく
てはならなかった。

ぎんじょうしゅ【吟醸酒】 

 米を60%以下に精米し、吟味した麹(こうじ)・酵
母を用いて低温発酵させて醸造した清酒。味、そして特
に香りに優れる。米50%以下を特に「大吟醸」と呼ぶ。 

ぎんじょうか【吟醸香】

 吟醸造りをしたときに酵母が創り出す特有の香り。果
物を思わせる香りなど様々。
 吟醸造りは酵母にとっては低温など、生きるか死ぬか
という極限状態に追い込まれるのでこのような香りがア
ルコール発酵の副産物としてできる。言ってみれば酵母
の涙である。

くだりざけ【下り酒】

 上方から江戸へ送られて来た酒。上等とされた。 
 「くだらない」という形容詞はこれが語源である。つ
まり「くだることができない」酒、転じてつまらないも
の値打ちのないものを「くだらない」と呼ぶようになっ
たというわけ。

げんしゅ【原酒】

 割水を加えていない日本酒。 アルコール度が18°〜20°
と高めである。
 醸造酒で20°もの高アルコール度数ができるのは世界
でも日本酒のみである。これはあまり知られていない事
実で、関税などで不利な扱いを受けたりする例もある。
もっと世界中にこの知識を浸透させなければならないと
思う。

こうじ 【麹】

 黄麹菌(きこうじきん)と言うカビの一種で、酵素を
出して米に含まれる蛋白質やデンプンをアミノ酸や糖分
に変える。

こうのうどじこみ【高濃度仕込み】

 清酒もろみは使用原料に対する水の使用量が極めて少
ない。米 100 kg に対して水120〜130 l であるが、対し
てビールは麦芽 100 kg に水 450 l 、ウイスキーは 
500 l と清酒に対して極めて多い。固体発酵を除いてこ
れほど濃厚に仕込まれる種類は例がなく、アルコール度
数が高くなる一つの要因となっている。

こうぼ【酵母】 

 大きさは、6〜7ミクロンの微生物で麹(こうじ)が
変えた糖分をアルコールに変える。酒質に大きな影響を
与えるものである。協会酵母が主に使われている。
 
・協会酵母……日本醸造協会が発売する酵母のこと。 
・家つき酵母……醸造場の建物や床に自然に存在する酵
       母。確実に同じものにならないリスクが
       あるが、その蔵だけの個性にはなる。

こしき【甑】

 米を蒸す蒸し器。木桶の底に穴が開いていて、内部に
米をのせるサナが設けられている。

こしゅ【古酒】

 →長期熟成酒 

こめ【米】

 言わずとしれた日本酒の材料。酒造りには食用の米も
もちろん使うが、酒造好適米という酒造りにしか使われ
ない米もある。

こめこうじ【米麹】

 →麹

こん【献】

1.ごちそう。
2.酒杯をさす回数または酒食をすすめる度数を数える
  語。客をもてなす時、膳に杯・銚 子(・肴)を出
  し、酒三杯をすすめてから膳を下げるのを一献とい
  う。 


[さ][あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ]

さかぐら【酒蔵】

 酒を貯えておく蔵。また、酒をかもす蔵。さけぐら。 

さかばやし【酒林】

1.(酒壺を「みわ」といい、酒の神を祭る三輪神社で、
  杉を神木とする縁によるという)
   酒屋で、杉の葉を束ねて球状にし、軒先にかけて
  看板とするもの。さかぼうき。さかばた。(写真)
   青々とした杉の葉にかわると、新酒が出来たお知
  らせになる。
   由来は奈良県の三輪神社が酒造りの神様、その御
  神体が杉の木で、その杉の葉や枝をもらい邪気をは
  らったといわれていることから。酒屋では、杉の葉
  を軒下へつるし、よい酒が出来るようにと願いをこ
  めた。 

2.武具の名。□の形をした指物(さしもの)。 

さかまい【酒米】

 →酒造好適米

さかもり【酒盛り】

 人々が集まり酒をくみかわして互いに楽しむこと。さ
かごと。ささごと。酒宴。

さんだんじこみ【三段仕込み】

 酒母(しゅぼ)に使う米は造り全体の7〜8%なので、
ここに一気に蒸し米を仕込むと酸度と酵母数が急減し、
雑菌に汚染される可能性が高い。そこで酒母に原料米を
分けて入れ、酵母数を常に一定に保つような工夫をする。
通常3回に分けるので3段仕込みと呼ばれる。

さんど【酸度】 

 酒のなかの酸の総量を表したもの。酸度が高くなると、
辛く感じられる。10ミリリットルの酒を中和するのに要
する水酸化ナトリウム溶液のミリリットル数を表す。 

さんばいぞうじょうしゅ【三倍増醸酒】

 →普通酒

しこみすい【仕込み水】

 酒を造るときに使う水。清酒完成後のアルコール調整
割水にも使う。水の項参照のこと。

じざけ【地酒】

 その土地その土地で造られる酒。その土地独特の酒。
田舎酒。
 そもそも灘などの“下り酒”に対する蔑称であった。
地酒を扱う酒屋は“地酒屋”とばかにされたという。
おかしな話だ。日本特有の「長いものには巻かれろ」と
いうことか。

じじょうしゅひんぴょうかい【自醸酒品評会】

 杜氏が故郷に帰るときに、それぞれの蔵で造った酒を
持ちより開かれる品評会。杜氏仲間同士の地元での品評
会なのでその一年の面目がかかっているのでかなり気合
が入るらしい。

しゅぞうこうてきまい【酒造好適米】

 酒造り専用の米。普通の食用の米に比べ、蛋白質が少
なく、水を吸いやすくて澱粉質が糖化されやすい。
 また中心部の“心白”(澱粉質)が大きくて麹菌が繁
殖されやすいものがよいとされる。
 有名なものに山田錦、美山錦、五百万石、雄町などが
ある。

じょうぞうしゅ【醸造酒】

 穀類や根茎類、果実などを原料とし、発酵させてつく
った酒。日本酒、ビール、葡萄酒など。
 連続蒸留で造ったアルコール添加したものは決して醸
造酒とは呼ばれない。

じょうぞうようとうるい【醸造用糖類】

 白糠糖化液のこと。精米で削った“白糠”を糖化させ
る。そもそも削った部分であっていらないところなので
その質は当然悪い。しかし無論安いので他の糖類より好
んで使われる。おぞましい。

しゅぼ【酒母】

 酒造りに必要な優良酵母を大量かつ純粋に培養したも
のが酒母である。雑菌の繁殖を防ぐ乳酸の生成も行われ
る。「もと」とも呼ぶ。清酒を造るもとと考えてよい。 
 作り方には速醸系と生もと系がある。詳しくは乳酸の
項を参照のこと。

じゅんまいしゅ【純米酒】 

 米と米麹(こめこうじ)のみで醸造した清酒。米で造
るに決まっているものを何故“純米”酒などと呼ぶのか
意味不明である。 

じょうぞうようあるこーる【醸造用アルコール】

 主に、防腐効果と香味を調整するために用いる。とは
言うが、味を不自然にしているように感じることも多い。
普通酒では増量目的である。

じょうほうこうかい【情報公開】

 日本酒の業界の情報公開はほとんどない。非常に狭い
コミュニティで狭い考えで狭いシェアの奪い合いをして
いる。競争力が育たない一つの原因と言える。

しろぬか【白糠】

 酒を造る時の米は通常食べる米より更に精米をするが、
このとき発生する白い粉のこと。白糠の処理は日本酒業
界の問題のひとつである。科学的な処理をしてできるの
が白糠糖化液である。

しろぬかとうかえき【白糠糖化液】

 →醸造用糖類

すみくさい【炭臭い】

 活性炭濾過を過剰に行ってつく匂いのこと。

せいしゅ【清酒】

 わが国固有の酒。蒸した白米に麹(こうじ)・水・酵母
を加え発酵させてもろみを造り、これを濾過して製する。
淡黄色で特有の香味がある。すみざけ。日本酒。 

せいはくど【精白度】

 →せいまいぶあい(精米歩合)

せいまいど【精米度】

 →せいまいぶあい(精米歩合)

せいまいぶあい【精米歩合】

 米を造る時には通常の米よりさらに米を精米する。米
の外側にはいい酒を造るには不必要な成分が多く含まれ
ているためである。
 そのとき元の大きさの何%を使って酒を造るのかを示
すのが「精米歩合」である。通常の造りでは70%以下程
度である。(つまり30%を削り捨てる)しかし特別純米
や吟醸酒では60%以下、大吟醸では50%以下にまで米を
削る。


せんまい【洗米】

 文字通り精米後の米を洗うこと。

ぜんこくしんしゅかんぴょうかい【全国新酒鑑評会】

 国立醸造研究所が主催する年に一回の鑑評会。「金賞
をとった」とか言うのはこの鑑評会でのことである。
 明治44年から毎年の品質動向を調べるために醸造研究
所(当時は醸造試験所)が開いてきたもので、全国清酒
品評会がなくなった昭和13年あたりから内輪の品評会と
して機能し、それ以後戦争で試験所が焼失した昭和20年
以外ずーと続き現在にいたる。

ぜんこくせいしゅひんぴょうかい【全国清酒品評会】

 明治40年から続いていた品評会。それまでも各地域で
品評会などはあったが、より高品質な酒をめざし研究の
一環で始まる。醸造協会主催。
 審査員の審査基準をめざして造られるので、ここから
「飲む人のことを考えた」酒造りがはじまったと言える。
しかし一方で単一な味になりやすいという危惧も含まれ
る。
 昭和13年に戦争により終わり、戦後復活、昭和21年か
ら26年まで続いたという記録があるが詳細はわからない。
昭和27年に日本酒造組合(当時の社団法人日本酒造協会)
が正式に復活させるが、「みんななかよく一等賞」の審
査に不満がつのり、あえなく復活品評会はその幕を閉じ
る。

そくじょうもと【速醸_】

 酒母の種類の一つ。酒母の項を参照のこと。


[た][あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ]

だいぎんじょうしゅ【大吟醸酒】

 吟醸酒の項参照。

だくしゅ【濁酒】

 日本酒の一種。清酒のもろみをしぼらないもの。麹
(こうじ)や米がまじって白濁してい る。にごりざけ。
どぶろく。しろうま。 

たるざけ【樽酒】

 木の樽で貯蔵し、木香のついた清酒。

たんれい【淡麗】

 糖分と酸味が共に少ないこと。さっぱりしている。 

ちょうきじゅくせいしゅ【長期熟成酒】

 3年以上貯蔵し、熟成させた清酒。貯蔵年数の異なる
ものを混ぜた時は年数の最も短いものが3年以上である
こと。

とうきゅう【等級】

 →級別制度

とうじ【杜氏】

 酒造りの現場の最高責任者のこと。免許制になっている。 
経験と勘が必要でたいへんな重労働である。 

主な杜氏

南部杜氏…岩手県 
能登杜氏…石川県 
越後杜氏…新潟県 
丹波杜氏…兵庫県 
広島杜氏…広島県 

とうるい【糖類】

 普通酒には様々な糖類の添加が許されている。ブドウ
糖や水あめ、そして白糠糖化液(醸造用糖類と表記され
る)などなど。気持ち悪い。

とくていめいしょうしゅ【特定名称酒】

 法律によって規定されている呼称。精米歩合や製造法
、アルコール添加の有無、酒質などで名称が分けられて
いる。
 これに属する以外を“普通酒”などと呼ぶが、普通な
のは“特定”の方であって、“普通酒”は“異常酒”だ
と思う。普通のものが特定扱いされているのは非常に奇
妙である。

どぶろく【濁醪・濁酒】 

 滓(かす)を漉し取らない日本酒。にごりざけ。もろ
みざけ。だくしゅ。しろうま。


[な][あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ]

なましゅ【生酒】

 製造後、いっさい加熱処理(火入れ)をしない清酒。 

なまちょぞうしゅ【生貯蔵酒】

 加熱処理(火入れ)をせずに貯蔵し、出荷の際に火入
れした清酒。 

にごりざけ【濁り酒】

1.糟(かす)をこさないで、白く濁っている酒。だく
  しゅ。どぶろく。にごり。
2.酒の謙譲語。粗酒。 

にほんしゅ【日本酒】

 わが国固有の米からつくったアルコール飲料。清酒。

にほんしゅど【日本酒度】

 日本酒の甘口・辛口を表したもの。4度の純粋な水
(比重1)と同じ重さの摂氏15度の日本酒を、日本酒
度±0と設定して、比重計を使って表す。 
 マイナスの度合いが大きいものは甘口(糖分・エキス
分が多い)にプラスの度合いが大きいものは辛口(糖分
・エキス分が少ない)に感じやすい。
 ただし日本酒度だけで甘辛の感じ方が決まるわけでは
ない。

にほんしゅのひ【日本酒の日】

 10月1日のこと。
 明治期に酒税法が創設されてから、10月〜翌9月に
かけてを酒造年度としていた。
 酒造元では、10月1日が1年の始まりである。 

にゅうさん【乳酸】

 酵母の働きを邪魔する雑菌類から守るためのもの。酒
母造りの際に生成される。
 乳酸を造る方法として空気中に自然に存在する乳酸菌
を利用して乳酸を生成させる生もと(きもと)と市販の
乳酸を添加する速醸もと(そくじょうもと)がある。

のうじゅん【濃醇】

 糖分と酸味が共に多い。コクがある。 


[は][あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ]

はいとうみつ【廃糖蜜】

 醸造用アルコールの原材料。サトウキビから砂糖を造
るときにできる残りかす。気持ち悪い。

ひいれ【火入れ】

 腐敗防止のために55〜65度で約30分間、加熱殺
菌すること。火入れによって、微生物を死滅させたうえ
で、酒は貯蔵され熟成される。 
 また、出荷のためにビン詰めする前に、もう一度加熱
殺菌される。 
 この「火入れ」はフランスのパスツールが確立した低
温殺菌法と同じやり方であり、それに先駆けること300
年以上前から行われていたことは明治初期に日本にやっ
てきた技術者を驚愕させた、とのこと。

ひおちきん【火落菌】

 日本酒だけにしか生えない細菌(乳酸菌の一種)のこ
と。 黄麹菌が、生成するメバロン酸により生育する。 
 また、アルコールがないと生育しない。 

ひょうじぎむ【表示義務】

 日本の食品関連行政ほどいい加減なものもあまり例が
ないが、日本酒もそれに漏れない。アルコール添加量や
いくつかの酒を混ぜていること、普通酒の添加物に関す
ること・・・挙げるときりがないが、しっかりした表示義務
を法制化しないと日本酒をとりまく事体は悪くなるばか
りである。

ふつうしゅ【普通酒】  

 醸造課程で白米1トン当たり720リットル(一升瓶
当たり約60%)もの醸造用アルコール添加が許され、
さらに糖類・化学調味料・酸味料などの添加がされる日
本酒。法律が何を言おうと絶対に醸造酒とは呼べないな
いおぞましい酒。

へいれつふくはっこう【並列複発酵】

 清酒独特の高アルコール度数を実現しているしくみ。
 清酒は原酒の状態でアルコール度数20〜30%と世界の
醸造酒の中で最も高い。これだけのアルコールを酵母が
つくるには40%近い糖分が必要だが、そのような高い糖
分の存在下では酵母は生息すらできない。清酒もろみで
は麹の酵素による澱粉質の糖化と酵母のアルコール発酵
が同時に並列して行われ、結果として高いアルコール度
数が得られる。この糖化・発酵同時進行型の形式を並列
複発酵と呼ぶ。清酒以外にこれを行う酒類は存在せず、
ここにも糖化と発酵のバランスを巧みに操る独特の技術
がみてとれる。明治初期に外国人技術者も驚愕・絶賛し
た技術である。
 ビールなどは澱粉を糖化した後、改めて発酵を行う糖
化後発酵型である。

ぼうふざい【防腐剤】

 昔日本酒に使われていたサリチル酸のこと。信じがた
い話だ。現在使用禁止。

ほんじょうぞうしゅ【本醸造酒】

 醸造課程で白米1トン当たり120リットル以下(一
升瓶当たり約25%)の醸造用アルコールを加えた日本
酒。それが何故“本”醸造なのかさっぱりわからないが。


[ま][あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ]

みず【水】

 米と同時に非常に重要な日本酒原料。日本の国土の荒
廃はひどく、どんどん水事情は悪化している。
 灘の「宮水」など、有名な水も多い。

もと【_】

 →酒母

もろみ【醪】

 酒母(あるいはもと)に蒸し米、麹、水を混合したも
の。ここから本発酵がはじまり、もろみが熟成すること
で酒ができあがる。 
 清酒においてはもろみをつくり、発酵していくのに三
段仕込み、高濃度仕込み、並列複発酵などいくつかの特
徴がある。


[や][あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ]

やまはい【山廃】

 生もと系酒母造りの製法のひとつ。明治以前の生もと
では麹と仕込み水と蒸し米を同時に加え、複雑な操作に
よって櫂ですりつぶしていた。この作業を「山卸」また
は「もとすり」と呼び、作業手順的に夜通しのつらい作
業であった。しかし明治40年代にこの目的が麹の酵素と
蒸し米を接触させ溶解を進めることにあり、仕込み水に
麹を加えて水麹の状態にして麹の酵素が溶出された後な
ら山卸と同様の効果が得られることが判明したため、山
卸工程は廃止された。山廃酒母というのは山卸を廃止し
た酒母、つまり山卸廃止酒母の略である。

やこまん【ヤコマン】

 もろみが発酵中に出す芳香を採取する香気回収装置、
及びその液体(ドレン)を酒に添加する手法、ヤコマン
加工法のことをいう。発明は醸造試験所長であった山田
正一氏。山田氏と共に研究に携わった菰田氏、真野氏の
頭文字をとって「ヤコマン」になったとのこと。


[ら][あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ]

れんぞくむしまいき【連続蒸米機】

 連続的に蒸し米を造るための機械。大規模醸造場では
伝統的な甑(こしき)に代わって使われている。

ろか【濾過】

 →活性炭濾過


[わ][あ] [か] [さ] [た] [な] [は] [ま] [や] [ら] [わ]

わりみず【割水】

 日本酒は普通最後に仕込み水で割り、アルコール度数
を14°ぐらいに調整する。これを割水という。


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 他に「のせるべきだ」という言葉や、「こんな言葉がわからない」、
というものがあれば是非お知らせ下さい。Up していきます。
 また、何か誤記や誤り、不備があるときもご連絡ください

AZUMA.Yoshikazu(C)1999-2003   E-mail:hanako@ebony.plala.or.jp