お月様とも仲良く
日本古来の太陰太陽暦 |
皆さんは日本の国暦が明治五年(1872年)まで太陰太陽暦だった事をご存知ですか?
太陰太陽暦って、月が地球を一周するのにかかる29.53日の12ヶ月分に相当する354日と、地球が太陽を一周するのにかかる365日に生じる差11日をうまく工夫して、月と太陽の両方の運行を考慮した非常に高度で科学的な暦なのです。四千年程前から中国の黄河流域で「農暦」として使われていたものが、六世紀後半に日本に伝来し公式に使われ始めました。以来中国との間に2日の誤差が生じたため数回の修正を試みるなどし、天保十三年(1842年)には天文学的にも世界で最も正確な太陰太陽暦となったそうです。
こんなすばらしい国暦を持ちながら、明治五年、欧州から開国をせまられ先進文化や富に目のくらんだ新政府は、「明治五年十二月三日を以って、明治六年一月一日とする」という太政官布告を出し、突然この国の暮らしを太陽暦(今の西暦)に引き込んだのです。しかも相当な反対勢力があったにもかかわらず大隈重信と福沢諭吉が断行したというのです。 以来、自然と共にある日本の伝統行事や、農・漁・林業等が混乱をきたし続けているのは当然の事です。現在でも1ヶ月のズレが生じているのですから。
私達が数年畑仕事をしながら感じてきた疑問についても、これで納得できました。うちの畑でも、花の咲く時期、虫や鳥の出現は、新暦にはまったくあてはまらず、旧暦の太陰太陽暦の方でぴったり合います。ここ日本で自然と向き合うには絶対旧暦です! …しかし現代のグローバル通貨社会、新暦と向き合わねばならないのはいた仕方ないのかも… せめて経済活動から離れた時くらい、日本に棲む人間という生き物になり、幸せな気分で旧暦に身をゆだねてみませんか?
1年(12ヶ月)を、現在でも残っている立春や春分など二十四の節気で区切り、さらにほぼ5日ごとに初侯、次候、末候とする七十二の暦注があります。ただし、七十二の暦注は日本列島の北から南まですべての地域に当てはまるはずはありません(おそらくは京都を基準にしていると思われます)。そこで、皆さんお住まいの地域オリジナル七十二候を観察するのもきっと楽しい作業になることでしょう。 (参考例: 畑帳2005 (旧暦版) 畑帳2006 (旧暦版) 畑帳2007 (旧暦版))
季節 | 二十四節気 (よみがな) |
日付 | 七十二候 | ||
旧暦 | 新暦 | ||||
初春 | 立春 (りっしゅん) |
12月24日 | 2月4日 | 初侯 | 東風(はるかぜ)氷を解く |
次候 | うぐいす鳴く | ||||
末候 | 魚(うお)氷をいずる | ||||
雨水 (うすい) |
1月9日 | 2月18日 | 初侯 | 土の脉(つちのしょう)潤い起こる | |
次候 | 霞はじめてたなびく | ||||
末候 | 草木萌えいずる | ||||
仲春 | 啓蟄 (けいちつ) |
1月24日 | 3月5日 | 初侯 | 蟄(すごもり)の虫戸を啓く(ひらく) |
次候 | 桃はじめて咲く | ||||
末候 | 菜虫(なむし)蝶となる | ||||
春分 (しゅんぶん) |
2月9日 | 3月20日 | 初侯 | 雀はじめて巣くう | |
次候 | 桜はじめて開く | ||||
末候 | 雷声(かみなり)を発す | ||||
晩春 | 清明 (せいめい) |
2月25日 | 4月5日 | 初侯 | 玄鳥(つばめ)きたる |
次候 | 鴻雁(こうがん)帰る | ||||
末候 | 虹はじめてあらわる | ||||
穀雨 (こくう) |
3月11日 | 4月20日 | 初侯 | 葭(あし)はじめて生ず | |
次候 | 霜やんで苗出ずる | ||||
末候 | 牡丹花咲く | ||||
初夏 | 立夏 (りっか) |
3月26日 | 5月5日 | 初侯 | かわず(蛙)はじめて鳴く |
次候 | みみず出ずる | ||||
末候 | たけのこ生ず | ||||
小満 (しょうまん) |
4月12日 | 5月21日 | 初侯 | 蚕(かいこ)起きて桑を食(は)む | |
次候 | 紅花(べにばな)栄う | ||||
末候 | 麦の秋(とき)至る | ||||
仲夏 | 芒種 (ぼうしゅ) |
4月27日 | 6月5日 | 初侯 | かまきり生ず |
次候 | 腐草(くされたるくさ)螢となる | ||||
末候 | 梅の実黄ばむ | ||||
夏至 (げし) |
5月13日 | 6月21日 | 初侯 | 乃東(なつかれぐさ:薬草)枯る | |
次候 | 菖蒲(あやめ)花咲く | ||||
末候 | 半夏(はんげ:毒草)生ず | ||||
晩夏 | 小暑 (しょうしょ) |
5月29日 | 7月7日 | 初侯 | 温風(あつかぜ)至る |
次候 | 蓮はじめて開く | ||||
末候 | 鷹技(わざ)を習う | ||||
大暑 (たいしょ) |
6月16日 | 7月23日 | 初侯 | 桐はじめて花を結ぶ | |
次候 | 土潤ってむし暑し | ||||
末候 | 大雨ときどき降る | ||||
初秋 | 立秋 (りっしゅう) |
7月1日 | 8月7日 | 初侯 | 涼風至る |
次候 | ひぐらし鳴く | ||||
末候 | 深き霧まとう | ||||
処暑 (しょしょ) |
7月17日 | 8月23日 | 初侯 | 棉(わた)の花開く | |
次候 | 天地はじめて粛(さむ)し | ||||
末候 | 禾(こくもの)みのる | ||||
仲秋 | 白露 (はくろ) |
8月3日 | 9月7日 | 初侯 | 草露白し |
次候 | せきれい鳴く | ||||
末候 | 玄鳥(つばめ)去る | ||||
秋分 (しゅうぶん) |
8月19日 | 9月23日 | 初侯 | 雷声(かみなり)収む | |
次候 | 虫蟄(かく)れて戸を閉ざす | ||||
末候 | 水はじめて涸(か)る | ||||
晩秋 | 寒露 (かんろ) |
9月4日 | 10月8日 | 初侯 | 鴻雁(こうがん)きたる |
次候 | 菊の花開く | ||||
末候 | きりぎりす戸にあり | ||||
霜降 (そうこう) |
9月19日 | 10月23日 | 初侯 | 霜はじめて降る | |
次候 | 小雨(こさめ)ときどき降る | ||||
末候 | 楓蔦(もみじつた)黄ばむ | ||||
初冬 | 立冬 (りっとう) |
10月5日 | 11月7日 | 初侯 | 山茶(つばき)はじめて開く |
次候 | 地はじめて凍る | ||||
末候 | きんせんか咲く | ||||
小雪 (しょうせつ) |
10月20日 | 11月22日 | 初侯 | 虹かくれて見えず | |
次候 | 北風木の葉を払う | ||||
末候 | 橘はじめて黄ばむ | ||||
仲冬 | 大雪 (たいせつ) |
11月5日 | 12月7日 | 初侯 | 空寒く冬となる |
次候 | 熊穴にこもる | ||||
末候 | 鮭(さけ)群がる | ||||
冬至 (とうじ) |
11月20日 | 12月22日 | 初侯 | 乃東(なつかれぐさ:薬草)生ず | |
次候 | 鹿角おつる | ||||
末候 | 雪下りて麦出ずる | ||||
晩冬 | 小寒 (しょうかん) |
12月5日 | 1月5日 | 初侯 | 芹(せり)栄る |
次候 | 水温(あたたか)をふくむ | ||||
末候 | 雉(きじ)はじめて鳴く | ||||
大寒 (だいかん) |
12月20日 | 1月20日 | 初侯 | ふきの花咲く | |
次候 | 水沢(さわみず)氷りつめる | ||||
末候 | 鶏はじめてとやにつく |
※ 2012年版はこちら。
旧暦月 | 和風月名 | よみがな | 由来 (他にも諸説あり) |
一月 | 睦月 | むつき | 正月は身分の上下に関係なく、親族・知人が集い宴(親睦)をする月 |
二月 | 如月 | きさらぎ | 草木が更正する月 or 衣を更に重ね着する月 |
三月 | 弥生 | やよい | 木草弥生い茂る月 (きくさいやおいしげるつき) |
四月 | 卯月 | うづき | 卯の花がさかりに開く月 |
五月 | 皐月 | さつき | 早苗を植える月 |
六月 | 水無月 | みなづき | 梅雨が終わり、水も涸れ尽きる月 |
七月 | 文月 | ふみづき | 七夕の夜に詩歌の書(ふみ)を供える月 or 稲穂がふくらみ始める月 |
八月 | 葉月 | はづき | 木の葉が紅葉して落ちる月 |
九月 | 長月 | ながつき | 夜が長くなる月 |
十月 | 神無月 | かんなづき | 男女縁結びの相談のために全国の神様が出雲大社に集結して、留守にする月 |
十一月 | 霜月 | しもつき | 霜が降りる月 |
十二月 | 師走 | しわす | 法師が経を読む機会が多く、馳せ走る月 |
五節句 | 旧暦 | 新暦 | ||||
2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | ||
七草粥 | 一月七日 | 2月20日 | 2月9日 | 1月29日 | 2月16日 | 2月6日 |
雛祭り | 三月三日 | 4月16日 | 4月5日 | 3月24日 | 4月12日 | 4月2日 |
端午の節句 (男の節句) | 五月五日 | 6月16日 | 6月6日 | 6 月24日 | 6月13日 | 6月2日 |
七夕 (星祭り) | 七月七日 | 8月16日 | 8月6日 | 8月24日 | 8月13日 | 8月2日 |
重陽の節句 (菊の節句) | 九月九日 | 10月16日 | 10月5日 | 10月23日 | 10月13日 | 10月2日 |
年中行事 | 旧暦 | 新暦 | ||||
2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | ||
春節 (旧元旦) | 一月一日 | 2月14日 | 2月3日 | 1月23日 | 2月10日 | 1月31日 |
衣替え | 四月一日 | 5月14日 | 5月3日 | 5月21日 | 5月10日 | 4月29日 |
中秋の名月 (芋名月) | 八月十五日 | 9月22日 | 9月12日 | 9月30日 | 9月19日 | 9月8日 |
十三夜 (栗名月) | 九月十三日 | 10月20日 | 10月9日 | 10月27日 | 10月17日 | 10月6日 |
衣替え | 十月一日 | 11月6日 | 10月27日 | 11月14日 | 11月3日 | 11月22日 |
七五三 | 十一月十五日 | 12月20日 | 12月9日 | 12月27日 | 12月17日 | 1月5日 |
※ これらは、松村賢治 著 『旧暦と暮らす』 (ビジネス社) を読み得たものです。旧暦についてもっと詳しく知りたい方は必読です。
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