【 ν猫ねこ帝国興亡記 】

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●第壱話   『 兆(きざ)し 』
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   1
 
 
 時は○○暦150年。
 ここは常春の国『ν猫ねこ♪』
 私の名前は『神風猫』にゃ。
 偉大なる猫国の守護神にして至高の軍神にゃ。
 この国は偉大な王(私の事だにゃ)の統治で、ねこ国民のねこたちは毎日ひなたぼっこをして幸せに暮らしていたにゃ。
 ほんとうはちょっと前に戦争とかしてたんだけど、ねこのみんなが頑張って勝つことが出来たんだにゃ。
 (にゃっふっふっふ、その大半は私のエロティックな……もとい。ふぁんたすてぃっくな戦術のお陰なんだけどにゃ♪)
 
 てな感じで、私がご満悦で毛繕いをしていたある晴れた日の午後。
 
 宮殿の廊下を肉球が連打する「ドテドテ」という音と共に、お昼寝タイムの静けさをぶちこわす。
「にゃにゃにゃにゃ〜〜〜〜〜〜!! たいへんにゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
 執務室の扉をうち破るような勢いで、血相を変えて飛び込んできたのは、ねこ服姿のねこの使者。
 うるさいにゃ。
 私は手元にあった村正を力一杯投げつけた。
「ぐふっ!? な……なぜ……?」
 むなもとに深々と突き刺さった刀を驚きの表情で見つめ。ゆっくりとくずおれる。
 私は側近のねこたちと大慌てで駆けつける。
 使者はどくどくと血を流し、もう虫の息だったにゃ。
「しっかりするにゃ! こんな……酷い、誰にやられたにゃ!?」
「……あ、貴方です……にゃ……」
 その言葉を最後に使者は事切れた。
 
 むぅ。
 死んでしまったのは仕方ないにゃ。
 しかし彼は私たちに何を伝えたかったのだろう?
「神風猫さま、使者がこんなの持ってたにゃぁ^^」
 と言って側近の『劉友ねこ』(タカ派・建国の名手)が差し出したのは、血まみれの巻物にゃ。
「おお、死して尚、使命を果たすとは使者の鏡にゃ。ねこの鏡にゃ」
「自分で屠(ほふ)っておきながら――」
 と、側近の『啓潤ねこ』(特殊兵マニヤ・エルフ耳フェチ)が言い終わる前に、私のコークスクリューねこぱんちが炸裂していた。
 ”むぐがっっ!”とかなんとかぶざまな悲鳴を上げて窓の外に弾き飛ばされる。ちなみにここは宮殿の最上階。
「ふっ、猫も鳴かずば撲たれまいに」
「にゃぁ。神風さま。巻物にはなんて書いてあったにゃ?^^」
 おおっと、忘れるところだった。友ねこさんありまとうにゃ。
「にゃにゃっ。えーっと、これは、ふむふむ……にゃっ!!」
「にゃぁ?^^」
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    ・
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「にゃんだって〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
 再び、お昼寝タイムの静けさをぶちこわす。
 
 そう、そこに書かれていたのは……。
 
 
 続く。