【 ν猫ねこ帝国興亡記 】

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●第九話   『 一縷(いちる)の望み 』
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   9
 
 
 時は○○暦150年。
 ここは株王国から極東皇国へ向かう街道。
 
 三頭の馬がテントのまわりに繋がれている、持ち主のねこたちは、たき火を囲んでいるにゃ。日も落ちて野営してるところだにゃ。
 そう、我らが神風猫さま御一行なのだにゃ。
 うにゃ。あれから”す巻き ”は解放されたけど、村正は取り上げられたままにゃ。自分とこの君主をもうちっと信用しろにゃ。
 
「クラウディオにむ。携帯貸してくれにゃ。私のはバッテリーが切れたにゃ」
「いいですよ、どこにかけるニカ?」
「極東皇国の紫朗ねこにゃ。ずっと留守電で繋がらないにゃ、もう明日にはつくからアポ取っておきたいにゃ」
 株さんに断られちゃったから、あとの頼みは極東さんしかいなくなったにゃ。追いつめられたにゃ。窮ねこにゃ……。
 
 私は携帯を受け取ると(そら)でプッシュしたにゃ。
「184-090-○○○○-××××……うにゃにゃ。と」
「え? なんで非通知でかけるニカ?」
「気のせいにゃ」
  ――トゥルルルル ――トゥルルルル ――トゥルル……
 『(カチャ)もしもしナナ姫ですけど』
「ぶぁ〜〜か」
  カチャ ピッ
「――!! か、神風猫ニム!?」
「うにゃ、かけ間違えたにゃ」
 天青ねこも、
「もしかしてそんなことで自分の電池使い切ったにゃ??」
「だからかけ間違いにゃっっ!」
 
 その後、クラにむと天青ねこがダイヤルして私は話すだけにされたにゃ。
 ……自分とこの君主をもうちっと信用しろにゃ。
 でも何度かけても留守電になるから、メッセージを入れることになったにゃ。
 
  ――トゥルルルル ――トゥルルルル ――トゥルル……
 『ピッ――留守番電話サービスセンターに接続します――――』
「もしもし紫朗ねこにゃ? オレオレ。オレだよ。あのさ。ちょっと借金できちゃって、国を追い出されて困ってるにゃ。金10,000,000,000振り込んでくんないかな。口座番号は○○○○○-×-△△△△△△にゃ。じゃ、頼んだにゃ」
  カチャ ピッ
「古っ!」
「ちょっ。まじめに頼みますにゃ。友ねこさまに怒られちゃうにゃ」
「あほぬかせっ! 今のは大真面目にゃっ」
 その言葉にうそ偽りがないと、二匹のねこは直感したにゃ。
 なぜならそう言った神風猫の瞳には一片の曇りもなく澄み切っていたからにゃ。
 
 
 続く。