【 ν猫ねこ帝国興亡記 】

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●第拾伍話  『 慈悲(じひ) 』
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   15
 
 
 時は○○暦151年。
 
 にゃぁ。
 なんでねこのみんながこちらに向かっていたかは後で説明するとして。
 無事、我らが君主・神風猫と合流を果たしたねこキャラバンは、もう一度ここで野営することになったにゃ。
 のらねこ生活も長いためか、手際よく設営し終えたにゃ。
 
  少し大きめの参謀本部用の天幕の中にゃ。
 
「にゅ。。神風さま、君主なんだからそんな格好したらだめにゃぁ。。。」
 
 劉友ねこ。さまがそんな格好というのは。
 地べたにねこの額をこすり付けるようにしている格好にゃ。
「有り難きお言葉に涙が零(こぼ)れまする、にゃ。しかしこの神風猫。使命を果たせずおめおめと帰って参りました、にゃ。とても会わせる顔は御座いません、にゃ……」
「にゃぁ。。。。」
 劉友ねこ。さまは、少し困ったような顔にゃ。
「・・・神風さま、わたしが言ったこと誤解してるにゃ?」
「……にゃ?」
「お金を借りれなかったからって怒ったりしないにゃ。ナナ姫さまは高飛車だし。紫朗ねこさまは利己的な変態にゃ。神風さまのせいだけじゃないにゃ^^」
 そうして私に胸を張って立つよう。促してくれたにゃ……。
 女神さまみたいに優しいお方にゃ。
 ううっ、感涙に咽(むせ)ぶにゃ。
「わたしはね。みんながねこの国で生活できるようになればそれで良いって思ってるにゃ。・・・神風さまもそう思ってるにゃ・・・?」
「にゃぁ……」
「お金をかりて借金かえすのは一つの方法ってだけにゃ。借りれなかったんだから別の方法をかんがえればいいにゃ^^」
「ありがとう……ありがとう友ねこさま」
「それでこれからなんだけど。みんなで極東さんに合流して。「りゅん♪」と戦うにゃって決めたにゃ」
「にゃにゃにゃ? りゅん♪と戦争? 金策は後回しで良いにゃ?」
「ふにゅ・・・神風さま。ねこ領土の買い手は「りゅん♪」にゃ・・・?」
「……!!」
「極東さんが勝ってりゅんが滅亡したら領土の買い手がいなくなるにゃ。そしたらまた時間稼ぎできるし、もし戦争中にどこかが空白したらそれこそラッキーにゃ^^」
「にゃ! にゃ、にゃるほどう!」
「空白建国だったらねこの国の借金はかんけいなくなるにゃ。ふみたおすみたいで悪いけど。。。相手はムサカだから気にしないでいいにゃ^^」
「ね^^」
「にゃぁ。すごいにゃ、友ねこさますごいにゃぁ。頭良いにゃぁ〜〜」
「にゃぁぁ^^; ・・・神風さまが無能なだけにゅ」
 グサリときたにゃ。
 ……む、視線を感じる。
 真っ白なタキシードに身を包み、さらにその上から紫のバスローブを羽織り、葉巻をくゆらせ、ブランデーグラスをくるくるしながら。
 ダンディーなパブロねこが柱の陰からニヤニヤ見ている。
「ぱぶろん! こちうっっ!!」
 また逃げられたにゃ。
「神風さま。わたしのはなし。ちゃんと聞いてるにゃ?^^」
  ――ゴスッ
「うぐっ!? ……す、すみません、にゃ。ちゃんと、聞いておりますにゃ……」
「ねこのみんなはね。神風さまのことを慕(した)って付いてきてくれてるにゃ。だからもうすこしがんばってほしいだけにゃ^^」
「本当にありまとうにゃ……」
「もうおわったことだからいいんだけど。。。神風さまが領民をぎゃくさつしなかったら利息ぶんだけでもはらって時間かせぎできたかもにゃ^^」
  ドゴォオッッ!
「ぶべらっ!!?」
「ね^^」
  ゴシャアアァァァッ!!
「ごふううぅっっ!!……ぐほっ、げほっ……か、勘弁してください、にゃ。もうしません……もうしませんにゃあぁぁ…………」
「にゃぁ^^」
 
 ―――っ!!――――――!!―――っっ!
 
 
 ――――――
 
    ・
    ・
    ・
 
 しばらくして。
 私は豆乳ねこタンに肩を貸してもらいながら、よたよたと出てきたにゃ。
「神風さま、今日の劉友ねこさまは機嫌が良かったみたいですにゃー」
「う………うにゃ。そうだにゃ。こ、今回は、まだ、意識があるからにゃ……」
 
 そうして我らν猫ねこ♪の無敵軍団は、祖国を追い出されたまま―――。
 ―――いや、
 再び祖国に帰るため、戦いの日々へと馳せ参じたのであった。
 にゃ。
 
 
  続く。