我、君を歌う ガーシュイン イーアン・ウッド 著 別宮貞徳 訳 ヤマハミュージックメディア
モリス・ゲルショーヴィッチ。 これがガーシュインの父の名前。父も母も、生まれはロシア。
ロシア中でもっとも西欧化した都市、サンクトぺテルブルク出身のユダヤ人だった。
ある男、わずか10歳から兵役にとられ、それから務め上げたのが35歳。その報酬が自分達の好きな
所に住める。ってんだから、ロシアでのユダヤ人支配のひどさが解る。
それで、サンクトペテルブルクに住んだのが、ヤーコブでこれが祖父。大砲を設計したので、皇帝から
ほめられ、そして、発明家として暮らす。
その息子、モリス。裕福な毛皮商の娘に一目惚れ。 恋に落ちる。 しかし知り合ってまもなく、彼女の
家族共々、ローザはニューヨークに移住してしまう。 移住を決意したモリス。 もうすぐ怖い兵役もある。
ニューヨークで仕立て屋をしている伯父をたよって船に乗る。が 自由の女神を見にデッキに出た
途端、帽子を飛ばしてしまう。伯父の住所が書いてある帽子をである。
ここらへんが、ガーシュインの父の楽しいエピソード。
で 1895年に結婚。モリス24歳、ローザ19歳。
1896年、長男誕生。アイラ。
1898年9月26日、次男誕生。ジェイコブ これから 1937年7月11日この世を去るまで、38年間の
ジョージ・ガーシュインの人生が始まるのだ。
アイラもジョージも、ニューヨークを自分の庭のように、遊び回っていた。
うらやましいな。
したがってガーシュインの曲は、ニューヨークそのものなのだ。
ニューオーリンズ、カンサス、シカゴからやってくるジャズマンを、ジョージは今か今かと
待ち伏せしていたんだな。
ジョージのほうが、アイラより、腕白だったとの事。
従って、購入したピアノは、アイラの為に買ったはずなのだが、即座にピアノに向かったジョージの
腕前に、親もビックリ。
ジョージは、ミス・グリーンという先生に、1レッスン55セントで習うことになる。
息子が、ピアニストになれるわけが無いと思っていた親は、ジョージを商業高校に入れる。
気乗りしない学校であらゆるジャンルの音楽を憑かれたように聴き続けるジョージ。
1911年、アレグザンダーラグタイムバンドという曲が、大流行した。
作曲者は、ロシアのペテルブルグとは反対の端。シベリアから来た、10歳年長のユダヤ移民
その名を、イズラエル・バライン。印刷屋が間違ってバーリンにしてしまって、新しいファーストネイム
アーヴィングとあわせて、アーヴィング・バーリンと名乗る。
また、ジョージは、もうひとりの作曲家に夢中になる。その名は、ジェローム・カーン。
その頃は素直に真似をしました。当時の作品は、カーンのサウンドそのままでした。と話している。
つづく