奈々子への返信 

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      第1話  華麗なる人々   at 1999 12/31 22:00
      

15話から始まった「奈々・返」なのですが、今日からプレイバックしてちょっとずつそれ以前の感想を書いていきたいと思います。それでは開始。  

6月の雨の中。幼い頃の武彦が、離婚で離れ離れになった父親恋しさに、かつての自宅をこっそり覗いていると、そこには父の再婚相手の連れ子、奈々子が一人庭で遊んでいるのだった(どうでもいいけど、お父さんは奈々子の事、ちゃんと戸籍上養女にしたのかな? しないと連れ子は遺産を相続できないと思ったけど。ほんとに、どうでもいい事だけど)。
そんな武彦に気付いた奈々子。
「あなたは、だあれ?」
子供の無邪気さを演出しているのだろうけど、なーんかスカしたよ〜な気分になってしまうのは私だけ? それに、立ち去る武彦(短パン!!)に、
「バイバイ、また、来てね」
ですか。知らん人にまた来いと言う奈々子はかなり無防備なお子様だった模様。なんか簡単に誘拐されちゃいそうでキケン。
『ほんの5分の出来事だった。しかも幼い遠い日の雨の日の。でも君が、もしわずかでも覚えていてくれたなら、いつの日かきっと、僕も覚えていた事を打ち明けよう』
相手が言ったら自分も言おうなんて、武彦らしい。相手が覚えていないかもしれない事は自分からは決して言わないでおこうというとこが。あるいは、わざわざ自分から言って相手に思い出させる努力はしないとこが。でも、このセリフが今回の奈々子の締めゼリフを際立たせているし叙情的なので私は好き。

さて、今日から名門私立校・青蘭学園の新1年生となる主人公・御苑生奈々子が入学式に行く為めかしこんでいます。
「なにしてるの、奈々子。急がないと遅れるわよ」
と、いつも・いつでも着物着姿と後に判明するお母様(このアニメを外人が見て、未だに普段着に着物を着る風習が残っていると誤解する危険がありそう)の催促のお言葉にちょっと急かされた奈々子はコサージュに指を刺してしまって「痛っ」。血が飛び散ってましたね。ものすごく。ぴゅぴゅっっと。10cmくらい。実は血の気が多いんですね。ああ見えても。

青蘭は私服が認められており、私服で入学式に臨もうとした奈々子。でも、お母さんは、初日から私服なんて常識で考えて分からないならお父様にお聞きして御覧なさい、と現代では失墜した父権を振りかざす。しかし奈々子にはこれがとっても有効。
非常に疑問なのは、入学式って、親も付いて行くもんなんじゃない?ってこと。高校生ともなると付いて行かなくてもいいのかもしれないけど、女の子を持つ親なら、かなり高い確率で同伴すると思う。青蘭は厳格でそういうの許さないのかしら。実を突けば作画が面倒だっただけのような気しかしないけど。

結局、私服はやめて制服で登校。親友の智子も同じ学校なので駅のホームで待ち合わせ。
「おはよ、智子。似合うじゃない、制服」
「あなたもね」
今日から高校生。大人びて「あなた」などとちょっとかしこまった言葉を使いたくなる気分の日です。
「どうしたのよ、お約束」
と、智子の胸元のリボンをつまむ奈々子。
「あなたもね。例のお気に入り、着て来るんじゃなかったの?」
「約1名いたのよね、石が」
(^^; 石って、石頭のことでしょ。こんな使い方初めて聞いたよ(^^; しかし、昔私は、「にくね」と言われた事がある。「何それ?!」 聞き返すと相手は「小憎らしいってこと」とニマニマ笑っていた。なんじゃそりゃあ〜っっ。・・・とゆー訳で、現実世界には奈々子を上回る寒い言葉使いの人もたくさんいます。

駅からバスに乗り継いだ奈々子たちはその混み具合にビックリ。急停止に勢いがかかって麗人レイの胸元に飛び込んでしまった奈々子。慣れない状況に自分の心臓の音がハッキリと感じられてそむけた視線の先にはレイの綺麗な腕輪が見えたとさ。私には腕輪よりカフスボタンの方がポイント高かったけど。
「あ、降ります。私降ります」
混んでて降りられそうにない奈々子があせって叫ぶと先程の麗人が奈々子の腕をつかんで引っ張り降ろして(?)くれました。このシーンがこれまたすごいんだわさ。混んでたのに引っ張られると奈々子が宙に浮かんでるし、抱きとめられるとこなんか、4回くらいアングルがまわってんのよ(^^; 舞踏会じゃあるまいしってなくらい。大仰。ところで、智子はいつの間に降りてたの? 奈々子も智子の後ろをちゃんとくっついてれば安心して降りられたのに。

「(ハッ)ごめんなさい、バスに慣れないもので私」
なんて奈々子はレイに謝ってるけど、私はちゃんと見てたわよ〜、さりげなく自分から抱きついたとこ。
「はい、これ、落し物」
と鞄を渡してくれるレイ。奈々子のカバン落としグセは既にここから始まっている。
この声に初めて視聴者はレイが女と気付いてビックリするらしいけど、バカな私は『この人なんで男なのにこんな声なの?』などと思っていた。奈々子はいつから気付いてたのかな。。。

智子と奈々子は小学校からずっといっしょだったのに、今日からはクラスが別々でがっかり。そんな二人を背後から見てる怪しい女・マリ子。
「ねぇ。あなたかわいくて感じがいいわぁ。お友達になりましょうよ。あなた、B組でしょ?」
「ええ」
「絶対そうだと思った。良かった」
って、さっき盗み聞きしてただけじゃん。
「あのハーブのシャンプー使ってるでしょ。私も大好きよ」
なーんかここまでのマリ子のセリフって思わせぶりで身の危険さえ感じる(^^;
そんなとこへ病気で1年留年した薫の君がやってきた。
ここで1つ謎。何故、薫は中等部から私立にいるの? ブルジョアっぽいのが嫌いみたいなのでふつーの公立に行けば良かったのに、わざわざこんなお嬢様学校へ。バスケが強い学校って訳でもないみたいだし。考えられるのは親の方針でってことくらい。という事は、薫は親の教育意識が高い家の娘ってことですか。

入学式、来賓の祝辞の後は生徒会長の挨拶です。
奈々子は生徒会長を見てハッするほどビックリ。
『信じてもらえないかもしれませんが、その方の唇は、キラキラと野ぶどうのように濡れて光っていたのです』
キラキラしてなかったら、ただの血色の悪い人って感じだわね。
「見た?! 見たでしょ、ねぇあなた!(言われなくても見えてるっちゅうに) あの方が一の宮蕗子さま。我らが宮様よ」
我らが宮様・・・。どんな意味でしょう。
この後マリ子によるソロリティーやレイの紹介(面倒なので省く)。

「さあ、この幸運の薔薇を欲しい子は誰かな?」
ピアノを弾き終わった花のサンジュスト様こと朝霞れい。初回からめちゃめちゃキザです。薔薇を放り投げたりなんかして。これがしたいばっかりに、わざわざ花屋で買ってきたのかしら?
ここでまたカバンを落とす奈々子・・・。早くも2回目・・・。あっ、そうだ! そのうちシンドロームのコ−ナーで奈々子落し&コケシーン一覧を作ろう!!!

入学式が終わると、花曇だった空がついに泣き出した。春の雨は桜を散らせてしまうのが困りもの。
カフェ・タマ(すごいネーミング)で雨をしのぐ奈々子&智子。
「だいたい雨」
「何が?」
「大事な日。私…だいたい雨が降ってる。今まで」
「ふ〜ん。そういうのってさ、悪くないよ。好きだな私」
初めて母親の再婚相手と会った日の事を思い出して、
「そう思い込んでるだけかなぁ」
とつぶやく奈々子。今の父親に初めて会った日は雨ではなかったのだ。
でも忘れてるだけで、別の大事な日は雨だったでしょう? たとえ思い出せなくても大事な日にはやはり雨が降っていたというのが心憎い。また逆に、あの日が雨だったことでそれが大事な日だったというサインでもある。

カフェの一角には奈々子と同じクラスの三咲・園部・古田トリオ(みんな中等部あがり)もいた。
園部&古田が三咲をよいしょ・よいしょして三咲さんはソロリティー候補NO.1よ、なんて言うと本人はやぁね〜などと言いつつまんざらでもないらしい。そんな三咲と目があってしまった奈々子はハッとしてあわてて視線をそらし身を縮こませる。そんな態度は卑屈に近いと思うが、三咲の高圧的なオーラを既に感じていたせいなんだろうな。サンジュスト様の本名は?と智子が言うと「やあね、外からきた子は何も知らなくて」なんて言ってる三咲って出だしからヤなヤツ(笑)。

サンジュスト様が通りかかれば園部&古田が、宮様が通りかかれば三咲が傘もささずに表へ出て、おじぎしてる。
「あーあ、ついていけるかな、私、こういうの」
という智子は、まだ見始めたばっかりでこのアニメに思い入れが生じていない視聴者の代弁者。
一方、奈々子はサンジュスト様の妄想モード・イン。初日からすっかり心を奪われたみたいです。

雨の桜並木を徐行する蕗子を乗せた車が傘もささずに歩いてるレイの前で止まった。半分だけ開けた窓から何も言わずに傘を放り投げる蕗子。そして車は走り去る。・・・運転手さんはこの事、どう思ったかしらね。。。
ファンの間ではこの行為だけで早くも蕗子のソロリティー失格の呼び声も高いようだけど、私はこのシーン、かなり好き(^^; これって女王蕗子だからこそ似合うシーンだし、二人の関係を象徴してるし。
マリ子が同じ事をやればただの意地っ張り。三咲ならただの高飛車。智子ならただのギャグ。奈々子なら問題外。蕗子がやると冷たく感じる一方で、何かそれだけでは片付けられない印象を残させる。英語で言うremainで。
そして窓を半分だけ開ける事。貸してやる割に投げてる事。お嬢のくせに傘のボタンとめてない事。無言のままそうする事。そのすべてが、今後明らかにされるレイとの複雑な関係を端的に表している。これはレイに、と言うよりも、視聴者に対する蕗子からの無言のメッセージかな。
そんな蕗子の態度に何故か自嘲したような笑みを見せて薬を噛み砕くサンジュスト様。ここまで来るときっと誰もがただのアニメでない事に気付くのだろう。。。

奈々子の文通相手のおにいさまこと辺見武彦が友人貴を誘って一杯引っかけに行く。待ち合わせは駅のホームなんだけど、武彦はここで奈々子からの手紙を読んでる。手紙はもっと密やかな場所で読んでほしいけどなぁ…。
「アルコールを入れる前にちょっと買い物つきあってくれないか」
「買い物?」
「あぁ、入学祝いをな」
「高校生か。しかも青蘭とはな。世の中、広いようで狭い。ところで、入学祝い、お前の名前で出すのか」
「え? まぁ」
「いいのか、そんな事をして。そんな事をしたら、教授や教授の奥さんにお前だって事が一発でバレてしまうぞ」
貴も初っ端から貴らしく思わせぶり。。。
「あぁ、でも・・・」
と、ためらいつつもやっぱり入学祝いを贈りたい武彦もいい感じ。

『おにいさま、・・・親愛なるおにいさま』
と、何故かここで奈々子のシャワーシーン(奈々子ってホントは髪の毛、肩より長いのね)。
お風呂から出るとバスタオル巻いただけの姿だし。。。初回早々こんなシーンがあったのなら、本放送の視聴者は奈々子のシャワーシーンは極めて不評だって事、出崎監督に教えてあげるべきだったよ。
あと、風呂上がりのスキンケアも顔がゴム毬みたいに収縮して怖かったし。あぐらなんかかいちゃってるし。マリ子の影響受けてマニキュアなんか塗ってるし。
でも締めのセリフはよい。
『春の嵐。私、決して嫌いではありません』



   第2話  奈々子失格?   at 2001 11/10-12/01      
   



   第3話  奈々子失格?   at 2001 11/10-12/01    
   



   第4話  オルゴール    at 2002 06/10-07/23    
   

ここはパーティー会場。
選考は既に終わったのに奈々子の為にまだ残っている宮様とお姉様たち。
「随分遅かったのですね。パーティーは正午からと申し上げたはずです」
「はい、いえ。あの・・・」
「いいでしょう。おかけなさい、御苑生さん」
『でも宮様が昨日お電話で・・・。それなのに何故・・・』
「では、少し質問を致します」
「はい」
「趣味は? 次にクラブはどこのへ入部なさいました」
「はい。趣味は・・・お菓子を作ることです」
「まあ・・・」
と言葉をもらすお姉様たち。でもそれは感嘆の言葉ではないみたい。ちょっと ばかにするような。でもお菓子作りって実はすごく繊細な作業なのにねえ。

「それに、クラブはまだどこに入るか決めていません」
「わたくしは、華道部と乗馬クラブです」
すかさずジャブ。ジャブジャブジャブの宮様。明言せずして相手を操るのは お手のものでございます。そして簡単に落ちる奈々子。
「華道部? あ、あの、私も華道部にします」
気に入られようと安直に入部を決めちゃう。意外と日和見だったのねぇ〜。
そんな変わり身(?)の早さを「まっ」と苦笑する蕗子。
自分で仕向けたクセにフッキー、役者じゃのう・・・。
さてさて面接はつづく。
『笑った、宮様が今、微笑まれた』
「お好きな作家は?」
『もう怒っていらっしゃらないかも』
宮様の態度に一喜一憂。その気持ちは相手が宮様じゃなくてもよく分かるぞ。
たとえ嫌いな相手でもにらまれるより笑顔の方が安心するよ。 ましてそれが女王であるなら、なおさらです。
「はい、星の王子さまのサン・デグュジュペリと赤毛のアンのモンゴメリー です」
サン・デグュジュペリは有名だけどとっても発音しにくい名前ですね。あれ? デグチュペリだったけー?? とか。
「星の王子さまですって」
「赤毛のアンなんてまるで小学生ね」
『いけない、子供っぽいと思われた。それじゃ・・えーと』
「サド! サドなんかも好きです」
それじゃ・・えーと、って出た作家がサドかいな!! 
大人っぽいと思われる発想がどうしてそっちを向いてるンだか。
この調子でいくと好きな映画は「ベニスに死す」。
「まあ、マルキド・サド」
「あのサドマゾの?」
「まあ、素敵だわ。中でもどんなお好きなの?」
「あの・・・あの・・・」
「サドですって」
「まー、いやらしい〜」
「よろしいんじゃございませんの。進んでいて」
進んで・・ってもう何百年も昔の作家じゃん。
奈々子のムリ・・・とゆーか無謀な背伸びにお姉様たちばかりか宮様もンふふ と笑っていらっしゃる。
「これで結構よ、御苑生さん。結果は明日発表になります。ご苦労様でした」
ツッコミが足りなかったけど、ここは前半の名(迷)場面でしたね〜。
面接が終わったのは3時半。結構長い面接でしたな。
ほかにどんな事聞かれたのか気になるますう。律儀にマリコは30分近く待っててくれた。
「落ちた。落ちたわ、私」
「まだ分からないじゃないの」
「ううん、ダメよ。私ったらまともに質問に答える事ができなかったもの」
「そんなことはない。ないわよ」
って、外で立ち聞きしてたか?
「ただ、時間に間に合わなかったのはまずかったわね。どうしたのよ、ソロリ ティが時間厳守だってこと言ったのに。あれほど」
「だって、昨日宮様がお電話くださったの。パーティーの時間は正午から3時 に変更しますって」
「ええ?」
「私、分からない。それなのにどうして・・・」
「その電話本当なの? 確かに宮様のお声なの?」
「ママが出たから・・・もしかして誰かが」
「絶対そうよ。そんな事するのはアイツしかいない。三咲、綾(フルネームで 呼ぶなって)」
その三咲の無言シーンがチラリと挿入。ペットの犬もいます。三咲の本当の友 達ってこの犬だけなのかなー。でもどこかのシーンでやつあたりしてぶってた よーな気もする・・・
『どうやってそれからうちに帰り着いたのか私よく覚えていないのです。本当 なら、その日は智子とケーキを焼いて過ごす少し楽しいだけ楽しいごく普通の 日曜日だったはずなのです。おにいさま、こんなことってあるのでしょうか。 人を落とし入れるためにニセの電話をする人がいるなんて。それが本当だとす れば、とても恐ろしいことです。だってもし自分がそういう立場になった時、 私がそうしてしまわない保証なんて、どこにもないのですから』
こういう場合は逆の事を考えましょ。もし自分がどんな立場になっても人を裏 切らないのなら、やっぱり他にもそういう人間はいるかもしれない訳だし、 本当にそうなれたらとても素晴らしいことです。
「もう帰ってくる頃かな、なーんて思ってさ」
智子の電話で呼び出されて二人は夕暮れ時の公園へ。
「ふうん。ニセ電話。ひどいことするんだ、三咲さんて」
「確かじゃないのよ。でも信夫さんはそう思ってるみたい」
なーんか、この言い方って一人だけ良い子でズルくない? 
あーたも疑ってるから智子にしゃべってるんでしょ。
「分かるよー。奈々子の悔しい気持ち。ソロリティに選ばれるなんてすごい事 だもんね。女の子なら誰でも憧れる。私、だって・・・」
おーっっと〜びっくり。実は智子はソロリティを狙っていた!?
「智子・・・」
「でも私は最初から関係ないってあきらめてたからさ」
智子は狙いつつもあきらめてた訳ですね。奈々子があきらめるというよりも はなから考えもしなかったのにねえ。
「私だって候補生に選ばれたのさえ不思議だったんだから。そうだったのよね。 そう! そうだったのよ。これで誰からも嫌味を言われなくて済むんだわ。何 だかもう、スッキリしちゃった」
半ば自分に言い聞かせてるふう。
「小さい頃から私たち、よく飽きもせずこのブランンコのってるね」
智子よ、どーしていつもそんなにかしこまった口調でしゃべるんだ。
そしていつからともなくどうということもなく二人で何だか笑いあってる。 気持ちわりィな、もう(笑)。
「これからもずっといっしょよ」
「うん」
「そうそう智子、クラブクラブ。何入った?」
「とーぜん。クッキングクラブよ」
「わあ、私もそうする」
わあ、だって。こっ恥ずかしいリアクション(笑)。でもクラブクラブと連呼 する所といい、パーティーで一度沈んだ気持ちが浮上してきたのを表現してます。
「じゃあ私、クラブ行って申し込み用紙もらっといてあげましょう」
「うん、よろしゅう」
でも、せっかく吹っ切れたのに平穏は翌朝までしか続かないのでした。
学校の掲示板には人だかり。選考結果が張り出された。
「信夫さん、おはよう」
こりゃマリコ、後ろから抱きつくない。でも奈々子はもう慣れた模様。
「受かったのよ。受かった!」
「え?」
「メンバーズに選ばれたのよ」
「おめでとう」
「やあねぇ。御苑生さんも。やあねえ、御苑生さんもいっしょでしょ。なによ、 まだ見てないの?発表。ほらほら」
掲示板に貼られているメンバーズの告知はバラのお飾りつき。さすがソロリティ。 そこには例の3人組が待ち構えていた。
「ほんと、不思議よね」
「候補生は19人もいたのにね」
「落ちた人の誰をとっても御苑生さんよりも上だと思うわ」
結構な言いようですわ。んでも今回に限っちゃ言ったもん勝ちでなく受かった もん勝ち。なのでマリ子は余裕。
「見苦しいわね。このイモ連隊」
「なんですって?」
「もう一度聞きたあい? イモ連隊。」
ある意味、マリ子の言葉センスはピカ一ですな。
「関係ない人はおどきなさいよ」
「どきなさいとは何よ。あなたたちこそどきなさいよ」
三咲と声が大きかったもんで廊下の前の花壇で日向ぼっこしていた(?)サン ジュストさまがチラリとそちらの方を向きました。でも白熱中のイモ連隊とバ ラ連隊は全然気付いていない様子。
「私、こんなこと許せない。宮様に直接抗議するわ。どんな汚い手を使ったの。 あなたパーティーにも出なかったじゃない」
サンジュストさまは聞いてんだろうけど無関心でぴろ〜っと花びらをむしっとる。
「あら〜。どうしてそれを知ってるの?(ハッとする三咲)」
おっ! マリ子鋭い突っ込み。弁護士の娘より口達者。
「言ってあげましょうか。宮様のお名前を使って電話かけたのあなただからよ」
「し、知らないわよ。そんなこと」
マリ子の追い討ちに脳ない返事をする三咲。
花壇にはいつの間にやら薫の君までいらっしゃる。
「汚い手使ったのあなたの方じゃない。それだけでソロリティ失格よ」
「とにかく、このままじゃ済まさないわよ」
『とにかく』なんてセリフを使うのは劣勢の証拠ですわいな。
「フン!」
と拳を突き上げて敵の後姿を見送ったマリ子だが・・・よく考えるとソロリティ らしからぬ言動、というよりも前に女の子らしからぬ。
「さ、いきましょ、御苑生さん」
スキンシップ大好きマリ子はそう言って奈々子の肩を抱いて廊下を去っていった。
その様子をみていた薫の君は・・・
「問題あるなー、ああいう光景は。宮様と呼ばれるプライドの高い女性のため に、毎年いたいけな新入生たちの胸の中がかきまわされる」
いたいけ? 三咲がいたいけ? マリ子がいたいけ? 奈々子はそうかも。
しかしこういう光景は宮様のために起こるというよりソロリティがあるから起 こる訳でしょが。ここで宮様を出してくるあたり、薫のちょっとした策略を感 じますな。つまり、わざとレイの痛いとこ突こうとしてるんですわ。 しかし宮様は今年高校3年になって学年的にトップになったはずなのに、薫に 言わせれば『宮様』のために『毎年』なんか起こっていたんですな。というこ とは多分もう中等部にいたころから(先輩がいたころから)女王だったんです ね。ま、当然か・・・
「好きじゃないなー、あんまり。ね、そう思わない?」
あんまりどころか、でえ嫌ぇなんじゃないの? こーう、もってまわった言い 方してレイに同意を求めるというのも薫の手でしょう。
「ま、レイに言っても無駄だろうがね」
無駄だと知ってて言うのはあてつけかいな。
サンジュストさまは当然のことなんとも言えず無言で立ち去った。

「ほら、元気だして。昨日もうだめだって泣いてたの誰? だって入りたかっ たんでしょ」
「でも・・・やっぱり変、こんなこと。どうして私が?」
「いいじゃない、そんなこともう決まったんだから。メンバーだって。しっか りと。うれしいわー、私たちいっしょよね」
様子を影からのぞいていた智子がその場を駆け去った。その足音で気付いた 奈々子が「智子!」と追い駆けるんだけど・・・・なんであんな一瞬ですぐ智 子と分かったのーーー? 奈々子の動態視力は異様に発達してたんですねー。
智子は下の階の踊り場にいた。
「やっぱり入れたのね。おめでと。掲示板見なかったから、知らなかった」
「智子・・・」
「うれしそうだわ」
「分からないの私。うれしいんだか、うれしくないんだか」
「これ、クッキングクラブの入部申し込み書。入るんでしょ?」
躊躇する奈々子。
「やっぱり、華道部に入るのね。ソロリティのメンバーはみんなそうですものね」
クッキングクラブ申し込み書は智子の手を離れて床に舞い落ちた。そしてまた駆け出す智子。
「私、ソロリティ入っても智子の友達よ。智子! 帰りいつもの所で待ってる。ともこー」
やっぱり変とか何とか言いつつすっかり華道部に入る気になってる(^^;
にしても、宮様だって華道部と乗馬クラブ掛け持ちしてるんだから奈々子も 2つ入ってもいいのでは? クッキングクラブって毎日あるとも思えないし。 そしてこれまたいつの間にやら校舎の庭からその光景を見つめてたマリ子。 さっきベランダにいたのにもう庭に回りこむなんて素早い・・・・

待ちに待った(私的に)清ポン先生の英語の時間。
「OK,ベ〜りいGOOD。御苑生プリーズ」
と、英読に指名されてるのに、ぼーっとしていた奈々子は最初気付かない。
「28ページ6行目からですよ」
はい、と答えてページめくってるけど・・・・あんたページめくりすぎですわ。
とゆーことはいくらボーっつしてたとはいえ、今まで全然関係ないページ開いてたんですな?
奈々子が教科書を読み始めると・・・・
「聞こえませーん」
「聞こえませーん。もっと大きな声でお願いしまーーす」
頬づえをついて悪意に満ちた目で奈々子を見つめるイモ連隊。
「あいつら・・・」
と口汚くうそぶくのはマリコ(←だからソロリティに相応しくないって)。
「続けて、御苑生さん(軽やかな口調)」
清ポンは女のどろどろ世界に気付かず呑気ですなあ。
「聞こえませーん」
「聞こえませーん」
「聞こえませーん」
「聞こえませーん」
「あ〜あ・・・君たち、あの、その」
ふがいない清ポン。
「聞こえませーん」
「聞こえませーん」
「聞こえませーん」
聞こえませんコールは三咲たちだけでなくいまやクラス全体に広がった。ほか の生徒たちはそれほど奈々子を敵視してた訳でもないのにやっぱりソロリティ の決定に不満だったのでしょうか。
それまでボールペンをカチカチさせていた薫の君がぶちきれた。
「うるさいぞっ。そんなに聞こえないんならこっちへ来い。あたしの隣なら良ーく聞こえるよ」
薫がひとにらみすると教室が一瞬にして静かに。
「ほらほら、グズグズするんじゃないよ」
と三咲の腕を掴む。
「君ィ〜、あなた暴力は・・・」
三咲がぶつかって清ポンのメガネが吹き飛ぶ。薫は今度は三咲の服の首元を片 手で掴んで持ち上げてたけど、怪力ですなー。一方マリ子はというと・・・
『薫の君・・・ステキ』
とか言ってる(^^;

家庭科の時間。
「はい、それではまず卵の黄身と白身を分けます。始めてください」
さっきはカッコ良かった薫の君のウィークポイントは女らしい物事(笑)。 そういえばエプロンも男物のような・・・。 かなりぶきっちょで黄身が割れてしまいました。
「先生、こんな曲芸、あんまりにもあんまりじゃありませんか?」
「女の子には訳ないことでもあなたにはね」
「それじゃ、まるで私が女じゃないように聞こえるじゃありませんか」
「それじゃ、まるであなたが女みたいにに聞こえますよ」
家庭科の先生は清ポンと違って1枚上手。
「くっそう。こうなったら意地だ」
と卵を握るけど・・・手の中の卵がちっこくみえるー。
「あの、卵は私が」
と、奈々子が現れ卵を割ったかと思ったら一発で黄身と白身を分けました。 なんかそれはうますぎ。

智子のクラスでは数学の授業。因数分解(なつかしー)。
『あ、クッキーの匂いがする。きっと奈々子たちのクラスだわ(と、さきほど の踊り場のシーンがフラッシュバック)。私ったらどうかしてた。奈々子が悪 いんじゃないのに。謝ろう。帰りに』

再び家庭科室。
「タネの絞り方は外側から円を描くようにね。あら、いい手つきをしてるわね。 お上手よ、御苑生」
と、渦巻き状のクッキー作ってるけど、まだ焼いてないのに智子はなんで匂い を嗅ぎ分けられたんでしょうなあ。ま、すでに2回目の焼きということにしておきま しょか。
「ふうん、とことん女してるんだ。御苑生くんは」
「あなたはとことん、女やめてるのね」
家庭科の先生言いたい放題だわ(^^;
「どういたしまして」
「ふふ、女を売り物はお得意よね。御苑生さんが料理上手なのは当然のことなのよ」
と、三崎。
「え、どうして」
「女を売り物って?」
「いやあね。知らなかったの。あの人のお母様ははね、昔じょうとう大の近く で中居さんをなさってたのよ」
「えー、中居さん?」
「飲み屋の」
イモ連隊同士でくさい芝居うっとりますなあ(ウットリしますじゃないよ)。
「そこへお酒を飲みにいらしてたのが奥様もお子様もある御苑生教授だったの」
『奥様もお子様もあった?!』
「つまり、あの人のお母様が元の奥様たちを追い出したって訳ね」
「すごいわねー」
「信じられない」
「そういう女の人って、よくいるのよね」
16歳なのに「よくいる」なんてよく知ってるわねー。
ここでマリ子が小麦粉を三咲にぶっかける。毎度毎度やってくれますなー。 三咲よりも口八丁、手八丁。
「何するのよ、ポルノ作家の娘」
「黙れ、三流興信所」
「パパは弁護士よ」
「悪徳弁護士」

たまらず教室を飛び出た奈々子。
『嘘だ。パパに子供があったなんて嘘だ。それに、パパとママが知り合ったの はパパが離婚した後だったによ。ママがそう言ってた。ママは・・・ママは嘘 を言うような人じゃない』
いつの間やら後ろに薫の君が。
「不当な言葉に堪えなければならない事が世の中にはある」
「あなたには、分かりません」
「分からないさ誰も。誰も人のことは分かりはしないさ。だけどそれでも人は 人の事を気にかける」
休学など苦労も多かった薫が言うと含蓄あります。でもよく考えるとまだ17歳 なのよね。17歳はよく大人でもない・子供でもないというけど、薫は大人だわ。

そのころ、奈々子の家に武彦から宅配便が届きママが狼狽しておりまする。

さて放課後になりました。
「智子・・・待っててくれるかな」
奈々子は智子とのことで頭がいっぱいなのに邪魔が入る。
「御苑生さん、いっしょに帰ろう」
と、マリ子が声をかけると、
「ごめんなさい、智子が待ってるの」
あら? 私待ってるからー、って自分が言っただけじゃなかったっけ?
「ごめんね」
「・・・智子さんなら・・・今見たわ。音楽室の方にいま歩いていったけど」
「そう、ありがとう」

智子が音楽室の方に歩いていったのはマリ子の策略で、ほんとはもう待ってた のよね。ということは、下校の人の流れとは反対の方に音楽室はあると考えて いいでしょう(いつか学校の見取り図を描こうと思っている私)。
「奈々子さんなら、待っててもムダよ。あなたとは、いっしょに帰れないって。 ソロリティメンバーはお付き合いいろいろとたくさんあるの。分かるでしょ。 もう普通の生徒じゃなくなったの。これからも、もういっしょには帰れないって」
「これ、からも・・・?」
「私はただ、そう伝えてくれって頼まれただけ」
「直接聞きたいわ。奈々子から。どこにいるのよ、今」
「気が利かない人ね。友達なら分かってあげれば」
「何がよ!」
「奈々子さんは傷付けたくなくて私に頼んだんじゃんない?」
「傷なんか付くもんですか。バカにしないでよ」
駆け出した智子は立ち止まり、振り向かずに言った。
「奈々子に伝えて。さよならって」

『結局、その日は智子とはいっしょに帰れませんでした。智子はやはり、許し てはくれなかったのでしょうか。でも、そんなことは、私、考えたくありま せん。今日はだめだったけど、明日があります。明日がだめなら明後日。私、 いつもの所で待つことにします。だって、私と智子、ずーっとずーっといっしょ だったんですから』
根拠薄いなー。
『それより、それより。親愛なるお兄様。母のこと。母と父と私とのこと。そ れと、父に私以外に子供がいるという話。私、母に確かめねばなりません』

そのお母さまはまだまだ狼狽中。
『辺見武彦がどうしてなの・・・いつから・・・』
「ただいま」
「おかえりなさい」
「あの、ママ・・・」
「はい?」
「あ・・・うん、私、ソロリティに選ばれたの」
「まあ、おめでとう。良かったわね。はい、あなた宛ての小包ですよ」
お母さんはただそう言っただけで追求しなかったみたいだし、奈々子は奈々子 で、男の人からの小包になんか説明しなかったのかな。ま、次回でお母さんは たまらず聞くんだけど。
フタを開けるとメロディが流れてきた。
『おにいさま・・・』
心が弱くなった時にやさしい音色はこたえます。


   第5話 疑惑の刺     at 2002 08/19-31   
   

奈々子は夜、智子に電話をしたが居留守を使われた。
「どうしたの、智子さん」
「うん、まだ帰ってないって」
と答えつつ・・・そんなはずないのにな、とぼやく。
「おやすみなさい」
「・・・あ、奈々子さん。ねぇ、あの方、・・・辺見さんておっしゃったかしら。 小包送ってくれた方。どういうお知り合いなの?」
「やだ、変な想像しないで、ママ。そんなんじゃありません」
別の意味でそんなんじゃないことをママは知りたいのよー。
「予備校の冬期講習受けた時、アルバイトをしていた先生。入学祝いに送ってくれたの」
「そう、それはよかったわね。ちゃんとお礼は言ったの?」
「一応はね(一体いつ礼を言ったんだ?? )。でもパパには内緒よ、このこと。 だって変に心配させたら申し訳ないもの」
「それも、そうね・・・」
やましい所(?)のあるお母さんはそんな返事。
奈々子の方は一瞬、三咲に吹きこまれた暴露話しが脳をよぎって洗い物をして いる母親の背中をじっと見つめてる。視線を感じたのか
「どうかしたの?」
「ううん、なんでもない」
結局何も聞けない。

『親愛なるおにいさま、打ち消そうとすればする程、疑いの心が湧きあがって きます。でも、私は父や母にそのことを聞く勇気さえありません。本当に父に は子供が・・・。本当に母は奥様や子供のあった父と・・・』

翌朝。いつもなら朝は智子といっしょに登校だが智子は現れない。
「大変、次の電車に乗らなきゃカンペキに遅刻だわ」
と智子んちに電話すると・・・
「え?、いつもより30分早く?」
『やっぱり避けてるんだ、智子。私が入ったから? ソロリティに』
とーぶん智子は30分早く起きて登校するんでしょか。朝30分早く起きるのって結構ツライんですが(^^;

お、今日も清ポンの授業。
『でも、智子のことだもの、きっと話せば分かってくれる。いっしょだったん
だもんずっと。小学校から大の仲良しだったんだもの』
と思ったらこれですぐ授業は終わってしまった。終わってしまった。出番はこれだけ なの?? 清ポーーーン。

授業が終わって智子に会いに行くと同じクラスの子と(わざと)すごーーく楽しそうにしゃべってる。 でも割って入る奈々子。
「ね、ね、智子、話があるの」
「悪いけど、約束があるの」
「ほんのちょい。時間とらせないから」
時間とらんで仲直り出来るのか??
「それよりお迎えよ。あなたに相応しい相手の」
「え?」
そこにはマリ子。そして智子は去っていった。
「全くもう。さあ、急いで。入会の儀式の準備があるんだから。後輩は一っ番
先に行ってないとね。うるさいから、お姉さまたち。いいこと〜、何があって もまずソロリティが優先よ。分かってるわねー」
分かってるわよー。最近の私も何があってもまずメルマガ制作を優先してるのよー。 HPはまだだけど・・・。

おや?、向こうの柱にサンジュストさまがたたずんでいらっしゃる。
おもむろにズボンのポケッからヤクぎっしりのタブレットを取り出した。
「レイ!!」
と、何故かいきなり薫が現れてタブレットを叩き落す。奪い取るでなしにハタくとこが何とも薫らしい。 にしても、あんたぁ、レイのいるとこにゃ、どこへでも現れるの。
「どうしようもなく腹が立つ。まだこんなものを飲んで。なんで分かってくれないんだ」
サンジュストさまが反省の色もなくフフッと嘲笑すると薫は平手打ちをかました。
もしかして休学の理由は病気じゃなくて校内暴力だったんじゃ(^^;
怒られてもハタかれてもサンジュストさまは相変わらずしぼんだ風船のようにゆらゆら。
「実はね、折原君。もう1箱あるのだよね」
レイの性格からするとそれは決して予備ではなく、単にいっぱい持ってたくて2箱持ってたに違いない。 怒りに満ちたギラギラ目の薫に向かって、
「いい顔だ。その目を見ると生きているのが楽しくなっちまう。ふふ」
さすがデカダン・サンジュスト。自分は死んだ魚の目してるくせに。

「何をしているの」
お!、女王様のおな〜り〜だ。
「ソロリティハウスに行きますよ。御苑生さん、信夫さん」
蕗子・サンジュスト・薫の視線が交錯したところでBGMが華々しくなる。 DVDにはおまけでBGMトラックをつけてほしいよなー。
「来ますか。いっしょに。お手伝いしてほしい事はたくさんあってよ」
サンジュストさまは目をうるうるさせて下を向いて、そして頷いた。
フッキーはゆっくりと目を閉じて、んふふとご満悦。
『サンジュストさまが、まるで飼いならされた子羊のように宮様の言葉に・・・』
奈々子の比喩も実はけっこーキツいですな。
「レイ。いつになったらその腕輪を外すつもりだーーーー」
最後にまた薫が吠えた。いつも熱いよ。

ソロリティハウス。
「そのお花はこちらにちょうだい。そちらのテーブルはもっと端に。さ、花瓶 は白よ。目立つように。はい、そうです。タペストリーに近くにね」
テキパキフッキー。
「朝霞さん、ちょっとこちらへ。あの端、ちょっと押さえていて下さる」
『あの方一体どうして・・・』
奈々子はいろいろと推測している模様。
「あ、信夫さん、それ右のテーブルにお願いね」
と、チロリと流し目で脇の台にある剣山が目に止まった時、蕗子の心に邪念が はしった!(レイがここへ来たのは予定外だったのでいちお計画的ではないと思われる) そう、その剣山を・・・おーほっっほ!と、内心笑っていたかがどうかは知らな いが故意に机を押さえていたサンジュストさまの手のある位置へ落とした。
剣山が2,3回転してレイの手の甲に突き刺さる!! 2,3回転したとはいえ どもその後針の部分が下をむいたまま落ちるってのはなんか引力の法則に逆らっ てるよーな気がしない? 
もしかして地球の引力よりも蕗子の力の方が強いとか? あり得る・・・。
あと、ちょろっと動かしただけなのに2,3回転するのも変だよなー。
その光景をたまたま・・・というより必然的に目撃していた奈々子が キャアーーーーと叫んだ(うるさいほどに・・・)。 突き刺さった手の甲から血が滲んできて歯をくいしばってガマン。
「剣山が」
「剣山が!」
だらだらーっと血が流れてます。でも傷口よりも上の部分から流れてるのは何故?
しかもやたらと出血量が多いよ。台から床までならまだしも、台からテーブルだと あんまり段差もないのでそんなに深く突き刺さるとは思えません。それともあの 剣山はソロリティの伝統と同じくらい重いのかしら。

みんながパニックってる中でレイと蕗子だけが無言。
「手当てして下さい。これで・・・あなたが。あなたが」 と胸の白いハンカチーフ(サンジュストさまにはハンカチよりハンカチーフと言う言葉が似合う)を差し出す。
「駒林さん、消毒を」
動じず命令。
「あなたが!」
無視して立ち去る。
「あなたが!!」
その言葉しか知らないように狂ったように繰り返す。

「剣山を! 剣山を放して下さい」
奈々子が例のごとくしゃしゃり出たものだから行きかけてた宮様も思わず振り向いた。 むうっとした顔で左の眉を吊り上げてます。私はこういうとき右の眉が上がるんですよ。 みなさんどうですか。眉にも利き腕のように利き眉がありそう。。。。
奈々子がサンジュストさまを椅子に座らせて手当てを始める。フッキーが怒って戻りかけ てるんだからモナリザのお姉さまも早く消毒すればいいものをなにボーっと見てるんでしょ。

『見間違いではなかった。確かに宮様が。そうよわざと剣山を。わざと。何のために?!』 いつの間にやら包帯を巻きつけている。ソロリティハウスには包帯も完備されてるのかしら。 このアニメのことだから奈々子が常に携帯してるってこともありそうね。
ここで大映ドラマのように(ってちゃんと見たことないけど)宮様とレイの視線が激しく 冷たく交錯する。ある意味、愛の火花なんでしょうけど。

『やっぱり・・・男の人の匂いがした』
ソロリティハウスから出で行くレイを見つめ奈々子はいつかの確信を深める。
やっぱり、なんて思わせぶりだけど、ここでこのセリフって何の意味があるんでしょ。

渡り廊下に再び薫が現れた。
何か起こると思ってずっと張ってたな。あんたも暇ねぇ・・・
「宮様か。どうしてだ。どうしてそこまで自分を追い詰める。どこまで傷ついたら気が済むんだ。レーーーイっ」
そりゃあ、フッキーが振り向いてくれるまででしょう。

再びソロリティハウス。
「それでは、新しくメンバーになられた方は順番に誓いの署名をして蕗子さま からのお言葉とバラの花をもらって下さい。信夫マリ子さん」
何故マリ子が一番に呼ばれてるのかしら・・・あいうえお順ではなさそうね。

拍手がおこってマリ子が前へ行く。
「あなたは栄えあるソロリティメンバーの一人として会の規約を守り、品格と 愛情をもって会の発展に尽くす事を誓いますか」
「はい」
と喜びに満ちて答えると宮様が1本のバラを差し出す。
「おめでとう、マリ子さん。あなたの微笑みは皐月の日の光のように爽やかです。 決して絶やすことのないように」
と言う事はいまはもう五月なのね。メンバーの選定ってやっぱり多少時間がかか るもんなのね。マリ子は感激でうるうる目になって宮様の手の甲に口づける。
後で奈々子もしているところを見るとこれも儀式の一つのようです。すると宮様も 昔したんでしょか。昔とはいえ、宮様が人にひざまずいていた・・・。ふうむ。

誓いの儀式は順調にすすんでゆく。
「・・・御苑生奈々子さん」
「会の規約を守り、品格と愛情をもって・・・」
「あなたが愛を得る時、それはあなたのやさしさが愛を作りあげたのです・・・」
奈々子にはさっきのショッキングなシーンが脳裏に浮かぶ。
ここですぐ儀式のシーンは終わってしまうんですが、よ〜く見ると奈々子が呼ば れた時、傍らでマリ子が感激のあまり大泣きしてるっす!! 声は出してないけど 肩で息するほどですから号泣でしょう。やっぱり棚からぼたもちが降ってきた奈々子 と中等部から憧れ続けてきたマリ子とでは思い入れが違うんでしょうね。にしても、 目立たないところでマリ子にこんな所作をさせるなんて作りが細かい(笑)。

初登場! 武彦のアパート。
ピンポーン。どなたかおいでです。
「はい、どちらさまですか」
「あの・・・突然伺いまして」
「あっ、あなたは・・・・」

と思わせぶりにまた奈々子たちのシーンに戻る。帰りのバス。いつも思うがバスと いい電車といい貸切状態が多いぞ。今日もマリ子と二人っきり。
「もうもうもうもう!(昔「もう!」というと親に牛になるわよ、とよく注意されてい た私。マリ子も同類だったのね) ほんとに今日の奈々子さんヘンなんだから。ほら、 あの時。あなた、勝手にサンジュストさまの手当てしたでしょ」
「うん」
「気付かなかった? 宮様、すごい目であなたのこと睨んでたのよ。もう、ヒヤ〜っと しちゃった。バカねぇ、でしゃばったりしちゃだめなの。宮様に逆らったりしたら絶対 ダメ。いつでも上級生の投票でソロリティなんておんだされちゃうんだから。第一、宮 様のお父さまは理事の一人なのよ。ねえ、聞いてるの? ねえ、奈々子さん」
『おにいさま、誰にも言えません。宮様がなさった事。サンシュストさまの宮様への 態度。少しだけ覗いた人の心。それが、私には考えも及ばない程深く、恐ろしいものの様に思えて・・・』
マリ子の話は全然聞いとらん。

そして再び武彦のアパート。
「私たちはきっと、許してもらえないのでしょうね」
「始めは憎みました。僕から父を奪ったあなたがたが憎くて。母よりもあなたを 愛してしまった父が許せなかった。でも、母が亡くなってからも僕が成人するま で一月もかかさず生活費を振り込んで頂きました。大学教授の給料がどんなもの かは僕なりに知っています。きっと義務だけでは出来っこない。大人になるにつ れ少しずつ僕なりにそのことが分かってきました。許すとか許さないとか、憎む とか憎まないとか、もう僕にとってはもうどうでもいいことになってしまったのかもしれないな」
「武彦さん・・・」
ううっと思わず涙を流す奈々子ママ。
「かわいいです、奈々子さん」
いきなり、「かわいいです」なんて言われるとビックリするんですけど(^^;
「血のつながりはなくても実の妹のように思えてなりません。でも正直、初めてその事が分かった時には驚きました」
と冬の講習が終わった日の事が思い出される。
「申し出を受けたらいずれは僕のことがあなたや父に知られるかもしれない。 そう思いました。でも、もし、兄として何か力になってやれるなら。ただその思いだけで受けたのです」
武彦は紳士なので外まで送っていった模様。
「一つだけ、・・・あの、お願いがございます」
「はい」
「あの子には御苑生にあなたという子供があったことを知らせておりません(こ りゃこりゃ過去形にしちゃいかん)。言えばきっと不必要に心を痛め、わたくし たちを責めるでしょう。どうかその事だけは奈々子に・・・」
おかーさん、物腰も言い回しも柔らかいけどよく考えるとやってることも言ってることもなかりろうたけてるよなー(^^; 
おや?「ろうたける」を辞書で引いたところ、「(女性の)上品で美しい」とい う意味もあるそうだ。私はさすが仲居でトラブル対処には百戦錬磨の経験つんで る、というつもりで言ったけど、奈々子ママにはどちらもあてはまるわね。
「言う必要もないでしょう。僕は、奈々子さんにとって青春の一時期に心を打ち明けた友の一人に過ぎません」
すげ〜。突然の来訪だったのに、どうやったらこんな青いセリフがすらすら出てくんの??こんな事があった日には昔を思い返さずにはいられません。

少年・武彦が奈々子の家を覗いていると「奈々子危ないよ、だめだよ。ハッハッ ハッ」なんて言ってる父親の声が聞こえてくる。
『たった半年前まで僕の頭をなで、僕にボールを投げ、僕にトム・ソーヤの本を 手渡し、僕の目の前でパイプの掃除をしていたその手で。ああ、お父さん、もう 僕のものじゃなくなったんだ。来てはいけなかったんだ、そうなんだね、お父さ ん。お父さん』

「父さん・・・」
思わずつぶやく青年・武彦。

感傷を遮って悪いが、半年前まで武彦の母親と暮らしていた御苑生氏、半年後に は奈々子の母親と庭付き一戸建てに暮らしている。とゆーことは武彦やその母親 が住んでいたところに奈々子たちを招きいれた訳ですねえ。原作では奥さんが愛 人を作って武彦と出て行ったという設定だった(アニメでは特にそのエピソード は出てこなかったような気がしますが、これはわざわざ語らなくて正解だったか も)にしても前の奥さんがいた所に住むのってなんかいまいちヤダなあ。
まあ「大学教授の給料がどんなものかは・・・」と武彦が言っていた通りで心機 一転引っ越すお金もなかったのかなー。10年くらい前ならもっと給料少なかっ たはずだし、再婚すぐで庭付き一戸建ての新居、構えられないか。
 
しかし少年・武彦も結構辛い境遇だったんですのう。お父さんのこと好きなのに 母親の愛人と住むのっていや〜よ。しかもかつての家に見知らぬ人々が住んでい る。それでもまっとうな人生つきすすむのは武彦らしいが。
あ、でも学生で行きつけのスナックがあるのはヤだけど・・・(バーというよ りスナックっぽいとこがヤ)。

またも初公開!! 今度はサンジュストさまの部屋。
薫ちんから電話なのにボリボリ薬食いながら居留守使っちゃって。
薫は諦めて公衆電話から出た(雨なのに何故わざわざ出掛けからかけたんだろ・・・)
「んふ、分かってる。今の電話、あなたでしょう。出ませんよ。出るもんですか。 今日私を傷つけたお返しです。ハハハ」
ほんとは薫からなのに、蕗子に仕返ししてるつもりのサンジュストさま。
虚しい・・・虚しすぎ。
包帯からはまだ血が滲んでいる。
血とゆーものはすぐドス黒くなるもんなのにまだ赤いとゆーことは未だ凝固して ないということですよねえ。血がとまらない病気っていろいろあるでしょうけど、 もしかしてサンジュストさま、かなりヤバイ病気持ってんじゃないの?! 
アレとか、アレとか、アレとか・・・

今日のソロリティでの儀式。
「あなたが愛を得る時、それはあなたのやさしさが愛を作り上げたのだと」
「ありがとうございます」
「そして愛は同時に、憎しみと怒りと疑いを生みます。傷つくことを恐れては いけません。もしあなたが傷付いたのならば、あなたも相手を傷つければいい」
え? いくら蕗子でもメンバーズの面前でこんなこと言うの???と思ったら それは奈々子の悪夢でした。
あまりの恐ろしさにキャーーーーッと大声を上げて目が醒めると両親が何事かと 駆けつけた。
「奈々子? 奈々子、どうかしたの」
「奈々子」
「大丈夫。なんでもない。夢・・・夢を見ただけ」
「そうか、うん。もし寝つけなかったら私の書斎に来なさい。私はまだ起きて いるから」
「ありがとう、パパ」
『雨は結局、夜明け前まで降り続けました』
これ、一体何の意味があるセリフなんだろ??と思ってましたが5回目(メルマ ガ書くのにどうしてもそれくらいかかってしまう)くらいでやっと気づきました。 よーするに、夜明け前まで寝られなかったということですね。
すぐ気付いてもいいものを・・・・お恥ずかしい。


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