下津井電鉄編

1.特急 岡山・倉敷−鷲羽山線 

2.特急 岡山−下津井線 

3.直行 倉敷−児島 

4.児島ボート無料急行バス

岡山駅前では、影の薄くなった下津井電鉄であるが、瀬戸大橋が開通する前は、

岡山−児島間に置いて唯一の公共交通機関であり、活況を呈していた。

それでも、意外に知られていなかったのが、「特急バス」の存在である。

この特急バスの特徴としては、都市間を短い時間で結ぶというものではなく、

鷲羽山スカイライン(当時は有料)を経由し、観光色が強いものであった。

その後、瀬戸大橋の開通により、岡山−児島間の輸送が完全に鉄道にシフトしてしまい、

特急どころか、普通便の直通もわずか1日1本程度になってしまった。

専用車が存在したわけでないが、ご覧いただきたい。

(画像をクリックすると、大画像になります)


1ー1.特急 岡山−鷲羽山線

この路線は、天満屋BCを起点に岡山駅BT、県道児島線、鷲羽山スカイラインを経由し、

ノンストップで鷲羽山まで行っていた。1日2往復。停車バス停は行きが、天満屋BC−岡山駅BT−

−パークセンター前−鷲羽山ハイランド前−田ノ浦−鷲羽山(下電ホテル前)−鷲羽山展望台

帰りは同じ経路を経路をたどるものが1本と児島BCを経由するものが1本とあった。児島BC経由

のものは普通便と同じ経路を岡山駅までノンストップで結んでいたと思われる。

3月第2日曜から11月の最終日曜までの日祝運行であった。

1−2.特急 倉敷−鷲羽山線

倉敷からも鷲羽山への特急バスがあり、こちらも1日2往復で、倉敷駅前−船倉町(大原美術館前)と経由し、

天城線、鷲羽山スカイライン経由で運行。帰りは岡山線と同じく、同じ経路のものと児島BC経由のものが存在した。

こちらも、3月第2日曜から11月の最終日曜までの日祝運行であった。

  

N035 K−UA31N 昭和55年式       N034 K−UA31N 昭和55年式 

V136 K−UA31N 昭和56年式

この路線には特に専用車が用意されたわけではないが、下津井電鉄には観光特急にふさわしい

車両が存在したのでご紹介しよう。この車両は、昭和55年に導入された、富士重工3B型で、

リクライニングシートを採用。近距離貸切にもよく使用されていた。N035がオリジナルで、N034だけ、

ライトベゼルの間に飾り帯が無く、「NISSAN DIESEL」のエンブレムが入っている。

V136は昭和56年に導入された「ビデオカー」で、車内はリクライニングシートのほか、ビデオも装備され、

路線バス使用時には、行き先案内がガイド嬢のビデオによって行われ、その間はCMが流れるという

優れものであった。しかし、晩年はビデオをはずされ、普通に使用されている。

S55年式が3両、S56年式が5両導入されている。


2.特急 岡山−下津井線

こんな路線聞いたこと無いぞ!という貴兄が多いことと思う。この路線は、夏季限定、

しかも日曜だけという、いうならば「海水浴特急」である。手元の資料によると、

「ひついしビーチと瀬戸大橋」というフレーズで、瀬戸大橋の島「櫃石島」(当時は瀬戸大橋未完成)

への海水浴客向けの便であった。昭和61年7月12日から8月17日までの運行。

さすがお盆を過ぎるとクラゲが多くなるので、この時期の運行となったようである。ひょっとすると、

この前後の年も運行されていたかもしれない。なお特急は、天満屋BCを8時50分発で、

天満屋から西古松まで各駅に停車し、そこから鷲羽山ハイランドボウル前までノンストップ

鷲羽山ハイランド遊園地前に停車し、下津井へ。そこから船というルートである。

帰りは下津井16時15分発で、同じバス停に停車するというもの。

普通便もあり、これらは、従来の岡山−児島線の既存の便を利用し、児島BCで電車に乗り換え

下津井で船というルートとなる。もちろん、便数は少ないものの、岡山−下津井直通便もあった。

  

N225 K−UA31N 昭和57年式       N227 K−UA31N 昭和57年式

この路線にも特に専用車が用意されたわけではないが「観光特急にふさわしい車両」第二弾をご紹介しよう。

この車両は、昭和57年に導入された、富士重工5B型で内装、使用方法も、前掲した車両と同じである。

ただ、富士重工でのモデルチェンジがあり、スクエアーなボディーの5B型に変更されている。

N225は真中にエバポレーターがあるタイプで、N227は車両後部にエバポがある。

同時期の連番で導入されたのに、どうしてこのような違いか・・・・・・執筆して今思いついたのだが、

ひょっとしたら、エアコンメーカーの違いかもしれない。ちなみにN225は富士重工純正である。

こちらは全車57年式で5台導入されている。


3.直行 倉敷ー児島

瀬戸大橋ブームがひと段落し、観光客が減少気味の児島地区へのてこ入れとして、

また、チボリ公園開園による相乗効果を期待し、児島観光協会の資金提供により、

倉敷ー児島間に直行バスが開設された。専用車が2台用意され、初の倉敷ー児島

直行バスとして注目を浴びた。1日5往復設定されていたが、期待とは裏腹に、

利用客のほうはさっぱりで、ひっそりと消えて行った。ちなみに車両のほうは、貸切転用で

綺麗にイラストが書かれていたため、定期観光として第3の職場で活躍した後、

自家用バスとして売却されてしまった。

  

N665 P−RA53TE 昭和61年式        リアビュー


4.児島ボート無料急行バス

倉敷市の大きな財源である「児島ボート」瀬戸大橋開通以後、着実に「無料送迎バス」を増やしていき、

県内はおろか、福山、松江、米子、四国にもお迎えに上がっている。その中でも下電バスが担当している、

福山便は、高速道路を利用するところから誇らしげに「急行無料バス・児島ボート」と掲げられている。

使用車両は経年車が多いが、いろんな車両が充当され、目を楽しませてくれる。

  

S267 K−MS613改 昭和57年式      E468 P−RA52T 昭和59年式

N838 P−RA53TE 昭和63年式

S267は元倉敷市交通局の車両。N838は元瀬戸高速用の車両である。


下電バスというと、高速バスと言ったイメージがあるが、

結構地味ではあるがこういった路線が存在する、いや、していたのである。

車両もバラエティーにとんでおり、ウォッチングするには面白い会社である。

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