※注意・・・年齢制限アリですので苦手な方はお戻り下さい。

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お熱いのがお好き?



 終わった後、布団を肩まで掛けてやろうとしたら、「あつい」とだるそうな手付きで払われてしまった。
「風邪、引くぞ」
「ひかねーよ」
「いいから羽織ってろ」
「やだよ、あっつい」
「風邪引くってば」
「バカは風邪ひかねーんだよ」
 何故だか威張ってそんなことを言われてしまい、伊角は思わず溜息をついた。
 和谷はそれに気づかない振りをして、布団を押し退けると伊角の身体にぺたりと抱き付く。
「伊角さん、冷たくて気持ちいー」
「……和谷が熱過ぎるんだよ」
 伊角の身体も先程までの行為で充分火照っているのだが、確かに和谷と比べればそれほどでもない。元々の体温が和谷の方が高いからだろうか。そんなことを伊角がぼんやり考えていると、くっついていた和谷がむっくりと起き上がる。かと思うと、そのまま伊角の上に馬乗りになってしまった。
「和谷?」
「伊角さん…」
 にいっと歯を見せて笑いながら、和谷が伊角の首に両手を掛ける。
「だ・れ・がっ、こんなに熱くしたと思ってんだよォ〜〜〜」
 笑顔のまま首を絞められて、伊角は潰れた声を上げた。
「ぐっ、わかったわかった、俺のせいです俺が悪かったっ」
 ロープロープ、と早々にギブアップした伊角の首から、和谷はフンと鼻を鳴らしてから少しばかりつまらなさそうに手を離す。
「べつに、悪いなんて言ってないけどさ」
「え?」
 しかし、伊角の耳に和谷の小さな呟きはハッキリとは届かず、聞き返せば「何でもねえよ!」と逆に怒鳴られてしまった。首を絞められてその上怒られてしまった伊角だが、本人はあまり気にしていなかった。それよりも気になるのは他のことである。
「…和谷」
「なに」
 伊角が難しい顔をしているのに気づいた和谷が首を傾げた。
「伊角さん?」
「えーと……今ので俺もちょっと体温が上がったかも」
「そーかなァ」
 和谷は相変わらず馬乗りの態勢のまま、伊角の胸にぺたぺたと手を這わせている。
「まだ俺のが熱いぜ。ホラ」
 言って、更に伊角の上に裸の胸を合わせた。そのまま、「へへー」と嬉しそうに頬擦りまでしてきたので、伊角は更に複雑な顔になる。
「和谷……そろそろ降りないか」
「重い?」
「いや、重くはないけど」
「したくなっちゃった?」
「……わかってんなら、降りろ」
「やだね」
「わ、」
 和谷、と言いかけた伊角の唇を、上から和谷のそれが塞いだ。同時に絡んできた舌を、伊角は少し迷ってから吸い上げる。やがて和谷が少し息の上がった声で耳元に囁いた。
「このまま、しようぜ」
「…バカ、おまえ、やり過ぎ」
 なんでこんなに元気なんだ。和谷の身体の方が辛いはずなのに。
 今日は特別な日だからと、既に何度も身体を繋げて熱を分け合った。さすがにこれまでの経験からか、伊角には分かる。これ以上やったら和谷は明日多分動けない。
「平気だってば」
「いいから、降りなさい」
「…なんだよ、伊角さんだってこんなになってるくせにさ」
 和谷は上半身を起こすと、後ろ手で伊角のものを探り出した。
「和谷っ」
 そのまま自分の中に挿れようとする和谷を慌ててやめさせようとしたが、間に合わない。伊角は、止められなかった。
 結局のところ、自分だってしたかったからだ。加えて、その瞬間の和谷の表情に見惚れていたのもある。下から見上げるのは初めてかもしれない。苦しげに寄せられる眉根。吐息を漏らす口元。額に浮かぶ汗。いつもとは、どこか違って見える。
「……ん、くっ」
 和谷が苦しそうに息を繋ごうとする、その声に伊角はふと今の状態に気づいて身体を起こそうとした。が、和谷に押さえ付けられる。
「いいの、俺が、動く」
 和谷は挑戦的な笑いを伊角に向けながら、腰を沈めた。
「んっ」
「………」
「な、全部、はいった?」
「…まだ、あと少し」
「くっそォ」
 色気があるんだか無いんだか。そんな和谷に思わず脱力しそうになる伊角だったが、反して伊角のものは大きくなっている。辛そうに自分の中にすべて受け入れようとする和谷の姿は、とても扇情的だったから。
 このままでは、自分も保ちそうにない。
 伊角はゆっくりと上半身を起こした。和谷が呻いて仰け反る。その背を支えてやると、和谷はそのまま伊角の胸に持たれかかり、溜息のような吐息を吐いた。
「大丈夫か?」
「……俺が、全部やるって言ったのに」
 不満そうに尖らせた唇に、伊角は軽くキスを贈る。宥めるように何度も繰り返してから、次第にそれは深いものになっていく。
「我慢できなかったんだ」
 そう言いながら、何度も唇を合わせて舌を強く吸えば、やがて繋がったままのところに何度目かの熱が生まれる。
「熱い……」
「和谷だって、熱いよ」
「だからそれは伊角さんのせいだって」
「俺が熱いのも、和谷のせいだよ」
「……そっか」
 和谷が嬉しそうに笑った。伊角はそれに目を細めながらも、少しだけ意地悪そうに囁いてみる。
「熱いのは、嫌なんじゃなかったか?」
 一瞬、何のことか分からなかったようだが、すぐに思い出したらしい。和谷がにやりと笑った。つい先程とは少し違う笑い方だ。

「熱い布団は嫌いだけど、熱い伊角さんは大好きだぜ」

 やられた。見事に返されてしまった。
 伊角は苦笑いしながら、緩く腰を揺する。それに合わせて和谷が甘い声を上げてしがみ付いてくる。
「明日、立てなくなってもいいか?」
「いいぜ。伊角さんが、自分の誕生日なのに、一日中俺の看病してくれるってんなら」
「それも、最高のプレゼントだよ」
 伊角はそのままの態勢で和谷を押し倒して、その上に覆い被さった。





fin.

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