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続・リボンの気持ちは? |
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――独り占めは今日だけっスよ 部室から出ようとしていた不二は、リョーマの言葉に足を止めた。 「独り占めって……いいの? 僕が手塚を独り占めしちゃって」 訊ねる不二に、リョーマが唇を尖らせて答える。 「だから、今日だけっスよ。先輩、誕生日だし」 「……もしかしてリョーマくん、今日うちに来ないつもりなの?」 「行かないっス」 「ホントに?」 「……部長とふたりきりの方が、嬉しいでしょ?」 そう言って、リョーマは俯いてしまった。 そのまま再びスーツケースを押し運ぼうとするリョーマの手を、不二がそっと止める。 「不二先輩?」 「…リョーマくんは、」 顔を上げたリョーマの瞳をじっと見つめて、不二が言う。 「僕が、リョーマくんに寂しい思いをさせて喜ぶなんて、本気で思ってるの?」 「………」 「おバカさんだね、君は」 「だって……」 呆れたように溜息を吐く不二に、リョーマが再び口を尖らせる。 「だって、今日は先輩の誕生日なんだし……」 「そうだよ。僕の誕生日だよ。だから、」 リョーマくんも一緒に、祝ってくれなくちゃ…… 「先輩!」 優しく微笑む不二の首に、リョーマが勢いよく抱きついた。 もちろんそれをしっかりと受け止めた不二が、リョーマの背中を優しく撫でる。 「オレも一緒に祝っていいの?」 「当たり前でしょう? そのつもりで姉さんに特大のケーキを焼いてって頼んであるんだよ」 「…ケーキ……」 「イチゴと生クリームのね。リョーマくん、好きでしょ?」 「………」 こくりと頷くリョーマに、不二がふふと笑う。 「僕が食べさせてあげるよ」 「……逆じゃん。誕生日なんだから、オレが先輩に食べさせてあげなきゃ」 「リョーマくんが? そのお口で?」 「……いいっスよ」 「ふふ。じゃ、予行練習ね」 「ん」 しがみ付いていたリョーマの顎を上向かせ、不二がそっとリョーマに口付ける。 「ふ……」 舌を絡めて、吸い上げて、存分に味わってから、ゆっくりと唇を離した。とろん、と瞳を潤ませたリョーマが、ふじせんぱい、と舌足らずに呟く。 「誕生日、おめでと…」 「―――ありがとう」 目を合わせ、微笑み合い、ふたりはもう一度深いキスを交わしたのだった。 ちなみにここは紛れもなく、間違いなく、何がどうしたってテニス部の部室であるわけで。 不二とリョーマに唯一の出入り口(脱出口)を塞がれてしまった不幸な大石他数名の部員達は、ただひたすら二人のラブシーンが早く終わってくれるよう、せめてここで押し倒すのだけはやめてくれ…!と悲鳴のような祈りを捧げながら、息を殺し身動きもせず、部室の壁やロッカーとの一体化に努めるしかなかった。 唯一、恐らく意識を取り戻したのであろう手塚が入っているスーツケースだけが、ガタガタと震えるように揺れていた…… |
fin. |
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written by あいりん |