もっとがんばりましょう


 散々精力を吸い取られ、漸く眠りについたのはいつだったのか。夢の中にまで追いかけてくる、ハニーズの追跡を振り切れる筈もなく、手塚は悪夢に飛び起きた。もちろん全身は汗でびっしょりである。
「手塚どうしたの?」
 心配そうな声に振り返れば、自分の左隣に寝ていた不二が半分だけ身体を起こして、こちらを見てる。すっかり露わになっている白い胸には赤い跡。でもそれは手塚がつけたものではない。
「なんかあったんすか?」
 そしてこちらは寝ぼけた様な声で、右隣に寝ていたリョーマが訊いてくる。そちらを見ると、不二よりも少し浅黒い肌がよく見えて、やはり同じ様な所に赤い跡があった。因みにそれも手塚がつけたものではない。
 昨夜、ふたりで絡み合っている時にお互いにつけあっていた跡だった。ちょっとそれを見て、手塚も興奮してしまったものだから、なんとなく居たたまれない気分になる。
「手塚?」
「部長?」
「悪い、起こしたみたいだな」
「別にそれはいいけど…すごく汗かいてるね。拭いてあげようか?」
「いや、いい」
 と言った側から、不二がタオルを手にいそいそと手塚の身体を拭き始める。因みにリョーマもそれをただ見ているだけのではなく、同じ様にタオルを手にしていた。
「自分でやるから…」
「そんなこと言わないで、ねぇ越前くん」
「そうっすよ、部長。俺と不二先輩に任せて。サービスするから」
 サービスっていったいと手塚は思ったが、既に彼に口を挟む権利はないようだった。ふたりはいそいそと手を動かしている。
 そのうちに危ない所にまで手が伸びてきた。
「そこはいい!」
「え〜どうして?」
「先輩、部長は口で綺麗にされたいのかも?」
「あ!そうだね〜それじゃ、どっちがしてあげようか〜」
「そんなことしなくていい!」
 手塚は思わず叫ぶと3人で寝ていたベッドから飛び起きた。そして慌てて自分の衣服をかき集める。
「何、その態度?」
「なんか俺たちが、部長のこと犯してるみたいっすよね?これじゃ…」
『みたいじゃなくて、そうだろう!』
 と手塚はふたりの言葉を聞きながら、心の中で叫んだ。いつだって、手塚の心は無視して乗っかってくる癖に!と思ったけれど、さすがにそれは言わなかった。既に最近ではこんな関係が当たり前になってしまっているし、今更止めようとして止められないものだとも思っている。そういう意味では手塚も、すっかり頭が犯されていた。
「…昨日は僕たちふたりを相手に散々楽しんだのにね〜」
「そっすよね〜」
「でも相変わらず下手たけど…」
「それは今更」
 ふたりはそう言うと見つめ合いながら、くすりと笑う。
「下手で悪かったな!」
「あ、開き直った〜」
「怒るのなら満足させてよ、部長」
「そうだよ、僕たちを満足させてから言いなよ、手塚!」
 更にそんなこと言われて手塚はうなだれる。
 手塚国光14才。
 まだえっちが下手でも許される年齢であるとは、ハニーズは思わないらしい。
 果たして、彼がふたりを満足させる日は来るのか!
 それは不明だった。


fin.

written by もーりん
2006.10.29 『がんばりましょう』から改題

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