この物語は青春学園中等部学男子硬式庭球部部長手塚国光14歳(推定28歳/笑)の、一癖どころか4癖5癖もある部下・・・いや部員を率いる苦悩の物語である。
その日、委員会ですっかり遅くなった手塚は部室へと急いだ。中間管理職のごときフォロー魔の副部長の大石がいるので安心はしているのだが、やはり、部長の自分が遅くなっては示しがつなかい。何より青学テニス部のレギュラーはあくが強すぎるのだ。
部室の裏手から表に回ろうとしたとき、中から喋り声が聞こえてきた。
声からして部室にいるのは同じ学年の不二と、ルーキーの越前のようだ。それ自体は別段問題はない。二人とも部員なので部室にいるのは当然である。最も部が始まってる時間ではあるが。
(もう部活は始まってるんだぞ。校庭10周、いや、20周か)
そう考えながらドアの方に回りこもうとする。だが、聞こえてきた越前の何やら悩ましい(笑)声と、何処か嬉しそうな不二の声。
「ん…っ……まって、不二せんぱ…いた…っ」
「じっとして。動くと余計に深く入るよ」
「でも……った…」
「ほら、じっとしないから〜♪」
(何をしてるんだ?)
思わず、部室の窓に近づく。カーテンがかかっていて中を窺い知ることはできない。
手塚にとって不二は同学年であるが、にっこり笑っていながらその実何を考えてるかわからない性格はかなり苦手な部類に入る。蛇足ではあるが、はたから見れば始終眉間に皺を寄せて鉄面皮の手塚も、部員から十分苦手にされてることは幸せなことに本人は気付いてない。一方、一年ながらレギュラーに選ばれた越前は、生意気なのだそこがまた可愛いやつとかなり気に入ってる。
「う〜〜〜っ、だって痛い…よ」
「まぶた切った時だって痛がってなかったじゃない?」
「あれとこれは違う。これ…すごく痛い!」
「ん、自業自得だよ。何で…」
「あ〜〜〜、不二〜にゃ〜にやってんの〜俺のおちびちゃんにぃ〜〜」
ドアの音と共に入ってきたのは声からして同学年の菊丸だった。手塚にとって菊丸は、性格がネコのようで予測不可能な言動と行動をするので、不二同様苦手な部類に入っていた。
「何時君のものになったのさ!」
「あ〜〜痛いっ!! 深く入った〜!!」
「涙目になってるおちび可愛い〜〜〜」
「うう〜〜〜、菊丸せ〜ん〜ぱ〜い〜!」
「英二〜、邪魔だよ」
「う?だって、二人で何してるのか気になったんだも〜ん。にゃるほどね〜〜。あ、俺も抜いてあげる」
「いりません」
「にゃんで、不二だけ〜!」
「だって僕得意だもん。しょっちゅう抜いてるしね」
(なにを?)
と突っ込みをいれる手塚。
「ほら、後もう少しだから、我慢して。ねっ」
「ん。」
「だから俺もやってあげるって」
「あ、二人一緒なんて駄目〜!!」
「大丈夫〜大〜丈夫〜」
(何が大丈夫なんだ!二人がかりで抜くだと!! 何て羨ましい〜〜)
手塚は思わずに壁にへばりつき、見えないとは分かっていながらもガラスに顔を押し付けていた。
「何が〜〜っ……あ…っ…いた…っ」
「ん〜いい声〜。こっちも〜っと。役得、役得」
「英二〜、君は向こうにいってなよ〜。これは僕の得意分野なんだから」
「一人じめは駄目にゃ〜」
「も…っ……ど〜でもいいから早く抜いて〜〜!!」
(俺も混ぜろ〜!……って、ち、違う〜〜俺は何をいってるんだ〜〜!!)
遂に我慢できなくなった手塚は前に回りこむと、勢いよくドアを開けた。
「神聖な部室で何をやっている〜〜〜っ!!」
「神聖な部室?」
「は?」
「うにゅ?」
手塚の目に映ったのは、三人の悩ましい姿――では勿論なくて、そこには右手を不二に左手を英二にとられ、ピンセットで両手にささったサボテンの針を取ってもらっているリョーマだった。三対の目が不思議そうにはいってきた手塚に集中する。
その中で立ち直りの早かったのはやはり天才と言われた不二周助。
「何考えたのかな〜〜て・づ・か♪。僕はただ、寝ぼけていた越前君が転んで両手をついた時、たまたまそこにあったサボテンの針が〜たまたまささったのを〜たまたまとってあげていただけなんだけど〜」
相手の弱点をつくことにかけてはピカ一の不二である。この時手塚が何を勘違いしたか把握し、虚をつかれている内に瞬く間に重箱の隅をつつくように攻撃を仕掛ける。
「お前ら〜校庭30周だ〜〜〜〜っっ!!」
ますます混乱した手塚は伝家の宝刀を持ち出していた。だが、当然納得できない3人からブーイングが入る。
「にゃんで〜〜〜!!そんなのおーぼーだ〜〜!!」
「手塚、自分の勘違いを人の所為にしちゃ駄目だよ」
「何で走らなきゃならないんっすか?納得できないっす!」
「校庭50周〜〜っ!!」
問答無用で、二度目の伝家の宝刀炸裂。結局3人は渋々走り出す。
「もう、サボテンの針刺さるし、校庭は走らなきゃならないし、最低〜!」
「全くなんで俺まで〜〜」
2人は文句を言いつつ走り出したが、不二は、後ろを振り返ると、開眼バージョンで手塚に薄く微笑んだ。その瞳ははっきりと語っている。後で覚えておきなよねv♪と。
手塚国光自称14歳(推定28、いや35歳かもしれない)管理職としての彼の苦悩は始まったばかりである。
fin.
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というわけで若き手塚国光の悩みでした(笑)
若いんですよね部長!一応14才だし!!(一応らしい)
苦悩だらけの14才ですけどリョーマさんが一緒なら良いですよねv
え?これって塚リョでしょ??(笑)
チビくん、どうもありがとでしたv
2001.11.12
