歴史
アジロス単神教教会は今では「アーカットの暗黒帝国」として知られる暗黒同盟の公教であった。その教えは、かつて、帝国の栄光の日々にアジロスのアーカットによって彼の信奉者へと伝えられた。時には、それはまたアーカットのカルトとも呼ばれている。
アーカットの死後、邪悪なる神智者が帝国に対して謀略を巡らして滅ぼしてしまうまで、アーカットの一族が教会を導き続けた。そうした時代、彼らの従う教条は神智者がみずからを滅ぼすその時まで、アジロス伯の心と魂の中に隠されていた。
アーカットの末裔として、また彼の暗黒帝国の正当な後継者として、アジロス伯は今日まで信仰を導き続けている。
神学
世界にはただ一柱、至高の神格が存在し、それは見えざる神である。その神聖なる加護の下に他の多くの神や聖人があり、彼らはその守護や援助から崇拝すべき存在である。
領主の許可があるならば、動物や非人間への《切開》行為は許されている。《切開》行為は愛とは何の関連もない。《切開》は見えざる神がその創造に費やした大いなる力を賛える、聖なる儀式である。
我々は四つのカースト、農夫、戦士、司祭、領主の各階級の存在を信じている。あらゆる者はこれらの内の一つに生まれてくるが、自身の価値さえ証明できるならば、カーストを変える自由が与えられている。
見えざる神の敵は悪魔であり、それはまた"欺くもの"グバージ、暴君などとも呼ばれる。悪魔は混沌の神と悪霊からなる魔軍を率いている。混沌は邪悪であり、見えざる神への信仰を破壊しようと、常に戦いを仕掛けてくる。混沌がいかなる姿をしようとも、あらゆる好機を見つけて戦わねばならない。
生涯における女性の役割は、男性の役割とは異なるものである。だが両者は、その精神において平等である。女性の役割は生命を与える者、育む者のそれであり、男性の役割は守る者、与える者のそれである。創造の善のためには両者が協調して働く事が必要である。
位階
我々の教会の指導者はアジロス伯爵であり、彼は"救世主"アーカットの血を引く者である。彼は司教と修道院長に対する叙任権と、彼らの行動が教会の利益に反する場合、彼らを罷免する権利を有している。
教会の指導者だけは特別に、二年に一度開催される質疑と謎掛けの競技会において、その知識、経験、精神的な資質を試され、この職に選ばれる。
重要な聖人
アーカット
彼は数世代の間大陸の三分の二の地域を戦乱の渦に巻き込んだ戦いにおいて、"欺くもの"グバージを打ち破った。彼はその後、人間、エルフ、トロウルが共に平和のうちに協力する暗黒同盟を打ち建てた。
彼は死の後、創造主の右の座へと昇っていった。ある日、我々のもっとも暗き時に、彼は帰還を果たすのである。
マルキオン
マルキオンは至高の神の言葉を人々にもたらし、大暗黒の中で生きのこる術を示した。彼は各氏族の人々の務めがどのように分かれるのかを説いた。すなわち、農夫、戦士、魔術師、領主である。
オーランス
オーランスは聖なる七柱を導いて、混沌の軍勢と戦い、世界を再創造した。彼の行動は大暗黒に終わりをもたらし、時の始まりを導いた。
聖パズラック
暗黒同盟最後の専制君主にして、ジルステラの侵略に対して戦った勇敢なる守護者。彼は暗黒帝国を救おうとして殺された。我々は彼を、そうあるべきであるという理想の支配者として、あらゆる面において理想像として記憶している。
聖フレストル
フレストルは、マルキオンの法に対するブリソス人の厳格な法解釈が、過ちであることを説いている。彼の行動と究極的な自己犠牲は、あらゆる者が自己の価値を証明すれば、みずからのカーストを変えることができるということをあらわしている。彼はまた、名誉と騎士道の概念を説いたことでも知られている。
光り持ち帰りし者たち、聖なる七柱
彼らはオーランスの世界を再創造するための探索において、彼に付き従った六柱の神々である。彼らは再創造のためにその力を貸し、その助力によって崇拝されている。六柱の神々とはチャラーナ・アローイ、黄金の舌、ランカー・マイ、トリックスター、ギーナ・ジャー、フマクトである。
他の教派に対する態度
ロカール派
この教会は創造主の自由に背を向け、ブリソス派の硬直的なカーストへと立ち戻ってしまった。彼らは神々と混沌の軍勢の存在を認めていない。この教会の要職にある者の間に混沌が徐々に浸透しているため、彼らは危険な存在である。
フレストル派
この教会はカースト間の移動を受け入れていることからもわかる様に啓蒙的である。しかしながら西方の他の教会すべての例にもれず、アーカットの教えと他の神々を忘れてしまっている。
暗黒の神々
暗黒の神々は完全に混沌ではないものの、完全な神性を備えているわけでもない神々の一団である。その崇拝者は大暗黒の最中、マルキオンの言葉に耳を傾けなかった人間たちのなれの果てである。彼らは人間の暗黒面であり、混沌と戦うことで容易に混沌へと転じてしまう。
ボリスト派
ボリスト派は混沌の生物を《切開》することで、混沌を崇拝する邪悪な教派である。すべての混沌は邪悪である。
本テキストはNick Brooke氏、David Hall氏が作成した作品を、両氏からの許可を得て木村 圭祐(しーちゃん)が翻訳したものです。
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