“混沌の殺戮者”アーカット

    - Arkat Chaosbane -

copyright 1997, Nicholas Effingham
翻訳・編集(c) 木村 圭祐/'たびのまどうし'しーちゃん ,1999 [1999.12.31].



Simon Phippsに助力、アイデア、呪文を提供して頂いた。


神話と歴史

  “混沌の殺戮者”アーカットは西方の出身であり、知恵によって歩み、神聖なる種族の通常の働きを超越した古の隠者神、“古き男”の使徒であった。この神は他の神を装い、神代にカージョルク、ワクボスを殺したのである。グバージは悪魔の精神である。ところが他の2つの破片、カジャボールとワクボスが神代に殺された一方で、グバージは忘れられ、イーヒルムが彼を再び目覚めさせるまで眠りつづけていたのである。古き男はグバージが活動するのを目にし、人々の助けとなるため、“蜘蛛女”のヴェールを超えて彼の息子を送り込んだ。   アーカットはその神聖なる権利を行使し、世界中から軍勢を集め、その中には南の大陸の者たちの姿さえあった。彼は混沌のグバージの破壊にその身を捧げ、力を手に入れるために何度もヒーロークエストを行った。彼はドラストールへと侵攻し、グバージの仮面であるドゥ・ワルゴンを殺した。そして仲間を伴って、邪悪なるグバージとその王国を打ち倒した。その後アーカットは、世界をこうした悪魔の他の残滓から守るため、全能の帝国を打ち建てたのである。

  帝国はしかし、宇宙の愚かな者たちによって破壊された。第2期の余波の中で苦難にさらされたものの、5世紀に渡り身を潜めていたアーカットの真の信者たちは、なんとか一丸となって彼らのカルトである“混沌の殺戮者”アーカットのカルトを作り上げた。

  カルトはラルザカークをグバージの別の仮面と見なしており、再興を非常に懸念している。

  彼は「法」と「人」のルーンに関連している。


カルトの生態

  “混沌の殺戮者”アーカットは宇宙の免疫構造の象徴であり、古の男(またの名を定命の祖父)の化身である。彼の宇宙における役割とは、外なる虚無から染み込んでくるあらゆる形態の混沌を破壊することにある。ラリオスでは、このカルトは混沌を憎む者たちが皆集まる、軍事的な宗派として機能している。しかしながらカルトは、(他のアーカットの宗派がその正気を疑われているのとは異なり)人間社会に対しては危険な存在と見なされていない。アーカットは他の単神教会と共に信仰されており、オーランス人やトロウルの勢力範囲内もしくはその周辺でも少数ながら崇拝されている。“混沌の殺戮者”アーカットは“黒き”アーカットの1形態と考えられており、多くのトロウルがゾラーク・ゾラーン、そして/または“大王トロウル”アーカットと共に彼を信仰している。

  彼の聖祝日は「安定の週」、「凍の日」であり、大聖祝日は「嵐の季」(オトコリオン)もしくは「闇の季」(その他の地域)の聖祝日である。


世界におけるカルト

  “混沌の殺戮者”アーカットはラリオスでのみ信仰されており、主としてフェルスター湖の周辺や限られたトロウルの勢力地域(すなわちグーハン、ハリキーヴ。またダゴーリ・インカースにも寺院は存在する)。ドラストールのアーカットの最後の塔に小寺院が存在しているのは明らかであり、そこではルナーと友に活動している。彼は極めて広く信仰されており、人々は誇らしげに彼のルーンを身に付けている。単神教会は通常彼のカルトを支持しており、時には彼のカルトの私兵を対混沌用の傭兵として雇うこともある。

  カルトはあらゆる形態の混沌のカルトに対して敵対的反応を示し、暗黒面に堕ちたすべての啓発者を狩る。他のアーカットの宗派との関係は、“開放者”アーカット、“黒き”アーカットとはよく協力するするが、“破壊者”アーカットは混沌であり、“欺くもの”アーカットは過ちであると、公然と非難している。カルトはカイガー・リートール、ゾラーク・ゾラーン、ストーム・ブル、フマクトのカルトと繋がりがある。ラリオスのコバクルーン派はこの宗派に繋がりがある。トロウルに対する憎悪の深い地域、主にオーランスの影響のある地域では、公との関係を重視し、トロウルとの関係は無視される。

  カルトは軍事的な形式で組織されている。その寺院は通常熱狂的な、そしてしばしば正気を失った司祭が支配している。カルトの中心というべき場所は存在しない。


入信者

  “混沌の殺戮者”アーカットのカルトに加わるためには、候補者は“混沌の殺戮者”アーカットに1ポイントのPOWを捧げねばならない。このPOWは聖アーカットをみずからの守護聖人として獲得するために消費したPOWと見なすことができる。候補者はまた以下の6種類の技能のうち、4つの技能のロールに成功せねばならない:〈(任意の)アート〉〈(任意の)呪文〉〈(任意の武器)攻撃〉〈(任意の武器)受け〉〈浄化〉〈混沌知識〉。   入信者はみずからの時間と収入の10%をカルトに捧げねばならない。その見返りとして、入信者は〈強度〉〈剣攻撃〉〈剣受け〉〈混沌知識〉〈浄化〉〈カルト魔道呪文〉の技能の訓練を無料で受けることができる。入信者は混沌を殺すことから逃げてはならないが、彼らを倒す計画を練り直すために一時退却することは許されている。彼らは直属の司祭に混沌の活動をもらさず報告せねばならない。

  カルトはあらゆる入信者にカルト魔道を教え、さらに入信者は通常にはない誓願を立てることができる。カルトはまた、聖祝日ごとに1つづつ啓発の謎かけを教授する。このカルトに加わることのより大きな特典は、彼らがカイガー・リートール、ゾラーク・ゾラーン、ストーム・ブル、そして/またはフマクトのカルトにも加わることができる、ということである。彼らは入信の試験に合格する限り、これらのカルトすべてに加わることができるのである。彼らは(たとえば制約のような)カルトの制限を破った場合には復讐の精霊によって通常通り攻撃されるものの、複数のカルトに参加したという理由でカルトを破門される恐れはまったくない。これは啓発ではない。疑念をもたれることを避けるために、これらのカルトへの入信儀式は“混沌の殺戮者”アーカットの信徒でもあるそのカルトの司祭によって秘密裏に執り行われるのが普通である。ルーン・レベルへの就任もまた秘密裏に実行され、それによって1人のキャラクターが死の王でありながら雄牛の騎士/ストーム・カーンでもありえるのである。カルトはまた、入信者をカルトの私兵としてまあまあの条件で雇ってくれる。

カルト魔道:〈誘引(被害)〉〈祝福(剣、斧、モール)〉〈エレメンタル増幅〉〈増幅(STR、CON、SIZ、DEX、攻撃分野、受け分野、魔術分野、知識分野)〉〈呪文返し〉〈混沌呪詛〉〈混沌からの守護〉〈馳せ足〉〈混沌痛撃〉〈耐(すべて)〉〈神性呪文感知〉〈混沌隔離〉


司祭

  司祭となるためには、候補者は少なくとも50人の信徒の在籍する寺院を率いていることが要求される。候補者完全に啓発されておらねばならず、就任に際してナイサロールの謎かけができるようになる。彼らはすでに5ポイントのPOWを捧げ、“混沌の殺戮者”アーカットをみずからの守護聖人として獲得していなくてはならない。しばしば、彼らはフマクト、ストーム・ブル、ゾラーク・ゾラーン、カイガー・リートールのカルトのルーン・レベルでもある。

  司祭はみずからの寺院を運営、維持するため時間と収入の90%を捧げる必要がある。彼らはすべての啓発者が暗黒面に落ちていないかどうか確認するための試験を行わねばならない。単独でいる信徒や、みずから進んで職を辞した司祭たちがカルトの司祭の忠誠心を確認することで、カルトの規律を維持している。


“混沌の殺戮者”アーカットの祝福

  これは聖人の力のように働く。ToTRM#13のP.14を参照するかここをクリックして詳細を確認すること。“混沌の殺戮者”アーカットを守護聖人として獲得するためには5ポイントのPOWが必要となる。アーカットに対する嘆願がなされると、周囲100mの範囲に存在するすべての混沌の生物と混沌の汚れを帯びている生物は、炎のような赤い光を発して輝く。この効果は夜明けまで持続する。〈視力〉ロールに成功すれば、約50m離れた位置からでもこの輝きを見ることができる。


“混沌の殺戮者”アーカット特殊魔道呪文

《混沌呪詛》 Curse Chaos
遠隔、持続
  この呪文は混沌の汚れを帯びている存在にのみ効果を発揮する。呪文を投射した際、術者は自身のMPで標的のMPを打ち破らねばならない。呪文の持続時間中、混沌の獣の技能成功率は呪文の〈強度〉1につき5%づつ引き下げられる。非混沌生物に対して呪文を投射した場合でも、術者は呪文が働いていることを感じるので、この呪文を用いて標的が混沌の生物かどうかを見分けることはできない。

《混沌からの守護》 Guard from Chaos
接触(ただし〈距離〉は必要)
  この呪文は《防御円》と同様に機能する。混沌の生物が侵入しようとした場合、自身のPOWで呪文の〈強度〉と抵抗ロールを行い打ち勝たねばならない。失敗した場合、円が取り除かれるまで再び試みることはできない。この呪文はまた混沌の精霊に対しても効果を発揮する。呪文はいかなる身体的ダメージも損害も発生させることはなく、単にその境界線を生物が通過することを阻止するだけである。

《混沌痛撃》 Hurt Chaos
遠隔、瞬間
  この呪文は混沌の生物、すなわちブルーやウォクタパスといった生物にのみ効果を発揮し、単に混沌を崇拝しているだけの者には効果を発揮しない。呪文を投射した際、術者は自身のMPで標的のMPを打ち破らねばならない。もし打ち破ることができれば、標的は呪文の〈強度〉1ポイントにつき、トータルHPに1ポイントのダメージを受ける。

《混沌隔離》 Ward Chaos
遠隔、持続:特殊
  この呪文は混沌の生物、すなわちブルーやヴァンパイア、フィーンドといった生物にのみ効果を発揮する。呪文が投射されると、対象の生物は1D(強度)戦闘ラウンドの間、攻撃的な行動をとることはできない。生物は〈回避〉や〈受け〉を行うことはできるが、攻撃型の呪を投射したり、武器で攻撃したりすることはできない。1度呪文を投射すると、対象となった生物のPOWに等しい日数(POWの無い生物の場合でも最低1日)の間、同じ生物に対してこの呪文を投射することはできない。この呪文は抵抗することができず、あらゆる混沌に効果がある(もっとも神的存在はGMの決定すべき事項である)。

またカルトは様々な種類の混沌の生物(そのうち幾つかは明らかである)に対する《制圧》呪文を教える。


アーカット派の誓願

(Sandy Petersenの魔道ルールに用いる)

啓発 Illumination
この誓願は「知識の通暁」の誓願の様に機能する。魔道士は〈啓発〉10%につき1プレゼンスを得る。

献身 Devotion (1)
アーカット信徒は神秘的なアーカットは儀式に時間を捧げねばならない。少なくとも週に1日は選んだ寺院に参加せねばならず、これにより長距離の旅行や長期の冒険は妨げられる。その1日は儀式に費やさねばならない。

混沌生物殺害 Kill 1 Chaos Beast a Week (2)
アーカット信徒は少なくとも1週間に1体の混沌の生物を殺すか、その死のための計画を立てねばならない。




  本テキストはNicholas Effingham氏が作成した作品を、両氏からの許可を得て木村 圭祐(しーちゃん)が翻訳したものです。
  原文作品の著作権は原著者に、翻訳作品の著作権は原著者と翻訳者に帰属します。営利目的、非合法な目的、反社会的な目的での利用でない場合にかぎり、自由に使用、複製を許可します。ただし複製に当たっては本テキスト冒頭の版権表示(原文および翻訳文)を必ず含めるようにしてください。他の媒体への流通には著作権者の許可が必要です。
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