“偉大なる”アーカット

    - Great Arkat -

copyright 1997, Nicholas Effingham
翻訳・編集(c) 木村 圭祐/'たびのまどうし'しーちゃん ,2000[2000.01.07].



Simon Phippsに助力、アイデア、呪文を提供して頂いた。


神話と歴史

  「彼の力こそ彼が支配する権利であり、彼の知恵こそ彼の道具である」と“偉大なる”アーカットの聖書に記された、“偉大なる”アーカットはラリオスの地の支配者として現れた。彼は邪悪なるグバージを打ち倒した後、諸国の領有権を主張し、それらを統一した。支配は人間やエルフと同様トロウルにも及んだ。彼の支配に立ち向かうものは何者もなく、それゆえこの時代は平和の時代であり、彼の知恵はあらゆるものによって認められていた。彼があらゆるものを死よりもむごい運命から救ったため、大いなる皇帝からも感謝が贈られ彼の寺院には敬意が払われた。暗黒帝国の時代、世界はもっとも偉大な帝国を目にし、人々は最も調和に満ちた帝国の姿を想像した。彼が神の位へと登り、天上の部族に加えられて神性を獲得した後、彼はその血を引くもの支配者として後に残していた。すなわちウズウズと人間である。そして後にはパズラックによって根絶やしにされることになる、その半身を暗黒に置く人間の種族も加えられた。帝国は栄光に満ちていたが、アーカットの導きの手なくしては、西からきた侵略者に太刀打ちできなかった。彼らこそ大いなる魔術を手に現れた、中部海洋帝国である。彼らは破壊し、略奪し、漁り、秘密と魔術とを奪って“偉大なる”アーカットのカルトを破壊し、その司祭たち、すなわち暗黒帝国の皇帝たちを打ち倒したのである。

  帝国が死を迎えた後、極わずかな、熱心な領主階級と魔術師階級の者たちは自分たちの知っている古の秘密と魔術を集めた。彼らは自分たちの指導者の帰還にラリオスを備えさせる事を目的としてその時間を費やし、集めた知識と魔術から古の方法を編み出したのである。アーカットが帰還し、彼の失われた玉座を再び要求し、偉大なる暗黒帝国を再び統治し始める日が間近に迫っていることを、あらゆる信徒は確信しているかのごとく知っているのである。

  “偉大なる”アーカットは「暗黒」、「支配」のルーンと関連がある。


カルトの生態

  “偉大なる”アーカットのカルトは、間近に迫ったアーカットの帰還にラリオスの人々を備えさせるために存在している(そして彼らは何世紀もの間それに備えてきた)。カルトは暗黒帝国の教義を受け入れさせ、最良の形でアーカットに仕える様に準備を施している。カルトはその構成員すべてが帝国において救われることを約束し、奉仕者としてではなく支配者の一員として生きる権利を保障されている。カルトがその存在意義だけではなく、その結社的な形態からカルトの者たちは他の構成員を大いに賞賛し、こわれれば喜んで助け合うことによって存在を享受してきたのである。

  “偉大なる”アーカット派はアーカット派の他の教派に対して極めて寛大であり、この教派と他の教派との同時信仰は一般によく受け入れられており、聖アーカット、“混沌の殺戮者”アーカットとの同時入信がもっとも多い。その信仰指導者同士の結びつきから、カルトはその地域の指導的立場にあるカルト、例えばカイガー・リートールやイーヒルムといったカルトの大半と良好な関係にある。“偉大なる”アーカットのカルトは、混沌や安定を損なう類の要素に対して一般的嫌悪は有しているものの、ほとんど敵を持たない。

  カルトの聖祝日は「調和の週」「神の日」、「闇の季」の聖祝日が大聖祝日である。


世界におけるカルト

  カルトはセイフェルスター中、およびオトコリオンに接する西部地域で信仰されている。フェルスター地域ではカルトは寛大に扱われ、一部の地域ではその一員となることが奨励されている。カルトの政治的勢力と神殿の主要な神との宗教的な結びつきが、地域での安定した立場をもたらし、教会や都市の有力者の多くがカルトの構成員となっている。こうした者たちの地位はカルトとその宗教的な結びつきによるものが多い。 カルトは教会と同様、カースト構造に従って組織されている。マルキオン教教会はすべてがカースト形態に組織されているので、信徒が属しているカーストはその者が“偉大なる”アーカットのカルトで属しているカーストと同じカーストである。もしあるものがみずからの教会でカースト移動を望むのであれば、その者は“偉大なる”アーカットのカルトにおいてみずからが使える領主階級の者に許しを得なくてはならない。一部の地域では“偉大なる”アーカットのカルトは教会とともにではなく単独で信仰されている。彼らはそうした状況が暗黒帝国の純粋性を取り戻す一助となっていると主張している。カルトはその領主階級によって導かれている。

  カルトは主として人間によって信仰されている。トロウルは操るべき道具以外の存在であるカルトに時間をほとんど、ないし全くさかないのである。


構成員

  “偉大なる”アーカットの一員となるためには、将来の入信者はカーストに応じた少なくとも1種類の技能に精通しておらねばならず、その技能を実演し、全体として暗黒帝国の到来とカルトにとって価値ある者であることを示さねばならない。候補者は既存の入信者から紹介を受ける必要があり、通常それは受け入れられる。その後彼らは1ポイントのPOWを捧げねばならない。あらゆる信徒は聖祝日の儀式に参加し、他の助力を必要としている入信者を助け、収入の30%をカルトに捧げねばならない。彼らは“偉大なる”アーカットのカルトの領主階級から、要請を受けた場合には可能な限り(このような状況下では、「割に合わない」という言葉は存在しない)それに答えることが期待される。その見返りとして、必要であれば信徒は他の信徒からの助力を受けることになるだろう。カルトは魔術師階級の者に魔道を教授するが、教授される呪文はどのような魔道士が寺院に勤めているかによって異なる。魔術師階級のものはみな神性呪文を再使用可で獲得することができるが、彼らが得ることができるのは友好カルトから得られる呪文だけである(以下を参照)。他の者は一回限りで神性呪文を獲得することができる。


友好カルト

  カルトが得ることのできる魔術は、このカルトが暗黒帝国の時代に支配していたラリオス地域の、他の指導的立場のカルトから提供されたものだけである。時には“偉大なる”アーカットの信徒が友好カルトの構成員である場合もあるが、必ずしもそうである訳ではない。時にはこのカルトの信徒が友好カルトのルーン・レベルの地位にある場合もある。

アルドリア
  エルフたちは暗黒帝国の時代に強制的にこのカルトの軍旗の下に参加することを強制され、呪文は敬意というよりもむしろその進貢として強制的に与えさせられていると主張している。しかし“偉大なる”アーカットの信徒は異なる見解を有しており、彼がタニソールの吸血鬼王を殺したこと、彼の統治の間そのトロウルの軍勢がラリオスの森を襲わないことを保証したことで北の森が守られ、その返礼としてアルドリアが進んで呪文を提供しているのだと主張している。彼女は《木々の見張り》の呪文を提供している。

エネラル
  彼は“偉大なる”アーカットに《馬との会話》と《馬支配》の呪文を提供する。

イーヒルム
  天空の教会の神にしてセイフェルスター地域の支配者であるこの神は、“偉大なる”アーカットの信徒に《サラマンダー支配》と《崇拝者祝福》の呪文を提供する。


緑の淑女
  カルトによればこの地域のアランジェリアはアーカットの妻の1人であり、その見返りとして緑の淑女は《収穫祈願》と《ノーム支配》の呪文を“偉大なる”アーカットに提供する。

カイガー・リートール
  トロウルの全面的な協力を彼女のお気にいりの英雄に約束している。彼女が提供する呪文は《シェード支配》と《目潰し》である。

オーランス
  嵐の神は暗黒帝国の時代にはあまり重要ではない支配神であったが、その後はるかに一般的になった。彼は《信徒への命令》《名誉認識》の呪文を提供する。



  本テキストはNicholas Effingham氏が作成した作品を、両氏からの許可を得て木村 圭祐(しーちゃん)が翻訳したものです。
  原文作品の著作権は原著者に、翻訳作品の著作権は原著者と翻訳者に帰属します。営利目的、非合法な目的、反社会的な目的での利用でない場合にかぎり、自由に使用、複製を許可します。ただし複製に当たっては本テキスト冒頭の版権表示(原文および翻訳文)を必ず含めるようにしてください。他の媒体への流通には著作権者の許可が必要です。
  テキストは公式版ではありません。この文章を使用するにあたっては、各人の判断でご利用下さい。この文章の使用により何らかの損害があっても著者並びに翻訳者は一切関知致しません。


トップページに戻る。 コンテンツに戻る。 翻訳ノートへ