オトコリオン単神教会

    - Henoteist Church of Otkorion -

copyright 1998, Nick Brooke & David Hall
翻訳・編集(c) 木村 圭祐/'たびのまどうし'しーちゃん ,2000 [2000.06.08].

歴史

  我々の教会の歴史は創造に始まる。この時最高の神性にして創造主、見えざる神はみずから顕現し、世界のあらゆる部分に命を与えた。この時代こそすべての神々が創造主を受け入れた時代、神代であった。

  創造主はある神を他の神々の上に据え、この神を皇帝と呼んだ。皇帝は創造主が不在の時にはその世界を統治することになっていた。当初皇帝は賢明に統治し、その他の神々や半神に対して寛大であった。彼の後見は多くの偉大なもの、美しいものの創造につながった。

  時が経つにつれ、皇帝は、彼の無限の力と権威にみずからを見失い、みずから創造主と同等の存在と考えるようになった。彼はその力で実験を試み、外部から恐ろしいものを世界にもたらしたが、それを制御することはできなかったのである。多くの神がそのことに不平をもらしたが、皇帝はそれを聞いて憤り、また道理をわきまえず、彼らを不当に、そして手荒に扱った。

  動を起こさねばならないと決心した。彼らは彼の荘厳なる宮殿で彼と対峙し、その悪と不正とを列挙したのである。それに対して皇帝は彼らを殺し、反論を封じるために、彼が従える恐るべきものを差し向けた。しかし、兄弟のうち1人はその恐怖で狂気に堕ちたものの、彼らはそれらを打ち倒し皇帝を切り殺したのである。この出来事によって世界は暗黒へと向かったが、皇帝の従えた混沌の存在たちは、いまや悪魔となりはてた皇帝の精神の影響を受け、大地を襲った。

  世界を救うためにオーランスは、見えざる神を見つけ、その創造の才を取り戻すことを目的とし、"光持ち帰りし者たち"の探索に旅立った。そしてついには創造主を見出し、その神聖なる導きの下、その他の神々の助力を得て、大いなる盟約と時とをもって世界を創造したのである。

  見えざる神はこの時、"平等者の間の第一者"、あるいは神々の王の名をオーランスに送った。オーランスはその統治が一者の専制ではなく、神聖なる神々の総意に基づくものとすることを誓約した。

  しかし第1期、無知なる人間たちが"欺くもの"グバージの仮面を被った皇帝のの帰還を許したとき、混沌もまた世界に再びもたらされた。彼は新たな奇怪さを持ち帰り、新たな暗黒の時代、世界は再び打ちのめされたのである。

  "欺くもの"グバージがその汚れた手で世界のほぼすべてを手中に収めたとき、その陰謀に対抗するため、半神にして英雄アーカットが西方に生まれた。アーカットはフマクトの息子であり、グバージに対して発動された十字軍において西方の国家、宗教連合を率いたのである。しかし西方が解放されたまさにその時、彼は打ち倒され地界に幽閉されたのである。

  その時その場所に、ドラゴン・パスからもう1人の英雄"裸足の"ハルマストが、オーランスから霊感を受け、西方に光を求めてやって来た。叙事詩的な旅路の後、ハルマストは地界の奥底でアーカットを見つけ、彼を解放したのである。

  アーカットは新たな同盟者を得て力を得、ドラゴン・パスを解放するために連合軍を率いた。パスが解放されると、アーカットはドラストールにあるグバージの強固な砦へと軍を向けた。しかしそれは、一度は悪魔を破壊したい、彼らを助けるために暗黒の民へと目を向けたいというアーカット自身の欲望であった。

  見えざる神へのこの裏切りは部分的勝利を収めただけであった。アーカットはグバージとドラストールを破壊する力を見つけたものの、その代償として彼の最も忠実な友と彼に従う者の魂、そして彼自身の人間性の大部分を失った。さらに混沌の種子は多くの暗黒の民の黒い心へと広がり、それは現在でも感じることができる。最終的にアーカット自身が救われたのは、見えざる神の神聖なる介在があったからにすぎない。

  この後、アーカットはラリオスに偉大な帝国を打ち建て、統治した。この帝国は我々の教会教義と教えの上に成り立っていた。汚れた神智者が混沌と悪魔と共に陰謀を巡らしたとき、帝国は堕落した。しかし教会の真実はフィーシブでで生き延び、我々の聖なる大司教によって見出され、広められたのである。

  第3期、混沌は赤の女神と赤の皇帝の仮面を被って再び世界へと戻ってきた。我々は彼女と戦い、彼女を打ち破らねばならない。教会が現在強力になってきたことは偶然ではない。見えざる神の意志は我々の教会でその姿を明らかにしつつある。彼は我々がその清浄さ信仰をもってこの新たな脅威と戦うことを命じているのである。


神学

  ただ唯一最高の神性が存在し、それは見えざる神である。彼の神聖なる導きのもと、その助力と守護故に崇拝に値する他の多くの神が存在する。

  我々は《切開》行為の禁止を含め、マルキオンの法に従っている。《切開》行為は世界に混沌の悪しき種子を広める混沌に組みする所行である。

  我々は人間には4つの階級が存在すると考えており、それは農夫、戦士、司祭、領主の各階級である。あらゆる者はこれらの階級の1つに生まれる。しかし自身の価値を証明することができれば、自らの階級を変える自由を有している。

  見えざる神の敵は悪魔、"欺くもの"グバージ、暴君と呼ばれることもある悪魔であり、そのものは混沌の神々や悪霊からなる軍勢を率いている。混沌は邪悪であり、見えざる神の信仰を破壊しようと常に戦いを仕掛けてくる。混沌とは手段を問わず、機会を見つけては戦わねばならない。

  女性の生涯の役割は男性のそれとは異なる。しかし霊的には同等の存在である。女性の役割は生命の恵み手、育み手であり、男性の役割はその守り手、与え手である。両者は創造の善のために協調して働く必要がある。人間一人一人がその生涯で担う真の役割は、女性がバービスター・ゴアの斧の乙女となったり、男性がチャラーナ・アローイの白の癒し手になることができるように、彼または彼女の選択によって決まるものである。


位階

  我々の教会の指導者はフィーシブの大司教、"非異端者"サランテイールである。我々の教会に誓約を誓った都市にはそれぞれ大司教の導きに従う司教が座している。未だ完全には教会への誓約を誓っていない都市には、敬虔でその隣人を改宗させるのに熱心な信者たちを導く修道院長が存在している。


重要な神、半神

マルキオン

  マルキオンは最高の神性の言葉を人々に伝え、大暗黒をいかに生き抜くかを示した。彼はそれぞれの氏族の人々の義務をいかにして4つの階級、供給者、守護者、導き手、指導者に分割するかを教えたのである。

オーランス

  オーランスは世界を再創造するために混沌の軍勢に対して聖なる7人を率いた。彼の行動は大暗黒の終わりと時の始まりをもたらしたのである。彼が帰還を果たしたとき見えざる神は彼に"平等者の中の第一者"の称号を与え、彼を神々の王と呼んだ。

フレストル

  フレストルはマルキオンの法に対するブリソス人の厳格な解釈が誤りであることを教えた。彼の行動は究極の自己犠牲であり、みずからの価値を示した者であれば誰でもみずからの階級を変えることができるということを示した。彼はまたもてなしと名誉の法を教えたことでも有名である。

"混沌の殺戮者"アーカット

  アーカットはフマクトの息子であり、半神であった。彼のもっとも偉大な行為は、"欺くもの"グバージの混沌の邪悪から世界を解放したことである。しかしこの完全なる戦士は、彼の職務を完成するために崇拝している暗がり神に入って、しばらくの間目に見えない神にとってそれゆえに失っていた。

フマクト

  フマクトはオーランスの兄弟にして完全なる戦士であった。彼は死の大いなる力を光持ち帰りし者たちの探索に用い、死が生に奉仕することができることを示した。そして見えざる神の栄光が全世界にもたらされることができたのである。

光持ち帰りし者たち、聖なる7人

  彼らはオーランスの探索に付き従い、世界を再創造した6人である。彼らはその力を創造に貸し、それ故に崇拝されている。彼らにはチャラーナ・アローイ、黄金の舌、ランカー・マイ、トリックスター、ギーナ・ジャー、そしえフマクトが含まれる。

"雲砕王"シグロルフ

  シグロルフはオーランスの息子であり、邪悪な混沌の軍勢によって長年捕らえられてきた重要な半神である。偉大なる戦士ガランディアが彼を解放した。現在彼は見えざる神の神聖なる導きの下、父であるオーランスの傍らに立つ。


他の教派に対する態度

ロカール派

  この教会は創造主の自由に背を向け、ブリソス人の硬直的なカースト制度に立ち戻ってしまった。彼らは神々と混沌の軍勢の存在を否定している。彼らは危険な存在である。なぜなら混沌が気づかぬうちに彼らの高位者の列に浸透しているからである。

フレストル派

  カースト間の移動を認めていることからもわかるように、この教会は啓蒙的である。しかしながら西方の他の教会と同様に、彼らは他の神の存在とオーランスの教えを忘れてしまった。

暗黒の神々

  暗黒の神々は完全には混沌ではないものの、完全には神聖でもない神々である。その信者はかつて大暗黒の最中、オーランス、あるいはマルキオンの教えを見いだすことができなかった者たちが退化したなれの果てである。彼らは人類の暗黒面であり、それは同時に混沌と戦うことで容易に混沌へと堕ちてしまう側面である。 アーカットはこの暗黒面を受け入れることで、彼が混沌を殺すための大きな力を得たものと考えた。彼は勝利したものの、彼に忠実な者たちの魂と彼自身の人間性の大部分をその代償として支払ったのである。ただ聖職者を通じた神の介在だけが、破壊したいと望んだ存在に彼が変化してしまうことから彼を救うことができたのである。

ボリスト派

  ボリスト派は混沌の生物を《切開》することで混沌を崇拝する邪悪な教派である。あらゆる混沌は邪悪であり、《切開》行為はどのような形であれ混沌である。




  本テキストはNick Brooke氏、David Hall氏が作成した作品を、両氏からの許可を得て木村 圭祐(しーちゃん)が翻訳したものです。
  原文作品の著作権は原著者に、翻訳作品の著作権は原著者と翻訳者に帰属します。営利目的、非合法な目的、反社会的な目的での利用でない場合にかぎり、自由に使用、複製を許可します。ただし複製に当たっては本テキスト冒頭の版権表示(原文および翻訳文)を必ず含めるようにしてください。他の媒体への流通には著作権者の許可が必要です。
  テキストは公式版ではありません。この文章を使用するにあたっては、各人の判断でご利用下さい。この文章の使用により何らかの損害があっても著者並びに翻訳者は一切関知致しません。


トップページに戻る。 コンテンツに戻る。 翻訳ノートへ