マルキオン主義の主流は西方を規定するものである。これらマルキオン教の主流教派の特徴には多くの共通点がある。彼らの信条はマルキオン教の四つの階級、マルキオンの法の三つの礎、二人の預言者、一つの神、すなわち創造主にして見えざる神によって形成される。これらの教派は唯一見えざる神だけを崇拝に値する神として受け入れる一神教徒であり、その他すべての霊的存在を過ちの神、悪魔、欺くものとして否定する。すべての教派に共通する聖典は存在するものの、それとは別に教派独自の聖なる文献を有している。教派の間には多くの原理的差異が存在する一方で、彼らが分かちあっている文化的遺産から多くのものを共有している。マルキオン主義主流教派の信奉者たちはしばしば、他の教派の者たちが異端的過ちの中に埋没し、彼らだまされた信者は自身の栄光の慰めに至る可能性を狭めていると考えている。
ボリスト派
ボリスト派は、マルキオンの法は混沌の存在には適用されず、彼らに対しては自由に《切開》が行えると考える。彼らの間では、こうした振る舞いは聖なる義務であるとさえ考えられている。
この異端的な教派は混沌戦争の時代に成立した。彼らはほとんど現存していないが、わずかに中央ラリオスに見ることができる。彼らの異端的な教派が広まることはない。
ガルボスト派
ガルボスト派は、マルキオンの法は非マルキオン教徒への《切開》を許容していると解釈する。また他のマルキオン教の教派とは異なり、ガルボスト派の者たちは輪廻転生を信じている。
この教派はノミアのガルボスト派の王朝がラリオスを支配した、第二期の終りに創設された。ノミア王国は神智者に友好的であったため、神智者が堕落した際ノミア王国もまた破壊された。第三期の初頭、教派の残党は執念深いオーランス人の蛮族達によってほとんど一掃された。現在も残っているガルボスト派の者たちはラリオスに居住している。
フレストル派
ライトアップを参照。
ロカール派
ライトアップを参照。
シダルフ派
シダルフ派は、死は罪の結果であり、他の人間に死をもたらした者がマルキオン教の楽園に導かれることはないと信じている。彼らがカーストからカーストへと移ることはない。この教派の騎士階級は数の上ではほとんど存在せず、同時に不浄な存在であると考えられている。騎士階級の者はエルフ、トロウルといった非人間とのみ戦うことを許されており、この任務を強く望まれたその任務のエキスパートである。シダルフ派の都市は他の人間と戦う必要が起こることに備え、不信心な者たちを傭兵として雇っている。
シダルフ派の起源は海の大閉鎖の最中までさかのぼる。大閉鎖の間に、パマールテラのマルキオン教徒の多くはオーランスとその友なる神々を崇拝する異教ととなったが、ごくわずかな者たちは信仰を守り、あらたな教条の中に力を見出した。
シダルフ派の者はエンクロッソとヴラロスでしか見ることはできないが、そこでは彼らは極めて重要な地位にある。彼らの指導者はニコスドロスの教皇である。
ヴァルカロー派
ヴァルカロー派の者たちは東方諸島の異教の神々を、マルキオン教徒にとって崇拝する価値のある聖者へと変えることで、みずからの信仰の中へと取り込んだ。彼らは真の信仰を神の中の神の信者にだけ広めたのである。彼らの社会には三つのカーストが存在する。すなわち彼らを支配する魔術を使う者、彼らを助ける槍兵と漁師である。支配者の裁量でカースト間の移動は許される。この教派は第二期に、精力的な活動を行っていた魔術師ヴァルカローによって創設され、海の下に住まう悪霊、悪意あるエクストガリアと絶えざる戦いを続けてきた。
ヴァルカロー派は東方諸島にのみ見られ、そこでは高魔道司祭がアンボボンブの島に住んでいる。
神智者(絶滅)
神智者は暗黒異端派系の異端を何らかの形で模倣している。暗黒異端派同様その信仰の中で他の神々と手を結んでいるが、彼らはそうした神々を必ずしも友好的には扱っていない。彼らはこうした神性を隷属させるための道具か、搾取するための資源と見なしているのである。神智者たちは遂には汚れた悪霊を扱い始めたが、悪霊は敵であるということは合理的事実であり、そのため神智者が支配したり隷属させるには価値ある候補なのである。
神智者はみな死に絶えた。彼らの秘密の知識も彼らと共に破壊された。そのため彼らの異端がどれほど広まったかは知られていない。
本テキストはTales of the Reaching Moon誌に掲載された記事を、同書の編者であるDavid Hall氏からの許可を得て木村 圭祐(しーちゃん)が翻訳したものです。
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