サイアノール・ルナー派教会

    - Syanoran Lunar Church -

copyright 1998, Nick Brooke & David Hall
翻訳・編集(c) 木村 圭祐/'たびのまどうし'しーちゃん ,1999 [1999.10.30].

歴史

  サイアノール教会は赤の月の出現以前、英雄聖人ティロールが邪悪なる"欺くもの"からフロネラ全土を救った時から存在している。彼は、真実と信仰心とをフロネラに広めた。ロスカルム、ドナ、ジュノーラ、そしてサイアノールのすべての都市は、彼の教えに従ってマルキオンに崇拝を捧げたのである。

  しかしサイアノールは第2期の大半を、ロスカルムの神智者であった支配者層によって支配された。だが第2期の終わりにサイアノールは解放され、フロネラの偉大なる英雄"大熊"ジョナットが古セシュネラへと巡礼に訪れたとき、教会は新たな活力を得た。彼は汚れた神智者の手から、数多の貴重な真実の信仰の聖宝を救いだし、これら偉大なる遺宝や霊宝をサイアノールにある彼の故郷へと持ち帰ったのである。

  再生サイアノール教会は第3期初頭に広まり、統一された。しかし15世紀にペローリアからの避難民の大規模な一団がジャニューブへと流入し、ジャニューブ川中流地域平原のドナに入植した。彼らとともに月の教えを照らす啓発の光がを持ち込まれ、イーストポイント、サウスバンク、リバージョインの人々の魂と心を勝ち得た。それらの都市のサイアノール派教会は、赤き月の女預言者の新たなる啓示を喜んで受け入れたのである。

  125年前、ロスカルムの邪悪なる魔術師が、フロネラ全土にむけて"大閉鎖"と呼ばれる巨大な呪付を放った。この魔術は通り抜けることのできない呪われた境界線を生み出し、サイアノールの各地域がほぼ1世紀に渡りお互いに分断されてしまった。ドナの司教区はもはや、ジョナーテラ、ジュノーラ、ティムズといった内地の国際的とは言い難い同胞との連携を取り得ず、彼らに月の光をもたらすことができなかった。これらの地域の統治者は未だ古きサイアノール派の信条に従っており、赤き月の癒しの光を奪われている。

  ああ!この貴重な助力なき故に、悪しき戦争王国はジュノーラを一掃し、その途上の都市をことごとく征服しつつある。不正に満ちた欲深き男であるジョナーテラ王は、カーストールの敬虔なるベラスガート伯をその正当なる座から追い落とし、自由で独立したティムズの地を求めて行動を起こしつつある。コングレーン王はすべてにおいて教会の友たりえない。彼は貪欲な男であり、罪人である。彼に使える聖職者や司教も何度も諫言を行ったが、なんの意味も持たなかった。これらサイアノール派教会の古き生き残りたちが、赤の月の女預言者がもたらした霊的統一、調和による完成を受け入れない限り、彼らは打ち倒され、破壊される運命にある。


神学

  この世にはただ一柱の創造主たる神が存在し、それは見えざる神である。その預言者マルキオンとティロール、赤の月の女預言者である。

  この世には国ごとに多くの精霊や神が存在し、人間がなだめ使役することができる。すべては創造主の領域の自然の恩恵の一部である。見えざる神の司教や司祭がそうした下位神に礼拝を捧げることは誤りだが、彼らの導くべき者たちがそれらの神に崇拝を捧げることは許されている。

  我々の聖職者、および司教は、聖職者に対する離婚の絶対的禁止を含めて、マルキオンの法に従っている。「汝の愛するものを傷つけることなかれ」と予言者は言った。祝福を受けた者同士の結婚の聖なる状態は、霊的な愛の完全なる発露である。神の勤めに加わる者は、他人がその間に割り込むことを許してはならない。

  我々は、農夫階級、兵士階級の者たちが選ばれた君主に捧げる忠誠心に重きを置いている。

  ルナーの教えを通じて、社会的流動性はあらゆる者に許されている。あらゆる人間は生まれながらにして平等の存在であり、(選挙、推薦、指名を通じて)自分こそがふさわしいと証明した地位につくことができる。我々の司教は聖職によって選ばれ、我々の指揮官は兵士によって選ばれ、我々の君主は人々によって選ばれるのである。

我々は以下の見解をも有している:

  女性はあらゆる面において男性と完全に同等の存在である。彼女たちは女祭、司教、騎士、領主となることができる。

  司教は結婚せねばならない。なぜなら神聖なる儀式を通じて、その引き裂かれた本質が再び結び付けられうるかれである。司祭と女祭も結婚し、後継ぎとなる多くの子供をもうけるべきであると考えられている。


位階

  サイアノール派には確たる指導者は存在しない。教派の司教は、神学校で教義を決定するが、彼らは皆平等の立場でそこに参加するのである。

  教会の最も高い地位にある者は、それぞれがサイアノールの一部の地域の霊的統治権を保有する司教層である。聖司教区はエインポール、モリーン、オカーニア、リバージョイン、カーストール、サウスバンク、ティムズ、イーストポイント、ガラスターの各聖司教区である。ロスカルムの魔道の悪しき影響により、エインポール、カーストール、ティムズ、オカーニアの教会にはルナーの教えの光で照らされる必要がある。その一方でモレーネ、ガラスターの教会は異教徒たる蛮族の集団によって破壊されてしまった。


重要な英雄

フレストル

   フレストルは"聖なる預言者"マルキオンの啓示を携えた王子であり、我々が今日まで従ってきた多くの法と掟を教授した。彼はあらゆる人間はその生まれに関わらず平等であり、一般の合意を得て指名されたならば、社会のいかなる役割を希望することもできると定めた。

ティロール

  "哄笑の戦士"とも呼ばれるティロールは、第1年の終わりにフロネラの地を解放した。彼は"欺くもの"の手先と東からもたらされた邪悪なカルトを追い出し、フロネラの教会を統一した。彼に従う者たちは結局カルマニアへと追い出されたが、彼らの純粋な教義はアロリアの者たちの流入の際にサイアノールへと再び戻ってきた。




  本テキストはNick Brooke氏、David Hall氏が作成した作品を、両氏からの許可を得て木村 圭祐(しーちゃん)が翻訳したものです。
  原文作品の著作権は原著者に、翻訳作品の著作権は原著者と翻訳者に帰属します。営利目的、非合法な目的、反社会的な目的での利用でない場合にかぎり、自由に使用、複製を許可します。ただし複製に当たっては本テキスト冒頭の版権表示(原文および翻訳文)を必ず含めるようにしてください。他の媒体への流通には著作権者の許可が必要です。
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