私立薬学部、薬科大学攻略法

緒言

ほとんどの薬学部で入試の教科は、英語、数学(ⅢC入らず)、化学となっており、他の理系学部と比べるとかなりの軽量入試です。

また、薬学部によっては、一科目(化学)、二科目のところもあります

薬学部に入学した後のことを考えると、薬学部は、数学はⅡBまでで十分と思いますが、化学と共に生物を入試科目に入れたほうがいいのではないかと個人的には思っています。

さて、本題に戻ると、この薬学部の軽量入試の傾向として抑えておくべきいくつかのポイントがあります。

それは、薬学部入試問題と薬剤師国家試験問題の傾向が似ている箇所が散見されているからです。

実は、薬剤師国家試験の中でも、高校生レベルで解ける問題は少なからず、存在しています。

そういったことを踏まえて、なぜ、薬学部の入試で指数関数、微分積分が良く出るのか…などなどを解説していきます。

*注意:多少なり、事実と異なることがあることがあります。1個人としての偏った意見ですので、不必要だと思うところや、いらないと思うところは各個人で、読み捨てしてください。

薬学部攻略法

センター利用で受験される場合は9割を目標にして頑張って下さい。また、化学が好きだということであればAO入試や推薦入試も視野に入れてみてはいかがでしょうか?

一般入試ですが、私立薬学部は6年制で志願者が大幅に減っていて、難易度は緩和されています。というより、偏差値は急落しているので、今は薬学部に入りやすい時代となっています。しっかりと基礎を確立していれば合格は難しくはないはずです。入試前には偏差値でいうと60くらいはほしいところです。

勉強方法についてですが、薬学部は数学によって合否が左右される場合が思うので 数学に重点をおいて下さい。大抵の学生さんは、英語、化学は出来るのだけれど、数学がイマイチっていう方が多い印象を受けます

もし、化学が不得意でしたらまず理論分野から仕上げてください。そして、高配点の有機分野をやって余った時間で無機分野をやりましょう。

無機分野については大学によっては全く出ない学校もあるので志望校の赤本で傾向をチェックしてみてください。

英語については、文法や英作文を勉強するよりも長文を読めるようにしましょう。医療系だからといって、医療系の長文だけを読むのは厳禁です。特に偏差値の高い大学では、他の分野も出題されます。医療系だから医療系の長文と考えるのは安易過ぎます。

センターレベルの長文問題はどの大学でも必ず出題されます。効果は読んだ文章量に比例します。受験までに一つでも多くの長文を読んでみてください。

数学ですが、理科大、慶応大学などを狙う場合は青チャートなどの問題集の例題レベルは完璧に出来る必要があると思います。それ以下の大学では、黄色チャートなどでも十分に対応できることかと思われます。得意な人は、大学への数学なんてのも面白い本だと思います

また、私立薬学部は大学によって入試傾向が違い、模擬試験でA判定を取っていても 対策をしておかないと落ちることも十分考えられます。 なので、早くから赤本を購入し志望校対策をしておいた方がいいと思います。

最低でも、夏ぐらいには、赤本に目を通す(問題は解かなくても大丈夫)くらいのことはしておきましょう。傾向は大切ですので…

知っておいた方が得する情報についてですが、就職に有利なのはやはり旧設の しかも歴史のあるところです。関東では東京理科大、東京薬科大学、明治薬科、星薬科、昭和薬科、共立薬科、関西では京都薬科大学など。このような古くからある大学はOBも多く、大学は就職実績においては群を抜いています。

また、国家試験合格率が大学のパンフレットなどに書いてあると思いますがあまり当てになりません。薬学部では国家試験に合格する見込みの無い人間を強制的に留年させたりして合格率操作しているからです。

よって、合格率が高い大学=良い大学という等式は成立しません。注意してください。コレについては、6年制の議論のほうで、言及していますので、参照ください。

薬学部の数学攻略法

なぜ、対数関数が良く出題されるのか?

第85回薬剤師国家試験:問18

図は三塩基酸(H3Y)のモル分率とpHとの関係を示したものである。次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。

a 曲線の交点Aでは、H3YとH2Y-のモル比は1:1である

b 点DのpHではほとんどがH2Y-として存在し、点EのpHではほとんどがHY2-として存在している。

c 曲線の交点A、B、CのpH値は、それぞれpKa値である。

d pH14では、ほとんどがY3-であり、HY2-は10%以下である。

e 三種の化学種H2Y-、HY2-、Y3-が同量存在するのはpH7である。

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第86回薬剤師国家試験:問19

0.05 mol/L酢酸水溶液と0.05 mol/L酢酸ナトリウム水溶液を容積比1:4の割合で混合したときに得られる水溶液のpHの値に最も近いものは次のどれか。

ただし、酢酸のpKa =4.5、またlog2 = 0.30、log3 = 0.48、log7 = 0.85とする。

1;3.0   2;4.0   3;5.0   4;6.0   5;7.0

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上記問題は、受験生でも解ける問題を集めてみました。問18は一昔前の、北里大学薬学部の入試に似たような問題があったはずです。問19はとてもスタンダードな問題だと思います。どうでしょうか?薬剤師国家試験でも高校生のレベルで解ける問題はあるのです。

特に基礎薬学といわれる分野では、高校の知識も必要な場面が多いです。この問題を解く上で、指数対数がわかっていないと解けません。使う式は

pH=pKa+log{イオン形}/{分子形}

ですが、この式は高校生でも導ける式であると思います。実際、私はこの式を高校のときに習っているというか、知っていましたし…まぁ、化学の知識も必要ですけども…化学というよりは、この問題は、指数対数だと思います。

結論:指数対数は、国家試験に出るくらい大切なのだから、入試に重点を置いて出してもおかしくはない。

なぜ、微積分が良く出題されるのか?

第87回薬剤師国家試験:問161。

モーメント解析法によれば,平均滞留時間(MRT)は次式で表される。

ここで,Cpは時間tにおける血中薬物濃度である。次の記述の正誤について,正しい組合せはどれか。

a 式の右辺の分母は血中濃度時間曲線下面積(AUC)と呼ばれることがある。

b MRTはモデル非依存性パラメータの一種である。

c 線形1- コンパートメントモデルに従う薬物を静注したとき,MRTは生物学的半減期に比例する。

d 吸収及び体内動態が線形である薬物を経口投与するとき,投与量が多いほどMRTは大きくなる。

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この問題は、恐らく高校生はわからないと思いますが、積分が使われていることがわかると思います。

この平均滞留時間とか、血中濃度時間曲線下面積(AUC)というのは、薬を投与してからの動態パラメータです。

つまり、平たく言えば、薬が実際にどれだけからだの中に入っているかというものです。この様な、薬物動態を考えるときには、微積分の知識というのはとても重要なのです。例えば、

速度式:

指数関数式(体内薬物量)

指数関数式(血中濃度)

これらは、自然対数が出てくるので、数ⅢCの知識が必要ですが、微積分を使うことは間違いないです。微積分が無ければこれらは、基本式から導くことはできません。(ほとんどの人は最終式を覚えてしまいますが理解の点では…ということで)

結論:患者さんの血中濃度を測定する理論を理解するには微積分の知識が必要。入試に出やすいのもうなずける。

薬学部の化学攻略法

薬学部の化学に関しては、どこが大切というわけではなく、すべて大切です。薬学部に行きたい学生で、化学が不得意というのは致命的であると考えます。

なぜ、理論が大切か?

第86回薬剤師国家試験:問33

日本薬局方容量分析用標準液0.1 mol/L チオ硫酸ナトリウム液の調製と標定の概略に関する記述について、[  ]の中に入れるべき数値はどれか。

「調製:チオ硫酸ナトリウム五水和物25 g及び無水炭酸ナトリウム0.2 gに新たに煮沸して冷却した水を加えて溶かし、1000 mLとし、24時間放置した後、次の標定を行う。

標定:ヨウ素酸カリウム(標準試薬)を乾燥した後、その約0.1 gをヨウ素瓶に精密に量り、水25 mLに溶かし、ヨウ化カリウム2 g及び希硫酸10mLを加え、密栓し、10分間放置した後、水100 mLを加え、遊離したヨウ素を調製したチオ硫酸ナトリウム液で滴定する。ただし、滴定の終点は液が終点近くで淡黄色になったとき、デンプン試液3mLを加え、生じた青色が脱色するときとする。同様の方法で空試験を行い、補正し、ファクターを計算する。

0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム液1 mL = [  ]mg KIO3」

この滴定においてヨウ素の遊離する反応は次のとおりである。ただし、KIO3 = 214.00とする。

KIO3 + 5KI + 3H2SO4 = 3K2SO4 + 3H2O + 3I2

1;2.1400   2;3.5667   3;4.280  4;5.350    5;7.133

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高校生でもわかりそうな問題を選んで見ました。これは、薬物を定量しています。逆滴定というものです。

薬学部で使う理論は、こういったものです。モル計算というか、当量計算をよくやります。薬品には不純物が含まれているので、純粋にどれだけ、求めたい薬物がどれほど含まれているかを滴定して求めるのです。

高校の激しいモル計算はしないですし、状態方程式からあーして、こーしてというのは少ないです。でも、理論を出来ないと、計算問題に弱くなる可能性もあるので、きちんとできるようにしておきましょう!!

結論:高校ほど計算が煩雑では無いが、出来るに越したことは無い。

なぜ、有機が大切か?

第90回薬剤師国家試験:問15

次の反応は、含水溶媒中での亜硝酸(HNO2)による核酸塩基の変換に関するものである。この反応に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a この反応で、シトシンがチミンに変換される。

b 亜硝酸が反応するのは、Aの段階である。

c Bの段階で、酸素分子が反応する。

d Bの段階で、窒素ガスが発生する。

e この反応で生じる核酸塩基は、RNAの構成塩基である。

1;(a、b、d)  2;(a、b、e)  3;(a、c、e)  4;(b、d、e)  5;(c、d、e)

解答はページの一番下にあります。


これは高校生にはちょっと厳しい問題かと思われます。ちょっと生物の分野も入っています。ですが、これは、ジアゾ化反応ということに気づけば、高校生でも解ける問題ではないかと思います。

この問題は、DNA、RNAの塩基を使った問題となっております。ここでなぜ、有機が大切かというと、高校化学では、大抵は、ジアゾ化とカップリングが有名ですが、上の反応はジアゾ化反応を使用しています。

まず、アミンからスタートして、N-ニトロソ体を経由して、芳香族ジアゾニウム反応です。これは、まだまだ序の口です。本格的に大学に入って有機をやるようになるともっと激しい合成やらをします。

これは、高校の比ではないです。なぜなら、複雑な構造式を全合成したりと、まぁ高校化学がかわいく見えます。

結論:ジアゾ化などは国家試験を受ける上でも必要ということは、高校生からでも知ってておきたい知識である。

なぜ、無機が大切なのか?

第84回薬剤師国家試験:問5

化学結合に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 塩化水素の結合は極性が高い共有結合である。

b エチレンの二重結合の1つは共有結合であり、もう1つはイオン結合である。

c フッ化リチウムの結合は共有結合である。

d アンモニアの結合は共有結合である。

1;(a、b)    2;(a、c)    3;(a、d)  4;(b、c)    5;(b、d)    6;(c、d)

解答はページの一番下にあります。


第87回薬剤師国家試験:問4

日本薬局方の確認試験などに金属ナトリウムが使用されている。金属ナトリウムの性質に関する記述のうち,正しいものの組合せはどれか。

a 酸化されにくい。

b 水と激しく反応する。

c 液体アンモニアに溶け,青色の溶液を与える。

d 無水エタノール中に保存すると安全である。

e 新しい切口の表面は銀白色を呈し,約100℃で融解する。

1;(a,b,d)  2;(a,b,e)  3;(a,c,d)  4;(b,c,e)  5;(c,d,e)

解答はページの一番下にあります。


無機は、意外と大切です。金属とかも大切(必須微量元素とか、衛生薬学という分野で大切)。

それと、生体内や環境中での、酸素、窒素、水素など…の存在比などは大切です。

またイオン化傾向とか、第84回薬剤師国家試験:問5でいえば、電気陰性度が絡んでくることがわかると思います。あと大切なのは、アンモニアや水がどういう形をとるのか?などは大切です。

高校では4角形、3角形でいいですが、大学では、SP3とかSP2とかで、軌道論があります。無機は覚えるだけという印象ですが、覚えたら勝ちなのですから、がんばって覚えてください。

結論:覚えたら勝ちです。覚えるのは辛いですが、ゴロなどを多用すれば苦しいものではないかと思います。

問題の答え

お気づきとは思いますが、英語については割愛させてください。あまり国家試験との関わりは少ないと思われますので…ですが、学生でも、文献の授業で論文を読みますし、本当、長文は出来るようになったほうがいいでしょう。

答え

問題番号 答え
第85回薬剤師国家試験:問18 2
第86回薬剤師国家試験:問19 3
第87回薬剤師国家試験:問161 1
第86回薬剤師国家試験:問33 2
第90回薬剤師国家試験:問15 4
第84回薬剤師国家試験:問5 3
第87回薬剤師国家試験:問4 4

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