いらっしゃいませ






  
平成24年度 平川渓流を皆さんは楽しんでいますか?
     今年は魚影が濃いとの話を聞きました。
     当会のブログを参考にして、楽しい渓流釣りが出来ればと思います。


 
  今回は当会のベテラン釣り師であり、平川仙人の異名を持つナカさんに今年の渓流釣りを聞いたところ、熱い思いで話をしてくれました。
      そんなナカさんの思いを載せてみましょう。




ここからの話は、三平渓流会広報部長『平川仙人』こと
ナカさんが言葉にしたことを編集した話になります。




  絶望の時から、至福の時を迎えて・・・

 平成23年3月10日に、私は会長と共に三重泉沢から平滝に向かって登っていきました。
 平川渓谷は、まだまだ冬の景色に染まり、川の端には雪が残って寒さは厳しかったのを覚えています。
 残雪がある林道を苦労しながら遮断機設置場所(バッタン)まで、冬型装備に変えたバギーで入山しましたが、その先へは入れずに旧奈良部落近くの沢で初釣りをした。
 
 後日は東京の自宅に戻り、家でのんびりと過ごしていた時でした。
震度6弱の長い揺れが襲いました。
 昭和23年に福井地震を経験していますが、これほど長い時間の大きな揺れには驚きを隠せませんでした。
 
 当然、平川林道も『大打撃を受けているだろう。』と考え、この大震災が1日早かったら私と会長はどうなっていただろうか? 
 今になって思うとあの時いつも耳にしていた、山の静寂や森のささやき川のせせらぎが、きっとざわめきに変わって警告をしていたのかもしれません。
 
 私にはその声が聞こえませんでした・・・・・。

 数週間後に仲間から『平川林道が大崩落した。』という情報が飛び込んできました。
 幸いにも『バッタンまでは入山可能』という話には助かりました。
さっそく5月の連休を利用して、バッタンから徒歩で平滝まで入山しました。

 徒歩移動での往復10キロは、実質の釣り時間を崩落前の半分以下にし、特に必要なのは川の中を移動して釣りをしていく体力である。
 
 私のような『古希の爺』には、大変厳しい試練となりました。

 これからの平川渓流釣りは、健脚であり登山経験の豊富な釣り人以外は、トライしない方が賢明かもしれません。

 行きの山道は、バッタンから下り坂が多く、体力的には余裕もあるが道の悪さにはバランスも失い、幾度も転倒しそうになった。
 落石は毎年のことなので驚くことは無いが、大震災による落石の数や石の大きさには、今までに無い怖さを感じていました。
 
 大きな落石が数多く散乱している道を歩いて行くと、目の前に飛び込んできたのは、仲間より聞いていた大崩落現場があった。

 (道が塞がれている・・・・・。)



 近くまで来ると人がやっと通ることの出来る隙間があった。
 
 その隙間を通り抜けると、右側は断崖絶壁で下を見るのも怖い場所であった。

 なんとか大崩落現場を過ぎて、赤トンネルが見えてきたと安心したら、更に負い打ちを掛ける様な景色が目に飛び込んだ。



 赤トンの出口が崩れた岩盤で塞がれており、道の向こう側がまったく見えていない。
 尖った岩を乗り越えてみると、またしても大規模な山崩れ現場が見えた。



 私は心の中でつぶやいた・・・(もう平川渓谷での釣りは出来ない。)

 雪解けが始まれば各所で山崩れが発生するため、人の立ち入りが不可能になるときもある。
 梅雨に入れば長雨の影響で、山崩れとは言わないが小規模な落石が至る所で起きてくる。

 大自然の道理なのであろうか、危険なときこそ釣果は上がると感じている。

 雪解けが落ち着く頃と、しとしと梅雨の時期は最高の釣りを楽しめるときである。
 70歳を過ぎた私にとっては、かなり危険が高いと思いますが、体と頭が平川渓谷へと向いてしまいます。



 東日本大震災にも負けずに、当会メンバーや釣り師達が足を運ぶうちに、人が歩いて行けるような道になっていきました。

 しかし私同様に、平川渓谷へ釣りに行く人は、東日本大震災後には極端に減りました。

 そのあとに、関東北部・山間部に記録的な大雨が降り、平成23年度の平川渓流釣りを諦めることになりました。
 集中豪雨で山から溢れ出た水が、不動の滝へと行く舗装道路を崩落させました。
 


 この崩落により釣り人が、まったく入山しなくなったようです。
 
 当会ブログも平成23年度は、早期修了となってしまいました。

 山林関係者に話を聞いたところ、道路の修復は来年(平成24年)になるだろうとの事でした。

 来年(平成24年度)の解禁日までには、道路も復旧してバッタンまで行ける事を願うだけでした。

 『途中の道は平気なのだろうか・・・。』

 気持ちが落ち着かないまま、平成24年度の解禁日を迎えることになりました。

 

 年が明けて平成24年1月

 私は年が明けるといつも、平川渓谷が雪化粧した風景を観に足を運びます。

 しかし今年は異常な寒さだったと思いませんか?
沼田方面は毎日のように雪が降り、積雪も例年以上だと耳にしました。
なので今年は初めて、平川渓谷の雪化粧を観る事を断念しました。

 平成24年3月・・・ついに迎えた解禁日ですが、平川渓谷での釣りはまだまだ先になります。
 3月初旬では林道の雪は深く、不動の滝より徒歩で3時間超かかる三重泉沢橋まで、深い雪を掻き分けて私が自らの足で行けるわけがない。
 当会メンバーも誰ひとりとして、奥まで足を踏み入れる者はいなかった。

 雪解け前の川は水温が非常に低く魚の活性が特に悪い。
さらに気温もかなり低いので、釣り人にとっては決してよい条件だとは思わない。

 水害により崩落した舗装道路も修復されて、バッタンまで車で行けると仲間より報告があったので、まずはひと安心しました。
 これならば雪解けが落ち着き始めた時期を狙えると、逸る気持ちを抑えながらも平成24年度の平川渓流釣りを始めた。

 私が本格的に動き出したのは、5月の連休に入る前でした。
バッタンまで車で行ける事を確認したので、あとはバッタンから徒歩で1時間半かけ毎回釣り場に向かっています。



 今年は5回ほど平川渓谷の奥に足を運びましたが、なかなか思うように大物に出会えることは無く、今もまだ悪戦苦闘をしています。

 去年の水害で道が寸断されたことにより、釣り人が早い時期から入らなくなったために、今年はかなり魚影が濃く数は前年以上にあがっています。

 この場所も震災による風評被害もあるでしょうが、私にとって平川渓谷は永遠の楽園なのです。
 釣り上げた魚は去年以上に、魚のリリースに心がけています。
リリースした魚がさらに大きく育つよう心から願い、平川での釣りを楽しんでいます。

 平川が雑誌にも紹介されたことはご存知でしょうか?

 『渓流・春』

 という雑誌に、1ページですが登載されていました。

 当会のブログも有名になり、雑誌でも紹介されてしまったからには、平川に足を運ぶ人も増えていくでしょう。
 釣れる釣れないは抜きにして、平川渓谷の壮大なる大自然を感じてみては如何でしょうか?
 
 
 平川で私の姿を見たときは、是非ひと声かけてください。
 
 
 その時は、平川談話を楽しみましょう。
 
 


 
        著
 『平川仙人』 三平渓流会 広報部長 ナカ