夢日記・その4「現実と非現実」



 あるデパートの水槽売場。
 うちには、小さい頃に祭りの出店で買った2匹の緑亀がいる。
 もう15年も飼っているから当然なんだが、大きくなってきたので水槽が小さくなったのだ。
 2匹が横に並ぶことさえ難しくなってきたので、流石に可哀想になって買いに来た。

    *

 目の前にたくさんの水槽がある。
 その中には水が満タンに注がれているが、なぜか熱帯魚とは思えない魚が悠々と泳いでいる。
 ここは生け簀か? いや、違うって、などと自己ツッコミをしてみるが誰も受けてくれないし聞いちゃいない。
 夢って寂しい。

 ふと気になる物が目に留まったので近づいてみる。
 魚が急に大きくなるはずもないのだが、やけに窮屈そうにしているやつが1匹。
 何も考えずに、隣の大きい空の水槽にザバーッと移し替えてやった。

 でも何も考えなかったのはまずかったらしい。
 水槽が大きくなった分、水が足りなくて、魚の体が底に着いたままになってしまった。
 何も考えずに、隣の大きい水槽から水を頂戴した。
 これで魚は救われた。自由に泳いでくれたまえ!
 でも救われない人がいた。
 やっぱり何も考えなかったのはまずかったらしい。
 店員が一部始終を見て、困った顔して迫ってきた。

    *

 速攻ダッシュで逃げ出した。そしたら追いかけてきたので、もっと逃げた。
 気が付いたら追っ手が増えていた。そこまでせんでもよかろーにってぐらい重装備だった。
 なんせ黒服に拳銃。洒落になってない。

 そうこうして走っているうちに、ビルに囲まれたところに行き詰まってしまった。
 「こうなったらこれしかないっ!」
 目の前にそびえ立つ、20階近くもあるビルの壁をつかんだ。そして、頂上をめがけてよじ登っていく。
 流石の奴らもここまでは追ってこられないようで、こちらを見上げてうろうろしている。

 だいぶ登った頃、その階の窓を通してとんでもない物が見えた。
 部屋いっぱいに敷き詰められ、天井まで積み上げられた金塊だ。
 このビルには何か秘密があると思った僕は、中に入るためどこかの窓が開いていないか調べた。
 すると運良く、1つ上の階の窓の鍵が開いていた。
 そこから中に入り、様子をうかがってみる。

   *

 どうやら会議室……というよりは密談をする為の部屋のようだ。ああ、なんて都合のいい展開だ!
 しかも、書棚には裏の取引先が書かれた、大量のファイルがあった。
 これを外に持ち出せれば、ここの悪事を明るみに出せる。早速、1冊を確保した。

 と、その時、いきなり部屋のドアが開いた!
 入ってきたのは黒服を着た偉そうな男と、あからさまに下っ端の2人。この3人組だ。
 何か叫びながらこっちへ駆け寄ってきたので、とっさに窓から外へ出た。
 でも、ここは地上じゃなくて何十階かなのだ。飛び降りるわけにはいかない。
 さらに、地上にはさっき追いかけてきていた奴らがまだ残っている。
 このままでは確実に捕まってしまう。どうする!?

   *

 「これを使えっ!」
 いきなりな展開に動揺しつつ、勢いよく投げ渡されたそれを受け取った。
 こんな絶体絶命の状況から救ってくれたのは、掟破りの助っ人だった。
 これで何とかなるかもしれない。もう丸腰じゃないのだ。
 そう、渡されたのは拳銃だった。

 彼の援護を受けながら、地上へ降りていく。
 1発もこっちには飛んでこない。彼は相手が撃つ前に撃って倒しているらしい。凄い腕前だ。
 負けじと数発撃ってみたが、牽制ぐらいにしかならないので諦めて任せることにした。
 しばらくして地上に着いた。

   *

 結局はそのまま逃げられて、悪は滅ぼされた……けど、謎多すぎ。



夢日記・その4「現実と非現実」 −終わり−


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