File No.009 福井県立恐竜博物館 2001.9.14

Fukui Prefectual Dinosaur Museum


 福井市への出張があり、半日フリータイムが出来たので、気になっていた勝山市にある福井県立恐竜博物館へ行きました。2000年の夏に開館したばかりの新しい博物館で、福井県知事の強い思い入れで巨費を投じた半端じゃないミュージアムです。日本で恐竜研究をしようと思えば、ここしかありません。東大や京大の博士課程を経た学芸員が採用されており、我々のお付き合いが及ぶ次元ではないそうです。

 ここのところTOY業界は、チョコラザウルスや各種ダイノフィギュアのブームなので、一度本格的な展示を見ておこうと思いました。一流の原型師が製作するフィギュアに対し、本物の資料、また世界の研究者が手がけた骨格資料・レプリカ…。やはり、その差は歴然たるものがあります。

 福井県を中心とする北陸地方には手取層群という、恐竜化石を多く含む地層が存在し、これまでに多くの恐竜化石が発見されてきました。その恐竜を題材に町興しを図っているわけです。勝山市というところは、山の中を車で走っていると突然現れてくる町のような感じで、もともと養蚕を中心に栄えた孤立した都市なのです。近年は過疎の傾向にあり、この博物館を中心とする恐竜パーク構想に期待が大きくかかっています。

 さて、恐竜博物館は山の斜面に形成されており、恐竜の卵をデザインしたドームに付帯施設がドッキングしています。内部はとても広い空間を生かし、素晴らしい展示構成となっています。まず、館内に入ると4層になっていて、一直線のエスカレーターで最下位へ降りていきます。それは、地中深く太古の時代へタイムスリップしていくようです。そして、トンネルのようなダイノストリートを通ると正面にボーンベッドが出現するというプロローグが用意されているのです。これだけでも感動的です。

 展示は、「恐竜の世界」「地球の歴史」「生命の歴史」の3部構成で、それぞれは見ごたえたっぷりで、1日でも時間が足りないと思います。全長23.2mのマメンチサウルの迫力には圧倒されます。また、シノサウロプテリクスから始祖鳥への進化過程も見逃すことはできません。最後はアウストラロピテクス・ボイセイの頭部化石と、アウストラロピテクス・ルーシーの全身骨格が迎えてくれました。

 館内は、もちろん撮影禁止だったのですが、2箇所だけ許可された撮影ポイントがありました。そこからの画像と、大サービス画像を交えレポートをお届けします。

  
▲博物館へ上っている道路の法面には、このような化石発掘現場の演出があります。周辺一体は、恐竜パークとしての構想があり、まだまだ発展していくようです。 ▲福井県立恐竜博物館のメインサインです。モデルとなっている恐竜は、地元の勝山市から全身骨格が発見されたフクイラプトル・キタダニエンシスです。
 
▲博物館の全景です。左手奥に見える恐竜の卵型ドームが、メインの展示ブースとなっています。右手には、プロントザウルスみたいな大形のモニュメントがあります。 ▲ご存知、ティラノサウルスの頭部骨格です。これはダイノラボというコーナーにオープン展示されているもので、隣に巨大な全身骨格のレプリカがありました。
 
▲ティラノサウルス・レックスの本格的な全身骨格です。躍動感ある姿勢に組み上げられています。下には、子供の骨格や小型の復元模型が置いてありました。 ▲ティラノサウルス科の、タルボサウルス全身骨格です。ティラノサウルスは北米最大の肉食恐竜ですが、こちらはアジア最大です。
 
▲素晴らしい照明演出の下に、たくさんの骨格が並べられています。ドームの中は4層式になっており、天井が高いのでゆとりある空間です。 ▲こちらは、トリケラトプスなど草食系の恐竜たちです。判りやすい展示解説や、小型液晶モニターで見学者を導いてくれます。
 
▲常設展示の解説図録です。オールカラーで、是非GETしたいアイテムです。一流の学芸員が編集したものなので、内容はお墨付きです。売価は1400円です。 ▲特別展示「ロイヤルティレル」の図録です。表紙写真は、ティラノサウルス・ブラックビューティーで、今回のメインでもあります。売価は1300円でした。
 
▲チケットと記念ステッカーです。入館料は500円、特別展も含めると1200円(大人)ですが、見ごたえ充分で、納得の料金設定だと思います。 ▲施設利用と特別展紹介のリーフレットです。展示を見る前に、一度目を通しておくことが重要なポイントでしょう。館内はとても広いので、効率よい巡回を目指しましょう。
 
▲ミュージアムショップで購入した、メタルフィギュア(手前)です。これは、館シンボルのフクイラプトル・キタダニエンシスで、売価は2000円。奥は、コカコーラJP3フィギュアです。 ▲マンモスのフィギュアです。ソフビ製で、下部にウエイトが入っているようです。手前はチョコラザウルスのケナガマンモスです。売価は3800円。
 
▲恐竜骨格のフィギュアです。ティラノサウスル、ステゴサウスル、プラキオサウルス、トリケラトプスの4種で、全長20p程です。売価は1100円。各恐竜の肉付彩色ブリスターもありました。 ▲ステゴサウルス、マンモス、パラサウロロフス、テラノドン、プレシオサウルス、コリトサウルス、プロントサウルス、アロサウルス、ディメトロドン、トリケラトプスの骨格フィギュア10種です。チョコラとほぼ同スケールで、売価は500円です。
○ミュージアムショップで思ったこと
 皆さんも気になるショップです。ショーケースの中にも多くの恐竜フィギュアがありました。素晴らしいリアリティーなのですが、お値段の方は数万円から十数万円です。一つ一つが手作りのスタチューなのです。一昔前、このように学術モノのスケールレプリカは、どれも値段が高くて一般の者には手が届かないものでした。ですが、最近のチョコラザウルスを中心とする恐竜フィギュアは、大量生産ゆえに、低価格で納得の出来る本格的なフィギュアをサプライしてくれるようになりました。とても嬉しい傾向です。こうした博物館でも、もうプライドを捨ててこうした食玩を売ってもいいと思いますね。駅の売店などには、恐竜イメージを強調すべくチョコラザウルスが置いてあったりしました。恐竜博物館限定オリジナルチョコラなんてどうでしょうか。ちなみに、ダイノモデルスの荒木一成氏もレプリカ作成などで関わっています。
 あと、気になったグッズとして、2000円〜7000円の幅で各恐竜の歯や爪のレプリカがありました。私が欲しいと思ったものは全部売り切れていて残念でした。次回に行く時のターゲットにしておくつもりです。それから、例の3D DINO PUZZLEも海外版がありまして、全てクリスタルバージョンでした。ティラノだけ購入してきました。

福井県立恐竜博物館 http://www.dinosaur.pref.fukui.jp/

荒木一成の恐竜模型の世界 http://village.infoweb.ne.jp/~dinodino/index.htm

2003.8.9改訂