ピー・プロダクション企画、制作である『宇宙猿人ゴリ』、『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』、『スペクトルマン』(1971年〜全63話)は、第一に予算規模からして円谷プロダクションの作品には全く及ばないものだった。特に特撮シーンとなると、かなりショボイ。しかし、それは好きか嫌いかの根拠にはならないし、何しろ大人の見方である。自分が子供の頃は、ウルトラセブン放送終了の約2年後に始まった、このスペクトルマンも同じく大好きだった。宇宙猿人ゴリとラー、UFO、そしてネビュラ71からの指令や許可で変身するという設定がよかった。完全無敵のヒーローより、立場も力も弱いというスペクトルマンには特別な魅力を感じていたと思う。 ある日、待ち望んでいたスペクトルマンのソフビを親から買ってもらった。だが、当時のソフビではリアルであろうはずがない。子供心にも、どこかスペクトルマンと違う、いや全然違う、と思った。ある程度遊んでから、とうとうマジックペンで汚し始めた。当時、茶色のインクというものが身近になく、赤と黒で塗った記憶がある。後頭部には何故かガムテープを切って貼って上から塗った。別の質感というものを出したかったのだろう。 スペクトルマンはサイボーグであるにも関わらず、胴体部分は動物の分厚い皮のようで、腕や腿はシャツのようにシワがある。だが、そんなことはどうでもよかった。自分としては、劇中に登場するプロップスーツそのものが本物のスペクトルマンであり、スーツの汚れや傷みも戦いの証であり魅力を感じていた。ところが市販のソフビは、スペクトルマンの格好はしていても、似ても似つかぬ色で着色されている。塗っていない部分もある。そんなスペクトルマンを、自分の思う方向へ近づけようとした。覚えてはいないが、親からは「そんな、勿体無いことはするな」と言われていたかもしれない。しかし、結構お気に入りに仕上がった。 こんな、記憶に残るスペクトルマンのソフビへの不満と想い。大人になって、今、本当に欲しかったものと出会った。それが、CCPの1/6スペクトルマンである。 |
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CCP 1/6特撮シリーズ スペクトルマン 左から Cタイプメッキver.(2009年3月発売\14,700)、Cタイプウェザリングver.(2007年6月発売\7,140)、Bタイプ通常ver.(2007年6月発売\6,825)、Bタイプメッキver.(2009年3月発売\14,700)、上写真中央はCタイプ-ブラックver.(2007年7月発売DVDに付属\25,000)。 |