15.再販徹底比較(2)

HGウルトラマン
ベストセレクション2
<総評>
 待ちに待った、ベストセレクション第2弾!

 アンケート結果に基づく、人気キャラクターの再販です(P7にラインナップされていたものは再々販となります)。アンケートの対象範囲は、P7「故郷は地球編」からP12「遊星から来た兄弟編」です。何故か平成ウルトラマンは、全く採択されない結果となり、発売時期の古いシリーズに偏ったアソートとなっています。殆ど、P7とP8の再販といっても過言ではない構成です。

 しかし、この辺のシリーズが、カプセルに入って次々とベンダー機から出てくるのは感激です。皆さんも、今後の良き思い出となる記念すべき再販だと思います。

 さて、仕上がりについてですが、最近の動向として「初版忠実路線」が守られています。そして、ベストセレクションならではの、スペシャルリペイントとして、ジャミラが選ばれたようです。、また、ピグモンがこれに次いで改良が施されています。ベストセレクション1の時は、バルタン星人が全面的見直し、エレキング本体色の変更などが際立ちましたね。

 それから、もうひとつ気になるのは素材です。軟質な素材に変更されているようです。PART1初版の時のような柔らかさはありませんが、各初版期のものとは感触が大きく異なります。

 それでは、個別に見ていくことにしましょう。
 
■ウルトラセブン■
 体色の赤色が、初版ではややピンク色調でしたが、ベスト版では赤色調が強くなっています。あと、初版の時の光沢がなくなり、半光沢色になっています。目の塗装色は、最近の傾向を反映し、クリアイエローが用いられています。額のビームレンズは、青色から緑色に変更されています。 それから、背中のヒダ(着ぐるみのファスナー収納部)上端は、初版では赤色でした。

 しかし、ベスト版では、マスクと同様に銀色で塗装されています。これは、初版の方が正しい塗装だと思われます。マスキングパターンが少し単純なものに変更されてしまったのでしょう。

 なお、ロット穴は、P7の再販(3穴)を介して2つとなっています。
 
■メトロン星人■
 まず、スーツの青色が、ややグレー調に変更されているのが目につきます。それから、目の黒色が艶消し色から半光沢色に変更されていると思われます。

 さらに、重要な変更点を確認しました。初版の方は、塗装工程を分析すると、まず全体に青色を塗り、部位別に黄色→白色→橙色→黒色を重ね塗りして行っています。ここで、黄色の部分に注目してみると、塗り斑により部分的に下地の青色が透けているところがあります。これは、黄色のラッカーが、どんな色に対しても乗りが悪く、重ね塗りをしないとよく発色してくれない特質によるものです。再販の方はというと、やや濃い黄色となり塗装の乗りもしっかりとしています。

 ここに、大きな改良点があります。ベスト版の方は、最初に黄色を吹き、後から青色を吹いています。すなわち、黄色→青色→白色→橙色→黒色です。黄色と青色の前後関係については、接合部の凹穴奥に黄色が見えること、脇の下の青色の吹きが弱いところに黄色が見えること、左腰のマスキングライン、そして肩の部分(腕の付け根上部)にて、青色が前から後ろまで繋がっていない(初版では連続している)ことなどから、ほぼ明らかであると思います。

 したがって、黄色の下は薄い肌色の成形色ですので、ムラ無く綺麗に発色しているわけです。但し、下半身の黄色部分は何故かこの限りではなく、従来通り青色の上に塗布されているようです。

 もうひとつ驚くべきことは、背中の吸盤?みたいなものです。それぞれ白色に塗装されているわけですが、中心の凹部内が、ベスト版ではちゃんと黄色で塗られているということです。マスキングではこの細かな中抜きは難しいと思いますので、筆を使って稀釈した黄色を落としたとしか考えられません。

 造形面での改良点もひとつ。胴部分割部の上半身側窪み内の処理が変更されています。接続部締め付け用の突起が変わっているのですが、この変更によりピッタリと接続出来るようになりました。

 なお、ロット穴は、P7の再販(3穴)を介して2つとなっています。同じような仕上がりに見える、両版のメトロン星人。しかし、色々な苦労があったようです。
 
■ウインダム■
 本体の銀色ですが、初版の方はクリアーを被せてあるような光沢が感じられます。また、今回のベスト版では、メタリックパウダーが細かくなり、色調がやや異なって見えます。額の赤色は、セブンの本体色と同様、濃くなっています。

 目に塗布された白色は、ベスト版の方が小さい範囲での表現に変わっています。

 なお、ロット穴は、3つです。
 
■にせウルトラセブン■
 本体色の赤色が、初版ではややピンク色調でしたが、ベスト版では赤色調が強くなっています。目の塗装色は、最近の傾向でもありますが、銀色のマスク地の上にクリアイエローが用いられています。額のビームレンズは、青色から緑色に変更されています。

 なお、ロット穴は、3つです。
  
■ウルトラホーク3号■
 本体の濃緑色が、今回のベスト版にて光沢を増しています。あと決定的なのは、タンポ印刷の部分。ベスト版の方が、太くクッキリとなりました。ウルトラ警備隊のマークは、中心の地球図柄まで忠実にディテールアップしており、このサイズでは驚きです。

 なお、ロット穴は、P7の再販(3穴)を介して2つとなっています。
 
■マグマライザー■
 ホーク3号も、タンポ印刷の文字が太くなっています。ウルトラ警備隊のマークは塗装処理されていますが、初版では、中央部が本体の紺色と同色で点塗りされていましたが、ベスト版ではやや明るい青色に変更されているようです。

 なお、ロット穴は、P7の再販(3穴)を介して2つとなっています。
 
■ゾフィー■
 本体の銀色が、初版はステンレス調でベスト版はアルミ調という感じです。赤色の部分も、いろいろと検討されているようで、ベスト版の方が明るく光沢の強い赤色に変更されています。

 その他、目の塗装がベスト版の方がドップリと施されており、範囲が広くなっています。 なお、ロット穴は、P7の再販(3穴)を介して2つとなっています。
 
■にせウルトラマン■
 本体の銀色に含まれるメタリックパウダーが、初版よりも再販の方にて粒子が細かくなっています。初版の銀色の方が特殊な感じがします。赤色の部分は、いずれも半光沢ですが、ベスト版の方が明るい色調に変わっています。

 胸と背中の黒色ラインは、より黒くハッキリとなりました。また、カラータイマーは、ベスト版の方が大きく塗られ、光沢が強くやや明るい青色で塗布されています。

 なお、ロット穴は、3つです。
 
■ギャンゴ■
 本体色が、ベスト版の方がやや明るく緑色掛かって見えます。胸の彩色にも変更が見られます。橙色・ピンク色・青色・緑色は、それぞれ白っぽくなり、パステル調に変わっています。

 唯一、腹部の三角形部分のみ、濃い橙色が使用され、この色が結果的に追加されたことになります。

 なお、ロット穴は、3つです。
■ジャミラ■
 メーカーが、自慢げに差別化を図ってきた怪獣です。初版の方は、白系色1色の塗装ではなく、ベースに青緑色系を使った上に白色系を薄く筆塗りしているようで、その塗り斑が、ジャミラの皮膚の特徴を良く表現していたと思います。

 ベスト版の方は、全体にドライブラシを強調し、コントラストを上げています。最初に濃い灰色を塗布した後に、明るい白色系を粗くドライブラシしています。

 このことは、一見、逆のように見えますが、この解釈で良いと思います。

 このベスト版の塗装変更で、クオリティーがアップしたとは思われません。大きなイメージチェンジではありますが、実物の着ぐるみに近いづいたかどうかは別問題だと思います。

 ロット穴は、P7再販(3穴)を介して2つとなっています。
■ピグモン■
 まずはピグモンですが、造形がイマイチなのは仕方ないとしても、塗装の方は、今回のアソート中で一番進歩が感じ取れます。

 初版の本体色は、明るい赤茶色で、顔部と腹部のみ小豆色にてエアブラシで塗布されています。ベスト版の方はというと、まず小豆色の方(といっても初版より明るい)を全体に塗布し、その後で明るい方の赤茶色を顔部を除く全体にドライブラシしています。

 すなわち、塗装表現が全く逆の発想になっているわけです。その結果、両足の付け根が、初版は小豆色のエアブラシの滲みが広がっていますが、ベスト版は明るい赤茶色のドライブラシの被りとなっています。この結果、ピグモンの体毛が、深みを増しディテールアップしています。

 手・足・尾の灰色は、ベスト版の方が明るい色調に変更されています。
■小型ビートル■
 本体色の銀色のメタリックパウダーが、ベスト版の方が細かくなっています。赤色の部分は、ややピンク系という感じがします。


 決定的に違うのは、流星マークのタンポ印刷。ベスト版の方が一回り大きくなっていますが、ラインは繊細になっています。

 なお、ロット穴は、3つです。

1999.8作成/1999.12改訂/2000.10改訂/2001.3改訂