16.コピー品研究(1) HGウルトラマン PART1 香港コピー版 |
<総評> HGウルトラマンPART1といえば、シリーズの第1段を飾る記念すべき存在で、最も古い発売のものでもあります。EX版として再販されているものの、ファンの期待に答える仕上がりではなかったために、こうした海賊版も未だに取引されています。 ウルトラマンPART1は、前期版(白色成型)と後期版(肌色成型)が確認されていますが、後期版の方が生産量や保管事情から流通量も少なく、ファンの間では激レアな存在となっているようです。 このコピー品は、香港で生産されたもので、シンガポールを経由して入手したものです。バルタン星人やパワードレッドキングの塗装から、後期版をサンプルにコピーしたものであることがわかります。素材も一応、肌色で正規品より濃い色調です。しかし、塗装のベタツキまでは再現されていません(当然のことですけど)。全てについて言える特徴は、本体全体が90%程収縮しています。おそらく凹型作成の段階で、素材の特質から縮んだものと考えられます。 コピー版では、分割部が接着されていることが多いです。これは、実際の仕上がり時点で、ジョイント部が上手くフィットしないための処置であると思われます。このP1は、接合部に若干の手を加え、分割無接着を堂々と実現しています。 私は、未だに後期版をコンプリートしていませんので、以下、正規品との比較は前期版を交えながら行うことになります。 |
■ウルトラマン■ 型抜きや塗装は良く出来ています。マスキングラインは、ややボケがあり雑な感じですが、全体に手抜かりなく巡らされています。 使用された赤色は、正規品よりも濃い色調です。目の色は初版前期版に近い黄色、カラータイマーはやや白っぽく光沢があります。 |
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■バルタン星人■ こちらも、良く出来ています。ハサミ部の塗装は、ご存知の通り赤色をベースに先端に銀色を吹くという、初版後期特有の工程が、きちんと再現されています。胸の塗装も後期型のパターンです。足に塗られた横線は、ジグザグではなく、直線的なラインとなっています。 型抜きの際の、下型と上型、すなわち前後の継ぎ目は、大体オリジナルの部分に合わせていますが、頭部がやや後頭部側に移されています。 |
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■レッドキング■ オリジナルよりも濃い黄色ベースに、青色系を部分的に筆で塗布しています。初版前期型のイメージに似ていますが、目の周りがクッキリと青色を放っているのは後期型の特徴でもありますので、やはり後期型のコピーなのでしょう。本来エアブラシにより塗布するところを、筆を流用したものと考えられます。 他の物についても言えますが、分割部の差込口が調整されているようで、オリジナルの形(突起など)が違うことがあります。このレッドキングも、凸の方が調整されているようです。素材の収縮などから発生する接合の不具合に対応しているものと考えられます。 あと、画像でも確認できると思われますが、上半身の正面中央に縦筋が走っています。これは、型の合わせ目が上半身では左右で分かれていたということです。オリジナルの場合は、左右ではなく前後、すなわち両側面に走っていますので、合わせて十字の位置に継ぎ目のラインが残る結果となりました。オリジナルのパワードレッドキングも、上半身のみこのような左右縦割りです。型抜きの難易度に関わることなのでしょう。 |
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■ウルトラマンパワード■ 赤色のマスキングが綺麗に仕上がっているので驚きました。オリジナルより良いかもしれません。赤色の色調は、ウルトラマンと同じ物です。 上半身と下半身の継ぎ目に不具合が発生しています。下半身の方が前にずれてしまっています。接続部の凹穴の方は、製造の途中の工程で開け直されているのでしょうか。上半身に開けられた凹穴が、前に寄ってしまった為に発生した現象です。 型の変形もあるようです。型抜き後の変形ではなく、型取りの際からゆがんでいたのでしょうか、本体が立つように熱を加えて矯正を試みましたがなかなか上手くいきませんでした。 |
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■パワードレッドキング■ 本体色の小豆色が濃いのは、後期型の特徴ですが、オリジナルを追い越して濃くなり過ぎています。あまり目立ちませんが、筆による黒色のスミイレも入っています。オリジナルでは、窪みの筋に施されていましたが、コピー版ではドライブラシ調のラフな施方です。 爪などに塗布された黄白色は、こちらの方が黄色が強く、EX版の時のように隣り合う爪は連続して塗られています。目の黒点は、白目の中央に落とされていますので、寄り目様に塗られたオリジナル版とは表情が異なって見えます。 |
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■パワードバルタン■ こちらは、もともと塗装が単調なせいか、良く出来ているように見えます。 頭頂部の触覚の左側が、オリジナルでやや短かったのですが、コピー版では著しい差となっています。 本体色の青色系は、オリジナルよりやや白色掛かっています。銀色のエアブラシは、オリジナルでは背中には施されていませんが、こちらでは回っています。足首は、オリジナルは黒色で吹かれていましたが、コピー版では銀色が使用されています。 目の塗装色は、オリジナルに比べてやや白色掛かりで明るい色調です。 |