18.個体差の魅力

HGウルトラマン PART1
−初版前期−(白色成形)
レッドキング


 HGの衝撃的第1弾、ウルトラマン。DP台紙のコピーには、「この凄さ、手にとらなければわかるまい」と掲げられている。実際にその通り、造形・フルカラーのリアリティーは、手に乗るフィギュアとして全く前例の無い、すばらしい仕上がりを見せるものであった。
 ここに6体のレッドキングがある。筆塗りで一つ一つ仕上げられた個体には、同じモノは2つとない。量産商品としてはNGとみなされたが、それぞれに個性的な魅力が溢れている。まるで、生きているかのような、怪獣らしい生命感をもっている。
 この魅力を、本当にじっくりと味わっていただきたいのである。
<個体A> 類型Ta-α

 ベース色の黄色は、明るいレモンイエロー系(T)。追加色はブルーグリーン系(a)。
 この個体は、追加色の塗布量が少ない(α)。
<個体B> 類型Ta-β

 ベース色(T)で、追加色は(a)。
 この個体は、追加色の塗布が多い(β)。
<個体C> 類型Ub-α

 ベース色の黄色は、ややオレンジ系の山吹色調(U)。追加色は、スカイブルー系(b)。
 この個体は、追加色の塗布量が少ない(α)。
<個体D> 類型Ub-β

 ベース色(U)で、追加色は(b)。
 この個体は、追加色の塗布量が多い。(β)。

<個体E> 類型Ua-α

 ベース色の黄色は、ややオレンジ系の山吹色調(U)。追加色は、ブルーグリーン系(a)。
 この個体は、追加色の塗布量が少ない(α)。
<個体F> 類型Ua−β

 ベース色(U)で、追加色は(a)。
 この個体は、追加色の塗布量が多い(β)というか、殆どNGである。メーカーに返品したら交換してくれるだろうか。(^^;
<総論>
 追加色であるブルー系は、稀釈して全体にまぶすように筆で塗布されている。ベース色をはじくように定着していることから、ラッカー系のベース色に対し、エナメル系かアクリル系の塗料を用いている可能性が考えられる。
 あと一つ思うことは、これだけの個体差がありながら、分割の単位で色調が著しく異なる事が少ない。これは、パーツ組を意識して塗装作業・仕分けが行われていたことを意味している。すなわち、同じ工員が一度に、あるいは短時間に塗装処理を行ったものを厳密にパッケージするようなことをしなければ難しいと考えられる。その理由は、塗装の感覚と塗料の調合具合など、工員毎に差が出てしまうし、時間を経過することにより変化も生じていくからである。
 なお、初版後期版(成形色肌色)の方は、分割の接続部内側が塗装されていないことからも、緩く仮のはめ込みをして、スプレー塗装されていることがわかる。パーツ間の仕上がりの差異は、シビアに監修されていたようである。

2000.11.11作成