HGウルトラマン ベストセレクション2 クリアコピー版 |
突然、市場にウルトラマンベストセレクション2のクリアバージョンなるものが出回り始めました。これは、香港バ○ダイ社の限定品なのか、抽プレ品なのか? 出来はかなりよく、正規の金型から起こされたものだとか、様々な噂が飛び交っています。入手できましたので、分析してみます。 |
このクリアバージョン、第一印象としては、かなり出来が良いです。何だか抽プレに当たったような気分です。なんと、補助台まで付属しています。やはり、クリアブラックとかクリアグリーンとかではなく、色を一切使用しないクリスタルなクリアーこそ最も美しいような気がします。接着も無く、分割部分も比較的上手くいっていると思います。但し、ジャミラの左腕はかなり緩いです。ピグモンの腕や尻尾も緩さが感じられます。 さて、あまり見とれているだけでは、このReportの意味がありません。これは、一体何モノなのでしょうか?結論から言いますと、コピー品です。公式に生産されたものでもないし、正規の金型を使用したものでもありません。しかし、幾つかの問題点を投げかけてくれます(右上に続く)。 |
まず、右下のメトロン星人の画像を見てください。ベスト2のオリジナルとクリアを比較してみました。全体にやや縮小しています。コピー品の決定的な証です。但し、塗装されていないせいか、それほど気になりません。また、クリアにおける鋳型のパーティングラインが、だいたい本体のサイドに走っていますが、ほぼオリジナルのラインと一致しています。これが、従来のコピー品と大きく異なるところで、処理には大変なこだわりが感じられます。単体を手にすれば、公式製品と思ってしまっても仕方ないくらいです。しかし、下段右のウインダムの足の裏の比較画像を見てください。オリジナルは斜めにパーティングラインが走っていますが、クリアでは足の縁に沿わせています。この傾向は、全体的に見られます。その他、よく観察すると、サイドのラインでもオリジナルと微妙に異なる個所が確認できます。しかし、2本存在することは無く、外れた個所でもリジナルのラインが残ることはありません(左下へ続く)。 |
そして、驚くべきは、成型時の押し出しピン(エジェクタピン)穴の部分です。オリジナル本体の、主に背面側の数箇所には、必ず付けられているものです。成型の際には不可欠なものです。そのために、穴の個所の造形は損なわれてしまっています。ところが、クリアにはその穴が全く無く、スクラッチも完璧に生きているのです。左上のウインダム後頭部中央の穴の位置に注目してみてください。他には、偽セブンの肩プロテクター背面とかにも顕著な違いを確認することができます。 以上のことから、次のような工程があったことが考えられます。コピー元に既存したパーティングラインを全て消し、エジェクタピン穴をパテ埋めしてからスクラッチし直したということです。しかし、ここまで手間のかかることを行うでしょうか。特に、エジェクタピン穴まで処理することは、そもそも必要のないことです。また、そのディテールには怪しいところが全く無く、完璧なものだと思います。 ここに、一つの仮説を述べたいと思います。これらのクリアHGは、金型にする前のマスターから何らかの方法で型が起こされたということです。私も、インジェクション成型については、ほとんど無知なのですが、金型には既にエジェクタピンが配置されていると思いますので、その前段階の造形物が使用されたと考えなくてはなりません。その個体は、原型から分割などをチェックした、ほぼ商品段階のもので、刻印は押されている段階のものということになります。もちろん、パーティングラインは存在しません。 しかし、分からないことがあります。足の裏に処理された、HGを立たせるための盛付けがクリアには一切存在しないことです(もう一度、右下画像参照)。よく観察すると、何となく削り取ったように見えるものもありますが、最初から無かったような感じがします。この盛付けは、工程のどの段階で施されるのか知りえませんが、クリアのコピー元には無かった可能性が高いと思います(右上に続く)。 |
もうひとつ不思議な現象があります。全ての個体について、パーティングラインの部分で本体の厚みが減っていることです。上段右下のメトロン星人の画像をよく見てください。大変わかりにくいですけど、前と後ろを間を1o位スライスして抜いたように薄くなり、造形の方もアンマッチになっています。これはコピーの段階で、変形したものだと思われますが、どういう原理なのかはわかりません。 ここで、ロットの問題に移りますが、通常は金型において処理されていくものと思います。再販を繰り返されたHGは、どれも同じ金型から起こされたものですので、いわゆる4穴は、金型の突起を削り取りながら版を繰り返していると考えられます。今回のクリアは、メトロン星人4、ウインダム4、小型ビートル4、ピグモン4、ジャミラ4、ギャンゴ4、偽セブン3、偽マン3、セブン2、マグマライザー2、ホーク2号2、ゾフィー2です。初版と、ベスト2の版が混在する状態ではありますが、型が起こされたマスターは全て4穴だったと思いますので、3穴や2穴への変更はコピーの段階で別途行われたと思います。この穴の違いには、途中で気が付いたけど全てには間に合わなかったということでしょうか。 私も、成型方法については知らないことが多く、あくまでも推測の域を出ませんが、どのように考えても疑問は残ります。使用された元になったものは、マスターをコピーしたものなのだと現段階では考えておきます。インジェクション成型などにお詳しい方がみえましたら、ご教示お願いいたします。また、ご意見ご感想、お待ちしております。 |