36.マジック消しの謎 HGベンダーカプセル 香港販売品 |
HGは香港でも発売されています。昨今は、日本へも輸入されることが少なくありません。いわゆる香港版は、ミニブックの対象年齢欄がマジックで消されていたり、ミニブックがビニール袋の中に入っていたりします。ここでは、その謎を解き明かすべく論考してみます。 |
香港におけるベンダー機販売は、1カプセル10HK$です。コイン販売機ということで、ワン・コインの設定なのでしょうが、10HK$=160円位なので日本より安い価格となっています。輸送諸経費などの事情から、これでも採算が合うのでしょう(日本の場合、消費税が含まれていますので、本体価格は約190円ということになります)。 ところで、香港版のガシャといえば、私の場合、過去に通販やショップ経由のものを購入した経験がありますが、いつも不思議に思うことがあります。 1.ミニブックの対象年齢欄がマジックで消され ている。 2.ミニブックがビニール袋の中に入っている (おかげでシワクチャ)。 2については、カプセルから出す時に、本体から離別して紛失してしまわないよう、誰かが袋の中に詰め直しているのかと思っていました。 それでは今回、現地においてベンダーを回してみた結果を報告します。ベンダーを利用したのは、トイザらス尖沙咀店の向いにあるゲームセンター、そして皇室堡電脳廣場の2階にある模型店、3階にあるトイザらス店内の3箇所です。ベンダーは、街を歩いていても、この他には見かけることがありませんでした。 さて、カプセルの中身はというと、やはりミニブックの対象年齢欄はマジックで消され、ミニブックはビニール袋の中に入っています。そして案の定、シワになってます。しかし、ビニール袋を一旦開けて再封した痕跡は一切ありません。 ※註:香港で販売されている多くのガシャポン製品(新品)は、本体と同じビニール袋の中にミニブックが入っていることは、皆さんご存知のことと思われます。最近の新しい段階の製品については、最初の封入時点からミニブックが袋の中に入れられていることを把握しています。ところが、少し前の商品では、どうも後から再封していたようなのです。 その理由は、ビニール袋を一度開封した痕が認められるからです。例えば、MS1、MS3、ウルトラマンP4香港版等です。ウルトラ17〜20辺りも怪しいと思います。実際に実見した範囲では、ウルトラマンP2再販・P5再版、P27については未開封状態です。 これは全くの推測ですが、当初はディラー側でミニブックを再封していたのに対し、最近はディラーの要望を受け、工場側で封入しているということなのかもしれません。 従いまして、出荷当時からこのような状態であったと思われます。ところで、カプセル入りで購入した場合、中には各1枚づつミニブックと同大の紙片が入っており、大変に注目できます。その紙片は表裏印刷で、画像の通り、表面には対象年齢についての注意書きが、裏面にはベンダー事業者と香港B社のオフィス・アドレスが記載されています。 |
表面側の要旨は、「対象年齢は8歳以上 注意! 息が詰まるので危険 細かい部品が含まれているため3歳以下の子供には与えてはいけません」という内容です。漢文の方も、ほぼ同様の内容です。それでは、7〜4才の子供はどうなのか?と、やや不可解な部分があります。おそらく、「小物を口に入れやすい3歳以下の乳幼児には絶対に与えるな」と特記しているのでしょう(英文を含めた全体の解釈については、Kさんのお力添えをいただきました。記してお礼申し上げます)。 本来、ミニブックには、日本販売向けに「対象年齢3才以上」、若しくは「対象年齢6才以上」の印刷が行われています。玩具安全基準は、国によって内容が異なるため、販売者は“輸出”先の規則に合わせた方策をとらなければなりません。ガシャについては、ミニブックの印刷を変更したり訂正シールでの対応は行われていません。というか、香港人は、そういうところ(外国語のパッケージのまま)は全く気にしないようでもあります。しかし、対象年齢の部分については、行政指導を受けたり、消費者から事故責任を問われる恐れがありますので、「とりあえず消しておこう」的な措置をとり、別に補足説明紙片を用意しているのでしょう。 それにしても、ガシャの対象年齢が8歳以上とは基準が高いと思います。それだけ慎重な国なのでしょうか? もう一つの解釈も可能だと思います。8歳以上とは、危険度を中心に計算した年齢ではなく、知的発育レベルからみた“適応年齢”的な意味合いが強いのかもしれません。 全くの余談ですが、例えば“ガンプラ”の場合、リアリティーや可動性の追求に伴い、どうしても尖った部品が多くなりますが、ガシャとは逆に、シェアを低年齢層から離したくないために、ガンダムの角(アンテナ?)パーツを2種準備したり、パーツ尖端の背面側に雫状の厚みを付ける(カッターで削れる)などして、対象年齢の引き上げを避ける措置がとられています。 さて、次にミニブックの袋詰めについてですが、この理由は、出荷時点でカプセルに入れることを前提としていないためではないかと考えられます。そのために、本体に同封しておいた方が、取扱い上は都合が良いのだろうと思います。香港では、小銭(コイン)を使う習慣があまりないそうですし、物を大切にする国民性ゆえに、全く買い捨てのカプセル封入という商法は馴染まないのかもしれません。実際にカプセルのコストも軽視できないものと思われます。しかも、ガシャのベンダー販売という条件的ルールはあってないようなもので、初めからセット売りされることが暗黙的に容認されているように感じられます。したがって、正規にベンダー業者へ卸して販売を行う分、補足説明紙片とともにカプセル詰めを行っているのだと思います。使用されるカプセルは、ユージンが使用しているような、蓋・身ともに穴のあいた、やや粗悪なタイプです。なるべく安いものが、手配されているのでしょう。 関連記事 → MEMO ALBUM 035 |