42.空白の3穴

ウルトラマンP8
EXPO版
ウルトラマン
 あのEXPO2000で再販された、HGウルトラシリーズ。PART3に続いて売り切れたのがPART7・8でした。そのPART8の中に、ロット違いが含まれていたことがわかりました。

 HGシリーズの中でも王道を走るウルトラマンは、頻繁な再販やベストセレクションによって、その版は非常に複雑になっています。当HPでも、識別のための一覧表を用意させていただいています。SP-Report24 ところが、例外が存在することがわかりましたので、ここに報告させていただきます。

 今回、ご紹介しますPART8「宇宙から来た暴れん坊編」のウルトラマン(出現ポーズ)は、これまでに2版が出ています。すなわち初版とEXPO版です。EXPO2000の時、セオリー通りにいけば、初版(4穴)→EXPO版(3穴)とならなければなりませんでした。ところが、私が入手した物は2穴だったのです。他にも、同様に不可解な刻印がなされた物がありました。それは、同じくPART8のウルトラマンキングと、PART7のウルトラマン(水流ポーズ)の2種です。キングは3穴になるはずが2穴、PART7については、一度再販(3穴)が行われていますので、EXPO版では2穴となるはずが、1穴になっていたというわけです。

 考えられる理由は、直前に発売されたベストセレクション2との関係です。この時、ほとんどPART7・8の再販的内容だったにも関わらず、問題の3種のみ、採択されませんでした。したがって、EXPO2000で再び再販される時、この3種は、他よりも版が一つ進んでいない表示でなければなりませんでした。それが、EXPO版で全て同じ版表示に統一され、この3種は1版分をジャンプしてしまったというわけです。そこには、ミステイクか意図的な操作が想像されました。

 ところが、この空白の版が存在していたのです。今回は、PART8のウルトラマンについて証明することができます。それでは、4穴、3穴、2穴の各個体を観察してみましょう。

 まず、確認しなければならないのは、3穴がEXPO版なのか、全く別のものなのかということです。造型面から比較しますと、初版とEXPO版の決定的な違いは、腰分割部の差込穴の形状です。初版では、内面の左側に線状突起があるのに対し、EXPO版では左右両側に線状突起があります。これは、緩み止めに追加改良されたものだと考えられます。問題の3穴個体は、EXPO版と同じ形状を呈しています。

 次に彩色面ですが、赤色の色調に変化があります。初版では、やや朱色調であるのに対し、EXPO版では少し濃い赤色が塗布されています。3穴の個体は、EXPO版の赤色と同色です。強いて言えば、2穴が一番暗い色調を呈していますが、この辺は誤差の範疇でしょう。

 したがって、この3穴個体は、EXPO版であると断言しても問題ないと思われます。あのEXPO2000会場で販売された商品には、2種のロット表記が混在していたということになります。ということは、セオリー通りのロットで生産していたところ、途中、何らかの事情で金型を改修したのか、あるいは、複数の金型が同時に稼働していて、刻印に相違があったことなどが考えられます。両者の比率については、私の見聞する限り、3穴個体の方が少ないと思います。

 こうしたロット表記の違いは、もしかすると他の2種、すなわち、PART7のウルトラマンや、PART8のウルトラマンキングにも存在しているのかもしれません。そのような物をお持ちの方は、是非、ご一報いただきたいと思います。

 最後になりましたが、今回、貴重なアイテムを、お貸しいただきました“えくりぷす”さん、本当にありがとうございました。

2002.4.5作成