47.クリアパーツの修練(2)

シャプレー星人の分解
 HGウルトラマンPART46にマン・セブン怪獣コンプリート計画の一環としてシャプレー星人がラインナップされました。透明衣服をまとった宇宙人として、その表現には大きな工夫が成されています。


 シャプレー星人を、樹脂素材でフィギュア化するためには、大きな問題があったと思います。それは、あの透明の衣服をどのように表現するかということであったでしょう。単純に考えれば、樹脂で薄い皮膜を作って、それを胴体に被せるという手法が思い浮かびます。

 ところが、実際には、本体を中空の透明樹脂で作り、その表裏のスクラッチによって内服と外服を一度に表現したものでした。クリア素材の内側を成型して塗装するという方法は、HGロボコンのロボトンに起源が求められるかと思いますが、ついに全身を巧妙な表裏のスクラッチを伴って大きな課題を制覇したという感じです。腰の部分は、両足の差込ジョイントを確保するために、別パーツを埋め込んでいるところに苦労の跡が伺えます。

 この発想は、高く評価できるものですが、何分、技術的にやむを得ない樹脂の厚みに違和感が強いことを否めません。ましてや腕の部分は、内部のジョイントがそのまま金色部分の表現となっており単調で、隙間が見えるなど限界点を感じます。

 スクラッチについて驚くべきことは、表面のドットです。このドットは決してランダムなものではなく、整然と配列を持っています。こういう類のものをスクラッチすることは案外と難しく、とても高い集中力が必要とされます。強いて欲を言えば、このドットに黒色がウェザリングで落とし込んであると素晴らしかったと思います。

2005.12.21改定