バイク盗難事件 |
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私の愛車CBR900RRが、ある日忽然と姿を消してしまいました。盗まれてしまったのです・・。 バイク好きの人ならわかってただけると思いますが、大事なバイクが消えたショックはとても大きなものでした。 今思えば、もっと厳重に対策しておくべきだったと後悔するばかりです。 そんな後悔の念から、またこれを読んでくれた人に少しでも参考にしていただき、 憎きバイク盗人による被害を少しでも減らすことができればと思い、 このページに私の経験と反省を書くことにしました。 |
↑在りし日のCBR |
事件のあらまし 警察の対応 その後 今思えば・・ バイク盗難情報リンク |
事件のあらまし |
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私は昨年まで埼玉北部の田舎町で暮らしていました。98年型CBR900RRを購入して半年後の98年秋、仕事の都合により東京都世田谷区の独身寮に引っ越しました。
独身寮は駐車場は狭いものの、駐輪場は立派な屋根付きのものが設備されているため、私は都内での足としてCBRを連れてきたのです。
その駐輪場は、鉄筋3階建ての1階部分で、寮の管理人宅の玄関前にあります。南と西の2面は建物の壁に囲まれ、北側(道路側)の壁は左右端が切れていて人が出入りできるようになっていますが、
道路との間には植込みがあり、段差もあるためそこから自転車を出すことはできません。残る東側の1面が出入口になっているのですが、その半分は柱でふさがれていて、
出入り口の幅は1.5メートル程度です。また、その出入り口は道路からは5メートル程敷地内に入った場所にあります。
私は下図の赤い印の位置にバイクを置いていましたが、駐輪場からバイクを出すには、まず隣の自転車を少し動かしてスペースを作り、
何度かハンドルを左右に切り返してバイクの向きを変え、東側の出入り口からバックで出さなくてはなりません。
多少不便ではありましたが、逆にこの出し入れのしにくさから、盗難に対する安心感もありました。
天井には蛍光灯が設置され、夜間も明るく照明されています。引っ越してきた当初はバイクカバーをかけていたのですが、すぐに面倒くささから、バイクカバーをかけずに置くようになりました。私のバイクは、ちょうど道路との間の壁が切れている場所に置いてあったので、
道路からは植込み越しに丸見えでした・・・。
1999年9月11日土曜日の夜9時ごろ、私は自転車置き場の前の道路を通り帰宅し、いつものように私の愛車が置いてあるのが植え込み越しに見えました。それが、私と愛車の最後の対面になろうとは夢にも思わずに・・。
翌日夕方、外出しようと自転車置き場の前を通ったときに、ふと見ると、バイクが置いてあるはずの場所が空いています。
最初の数秒間は、「管理人が動かしたのだろうか」などと呑気なことを考えてました。ハンドルロックしてある900ccのバイクをおばさんが1人で動かせるはずもないのに。たらーっと、冷や汗が出てきました。頭は少し混乱状態で、昨夜自分の眼で見たこともはっきりと思い出せません。「あれ?実家に置いてきたんだったかな?」 とりあえず自分の部屋に駆け込み、いつもの場所にバイクの鍵がぶら下がっているのを確認しました。「キーはここにある、けれどバイクが無い・・。」
すぐに管理人に電話しました。「あの、僕のバイク知りませんか?」「あら?朝の掃除の時には無かったから、てっきり出かけてると思ってたのに・・・。」そのころになってようやく、冷静に判断できるようになりました。「盗まれた!」
警察の対応 |
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北沢警察署に電話しバイクが盗まれた旨を伝えると、最寄の交番まで出頭して盗難届を提出すること、その際にはバイクの車台ナンバーがわかる書類(車検証)を持参するようにと言われました。最寄の交番がわからなかったので訊ねると住所を聞かれ、署が一番近いので直接北沢署に来るようにとのこと。「わかりました。すぐに行きます」と電話を切ってから、車検証を探そうとして気づきました。車検証はバイクのシート下にいれてあるのです。そういえば、僕は自分のバイクの車台番号どころか、ナンバープレートの番号も思い出せません。うーん、としばらく考えた後、任意保険の証書があることを思い出しました。登録番号なら保険証書に記載されています
自転車に乗って北沢警察署に行き、玄関から入ろうとすると、3〜4人の男があわてて出てきて、玄関前に停まっていたパトカーに乗りこみ、パトカーはサイレンを鳴らして走り去っていきました。「なんか忙しそうだな」と思って中に入ると、受付の若いおまわりさんがいるだけです。バイクの盗難に遭い、電話の指示にしたがって来た旨をつげると、彼は「困ったな、今ちょっと事件がおきちゃって人が出払ってしまったんですよ」と言い、どこかへ電話した後、「すみませんが、署に対応できる者がいないので、近くの交番に行ってくれませんか?そのほうが早いですから」とのこと。こっちも自分のバイクを盗られてあせっていたけれど、さっきのあわてようだと大きな事件がおきたみたいだし、日曜の夜だし、人がいないんじゃしょうがないかと思い、自転車で教えられた交番へ行きました。
交番に行くと、北沢署とは対称的におまわりさんはのんびりした様子で、いたって事務的に盗難届を受理しました。車検証も盗まれたと言うと、「そうなんだよねぇ、車検証は車に備え付けとくのがキマリだから、盗まれたら車台番号なんてわかんないよなあ」と、言って、どこかに電話してナンバーから車検証の内容を照会していました。その他事務手続きを終えるとおまわりさんは、「プロの犯行かもしれないよ。昨日の晩だけで、この近所で他に2台の盗難届がでてるんですよ、BMWとハーレーだって。おたくは国産車でよかったじゃない」と言ってました。盗られたこっちは「よかったわけないだろ、ふざけんなこの野郎」と思いましたが、やっぱりその状況なら高額バイクを狙ったプロの窃盗団かもしれないとも思いました。近所のいたずら小僧が若気の至りで盗んだのなら、そのうち近所で(たとえ無残な姿になっても)放置されて発見されるかもしれないけれど、BMWやハーレーのような高級車も盗られているなら、もうどこか闇の販売ルートに乗って遠くに売り飛ばされしまうだろうから、発見される確率は低いかもしれないと思うと、悲しくなってきました。
「現場検証とかしないんですか?」という僕の質問に、おまわりさんは「駐輪場を見てもねぇ・・。車のナンバーを見たとか、直接犯人につながる情報があればすぐ動けるんだけど・・、」と歯切れの悪い返事。その言葉通りその後は現場検証も行われず、何日たっても、何週間たっても、警察からの連絡は一切何もありませんでした。
その後 |
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警察の対応はあてにならないと感じた僕は、翌日情報提供を求めるチラシを作って近所の電柱に貼ってまわりました。バイク本体が見つかる可能性は少なくても、住宅密集地なんだから、もしかしたら怪しい車や人を見た人がいるかもしれないと考えたのです。ところが、次の日仕事から帰ってくると、そのチラシがはがされているのです。しかも寮の敷地内の電柱だけ。他の場所に貼ったチラシはそのままです。寮の管理人のしわざでした。「電柱に張り紙をしてはいけない規則になっている」とのこと。たしかに近所の電柱には不動産屋系のチラシが糊でべったり貼りつけられることが多く、町の美観を損ねるということでそういう規則があるのでしょう。僕の貼ったチラシは僕の名前・連絡先と北沢署の電話番号が書かれており、用が済んだらきれいに取り外せるように貼りつけたのですが、そういう規則があるのなら反論はできません。でも、チラシがはがされていたのは盗難があった当の寮敷地内の電柱だけで、その他の場所に貼ったチラシは、後で僕がはがすまではがされることはありませんでした。
盗難事件の後、管理人夫婦からは「そう言えば何日か前に知らない人があなたのバイクを覗きこんでいましたよ」(だったら早く教えろ!) 「バイクはどうしても必要なのか?無いと生活できないのか?」 「自慢するように置いておくから狙われるんだ」等と、盗難事件の前には一言も言わなかったことを、まるで自分たちの管理責任なんてまったく無いような言い方で言われました。別に管理人の管理責任を問うなんてことは考えていませんでしたが、盗まれる前は管理人の存在に少なからず防犯効果があると感じていた僕は、所詮他人の彼らをあてにしてはいけないことを痛感しました。雇われ管理人にとって、寮内に盗難されやすいバイクを置かれるのは迷惑なだけなのでしょう。
2週間ほど後、バイクが置いてあった場所の近くの植え込みの中からキレイに切断されたクリプトナイトのワイヤーロックが発見されました。と言うか、発見されていたことがわかりました。盗難事件の翌日に管理人が発見していたのですが、「触ってはいけないと思って」、そのまま僕にも何も告げずに放置していたそうです。もう管理人に対する不信感は増すばかりで、こんな駐輪場には二度とバイクは置かないと決心しました。
↑切断されたワイヤーロック |
↑切断面 |
今思えば・・・ |
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盗難から数ヶ月経ち、すでに替わりのバイクも購入しましたが、今度こそ盗まれないようにするために、今回の事件から学んだことを自分なりにまとめたいと思います。
他人はあてにできない 今回の事件で僕が学んだことは、警察や管理人など他人をあてにしてはいけないということです。特にオートバイに関しては、いまだに社会的な認知度が低く、「オートバイは子供のオモチャ」「社会の迷惑」「オートバイなんかに大金をかける奴の気が知れない」程度にしか思われていません。警察も本気で捜査しているとはとても考えられません。これが自動車の盗難なら周囲の反応は大きく違うでしょう。しかも、自動車は盗難に遭っても車両保険でカバーされますが、バイクの車両保険では免責事項となっているのです。痛い目に遭わないためには自分で対策をとるしかないのです。
見せない まず、盗まれないためには、狙われないことです。今回僕は、数ヶ月間カバーをかけずに停めてあったことが一番の原因であったと痛感しています。インターネットなどで他に被害に遭った方の報告を見るとカバーをかけていても盗まれた事件も多発しているようなので、窃盗団はかなり熱心に高額バイクのありかを探していると思われます。ですから、カバーをかけていなかった僕のバイクは窃盗団の目につかないわけがなかったのでしょう。
めくられて中を覗かれては効果がないので、ワイヤーロックを通す穴があいている商品が良いと思います。また、カバーに「警報器作動中」等の警告メッセージが書いてあるだけでも、素人による悪戯的犯行を防ぐ効果があるそうです。面倒でも、停めたらすぐにカバーをかけて隠す習慣をつけるべきです。
怪しい人物 今回の盗難の前に僕のバイクの後輪部分(ワイヤーロックがかけてあった)を覗きこんでいた人物が目撃されています。また、発見されたワイヤーロックには「中古バイク引き取ります」というチラシが付いていました。盗まれる1週間前には付いていなかったチラシです。本来ミラー等目立つ場所に付ける筈のチラシを後輪地面近くのワイヤーロックに付けることも不自然です。おそらく窃盗団は中古回収業を装ってめぼしいバイクにチラシを付け、持ち主の防犯対策などをチェックしているのではないでしょうか。チラシがつけられたら要注意です。
固定する 先述の通り、今回僕のバイクが置いてあった場所は持ち主でも出すのにてこずるような駐輪場でしたが、無理やり引き摺った後も無く、回りの自転車も倒さずにキレイさっぱり持って行かれました。犯人はチームで能率的にバイクを運搬するノウハウを持っていると思われます。バイク本体だけにU字ロック等をしていても無駄なようです。だから、バイクの運搬を困難にするにはバイク本体と電柱や門柱などの固定物を、簡単には切断できない極力太いワイヤーや多間接の金属ロックなどで固定しておく必要があると思います。僕の場合、クリプトナイトの10mm径ワイヤーはその場で切断されていました。
警報器 今回盗まれた現場は世田谷の住宅密集地であり、大きな音がする盗難警報機を付けておけば深夜にこっそり持って行かれてしまうことを防げたかもしれません。 また、「盗難防止装置が付いている」という警告ステッカーを貼っておくことで、素人による悪戯的な犯行に対する心理的な効果もあるようです。ただし、高額バイクを狙う職業的窃盗団の場合はそれでも盗まれてしまう例もあるようですが。
市販の警報機は振動感知タイプの物で1万〜2万円くらいの商品が多いようです。これらのグッズの値段について、盗難に遭う前の僕は高いと思っていました。でも、実際に盗難にあってから、2輪の車両保険では盗難はカバーされないことも知り、数万円の盗難対策で100万円のバイクの盗難が防げるのなら、ちっとも高くないと考えています。ただ、振動感知式の警報機は風や電車の振動での誤動作が多いようです。また、それを利用して盗人はわざと警報機を何度も鳴らし、持ち主にスイッチを切らせることもするそうです。
振動感知式以外では傾斜感知の商品も出ています。サイドスタンドで駐車しているバイクを直立させると警報音が鳴るというものです。僕はこれを装着したバイクを実際に見たことがありますが、傾斜センサーは敏感で、少し角度を変えると大きな警報音が鳴り響きます。傾斜角度を変えずにバイクを移動させることは非常に困難だし、多少の風や振動では誤作動しません。
イモビライザーという、エンジンがかからなくなってしまう機能をもつ商品や車種もありますが、ハサミを鍵穴に突っ込んで直結で乗り逃げするという田舎ヤンキー的な犯行は防げても、プロ窃盗団の組織的犯行に対しては役に立たないと思います。犯人は安全な場所に持ち去ってから、ゆっくりと配線なり部品をいじれば良いのですから。
心構え 上にいくつか書き並べましたが、これらのことはかなり面倒くさいことです。僕なんか、面倒くさいという理由でカバーすらかけていなかったのですから。でも、僕のように盗まれてからいくら後悔しても遅いのです。僕が盗難に遭う前も、友人の話や雑誌の特集記事などでバイクの盗難が多いことは知っていました。頭ではわかっていても、自分にも起こり得る災難とは認識していなかったのです。そして盗難警報器にかけるお金があれば、他のパーツに使っていました。でも、いくら良いパーツを付けても盗まれてしまっては元も子もないのです。
「盗まれにくい車種」というのもありません。インターネットなどで盗難バイクの報告を見ると、ありとあらゆる種類のバイクが狙われています。「盗まれやすい車種」はありますが、たぶん闇ルートで高額なのでしょう、上記のような厳重な対策をとっていても盗まれてしまうバイクであって、それ以外の車種が「盗まれにくい」というわけではないのです。
自分のバイクが大切だと思うなら、盗難を身近に感じて対策をとることが必要です。まだあなたが盗難に遭ったことが無いなら、自分では大袈裟だと思うくらいに盗難対策をした方がいいです。それを見て笑う人もいるかもしれないけれど、盗まれたときにその人が何かしてくれるわけではないのですから。出かけるときに、カバーを外してカギをいくつも外すのはたしかに面倒なことです。でも、プロの窃盗団はおそらく持ち主よりもすばやくバイクを持ち去ってしまうのではないでしょうか。
バイク盗難情報リンク |
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