大友良英/jamjamtv(jul.21 dommune studio)

大友良英氏のトーク番組。ゲストに副島輝人氏を迎えた第1回は日本のフリージャズについて。という事でしたが、とにかく副島さんの話が一々面白くてなかなか時代が進まないという。大っぴらに言えないような裏話も交えつつ、2時間でようやく日本フリージャズの黎明期に辿り着いた感じでした。お宝音源やレア映像も色々出てきて凄く刺激的でした。戦後ジャズが大流行した後で本場のジャズが輸入され、そこで日本のミュージシャンが何をどう考えたかっていう流れが、その激動期にシーンの中に居たオーガナイザーでもある副島さんの口から語られるという贅沢な時間。日本人ミュージシャンのアイデンティティの問題、その解決策として試行錯誤の挙句に出てきたフリーという在り方、その中でのミュージシャンの葛藤や対立和解等々。音楽のみならず、様々なジャンルが激動の時代であったという事。とにかく濃い話が満載でした。次回も行きたいなあ。

トリック・アートの世界展(jul.10 損保ジャパン東郷青児美術館)

所謂トリックアートやオプティカルアート、更には超細密画といった、視覚を揺るがすような作品が色々と。最初に有ったのが高松次郎の影シリーズで嬉しかった。"no.190"というフックの作品が好きです。"遠近法のベンチ"も、凹凸をどう解釈するかで凄く画面が揺らぐ。柏原えつとむの"silencer 68-1"という作品、思い立って裸眼立体視してみたら面白かった。victor vasarelyの連作"vancouver"も好み。立体作品だと、穴の開いたアクリル板を積層した伊藤隆康の"負の楕円"と、鏡を効果的に用いた河口龍夫の"無限空間におけるオブジェとイメージの相関関係又は8色の球体"が面白かった。平面作品に戻ると、三尾公三の"シーレの部屋"と"Fiction Space(B-2)"も良かったな。あと坂本一道の"バベル"も強烈だった。エッシャー的な手法で遠近感を崩してるんですが、観れば観る程混乱して来る作品。好きですわ。ちなみに全体を通して気付いたのは、高松市美術館収蔵作品が多い事。いつか行きたいな。

須田悦弘展(jul.6 ギャラリー小柳)

本物と見紛うばかりの、精緻な木彫りの花。以前よりこの手法は変わっていませんが、作品の凄みは増しているような気がします。無機質な展示室の壁面から生えている朝顔の花が数輪、足下の萩、カウンター下にドクダミと名称の分からぬ金色の花、展示マップにも記されていない場所にやや大振りの木の枝。これらは一応茎や枝が支持体となっていたのですが、入口正面に有った葉の先端で壁に接しているチューリップや部屋の奥で逆さに浮かぶ芍薬の佇まいは凄かったです。物自体の精巧さは勿論、それが有り得ない姿で存在している事、その事が空間にもたらしている静かで強いインパクトが強烈でした。一見本物の花や葉にしか見えないのですが、それが同じ植物素材でありながら特性の異なる樹木から出来ており、従って儚い筈の花弁や葉が物理的な強度を保持しているという矛盾も面白い。それを確かめる術は無いのですが。