≪日本登高研究会救助訓練2001資料No.2≫ Next
【夜の部】
<遭難事故が発生したら>
1.状況を判断する
@残ったパーティーメンバーの安全を確保せよ!二次遭難は絶対に起さない!
現在の場所の安全性について | 雪崩れの危険はあるか | ない | ある |
落石の危険はあるか | ない | ある | |
転落の危険はあるか | ない | ある | |
天候について | 天候悪化の兆しや傾向はあるか | ない | ある |
メンバーの状況について | 極度に動揺しているか | ない | ある |
極度に疲労しているか | ない | ある |
A事故の状況を判断する
事故発生日時・山域・山名・ルート名・発生場所・事故者の位置・事故の原因・事故の内容・事故者の状態・パーティーの位置
*事故者の位置は、図で書いておくとよい
B自力救助の可否を判断する
遭難者の状態・ルートの難易度・天候・現有装備・メンバーの技量などを考えて自力救助できるか
他のパーティーの協力を仰ぐか、警察などに救助を求めるか判断する。
この時に、無理な自力救助を行って二次遭難を起してはならない。
判断=自力救助できる →項目2へ
=自力救助できない→項目3へ
2.救助活動
救助活動の立案
@捜索場所の範囲・救助方法・発見の合図・制限時間・集合場所・無線交信の時間と周波数を決める
A役割分担
記録係:救助メンバーの行動(捜査範囲・捜査方法などを時系列的に記録する)
無線係り:救助メンバーと後方支援メンバー、または下界との連絡を行う。
事故者への付き添い:搬送まで遭難者に付き添い応急手当を行う。(発見した場合)
B事故発生の第一報を発信する
救助活動に入る前に、事故発生の第一報を発信しておく。
この段階では、救助要請ではなくて、自力救助できなかった場合に救助隊等の活動の立ち遅れを防ぐためである。
■内容:項目1−A
■連絡先:1.地元の警察署 2.所属山岳会 の優先順位に従って連絡する。遭難者家族には混乱を防ぐ為山岳会から行う。
■連絡方法:無線・携帯電話・伝令
C捜索<捜査ルート上で遭難者の装備などの落下物に注意>
たえず、振り返りながら進む。事故者が岩陰の裏側にいる事がある
呼びかける時は名前を呼ぶ
発見できない場合:救助隊やヘリが発見しやすいように遭難現場に目印つけておく
発見したが救助できない場合:安全な場所に移動し、救助要請。応急手当を行い声をかけ精神的不安を軽減する。
発見し救助できる場合:必要な応急処置を行い、慎重に搬送する。
発見したが死亡していた場合:遺体をむやみに動かさない。遺体と現場の写真を撮影しておく。
ただし、遺体の損傷や流失の危険がある場合は、遺体を発見した場所に目印を付け安全な場所へ移動。
さらに必要であれば、ロープなどで固定する。警察に連絡して指示を仰ぐ。
3.救助の要請
自力救助が困難な場合や、自力救助を試みたが発見できなかった場合などは地元警察や所属山岳会に救助を要請する
@無線による連絡
メインチャンネル145.00MHzまたは433.00MHzで「非常」「非常」「非常」と3回呼びかけ応答を待つ。
応答があったら、相手局にサブチャンネルを指定し、そちらに移る。*非常通信を行ったら後日所轄の電気通信管理局に報告書提出。
A伝令による連絡
無線機や携帯電話を携帯していないときは伝令により救助を要請する。
2名一組で、下山ルートの難易度とメンバーの技量を考慮する。
項目1−Aを記入した連絡書を持たせる。
B遭難信号による連絡
無線・携帯電話・伝令による連絡が不可な時は遭難信号を送る。
光やホイッスルで行う。
■遭難信号の発信:遭難信号は2分間で1周期で、最初の1分間で6回の点滅を行い、次の1分間は消灯する。
★★★★★★οοοοοο★★★★★★
10秒間に1回の点灯を6回→1分間消灯→繰り返す
■遭難信号への応答
遭難信号を受けると、応答信号を返してくる。応答信号は2分間で1周期で最初の1分間で3回の点滅、次の1分間は消灯。
★ ★ ★ ο ο ο ★ ★ ★
20秒間に1回の点灯を3回→1分間消灯→繰り返す
Bヘリコプターの要請
ヘリコプターの要請の判断は遭難者が行う。ただし、遭難者が意識がない場合はパーティーのリーダーが行う。
★民間ヘリなど費用の点がからむ場合は、遭難者の家族に費用がかかる旨を説明し許可を得た方が後々面倒がないと思う。
■ヘリコプターの要請は警察が行う。
■ヘリコプターに発見されやすくして待機する。飛来したら、衣服を振る(空色が見つけやすい)、光を反射させる、焚き火の煙を利用する。
★遭難捜索本部は在京メンバーが行う方が混乱がない。
★不幸にして、遭難にあってしまったら遭難者の家族の気持ちをよく理解し、適切で、親身な対応を心がけましょう。