明神東稜

2002.4.27〜28
メンバー:惠川・他1名


4月26日 (金)

夜、10時00分に東京を出発。渋滞のない中央道をひたすら走る。
途中双葉SAへ寄るが駐車場もガラ空き。
沢渡の駐車場もガラ空きで、好きなところに車を止められた。

4月27日 (土)快晴
上高地(7:40)〜明神(8:05/8:20)〜宮川のコル(9:40)〜ひょうたん池(11:30)

朝、6時00分に起床。
タクシーの相乗りで上高地へ向かう。
4人乗りで1,100円/一人だったのでバスより安かった。(バス=1,350円/一人)
上高地は何やら工事中で広場はいつもの半分のスペースになっていた。
大きい建物を建築中のようであった。

明神から明神橋を渡り、養魚場を右手に小さな小川を渡りながら下宮川谷へ入る。
ガレた谷あいを上へ上へと進む。所々残雪があるが、数歩で終わる程度。ほとんど夏道。
丁度30分登ったところで、右側の沢へ乗越すように・・・と、教えられていたので時計を見てもうそろそろだなぁ・・
と、思っていたら、先行パーティーが何の躊躇もなく右側へ渡って行った。
我々も後へ続く。
前方には五峰が見える。黒い。
宮川のコルへ着くと、雪があった。左手からは古いデブリの跡があった。
遠くに見えるコルを目指すには、急な斜面をトラバースして到達する。雪が不安定な時は雪崩れの恐怖に怯えながら進むところ。

ひょうたん池にはお昼前に着いたのだが、一番先を行くパーティーがラクダのコルへ向かって行ったので
時間は早いがコルでテントが張れなかった時の事を考え、今宵の宿はひょうたん池にすることにした。
下宮川谷でご一緒になったパーティーも、ラクダのコルは狭い旨伝えると「それでは、我々も今日はここにします」
と言う事で、ひょうたん池で並んでテントを張る事にした。2人パーティーが二組、4人の宿泊となった。
これが本当によかった事を数時間後にしみじみと思う事となる。

ブロックを積んで、テントを設営し終わってもまだ時間が余った。
らくだのコルへ向かったパーティーは、途中の岩場からロープを使用し、以降雪稜でもずっとアンザイレンしている。
セカンドが少し難儀しているようで、結構時間がかかっていた。
そこで、明日の行動がスピーディーになるように、岩場にフィックスを張りに行く事にする。

急な雪壁は完全に腐っていて、所々シュルンドが開き、這松へ乗り移って夏道を歩くという感じ。
そんな事を何回か繰り返して、ガレた岩場へ到着した。
取り付きからルート上には雪はない。
左上の木から古く細いフィックスロープが垂れ下がっている。
2〜3年前、フィックスのみで登攀し、切れて墜落死亡事故があった個所だ。
岩壁には少し高めの位置に残置のピンがあるが、雪がある時の高さだろうか、少し高すぎるので
右側背後の残雪にスノーバーを刺してセルフにし、スタンディングアックスでビレイポジションを取る。
40Mくらいロープを延ばし、先ほどの残置ピンでロープを固定した。

テントに戻るまでの下降が怖かった。
雪はメチャクチャに腐っているので、一歩一歩ダンゴになる。
しかも、転んだらタダじゃすまない。という急斜面。所々はクライムダウンで下りた。
テントに戻ってもまだ日があった。昼間の時間が長くなったものだ。

テントに荷物を置いて、トイレへ行こうと再びテントを出てビックリ!!!
なんと、テントの周りを大きなクマの足跡が行ったり来たり・・・・・・・・・・・・・また、クマ!!
(今月上旬、マチガ沢でクマの親子に出会ったばかり/雪上訓練参照)
隣のテントのパーティーに聞いたら、うただ寝していたからわからないけど、そう言えば何か歩いてたみたい・・・
お互い、何かあったら声を出し合いましょう!という事にして、寝るまでラジオは点けっぱなしにしていた。
本当に、私たち二人きりでなくてよかった〜〜!どちら様か存じませんが、心強かったです。

4月28日 (日)快晴
ひょうたん池(5:07)〜バットレス基部(8:10)〜明神主峰(9:06)〜上高地(13:10)

昨日腐りきって歩きにくかった雪壁も今日は締まっていて歩きやすい。
フィックスを張った所を今日は荷物を背負って登る。三級の岩場を越すと、草つきのガレた急斜面。
雪は全くない。
40M登って、ロープを回収した後は、這松の中へ突入。
這松の下を見るとかすかに踏み後が見受けられるが、枝の上へ乗り、またぎ、枝をかき分け結構なエネルギーを消耗した。
ここからは稜線歩きや、岩稜歩き、雪壁ではダブルアックス、フロントポイントで登って行った。
らくだのコルには、テントを張った形跡はなかった。
雪を切れば何張りか張れそうなスペースがあったが、風が通り抜けて寒そうな場所。
コルを通り抜けると直ぐにバットレスの基部に到達する。
最初の岩場は、左側を巻いて難なく通過する。
次の岩場の基部でロープを付けた。
正面には、か細い残置ロープが垂れている。
1本目のピンがちょっと高目のところにあることから、雪がある時はもう少し上からスタートなのかもしれない。
最初、アイゼンを履いて登ろうとしたのだが、最初の一歩の乗るところがない。
しかたなく、アイゼンを外して再スタート。
始めは凹角沿いに登り、途中から幅の狭いわずかなスタンスを足がかりに右側へトラバースし、直上した。
最後は残置ピンにかけられたランナーを掴みA0で乗り込んだ。
雪が付いていたり、ベルグラが張っていたりしたらとっても難しそうだな・・と、思った。
ロープをたたんで、後は岩稜帯をグングン登る。
左手にはニ峰をはじめ、主稜線の岩峰群が見える。全てマックロ!!
明神岳主峰に到着して大休止。
雪が早くに腐り始めていた事からテント場より一気に登って来たので疲れた。

目の前のマックロな主稜線を見て、この先へ行くのはやめにして、岳沢へ下降する事にする。
岩稜帯を奥明神沢のコルまで岩稜帯を下降する。途中少々登ったり、トラバースしたりするが、踏み後は明瞭。
急な下降に入った所で、支点があった。
ロープを出して、コルまで懸垂。シングルで到達した。
コルから奥明神沢を下るが、途中亀裂が3本くらい走っていてあまり良い気分ではなかった。
岳沢にはほとんど人がいなく、閑散としていた。
各バリエーションルートも雪は余りなく、登っている姿もなかった。
そのまま沢筋を降りて、雪が少なくなったところから夏道へ戻り、上高地まで。
一日早いが、温泉へ入って帰宅した。
帰りも渋滞もなくすんなり帰れた。昨年と大違いの行き帰りであった。

【まとめ】
前から行きたかった「明神東稜」今回は雪が少なく五峰まで行けなかったのが残念だったが、
東稜自体はトレースできたので満足。
核心部は、バットレスの二番目の岩の登攀。
前述したが、手足共微妙なスタンスしかなく、冬期はさぞかし困難そう・・・
今回は、ひょうたん池の上の急なガレた岩場と、核心部だけロープを出したが他はロープは使用しなかった。
雪の状況や、天候、メンバーの技量を見て、不安に思ったらロープを出した方が良いかな、と思うような所は何箇所かあった。
クマには参った・・・


<惠川:記>


さわのすけ★「北鎌尾根」