YAKUSHIMA


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屋久島安房川北沢左俣〜翁沢遡行の記録
2000年9月1日〜6日
メンバー:敷島・松永・樋渡(風来坊)/久本(裕)ARI/惠川

【東京から屋久島へ】

屋久島の沢登に誘われた。先日屋久島へは行ったばかりだし・・・どうしようか・・・と、迷ったが
過去の遡行の記録、HP上での写真などを見ているとだんだんと「行く!」方向へと心が動いていった

まずは飛行機の手配をしなければスタート地点に立てない
9月からは料金がちょっと上がって6月のように割引率はよくない
何気に入った旅行会社で9月1日だけANAで超割バーゲンのチケットを発売する事を知り
チケットが購入できたら「行く」事にした
幸いな事にチケットは購入でき、出発は決定した

9月1日(金)※晴れ<羽田〜鹿児島〜屋久島〜荒川口>

朝、羽田を出発して鹿児島へ到着。今度はYS−11の事はさほど心配はしなかったが
裕子さんは初めてなので、ちょっと緊張気味
丁度翼の上の座席だったので、振動が激しく、まるでマッサージ機に座っているかのよう・・・
飛行時間は35分くらいで屋久島へ到着し、トッピーで屋久島へ入ってくる敷島さん、樋渡さん、松永さんと合流する
17時まで時間がちょっとあったので、「屋久島環境文化村センター」を訪れ館内の見学と
IMAXを思わせるような大スクリーンで屋久島の迫力ある映画を見た(500円=必見)

9月の屋久島の日差しはまだまだ強く、6月には見られなかった”ハイビスカス”の花P1がいたるところに咲いている
今年は”ヤクシャクナゲ”は不作だったそうである
毎年たわわに咲くとは限らず、ダメな年もあるという事をタクシーの運転手さんから聞いた
来年咲く花芽が既に沢山付いていたので、来年はきっと見事であろう

トッピーが到着して、3人と敷島さんのお友達「屋久島山岳会」の武田さんと合流してから
近くのスーパーで食料と共同装備の買出しをして、おいしいご飯を食べに行く
武田さんのお勧めで、お刺身がおいしいというお店へ入ったが、本当においしかった!!

おなかも一杯になって、日没となったので今宵の宿、荒川口へと車を走らせる
途中で小さなバンビが飛び出して来て、車で追った

荒川口はトロッコ電車の発着点
テントとツエルトを簡単に張って今晩のネグラとする
夜は暑くて寝苦しかった


9月2日(土)*晴れ時々曇り<荒川口〜大株歩道入り口〜軌道敷終点〜安房川入渓〜翁沢入口>
(起床/4:00〜出発/6:00〜入渓地点/8:00〜F12/13:00〜BP/16:00)

星が瞬く暗闇の中
ゴゾゴゾとテントから這い出して、朝食を取り、ヘッドランプを照らして軌道敷を黙々と歩いて行った

安房川は全長21Kmという大変長い川で、最初から遡行すると一週間の滞在では無理かもしれない
大抵は、できるだけ軌道敷を歩き、安房川北沢より入渓しているようだ
私たちも、軌道敷終点を目指す
しかし、この軌道敷、長い。途中には巨大化したカエルがうじゃうじゃしていて不快だった

夜がだんだん明けてきて安房川がはっきりと見えるようになると「白谷雲水峡」への分かれ道となる
更に先へ進んで、入渓地へ到着するP2

大きな平らな石がゴロゴロしていて、その上で装備を着用しP3、入渓する

身長ほどもある岩が重なり合っているところをマントリングでよじ登ったりP4
足や腰が水に浸かるのは度々であり、時には泳いで対岸に渡ったりもした
とにかく、転がっている一つ一つの岩が大きくて
ちょっと遅れると、先へ進む敷島さんの姿が岩の陰に入ってしまい、見えなくなるP5
さすが、敷島さんはルートファインディングがお上手で、躊躇している様子もなく、ぐいぐいと先へ進んで行く

小さい淵や釜はしょっちゅう現れるが、泳ぐのに丁度手ごろな釜を目の前にして
みんなためらう事無く、釜へ飛び込んで遊んだP6
ひとしきり泳ぎに満足すると、再び巨岩めぐりが始まる

午後から少し曇ってきた
時々お助け紐が必要な個所が出てくるが、ザイルを出す必要はないP7
やがて、景観が変わり、あたり一面苔むした渓となってくるP8
緑色の水の色と苔が見事な調和を見せてくれ、安房川北沢で一番神秘的な光景だ

やがて、大きな淵を持つ大きな滝が現れた
ここが今回の最大の滝”F12/30M”の滝だP9

翡翠色の水がまことに美しく、流れる白い滝を静かに吸い込んでいる
さて、どのように突破するかと思えば・・・やはり泳ぐんでしょうね・・・
左岸の淵の際を20Mほど泳いで行く様である

密かに用意してきた”浮き輪”が役立つ時がきたのである
軽量化の為、子供用にした浮き輪は、頭からかぶれないので手に持って入水する
しかし、かえって抵抗があって中々先へ進まない・・・
とっても長く感じた
終着近くになると、大きな木が水底に向かって斜めに刺さっていた
水底に届いているであろう先は見えない

翡翠の水は私の足を飲み込もうとしているかのように思えた
飲み込まれない内に早くあの木へ這い上がろうと必至で泳いだ

木をよじ登って水から上がると、体は冷えて寒かった

二俣へ出た
ここから翁沢へと入っていく

本当に屋久島の沢は、スラブ状の滑り台、釜や淵、目をみはる程の水の色、
そしてガラリと変わってゆく渓の景観、と・・・全く飽きる事無く遡行を楽しめるので、時間の経過を忘れるほどだ

前方には翁岳の変わった形の巨岩が聳え立っているP10
もう、まもなく夕方を迎えるので、やや開けたところでビバーグする事にする
沢からちょっと上がった台地を整地してツエルトとタープを張り
河原では、食事をし、焚き火をして暖まった
溢れんばかりの天然のシャンデリアの下で、沢音を聞きながら一日の疲れを癒すべく深い眠りに就いた


9月3日(日)*晴れのちどしゃ降り〜雷雨<翁沢入口〜源頭部〜宮之浦岳〜新高塚小屋(泊)>
(出発/7:00〜源頭部/9:30〜宮之浦岳頂上/11:00〜新高塚小屋/14:30)

夜が白々と明けてきた
今日は、遠くに見える翁岳の鞍部へと向かう

昨日までと違って、巨岩は相変わらずだが、渓谷の様子は深いゴルジュ帯となって行くP11
しばらく行くと、大きな岩で行く手を塞がれた
少し隙間があり、中を覗き込むと洞穴のようになっていて、中には滝が流れている
巨大なチョックストーン状となっているようだ
狭い隙間から入り込んで、中を登っても行けそうだったがかなり濡れて、しかも恐ろしそう・・
左側から乗り越して行った
乗り越しても、かなり狭いチムニー状のところを這い上がらなくてはならず
荷物を背負っては無理なので、荷物は外側から引っ張り上げてもらい
体は、狭いチムニーから上がった

這い上がると左右にはだんだん草原色が濃くなり、濡れた草つき斜面が上部へと続いている
下から遥か彼方に見上げていた「岩塔」がだんだん近づいてきた

あんなに堂々と流れていた水の流れも徐々にかわいらしいものとなり
やがて、ヤクザサ、アザミ、ヤクシャクナゲなどが多くなってくる
アザミは小ぶりだが、ホールドにすると・・とっても痛くて閉口した

コルに到達するとあたりは眩しいほどの緑の草原の中!!P12
翁岳から歩いて来た縦走者がこちらに向かって手を振っている
縦走路はすぐそこだった!安房川北沢左俣〜翁沢の遡行終了!

沢靴を脱ぎ、沢ウェアを脱ぎ捨て、サンサンと輝く太陽の光を全身に浴びた

一休みして、宮之浦岳へと向かう。
宮之浦岳へ向かう途中では、中々見つけにくいと言われている「ヤクシマリンドウ」P13が岩場に咲いていた

宮之浦への登り、前回来た時は結構な登りと思っていたのだが
今回はなんて事無く、いつのまにか宮之浦岳へ到達してしまって、些か拍子抜け・・P14

宮之浦岳へ到着する頃、雲行きが怪しくなり、平石展望台では雨が激しくなってきたので、岩小屋で雨宿りをした

まもなく天気になったので、再び歩き出したが、束の間の晴れ間でまたしてもどしゃ降りに・・・
今日中に「荒川口」へ戻る予定だったが、みんなの意見が直ぐに一致して「新高塚小屋」泊まりに変更!

そんなワケで食料もラーメンしか持っていなかった・・少ないラーメンをみんなで奪い合って空腹を抑える
夜中は雷雨が激しかった


9月4日(月)*どしゃ降り〜曇り<新高塚小屋〜軌道敷〜荒川口〜千尋展望台>
(新高塚小屋/7:00〜荒川口駐車場/12:00)

朝の食事も又、ラーメン・・しかも3個を5人で分かち合った
まだ雨は止まない・・・どうせ濡れるのだから、沢ウェアを着用していく事にする

雨に加わり、風も強くなってきた
縄文杉を過ぎ、ウイルソン株では中に入って雨宿りをした

長い長い軌道敷道に入ると右手には安房川が見える
一昨日入渓した時の安房川とはまるっきり別の川と化していて、ドッドッドッ・・と音を立て荒れ狂っていた
流れが合流するところは激しくぶつかり合い、水柱が勢いよく立っている
雨も入渓日も、一日ズレないで本当に良かった・・・・・・

軌道敷道が終わりに差し掛かり、鉄橋を渡る回数が増える頃になると、雨も小降りになった
人が通ると自動でライトが点灯するトンネルを抜けると出発した荒川口へ到着

全てを着替えて、軽く食事をし、尾野間の温泉へと向かう
尾野間の温泉は入浴料200円
キレイで熱めの温泉でとても心地よかった

夕方、雨はすっかり上がった。尾野間でおいしいご飯を食べてから千尋展望台へと向かった


9月5日(火)*晴れ時々曇り<千尋滝右岸スラブ登攀中止〜ドライブ&海水浴>

今日はクライミングの日、屋久島でのクライミング適期は”冬”
夏は激暑で止めた方がよいそうである
で、日の出と共に登攀し、さっさと終了するという事であったが・・・
スラブ状の壁は見事に、濡れ濡れ。P15
昨日までの雨で、アプローチも水が満水状態で滑れば、淵にボッチャン!!P16
止む終えず諦めて、さっさと屋久島一周ドライブと海水浴に転進

トローキの滝、大川の滝、平内海中温泉を見学して栗生の海岸で泳いだ
今日の宿は「紫水館」に泊まる
「紫水館」の夕食がすごかった!
お刺身、飛び魚のフライ、飛び魚のさつま揚げ、野菜の煮付け、有頭エビの塩焼きなどなど・・・
全て少しづつ残さないと食べきれないほど・・・しかも、み〜んなおいしかった!
3日の夕食との差が大きすぎる・・・・・・・・・・・・!


9月6日(水)*晴れ時々曇り<ダイビング〜帰京>

敷島さんと松永さんはもう一泊するので、沢登へ
裕子さんは早朝便に乗るので空港へ、樋渡さんと私はダイビングへと別れ別れになった
私はダイビング未経験だったので、YNAC<屋久島エコツアー>で「体験ダイビング」を申し込み
午前中はシュノーケリングのレッスン
午後からは、器材を付けて実際に潜るというスケジュールだ

私の他に生徒は2人、インストラクター2人の教室で、潜る時はマンツーマンで安心
初めての海の中、沢山の魚が私の事を見ていて、何とも不思議な感じ・・・
短い時間であったが、とても親切に教えてくれて大変楽しかった

一人で屋久島へ来て、こういった「ツアー」に入り、沢登やカヌー、ダイビングなどを楽しみ
一週間の休暇を楽しんで帰るという人が結構いる事を聞いた

全てのレッスンを終え、楠川温泉に入り、空港へと向かい
最終の鹿児島行きYSー11機に乗り込み
楽しかった「屋久島」の旅は終わってしまったのであった

<惠川:記>
※ダイビングでお世話になった<YNAC>は「屋久島縦走」のページにリンクしてあります※

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ハイビスカス 軌道敷道
P1 いたるところで見られるハイビスカス P1へ戻る P2 軌道敷道最終 左側が安房川 P2へ戻る
入渓地点 安房川北沢
P3 入渓地点 P3へ戻る P4 安房川北沢 P4へ戻る
巨岩の乗越 泳ぐのに最適な釜
P5 巨岩の乗越 P5へ戻る P6 泳ぐのに最適な釜 P6へ戻る
お助けシュリンゲを使ってよじ登る 緑の苔が美しい
P7 お助けシュリンゲを使ってよじ登る P7へ戻る P8 緑の苔が美しい P8へ戻る
F12/30Mの滝と深い淵 翁沢より中央遠くの稜線が翁岳
P9 F12/30Mの滝と深い淵 P9へ戻る P10 翁沢より中央遠くの稜線が翁岳 P10へ戻る
翁沢のゴルジュ帯 源頭から稜線へ右が岩塔
P11 翁沢のゴルジュ帯 P11へ戻る P12 源頭から稜線へ右が岩塔 P12へ戻る
ヤクシマリンドウ 宮之浦岳頂上
P13 ヤクシマリンドウ P13へ戻る P14 宮之浦岳頂上 P14へ戻る
滝の方から「梅津ルート」「鯛焼きルート」「スペシャル鯛焼きルート」「千々岩ルート」「龍鳳登高会ルート」と、5本のライン 一段下がった白い斜めのスラブを右上して更に奥のスラブも右上して、取り付きへ到着する
P15 千尋の滝とスラブ P15へ戻る P16 千尋右岸スラブ千々岩ルート取り付き P16へ戻る
番外編 その1
安房川左俣激流 <安房川北沢左俣にて>

写真手前から流心をジャンプして越え、対岸に渡り
ガバホールドをつかんで
右方向へ進むのだが、着地が下方になってしまった為
流される寸前のところで、シュリンゲを出してもらい
助けてもらっているところの写真

〔敷島さん撮影〕
=さすがプロ!どんな時でもシャッターチャンスを逃がさない
P17 激流と戦う・・ top