[ Fate/EXTRA/CCC
発売記念SS ]
また・・・またしても、私に記憶が無い。
頼もしいサーヴァントも、記憶の一部が欠けていた。
見たことも無い旧校舎に閉じ込められ、聖杯戦争に復帰する事も出来ずに、ずっとこのままなのか・・・。
「気をしっかりもて、奏者よ。記憶が無いなど、些細な事よ。
それよりも・・・見よ!余のこの・・・ぴちぴちした、おニューの衣装を!」
誇らしげに、セイバーは自分の衣装を見せ付けるように、くるくると回った。
赤くきわどい衣装だったセイバー。
今度は、白くきわどいぴちぴちのライダースーツ・・・っぽい拘束服。
ぱっと見て、はじめはウェディングドレスっぽいなぁ、とは思ったんだけれど・・・どうなのかな。
「そして、これをしっかり着こなしてしまう、至高の芸術である、この余を最大限の言葉で褒め称えよ!」
「・・・・・あ、はい・・・”イイね”。」
どこまで行っても、セイバーはセイバーのままだ。
これは、これで安心する。しかし、このままじゃいけない。
マイルームで、とりあえず戦闘の疲れを取る。
ベッドは・・・気を使ってくれたのか、どうなのか・・・一つしかない。
いや、待て。一緒に寝るのか?
「む・・・猫の額ほどの狭さだが・・・まあ、奏者と一緒なら、余は文句は言わぬぞ。
・・・あーホント、狭い・・・ビックリするほど、狭い。あと薔薇が足りぬ。部屋の色彩も貧相この上ない。湯浴みのスペースも無い。あー狭い狭い。」
・・・文句言いっぱなしじゃないですか・・・。
「あ、でも!私は、セイバーと一緒で嬉しいなっ!」
・・・とか言ってみる。
このまま、愚痴を枕元で聞くのは、安眠妨害の元だ。
すると、セイバーがこちらをジッと見て、口をパクパクさせた後、ぱあっと笑顔になった。
「・・・そ、そうかっ!?・・・いや、うむ。そうであろう!そうなのだ!!
芸術の女神に寵愛されている、この余が傍にいれば、美術館・コンサートホール要らず!
いい夢を見せてくれよう!奏者よ!はーはっはっはっは!!」
・・・うん。可愛い。馬鹿だけど、可愛い。
「そういえば、奏者よ・・・そなたの服装も変わったな・・・うむ。色が地味なのは変わらぬが、実に良い。」
セイバーが褒めてくれたのは、私の制服。
今度は、セーラー服だ。
「そう?」
私は、思わずセーラー服のスカートの裾を少し上げる。
「それだッ!!奏者よッ!」
「うわっ!?び、びっくりした・・・!」
いきなり大声を出すセイバーに、私は思わず驚いた。
「よいか?奏者よ・・・前回のそなたは・・・どんなに走っても、坂道を上がっても・・・余が下から仰ぎ見ても、白き三角結界が見えなかった・・・ッ!」
「あのー・・・白き三角結界って何ですか?パンツですか?ねえ、パンツだよね?パンツ見てたの?ねえ?」
「ところがどうだ!?今回のそなたは・・・セーラー服だ!!ジャンプをして!坂道、階段を駆け上がり!穴から落ちる時・・・!!」
「人の話聞いてる?聞いてないよね?ねえ、私のパンツ見てたのよね?」
「そう・・・常に余の目の前で、奏者のパンツが見える状態!そして、生足!!実に良い!!!」
「やっぱりパンツ見てたんじゃないっ!つーか、迷宮探索中にどこ見てたんだ!!あと、最後まで白き三角結界って言葉を使い切れッ!!!」
「む、何を言う。見てたのではない。見えていたのだ。」
「ねえ、何が違うの?それ、何が違うの!?」
「余の視界に、そなたのパンツらしきものが映った・・・それだけのことよ。」
「・・・そ・・・それだけ・・・。」
私の抗議もなんのその。
暴君は、いつも通り自論を語りかける。しかも、無駄に誇らしげに。
「うん・・・そういえば、妙に黙ったままついてきてるなぁ、とは思ったわよ・・・。」
いつもなら、戦闘終わるたびに喋るのに。
「うむ。特に、階段を上がり下がりした後、たまに食い込んでいる時が、実に良かったぞ。奏者よ。」
「キリッとした真顔で、他人のパンツの感想言わないでくれる?」
いよいよ恥ずかしくなってきた。
これは、明日一番、売店でパンツを隠す礼装を買おう。
「何を言う。”ちらりずむ”は・・・芸術だ。余が特別に許す。気にせず、どんどんちらつかせるが良い。
いや、むしろ・・・何もない方が・・・うむ!うむうむ!奏者よ!今度は履かずに参ろう!」
朗らかな笑顔で、暴君は両手を広げ、大歓迎のポーズを取った。
「やだよッ!!!」
「・・・む?このSSに、特にオチは無いぞ。オチなど、どうでもよい。・・・そこの者、薄い財布を開き、このゲームを購入せよ。
さすれば、余の芸術的な姿と技で、溺れさせてやろう!はーっはっはっは!!」
「・・・ウチのサーヴァントが、失礼しました。」
[ Fate/EXTRA/CCC
発売記念SS ・・・END ]
[ Fate/EXTRA/CCC
発売記念SS ]
また・・・またしても、私に記憶が無い。
頼もしいサーヴァントも、記憶の一部が欠けていた。
見たことも無い旧校舎に閉じ込められ、聖杯戦争に復帰する事も出来ずに、ずっとこのままなのか・・・。
「今回の私めの衣装、ご覧くださいませ、ご主人様ぁ☆・・・特に、この紐。セクシー&キュート。
力とレベルがアレしちゃったのは、痛手なのですが・・・この服に関しては、これはこれで狐的にアリって感じですね!
やっだ、もう、これで御主人様の熱い視線とLOVEをフライングゲット♪って感じですか〜!」
キャスターは、そう言って、ぴょんぴょんと私の前で飛び跳ね抱きついた。
ぴこぴこと狐耳を動かし、上目遣いで”どうですか?”と服の感想を求めるように私を見つめる。
一見、黒を基調としたゴスロリ衣装のような・・・拘束服。
黄色のリボンというか、紐がアクセントになった・・・拘束服。
「う、うん・・・かわいいね。」
確かに、よく似合ってるし、かわいい、んだけど・・・その胸やら身体をぴったりと縛りつけるような黄色い紐が・・・ちょっと、SMチックと言うか、なんというか・・・。
同性なんだけど、色々と目のやり場に困る。
そんな私の反応に不満そうに、キャスターがねだる。
「ああん!ご主人様ぁ、新しい私をもっと見て、褒めて・・・辱めてくださいましっ!」
「どういう要求だッ!?・・・いや、そんな事よりも!この紐取って、この服脱げるようにしなきゃ!」
この服のせいで、キャスターの本来の力が発揮出来ないのだ。
どうあっても、この服を脱がさなければ・・・!
「ぬ、脱がせてくれるんですか!?草食小動物系女子のご主人様が!?きゃわわ〜ん☆・・・あ、お布団敷きますね。」
いそいそと嬉しそうに、キャスターが布団に手をかける。
「何を勘違いしてるのか知らないけど、布団は必要ないから。・・・とりあえず。」
くいっとお腹の紐を引っ張る。
「あうッ・・・ご、ご主人様・・・そこを引っ張るとぉ・・・色々食い込んじゃいますぅ・・・♪」
・・・何故、少し嬉しそうな顔をするのか、とツッコミたくなるが、ぐっと堪える。
「ごめんね、じゃ、こっち!」
「あっ・・・ん・・・!」
引っ張るたび、どこかは緩み、どこかがきつく締まっていくようだ。
「キャスター、喘ぐの禁止。」
私が注意すると、キャスターは口を尖らせて、すぐに反論した。
「そんな事おっしゃられてもですね、ご主人様。これは、女の子の至極当然の反応といいますか。
狐心をくすぐらんばかりの容赦のない攻め・・・これは、単に御主人様のテクニックのせいかと。
私の肉体的なSG(シークレットガーデン)が、御主人様の手で淫らに咲き誇らんばかり・・・嗚呼!御主人様のドSテクニシャン!」
・・・ちょっと、いや、かなり何を言ってるのかわからないが、とにかくこの部分を引っ張っても脱げない事だけは確か。
「ええっと・・・じゃ、こっちはどう!?」
違う場所を引っ張ってみる。
「あうん!・・・だ、ダメですぅ・・・ていうか、さっきより刺激が増してます。
このまま焦らしプレイ続行だと私、脱げない事がストレスになりそうですよ〜!
もう、いっそ脱ぎた〜い!脱がされた〜い!もー尻尾に十円ハゲできちゃうじゃないですか〜!」
プレイじゃないし、ハゲが出来るなら普通、頭だろう、とツッコミを入れたいのだが、そんな場合じゃない。
「うーん。どうなってんだろ・・・?」
改めて、じっと服を眺める。
「・・・あ、御主人様が見やすいようにポーズとりますね♪」
キャスターはそう言って、M字開脚で座った。
余計見にくいわ、と言おうとしたが、ふと気づいた。
「あ・・・足の間にも紐が・・・。」
キャスターの股間を縦断する紐。
な、なんというきわどい衣装なんだ・・・!
「そうなんですぅ。これが御主人様がさっきから引っ張る度に絶妙な力と場所で擦れるもんですから、つい反応を♪」
そう言って、キャスターは器用に頬を赤く染めて、こちらを見た。
いや、待て。今のは聞き捨てならない。
「は、は、早く言ってよっ!そういう大事な事!」
「あら?私、てっきり御主人様はご承知の上で、私の肉体を弄んでいたのかと。私としては、いつでもウェルカム♪」
キャスターはニコニコと笑いながら、恐ろしい事を口にする。
「私、同性のサーヴァントを弄る趣味なんかないってばっ!・・・いや、そんな事より・・・キャスターごめんね。」
「んー?何故謝るんです?御主人様は、私を脱がせようとしただけじゃありませんか。」
「だ、だって・・・女の子のき、局部を締め上げたんだし・・・。」
「私は、御主人様のサーヴァント兼妻です。耳の先から足の指の爪の先まで、御主人様のものです。
で・す・か・ら♪そんなお顔なさらないでくださいませ、そんな初心な反応されると、もう疼いてきちゃいます〜・・・主にこの辺。」
そう言って、キャスターはぐぐっと私に身を寄せてきた。
何から突っ込もう。
まず。いつ、狐と結婚したのか覚えてない。
「んもう、あんなに濃厚かつ淫靡な夜を過ごし・・・・・・ああ、そう、ですよね・・・。」
いつもの調子で、まくし立てるのかと思ったのに、キャスターはふっと悲しそうに笑った。
「御主人様は・・・覚えて、ないんですもんね・・・いえ、御主人様を責めている訳ではありません。
記憶を無くしたなら、取り戻せor新しく塗り替えろってヤツです。私だって、こんなショボイ状態ですしね。」
「あ・・・!」
・・・ああ・・・私の、馬鹿・・・。
自分を守ってくれるサーヴァントに、更なる心の枷を加えてどうする・・・!
何があろうと、自分は色魔狐・・・いや、キャスターのマスターじゃないか・・・!
そう思った瞬間、私はキャスターを力いっぱい抱きしめた。
「ごめんね!キャスター、私頑張って取り戻すから・・・一緒に、頑張ろうね!」
「御主人様・・・もちろんです!夫婦共に歩む、その為の努力や援助を惜しまないのが、良妻というものです。」
・・・よくわからないけれど、私が女でも、妻ってポジションは譲らないんだね?
「それはそうと、御主人様ぁ・・・お願いがあるんですけど。」
「ん?なに?私に出来ることならやるよ。」
「御主人様にしか出来ません。」
「うん。」
互いに目は真剣だ。
覚悟は出来ている。
そして、キャスターは言った。
「ではでは、私と御主人様との記憶を取り戻す、その第一歩です。」
「うん!」
どんな試練でも、乗り越えてみせるよ!キャスター!
「では、私めと布団の中に一緒に入って、紐のココを引っ張ると下に隙間が出来るので、そこから、御主人様は、ダイレクトに私めのSG(性的な意味)を直にお触りくだ・・・」
『…この…駄狐!!』
「あひゃん!いた〜い!」
・・・私は、この先・・・大丈夫なんだろうか・・・。
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発売記念SS ・・・ END ]