[今日も平和なシャノワール]





コクリコ:「葵ー」

葵:「はーい?」


コクリコ:「葵は、ショーに出ないの?」

葵:「あぁ・・・私、モギリですし。ホラ、顔に絆創膏つけてますからね、見栄えが悪いですから。」


コクリコ:「そんなの関係ないよ!エリカなんか、転んでショー自体見栄え悪いんだから!」

葵:「こ、コクリコ・・・貴女、最近どこでそんな”毒舌スキル”覚えてきたんですか・・・!?」



グラン・マ:「安心おし。葵・・・あたしはね、アンタの風を操る能力を上手い事ショーに生かせないか、紅茶飲みながら考えたよ!」


葵:「・・・つまり、片手間で思いついた、と・・・痛たたたッ・・・!?」


グラン・マ:「アンタの顔の件もちゃあんと考えたんだから、片手間とか言うんじゃないよ。」


葵:「え・・・ほ、本当ですか?・・・で、でも・・・一軍人の私が、そう簡単に華やかなプロの舞台に上がるなんて・・・」


コクリコ:「大丈夫だよ♪練習すれば、葵だって真っ二つだよ♪」

葵:「・・・マジックの助手にしようとしてません?」


コクリコ:「てへ♪」


グラン・マ:「まあ、残念ながら、そういう役目じゃあないんだけどね・・・。」

コクリコ:「えーそうなの!?」



葵:「???????」



〜 ショー 当日。 〜


メル:「皆さん!ようこそ!シャノワールへ!」

シー:「まずは、シャノワールの元気印☆エリカさんで〜す♪ひゅーひゅー!」



エリカ:「みなさーん!こんば・・・・あ・・・!?」


客A:「おっ!早速コケるぞ!前の客、逃げろ逃げろ〜!(笑)」


”・・・バサァッ!”


客B:「お、おい!変なヤツが、スターを抱きかかえて天井近くまで、飛んでるぞ!!」

客C:「ど、どういう仕掛けだ!?」

客D:「でも、ステキな演出ねえ・・・。」

客E:「あのタキシードの殿方は、誰ですの・・・?」



エリカ:「エリカを助けてくれた・・・タキシードに、その顔上部を隠す仮面を着けたアナタは・・・一体誰ですか・・・!?」



葵:「・・・わ、私の名は・・・!・・・わ、私の・・・名は・・・その・・・ふぁ・・・」


エリカ:「・・・ふぁ?」



葵:「ふぁ・・・”ファントム仮面”だ・・・・・・(名乗るのも恥ずかしい・・・泣)」


エリカ:「・・・ファントム仮面様・・・ありがとうございますッ!!」


葵「しなやかな黒猫の乙女にすっ転びは似合わない。(棒読み)

 ・・・という訳で、気を付けて下さいね。・・・では、さらばだー。(棒読み。)」



 ”バサぁッ”



客:「「「「おおお〜!また飛んだぞッ!!」」」」

客:「「「「素晴らしい演出だ!!」」」」



グラン・マ:「よぉし!こりゃ思ったより、イケるねぇ!スターのトラブルに助けに入る、謎の男ファントム仮面…(本当は男装だけど!)

これなら、ショーのトラブルも片付いて、お客には一層楽しんでもらえて一石二鳥ってもんだ!!」


・・・後日、葵はこの”ファントム仮面(恥)”に再三抗議したが、あまりの好評により、却下された。





 〜 ショー当日 舞台袖。〜




葵:「いやぁだあああ!こんな変な格好とマスクして、キザな台詞言うなんて、いやああああああああ!(泣)」


シー:「ワガママ言わないで下さいよぉ!今度は、グリシーヌさんを抱きかかえて飛んで下さい!はい、バラ持って!」


メル:「今度は”青き瞳の乙女よ!その歌声に惹かれて私はやってきた”で登場ですよ!はい!飛んで!バラ投げるか、咥えて!」


葵:「嫌だああぁ!!私は、私は巴里に、戦いに来たのにぃー!!(泣)」



メル&シー:「「はいはい!とっとと行かないと、グラン・マに代わって折檻よッ!!」」


葵:「うわあああああああん(泣)」



・・・現在、ファントム仮面(不定期登場)は大好評・・・らしい。



― END ―









『シャノワール耳掃除劇場。』


※この物語は、グリシーヌのキャラクターが著しく崩壊しています。ご了承下さい。




コクリコ:「んー…」

グリシーヌ:「どうした?コクリコ」


コクリコ:「ん〜…耳の中になんか…」


そう言って、コクリコは耳の奥に指を差し入れていた。

こんな所で、そんな事をするんじゃない、と言いかけた私ことグリシーヌ=ブルーメールの背後から


葵:「コクリコ、良かったら耳掃除してあげましょうか?」


と月代葵が、コクリコに提案した。…”妙に”嬉しそうな笑みを浮かべて。


グリシーヌ:「…葵…その棒、何?」

葵:「耳かき棒ですよ♪これでごっそり!」


・・・どうやら、葵は”耳掃除”とやらが好きらしい。コクリコは少し悩んで、じゃあやってもらおうかなと葵に頼んだ。


葵:「じゃあ、ココに頭を乗せて下さい。横向きね?」


そう言って、葵が指を差したココとは、太ももだった。



・・・な、何だと!?


・・・そ、それは・・・!



『ひ、膝枕ではないか!!!』(グリシーヌの心の叫び)




コクリコ:「こう?」


大人しくコクリコは頭を、葵の太腿にのせた。


葵:「はい、じゃあ…力を抜いてね…」

コクリコ:「わ…なんか、怖いよー…う…」


葵:「大丈夫大丈夫……あ、痛い時は手を上げてね〜」

コクリコ:「うー…歯医者さんみたい…」


葵:「…あー…あるある♪」

コクリコ:「うー…」


葵は、実に嬉しそうにコクリコの耳掃除をしている。コクリコも最初は怖がっていたのが段々目を閉じて、実に気持ちよさそうな顔をし始めた。



グリシーヌ:(・・・う、羨まし・・・・・・・くないぞ!断じてッ!!)


葵:「あッ♪大きいの見つけた♪」

コクリコ:「…あ、ガサッて聞こえた…」


葵:「…そこか………よし、取れた…っ!コクリコ!ホラ!こんな大きいの♪」


コクリコ:「わっ…通りで、聞こえにくいわけだ…って、そんなの見せないでよ!葵!」


葵:「ゴメンなさい、つい…嬉しくって・・・ふふふ。」



グリシーヌ:(…実に楽しそうだな…二人とも…見ている私は、すごい疎外感を感じるぞ…。)


葵:「んー…あとは無いなあ…じゃ…仕上げに…”ふー” 」



葵は、コクリコの耳に息をそっと吹きかけた。


コクリコ:「んっ!?…葵、くすぐったいよぉ!」

葵:「仕上げだから。ガサッて聞こえませんでした?」


コクリコ:「ううん、平気。」



・・・膝枕に、耳に吐息・・・


グリシーヌ:(う……羨ましくなど……ないぞ…!)




コクリコ:「気持ち良かったよ!耳の中スッキリしたし!ありがとー!」

葵:「あ、もう片方もやりましょうか?」

コクリコ:「うんっ♪」

葵:「あ…こっちもなかなか…」


サクサクと葵の耳かき棒が動く。コクリコは気持ち良さそうに葵の膝枕に頭を預けている。


コクリコ:「んー…動物達の耳掃除はしてあげられるんだけどね…」

葵:「そうね・・・自分のは、なかなかね…あ、見つけた♪」


コクリコ:「ん…あ…葵、ソコ、ちょっと、痛い、かも……」

葵:「待って………よし!とれたよ、コクリコ♪みる?」


コクリコ:「み、見ないよ…」

葵:「そう?…あとは………無し!」


そう言うと、葵はまたコクリコの耳元に唇を近づける。



グリシーヌ:(…し、仕上げか?…葵…あの仕上げなのだな…?)



葵:「”ふー”・・・はい、終了♪」


コクリコ:「葵…ありがと!両耳共すごくスッキリだよっ!」


葵:「それは良かった♪」



グリシーヌ:(………良くない…良くないぞ…葵…見ている私は、すごくスッキリしないぞ…!)


コクリコ:「あ、ねえねえ!グリシーヌもやってもらえば?」


グリシーヌ「え、あ…な、何を言うか!!コクリコ!私は貴族だ!耳垢など…人前でさらせるかっ!」


コクリコ:「そんなに怒らなくってもいいじゃん。じゃあ、いいもーん・・・ボク、もうちょっと葵の膝枕で寝るー♪」

葵:「ふふっ・・・コクリコったら・・・今日は甘えますね?」


(わ・・・私の馬鹿ああああああああ!!!)←グリシーヌ心の声。



コクリコ:「…なんか、葵の膝枕って気持ち良いんだもーん。」



(き、気持ち良さそうなのは、解りきっている事だ!私だって、私だってなぁ…!!)←グリシーヌ心の声



ロベリア:「じゃあ次は、アタシにやってもらおうか?」



グリシーヌ:(なッ!?…ロベリア!?)


いつの間にか、ロベリアが部屋の入り口にいて、ニヤニヤしながら、こちらを見ていた。


葵:「…あれ?ロベリアさん?」

コクリコ:「珍しいね?ロベリア、昼間から現れるなんて。」


ロベリア:「うるさいよチビ…葵、やってくれ。アタシは、耳垢を人前にさらしても平気な身分の人間なんでねぇ。」


グリシーヌ:「…悪党…それは私へのあてつけか…?」

ロベリア:「別にぃ〜単なる独り言さぁ〜」



葵:「ろ、ロベリアさん、じ、迅速に、横になって下さい!さあ!」


ロベリア:「はいよ……ん?お前…良い太ももしてるなぁ。」


葵:「…な、何言ってるんですか…?ロベリアさん…」


ロベリア:「筋肉と脂肪のバランスが取れてるから寝心地が良いって言ってんだよ。」

コクリコ:「あ、それ、ボクも思った!葵の膝枕って気持ちいいよ。ちょっと、ぷにっとしてて!」


葵:「…ふ、二人とも、それ褒めて、ます?」


「うん!」「ああ。」


グリシーヌ:(・・・ね、寝てみたい・・・!)


葵:「それ、受け止めようによっては太ってる意味ともとれるんですけど・・・」

ロベリア:「まあ、気にするな。さっさとやんな。」


葵:「はい……あぁ…ロベリアさんの中は、綺麗ですねぇ…残念…」

ロベリア:「・・・耳も、泥棒の命だからな。」



葵:「……あ、でも…奥に…ありますよ!多分、綿棒か、何かで奥に押し込んじゃったんでしょうね…よし!とりましょう…!」


ロベリア:「・・・痛くしたら、タダじゃおかないよ?」


葵:「大丈夫です。こっちの棒を使いましょう…コレはとれますよぉ…うふふ…」


ロベリア:「それ、いつも持ち歩いてんのか?…ホントに大丈夫だろうなぁ…?」



グリシーヌ:(……その棒…出来れば、悪党の耳に刺さって欲しいものだな…刺され…ズブッといけ…!ズブッと…!)


葵「…ホラ、見てください!奥からこんな…♪」


ロベリア:「見せるな、バカ……げっ…。」


葵「…ね?意外と取れますでしょう♪」


ロベリア:「フン…もう、任せるから、好きにしな…。」


葵:「了解です♪」


コクリコ:「ロベリアー気持ち良いでしょ?ボクもスッキリしたんだ♪」

ロベリア:「んー・・・まあな・・・・・・。ホント、こういうのだけは得意だな、アンタは。」


葵:「クスッ・・・ありがとうございます。」


葵は無我夢中という様子で、棒を動かし続けている。


グリシーヌ:(葵は…本当に、好きなのだな、耳掃除が…。そして、上手いのだな……う、羨ましくなど…羨ましくなど…ないっ!!)


ロベリア「…あーイイ…そこそこ…うん……」


葵:「・・・ココも、でしょ?」


ロベリア:「おー…あー…うん。」


グリシーヌ:(…おのれ………こ、声を…出すな…悪党がぁ…!!)


葵:「・・・よし、あとは・・・。」


グリシーヌ:(・・・やめろ、葵・・・悪党に、仕上げは必要ない・・・!)


葵:「・・・”ふー”・・・終了です。」


グリシーヌ:(………くッ…くうっ…!!)



ロベリア:「…葵、それもう一回。」

コクリコ:「あ、気持ち良いからって〜ズルイよ、ロベリア〜」


ロベリア:「フン。こういうのは、言ったモン勝ちなんだよ。」


葵:「よくわかりませんけど・・・じゃあ…いきますよー?」


グリシーヌ:(うがあああああああああああああ!!!)※心の叫び。


葵:「”ふー”・・・終了です♪」



グリシーヌ:(……おのれ…ロベリア…二度も…二度も”ふー”を…ッ!!)



葵:「じゃ、反対やりますね♪こっち向いてください、ロベリアさん。」


ロベリア:「・・・あいよ。」


コクリコ:「…葵、嬉しそうだね?」


葵:「ええ、楽しいんですよ、耳掃除♪」


ロベリア:「…人の耳垢見るのが、かぁ?イイ趣味とは言えないねぇ。」


葵:「そうじゃなくて…綺麗になるのが、良いんじゃないですか!」


そう言うと、葵はまたサクサクと棒を動かし始めた。


葵:「あーこっちの方が、すごいですよ…」


ロベリア:「ん…そうかぁ?…あ、ガサッていったぞ。逃すなよ。」


葵:「・・・解ってます、ちゃんと取りますからね。」



(・・・たかが。

たかが…耳掃除ではないか…何をそんなにイラつく必要がある…。

私は貴族だ…ブルーメール家の…誇り高きバイキングの末裔だ…!耳掃除ごときに、心を揺さぶられてどうする…!)


葵:「あ、ほら…やっぱり♪大きい♪」


グリシーヌ:(耳掃除、ごとき…!)


コクリコ:「わー…ロベリア…こんなの耳の中に…」


グリシーヌ:(たかが、耳掃除…)


ロベリア「勝手に、見てんじゃないよチビ…どれ……あー…。」


グリシーヌ:(…されど…耳掃除…。)



葵:「…うん、あとはありませんね。終了です♪・・・”ふー”・・・よし。」










グリシーヌ:(……羨ましい…。)











コクリコ「ロベリアー、耳掃除終わったってさ。」

ロベリア:「・・・・ああ。」


コクリコ:「…どかないの?」

ロベリア:「・・・ああ、アタシは、このまま寝る。」




グリシーヌ:「何――ィ!?」


葵:「え?ちょ、ちょっとロベリアさん…!?」



”ガタンっ”



グリシーヌ「貴様ッ!耳垢を掃除してもらった挙句、葵を寝床にする気かっ!?(・・・おのれ・・・悪党・・・さては膝枕独占狙いか・・・ッ!)」


ロベリア:「……なんで、そこでグリシーヌが怒るんだよ。」


グリシーヌ:「黙れ!悪党っ!眠いなら、自分の部屋へ行けばよかろう!」


ロベリア:「…そりゃ無理だ。眠くなっちまったから、動けなーい。動きたくなーい・・・ダルい。」


グリシーヌ:「くっ・・・おのれ・・・へらず口を・・・!!」


葵:「…まあまあ…グリシーヌさん…私は構いませんから」


グリシーヌ:「葵ッ!そういう問題ではないッ!普段からこやつを甘やかすとロクな事にならん!こんな事で、巴里が護れると思うか!?」


コクリコ:「いや、グリシーヌ…巴里を護る事と、これは関係ないんじゃないかな…。ボク、ちょっとロベリアの気持ち解るよ。葵の膝枕って眠くなるんだもん。」


グリシーヌ:「いいやッ!コクリコ!これは由々しき問題だっ!眠くなったら、ベッドへ行けば良い!」


コクリコ:「…なんで、そんなに怒ってんのさ、グリシーヌ。」



葵:「・・・二人共。静かに。」


「「え?」」


ロベリア:「ZZZZZZZ・・・」



二人が見ると、ロベリアは深い眠りに落ちていた。



グリシーヌ:「こ、こやつ…!」

葵:「グリシーヌさん。…ロベリアさん、多分疲れてるんですよ。今夜のレビュー前には起こしますから。今は寝かせてあげましょうよ。」

グリシーヌ:「しかし…お前が…」

葵:「大丈夫です。やるべき仕事は済ませてありますし……それに…こんなに疲れている踊り子さんをステージに出すわけにはいかないでしょう?」


コクリコ:「そういや、ロベリア…最近疲れてるみたいだったもんね…。」


葵:「戦闘に、光武の調整、レビュー…いくら、ロベリアさんでも、疲れは溜まるでしょう。ご理解下さい、グリシーヌさん。」


グリシーヌ「・・・む・・・・・・わ、わかった。もう、何も言うまい。(葵がそこまで言うのなら、私は何もいえないではないか…)」






― レビュー終了後。 ―



コクリコ:「ロベリアーお疲れ様ー♪」

ロベリア:「・・・ああ、お前もな。チビ。」


コクリコ:「顔色良くなったんじゃない?…やっぱ、寝たのが良かった?…膝枕で。」

ロベリア:「…殴るぞ、チビ。」


エリカ:「あ、ロベリアさん!お疲れなんですってね!?エリカでよかったら〜いつでも膝枕しますよ〜♪耳掃除も♪」


ロベリア:「げっ……さ、さあて、帰るかなぁ…服役服役…。」


エリカ:「もう…遠慮せずに♪ロベリアさ〜ん♪」


ロベリア:「遠慮じゃないよ!!だああああ!くっつくなっ!暑苦しいっ!やめろ!お前が耳掃除なんかしたら、アタシの三半規管がイカれる!!」


コクリコ:「エリカ〜ロベリアの脳みそほじくり出さないようにね〜!」


エリカ:「は〜い♪任せてくださ〜い!根元からお掃除しちゃいます♪」


ロベリア:「ハ〜イ♪じゃねえよ!!根元は、やめろおおおおお!!!」


グリシーヌ:「はあ・・・(疲れる会話を聞くと、こちらまで疲れてくるな…)」



葵:「お疲れ様です、グリシーヌさん。今夜も素晴らしかったですよ。」

グリシーヌ:「うむ……………葵、また胸元が開いているぞ。閉めろ。」


葵「あ、いけない・・・ごめんなさい…」

グリシーヌ:「…お主も、疲れているのではないのか?」


葵:「あ、いえ、大丈夫ですよ。それより…グリシーヌさんこそ…」

グリシーヌ:「私は平気だ。体調も光武の調子もいいし、全てにおいて完璧だ。」


葵:「いえ、そうではなくて、ですね…あのー…」

グリシーヌ:「どうした?」


葵:「耳はどうですか?」

グリシーヌ:「耳?」


葵:「耳の中、です。」

グリシーヌ:「あ…ああ…耳掃除、か…?」


葵:「ええ…あの、やっぱり…ダメ、ですか?」

グリシーヌ:「・・・何が、だ?」


葵:「・・・やらせて、もらえませんか?」

グリシーヌ:「…な、何を言うのだ!?い、いきなり、そのような事…!」


葵:「でも…」

グリシーヌ:「そ、それは・・・エリカや花火にしてやればよかろう!?」


花火:「私、さっき葵さんに、やってもらいました耳掃除・・・ぽっ」


グリシーヌ:「・・・な、なんだと!?花火もか!」

花火:「ええ、葵さんったら、無理矢理・・・でも、気持ち良かったです・・・ぽっ。

エリカさんも、メルもシーも…レビュー前に皆…残るは、グリシーヌだけなんですって。」


グリシーヌ「う………ど、どうしてもやりたいのか?葵…。」

葵:「…無理に、とは言いませんが。・・・是非。」


グリシーヌ:「………わ…わかった、やらせてやろう…だが。」

葵:「はい?」


グリシーヌ:「どんな耳垢がとれようと、決して私に見せるな。いいな?」

葵:「………はーい…」

グリシーヌ:「なんだ、その”つまらなそうな顔”は…」


葵:「いえ・・・では…横になって下さい。」

グリシーヌ:「う、うむ…では…失礼する…。(これが膝枕か…温かい…これは…本当に…寝心地が…)」



葵:「…んー……グリシーヌさんって…」

グリシーヌ「…ん?」

葵:「いえ…意外と少ないなぁ…って。」

グリシーヌ:「…当たり前だ、そうそう耳垢など溜めるハズがなかろう。」

葵:「…おぉっ…!?」

グリシーヌ:「何…?何だ…!?」


葵:「…こ、これは…今まで数多くの耳を掃除して来ましたけど…」

グリシーヌ:「な、何だというのだ…!?」


葵:「…さすが、大物貴族……!」

グリシーヌ:「…ど、どういう意味だ…ッ!?」


葵:「い、いえ…別に…えーと…と、とりますね…」


グリシーヌ:(そんな風に言われると…見たくなるではないか…)


”ガササッ!!”


グリシーヌ:「い、今の、音は!?」

葵:「あ、動かないで!今動いたら…敵が、逃げます!」

グリシーヌ:「て、敵!?」


葵「………………くっ…手ごわい…!!」

グリシーヌ「…私の耳の中で…一体何が起こっているというのだ…?」


葵:「あ!!」

グリシーヌ:「な、なんだ!?」


葵:「喋らないで!今、大事なトコですッ!」

グリシーヌ「あ・・・す、すまぬ・・・(いや、お前が”あっ!”って言うから…!)」




 ”ガサ…”



葵:「…………と、とれたぁ…!」


グリシーヌ:「・・・・・・。(葵…そのように瞳を輝かせなくとも良いではないか…)」


葵:「…すごい…こんなの…滅多にお目にかかれない…」


グリシーヌ:「人の耳垢で、どうしたら、そんなに感動できるんだ…!は、恥ずかしいから、早く、捨ててくれ…!」

葵:「あぁ…でも見なくて良いんですか?…こんなの…ホントに…」



グリシーヌ:「いい加減にしろ!葵!どのような耳垢でも決して私には…!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・え・・・・


・・・・・・・・こ・・・・・・・・・・これは・・・・・・・・。」




葵:「…ね?すごいでしょ…♪」

グリシーヌ「……これ…ホントに…私、の?」


葵:「ええ♪」


・・・・・・・・・・・・。


グリシーヌ:「…つ…続きを…頼む…。」


葵:「はい♪・・・痛くないですか?」

グリシーヌ:「・・・だ、大丈夫だ・・・。」


葵:「・・・もっと、力抜いてください。グリシーヌさん・・・リラックスして・・・。」

グリシーヌ:「う・・・うむ・・・。」


葵:「・・・・・・・よし。”ふー”」

グリシーヌ:「・・・ん・・・!」


葵:「・・・次、反対側しますよ?」


グリシーヌ:「・・・あ、あの・・・葵・・・その、仕上げについて、なのだが・・・・」

葵:「・・・はい?」


グリシーヌ:「・・・もう一度、た、頼む・・・。」

葵:「・・・え・・・あ、はい♪(なんで皆、仕上げが、好きなんだろう・・・?)」



・・・こうして、グリシーヌは念願の”ふー”(3回も)をやってもらいました。




コクリコ:「グリシーヌ、良かったねー♪」

花火:「ええ・・・でも・・・あちらは・・・」




エリカ:「えいっ♪」

ロベリア:「・・・ぎゃあああああああああああ!?」





花火:「・・・・・・まさに、天国と地獄・・・ですわね・・・。」

コクリコ:「もしもの時は・・・ボク、良い先生、知ってるよ・・・・・・獣医さんだけど。」



― END―






[ 小鳥と悪女と。 ]




昼下がり。

複数の足音がドカドカとシャノワールに響く。



「ロベリアさーん!!」


「チッ!しつっこいね!嫌だって言ってるだろ!」


ロベリアとっては”天敵”のエリカ。

エリカにとっては”ほっとけない迷える子羊”のロベリア。


「昼間からお酒はやめて下さい!身体に悪いですよー!神様もそう言ってます!」


ロベリアの連日のBAR通いを止めたいらしく、エリカは”肝硬変について”と、書かれた本を携えて駆けてくる。

・・・昼間から、肝臓の写真など、見たくない。


「都合の良い時に、神を引き合いに出すなッ!!」


ひとたび、エリカに捕まれば、身体がボロボロになるまで、慈善活動やら、聖書朗読やら、なにやらに振り回される。

ロベリアはエリカを天敵とみなしていた。


一方、エリカは空気が読めず、ロベリアの耳をふさぎたくなる悪態も

”素直じゃないな〜♪”と笑顔でかわしてしまう人物。



一方通行な思いで、振り回されるのはゴメンだったロベリアは、こうして今日も逃げ回っている。



「ロベリアさん!!BARには、副流煙もあるんですよ!こんな肺になっちゃいますよ!?ホラ!こんなに真っ黒!!」


昼間から酒場に行かないで欲しいらしいのだが、アプローチがとても下手なのがエリカだ。


「だからっ!写真を見せんなあぁっ!!」

(・・・懲役1000年の大悪党が、このザマか・・・)


警察から逃げていたあの頃、今はシスターから逃げるハメになったロベリア。

廊下を駆ける2人を、周囲は苦笑しながら見ていた。


「・・・げ。」


正面から、金髪の”天敵その2”が現れる。


ロベリアの中で『通称:堅物貴族』の、グリシーヌだった。

途端にエリカが大声を発した。


「グリシーヌさん!ロベリアさんを止めてください!!病巣が広がっちゃいます!!」


「ば、馬鹿か!そんなもん、広がらないよっ!!」



グリシーヌは、エリカの一言に何を勘違いしたのか、どこからか斧を出し、構えた。


「何?…ロベリア…貴様、また何かしたのだな…!!」


その様子を見て、ロベリアは不敵な笑みを浮かべた。


「余程、あたしに何かさせたいらしいね…貴族様は…!」

「…してみろ、粛清してくれるッ!!」



「グリシーヌさん!止めて下さい!これは、ロベリアさんの為です!!」



(ったく・・・やれやれ…今日は、厄日かい…)

ロベリアは、走っている間も、悪魔の脳細胞を働かす。


窓が開いているのを見つけたロベリアは、ニヤリと笑った。


グリシーヌはその視線を追い”窓か”と感じ取り、窓側に向かって斧を振る。

しかし、そこは流石”巴里の悪魔”。


窓の反対側の壁に一旦足をつけると、天井近くまで駆け上がり、グリシーヌの頭上を軽々と飛び越える。


「――しまった!!」


「・・・窓は、ココだけじゃないからな。悪いね」


ロベリアは、ウィンクをひとつすると、さっさとと別の窓から抜け出した。


「あ!!待って下さ〜いっ!!」


エリカの一言が言い終わる前に、ロベリアはもう、シャノワールの外だ。




「待てと言われて待つか、バーカ。」




「…あぁーあ…今日も逃げられちゃいましたねぇ」


「…”ねぇ”って…それは、私に言っているのか?言って置くが、私はロベリアを粛清したいだけで

エリカのように、好きで追いかけているのではないのだぞ。」

「あれ?そうなんですか?てっきり…」


「…な、何が言いたい!?」

「…いえ、グリシーヌさんもてっきり、心配なのか、と。」


「あやつの身体の心配など、していないッ!!そんなもの自己管理だ!!!」


いきなり怒鳴るグリシーヌに、エリカはキョトンとしている。


「なーに怒鳴ってんの?グリシーヌ、小鳥達が怯えちゃうからやめてよ。」


コクリコが、ひょいっと顔を出す。

彼女の頭には、小鳥が3羽乗ってプルプル震えている。


「・・・あ、あぁ…すまない。」

「げ、エリカ…何それ!」


「あ、これはですね…肝硬変になった肝臓と喫煙して、黒くなった肺と、あと膵臓に出来た…」

本をパラパラめくるエリカの本を、グリシーヌは無理矢理閉じた。


「エリカ、もう良い…夕食前に見るものではない。」


「・・・おや?わあ〜かわいい小鳥!どうしたんですか?コクリコ!」

「ん?この子達、市場で売れ残っちゃっててね、オジサンが始末するかなんて言うからさ・・・。ボクが、買ってきたの。かわいいでしょ?」

「それは、良い事しましたね!コクリコ!神もそうせよと言うでしょう♪」


盛り上がる2人に水をさす様にグリシーヌは言った。


「・・・で、どこで飼うつもりだ?」


「え・・・どこって・・・ココ。」


コクリコがそう言うと、グリシーヌは淡々とこう言った。


「…グラン・マの許可はとったのか?」

「え、許可・・・いるんですか?グリシーヌさん!」


「…いるだろう。コクリコ、それまで、ちゃんと鳥を籠にいれておけ。」

グリシーヌの言葉に対し、コクリコは表情を曇らせた。

「え〜…もう少し、籠の外にいさせてやりたいよ。いいでしょ?エリカ、グリシーヌ。」

小鳥は随分狭い籠にいたらしく、今もまだコクリコの傍を離れようともしない。


「…コクリコ…そのままにしておけば、ナポレオンが、食うかもしれんぞ。」



「ええ!?ナポレオンが殺生を!?」

「ふむ、ナポレオンは猫だし…あり得るだろう。」


「ナポレオンは、そんな事しないよっ!」

「そうです!猫でも、疑うのは良くありません!グリシーヌさん!!」


しばらく、間を置いて、グリシーヌは低い声で言った。


「……100%、そういえるか?」


「「う・・・」」


ナポレオンは猫で…ステーキ肉を好んで食べる傾向がある。



 小鳥 → 鳥肉。



「・・・・・・。」
「・・・・・・。」


やがて、エリカとコクリコは押し黙った。


すると。


「グリシーヌ?みんなどうしたの?」

花火が、不思議そうに3人に声をかけた。


「あ、花火ッ!聞いてよッ!!グリシーヌが、鳥を殺しちゃうってッ!どうしよう!!」

動揺したコクリコが、慌てて花火にそう言った。


「まあ!?グリシーヌ!貴女って人は・・・!」

「な!?ごっ誤解だ!花火!主語が違う!猫だ!猫!!」




 『・・・・・事情説明中・・・・・・』



「ああ、そういうわけですか…じゃあ…やっぱり、籠に入れた方が良いかも知れませんね。」

話を聞き終わると、花火は静かにそう言った。


「「ええー!!」」


花火の意見に、2人は不満そうに声を上げ、それ見た事か、と誇らしげにグリシーヌは、ふっと笑う。


「ずっと、籠の中で育ってきた鳥が、いきなり外に出されても、怯えるだけですから…慣れるまでは、少し籠に入れた方がいいですわ」

花火の優しい言葉に、コクリコは俯きながらも納得した。

「そっか…そうだよね…怖いよね……あ。」


ところが。


「どうしました?コクリコ・・・あ!」



「……一羽、いなくなってる・・・ッ!!」







夕方。

ロベリアは、ほろ酔い気分でシャノワールに帰ってきた。

BARでくだらない連中に絡まれたので、適当にぶちのめして、自室で飲み直そうといつもより早く帰ってきたのだ。



「…なんだ…騒がしいな…」


廊下で、エリカ達がバタバタと走り回っている。


「…まさか、まだアタシを探してんじゃねぇだろうな…」



自分が帰宅した所を狙うなんて、良い知恵ついてきたじゃないか、とロベリアは思った。

そして、エリカ達が、自分を捕まえようとするなら、上手く逃げ切って、せせら笑ってやろうと、考えた。


ところが。


エリカの他、コクリコ・花火・グリシーヌだけじゃなく…シーやメルもいる。


そして、全員、虫網を持っている。


「…何してるんだ?またバカな事してるんじゃ…まさか、あれでアタシを捕まえようなんて思っちゃいないだろうね・・・。」


巴里の悪魔を”虫網”で捕まえようなど…いくらなんでも、バカにしすぎる。

手ごろな、屋根に登り、中の様子をしばらく覗く事にしたロベリア。


「窓は、ふさいだか!?」

「はーい。」


(…フン…そのくらい、簡単に入れるよバーカ。)


「餌も撒いたよ!」

コクリコの弾んだ声だ。


(ふうん・・・エサ、ね…このアタシに罠を張るたぁ…さぞ、良いエサなんだろうね…)



「食いついたら、落ち着いて捕獲するぞ。」

グリシーヌは冷静に全員にそう呼びかけた。


(…ぱ、パン屑!?…よりにもよってパン屑!?…アタシの餌だと…!?)


「あ、でも…あの子怖がりだから、優しくしてあげてね!」

コクリコの言葉に、おもわずロベリアは足を滑らせる所だった。


(な…ッ!?…お前に言われたくないね、ガキが・・・!)



「そうは言っても、捕まえないと…グラン・マが帰ってくる前に、捕獲しないと、大変ですよ…。」

花火の言葉に、ロベリアはココ最近の記憶を探る。


(…ん?グラン・マ?…アタシ、何かやったか?………あぁ…グラン・マのシェリー酒掠め取ったのバレたか…?)


「とにかく…待ちましょう!!」

「…こんな時に、ロベリアがいたら、あの子の逃げ場わかったかもね…」

「いない奴の名は出すな、我々で捕獲するしかないんだ!」


(・・・フン、なんだ。…どうやら、捕獲対象は、アタシじゃないらしいな… 面倒そうだ…騒がしいから、ここで仮眠でもとるか…)


ロベリアは手頃な木の上に上がると、その枝に腰を降ろし、瞼を閉じた。

これで夜までなんとか隠れられるだろう、そう考えた。



 『チチチッ』


その小さな声に、ロベリアは薄く目を開ける。


鳥だ。


ロベリアのコートをツンツンと突いている。大胆な事に、鳥は、ロベリアの太ももまでやってくる。



「…ふっ…アタシのトコに来るたぁ、命知らずだね…焼いて酒のツマミにしちまうよ。」


ロベリアは、薄く笑う。

鳥は、怖がる事もなく、ツンツン突きまわる。


(まるで、エリカみたいなヤツだ・・・。)


巴里の悪魔と呼ばれた頃、近づくものは皆、拒絶してきた彼女だったが・・・。


それは、そうしなければ、生きていけないから。

仲間など要らない。正義など糞喰らえ。



(…それが、今は…)



こんな自分に”仲間”がいる。

何かと口うるさく、時々は理解に苦しむ人物ばかりだが…彼女達は、自分を受け入れてくれる、仲間だ。

まあ、刑期は減るし、金も稼げるし、退屈はしないし。しばらくは”それ”に付き合ってやる。


そんな気持ちで、彼女はここにいた。


だが、いつからか・・・。


ここが、彼女の居場所になった。

そして、この場所こそ、居心地が良い事に気付かされる。



鳥は、珍しいものでもみるように、ロベリアを見つめる。


「・・・コレ喰ったら、自分の仲間のトコに帰りな。あとは、自分で餌とるんだね。」


ロベリアは、ポケットから、クラッカーを出して、握り潰すと掌を差し出した。

鳥は、素直にトコトコとやってきて、それを突き始める。





「……全く、鳥一匹で…こんな…」



ブツブツと小言を言いながら、グリシーヌは廊下を歩く。

手には、斧より軽い虫網。


その親友の後ろを歩いていた花火は、少しため息をついて、ふと窓の外に目をやった…するとそこには。



「ロベリアさん…?」


柔らかに微笑むロベリアの姿があった。


(ロベリアさん…あんな顔もなさるのですね…)


見間違いかと、何度も見るが、ロベリアに間違い無い。

彼女は手を差し出し、鳥に餌を与えている。木の上からは、リスも降りてくる。


(……動物嫌いかと思ってましたけど…意外、ですわ・・・)


ロベリアは、好きにしろとでも言うように、手を降ろさず、じっとしていた。

コクリコの鳥だけではない、小鳥やら、リスやら数匹が、ロベリアの周囲をかこんでいる。

リスの尻尾が、くすぐったいのかロベリアは首を横に倒し、笑った。


(…いつも、あんな風に笑えば良いのに…)


花火もいつの間にか、表情が緩んでいる事に気がつく。


(・・・エリカさんが、懐く理由がわかった気がしますわね・・・。)


それは

『不良といわれ、クラスで浮いている人がずぶ濡れの子犬を助けている

 ・・・という意外な一面を見て、心が揺れ動いてしまった学級委員長の図』 だ。



「・・・ん・・・げ・・・花火!?」



ロベリアが花火に気付き、顔が強張らせる。

花火が、ロベリアをみて微笑んでいるからだ。


それは

『誕生日なんか知らないとか言いながら、ちゃっかり誰よりも気合の入った、

 手作りプレゼントを製作している所を本人に見られてしまった、恥ずかしい図』 だ


「ロベリアさん。」


花火が声をかけると、ロベリアは『何見てんだよ』と言いたげに、こちらを睨んで来るのだが

小鳥がロベリアの掌に乗ったまま、リスはロベリアの頭の上で追いかけっこをするので、花火は、思わず吹き出してしまった。


笑われた”巴里の悪魔”。


「テメエ…!」


みるみる紅潮していくロベリアに、花火は笑顔で言う。


「ロベリアさん、そのままジッとしていてください。コクリコの鳥が逃げてしまいます。」



「…はぁ!?なんだって!?」



「あぁロベリアさん!!やっぱり、こんな時のロベリアさんですね!!」


今度は、エリカが瞳を輝かせて、こちらを見ている。どうやら、余計に好感度が上がってしまったようである。


「アタシを非常食のように言うな!エリカ!」

「なんだ、あんな所にいたのか。悪党もたまには役に立つな。」

「なんだと?グリシーヌ・・・」


 『チチチッ』

鳥は、ロベリアの肩から頭の上に乗った。


「鳥、完全に懐いていますねクスクス…」

「笑うな、花火!!」


「あんまり大声出すと、逃げちゃいますよ〜♪」

「オマエが黙れ…エリカ!」


「ロベリアー!!」


「あァ!?」



「小鳥さんと、一緒にいてくれて、ありがとう!!」


コクリコの言葉に、ロベリアは舌打ちをしながら小さな声で答えた。


「・・・・・・・・・チッ。・・・偶然だよ。」



「あの〜!籠、持って来ましたよ〜!」

「あ、ありがとう!葵!」


月代葵が籠をもって現れた。彼女は、ずっと籠を作らされていたのだった。


その後、小鳥は、無事鳥かごの中に戻り、グラン・マの許可も下りた。


「・・・本当に、ココにいると調子が狂うよ・・・。」


ポツリとロベリアは、そうこぼした。





「・・・・・・・・・だが、悪くない気分だ・・・。」




END



あとがき

うん、平和だ!シャノワール(笑)