ええと・・・あたしの名前は、結城 奏世(ゆうき かなせ)

…アルバイトで、食いつないでいた貧乏・成人女性だ。


特に特技も無いし、資格もない。容姿が優れている訳でもないが、すっぴんは綺麗らしい。


ある日、悪魔軍こと、人食いモンスターが、わんさか出てきて、人間を喰い始めた。

この現象は、日本だけじゃないらしい…世界中で、同じような現象が起こっている。

それに対抗する為か、悪あがきか…人類の中からなんと”勇者”という職業が誕生する現象も起き始めた。

それも、各国、各地、各都道府県で。


勇者を選抜するのは、神様から派遣された女神達。女神に選ばれし勇者達は、今日も戦う、という訳だ。





・・・で、私もその選ばれた勇者の一人なのだが・・・。





モンスター●ンターというゲームは、架空だからこそ大丈夫なゲームだ。

ハンターは死んでも、プレイヤーは大丈夫。

どんなに武器を振り回しても、壊れるのは仮想世界のものだから、心配ない。



 だが。



現実に怪物が現れると…所詮仮想世界のハンターなんて、無力だ。

ボタンを連打する能力など、本物の怪物の前では何の役にも立たない。

世の中がひっくり返って以来…人々の生活は本当に変わった。


基本、人間が食料のモンスターは、人間がいたらいるだけ、喰うだけ喰う。

葬式屋は儲かってしょうがないらしいが、遺体回収が大変らしく…

最近はモンスターの糞から遺体を見つけるという、遠慮したいアルバイトまであるという。


金持ちでさえ、明日、自分が生きていられるのか・・・わからなくなった。

防弾チョッキを着た金持ちがリムジンに乗っていたら、リムジンごと喰われたなんて、話も聞く。


建物がぶっ壊れる度に、人々は泣き、国家予算が揺れる。




  で。



そんな人類に、神様は救いの手を差し伸べた訳だ。

差し伸べたというか、自分の部下の女神達をパシリに使って

人類にモンスターの対抗手段を与えたと言ってもいい。

女神と契約した人間は、勇者と言われ…それぞれの地域で名をあげていた。


例えば…


『ご覧下さい!氷の女神様と勇者・星 幸子さんが…前回放送の南極に続き、北極の氷を今!

再生していきます!!うわ?…凄いっ!凄いです!

・・・地球温暖化が叫ばれる昨今・・・氷が溶け、そこに住む動物たちの絶滅も危惧されていましたが・・・

ご覧下さい!この…見事な、氷の大地を!これでペンギンも白熊も安心ですッ!!

本当の意味で、人類を救ってくれたのは…氷の女神様と勇者・星 幸子さんです!ありがとう勇者様!』



TVは、相変わらず世界で活躍するご当地勇者様の映像で溢れている。

番組名は…北海道の主婦が、温暖化から世界を救う!とある。




「・・・出世しましたねェ・・・北海道の勇者様。勇者って言うか・・・おばさんだけど。」



あたしは、寝転びながら、せんべいを齧った。



「そうですわねェ・・・私達、一回戦っただけですものね。勇者っていうか・・・おばさんですわね。」

あたしの家の居候も、あたしの隣で寝転びながら、せんべいを齧った。



「戦ったんじゃなくて、単に必死こいて逃げただけじゃないですか。

大体、なんすか光合成フラッシュって…あんなショボい技で戦ったら死にますよ。

あたし、ヤムチャじゃないんですから。嫌ですよ、敵の実力測るバロメーター的な役は。」



「いいえ、カナセ…あれは、戦いです。勝ちです。というか…せめて、天津飯かクリリンでしょ?

太陽拳といえば、クリリンでしょ。…あ、だめだわ、魔人ブウ編で、あいつもある意味ヤムチャ化して…」



「てゆーか!いつまでお前はここにいるんだよ!!

なんで光合成の女神と、自室でドラゴンボールの話に花咲かせなきゃいけないんだよッ!

 そして、脇役ばっかかッ!!」



世界を救う為に、神から遣わされた女神の一人は…未だにあたしの部屋にいた。







   [ Light of venus 3 ]






信じられない世の中になったが、信じられない存在が、あたしの部屋にいる。

名前は長いので”ライト”…主に、光合成を司る女神というショボイ女神だ。

女神というか・・・今や・・・単なる金髪の姉ちゃんの”置物”だ。

このライトは、あたしを勇者にしたくてたまらないらしいが、その選考基準が




   『すっぴんが綺麗だから』



・・・という、ふざけんな!という理由で、ライトはあたしを勇者にしようとしている。


だから、私は勇者になるのを断っている。


「…だからぁ…別の地域に行って、別の勇者様探して下さいよ…出てってくださいよ。」


あたしは、そう言うしかない。


1回は、女神と合体して戦ったあたしだが、唯一の必殺技が単なる”目くらまし”という体たらく。

それにあの時は、モンスターに襲われて、仕方なく、一時的に勇者になっただけの話。


・・・もう二度と、あんな事するもんか・・・!

恥ずかしい変身文句に、恥ずかしいコスプレまでさせやがって・・・!!


「そうは参りませんわ。大体、カナセ…この間のドピンチを通して、私の力がどれほど偉大か…

 そして、どれほど必要かを痛感したでしょう?仙豆並に。」


「もう、ドラゴンボールネタはいいですからッ!あたしは勇者にはなりませんッ!!」


確かに、先日モンスターに襲われた時は、助かったには助かったが…

元々この女神がいなかったら、もっと楽に恥ずかしい思いもする事なく、逃げられたと思う。

それに何度もいうが、あの戦闘は・・・仕方なくやっただけの事だ。


「…カナセ。実を言うと、私はずっと前から、貴女を天界から見ておりました。」


「・・・え、なにそれ・・・気持ち悪ッ!」



「え・・・いや、ストーカーみたいな言い方しないで下さい。見守ってきた、という意味です。」



「・・・へえェ・・・気持ち悪ッ!」



「いえ、見守ってきたんです!」


「止めて下さいよ!父親が、娘の心配して勝手に娘の日記を盗み読みするのと変わらないじゃないですか!


 …うわ…想像しただけで…気持ち悪ッ!」


「カナセ、ぽんぽん軽快なリズムの返しをされると、いちいち私、傷付きます・・・。」



「…うわ、涙目だ…ああ、すいませんでした…女神様。で、なんですか?」




「貴女は、常日頃…心の中でこう思っていたはずです。”一回、この世の中、滅びてしまえば良い”と。」




ライトのその一言は、あたしをドキリとさせた。


確かに…あたしは、こんな世の中、何もかも一回終われば良いと思った。


一回終われば良いとは、全人類が滅亡すれば良いという意味じゃない。



全人類が滅亡しなくても良い。



 ただ…




「カナセ…貴女は、自分の置かれている状況に不満がありましたわね。


働く事に生き甲斐を持てず、未来に不安を抱き、周囲に押しつぶされそうになっていた貴女は

今の自分の生活を変えるだけの力もなければ、周囲も変わらない事を、不満に思っていた…。



そして、自分を取り巻いている社会環境が180度変わらないかな、と思った…違いますか?」




「…ええ……通勤とか、納税とか、ガス代とか、レポート提出期限とか、変なアホ毛のヒロインとか

TVの企画モノで出される歌唱力も無いヤツのCD発売とか、PTAのアニメに対する過剰反応とか

何度映画見ても意味の解らないアニメや、何かと巨乳女を縛って陵辱すりゃいいと思ってる同人とか

TV芸人のギャグパクってるだけのクセして、自分をトーク上手で面白いと思い込んでいるクラスメイトとか

安アパートに住んでるだけの学生女に”お得なマンション物件あるんですけど”とか言うセールスとか

不必要にぴちゃぴちゃ音出してキスするだけの映像が20分くらい占めるレズものAVとか

ヤル気あるんだかないんだか、とりあえずなんとなく奇跡的に1周年迎えたどっかの百合含有サイトとか


 そういうの全部…まとめて、なくなっちゃえばいいと思ってました。」




「…後半、かなり具体的でしたわね…。いえ、なんか危ないんで、それ以上は触れないでおきましょう。

とにかく、カナセ…貴女は…日常に疲れ、周囲の変革を望みました。

そして現実に周囲の環境は見事に変化しました。…どうですか?」



「どうですかって・・・別に・・・命危険だな、ってくらいですかね・・・。」



「もうそろそろ…いえ、とっくに気付いているんじゃありませんの?」


「何を、ですか…?」


「…周囲がどんなに変わっても…貴女自身が変わらなければ…

 どのような世界の中で生きていても、貴女の抱いてきた不満は変わらない、という事です。


 つまり、裏を返せば…貴女は誰よりも…”変わりたい”と思っていたのです!違いますか!!」




「・・・はい、違いますけど。」



あたしが、あっさりそう答えると、女神はぽかんと口を開け、え?なんだって?というジェスチャーをしながら聞き返してきた。


「・・・え?・・・いやいや意味わかんないし。」


女神は、半笑いでそう言うので、あたしははっきりと言ってやった。



「いや、意味解るでしょ?私は別に、自分が変わりたいなんて思ってないから、違うって言ったんですよ。」



「いえいえ、カナセ・・・あの、ココはね、流れを読んで・・・。」


流れも何も。




「いや、だって違うし。あたし…」



あたしは、更に女神にはっきり言って、出て行ってもらおうとしたが、女神のヤツは…


「…周囲がどんなに変わっても…貴女自身が変わらなければ…

 どのような世界の中で生きていても、貴女の抱いてきた不満は・・・」




(うわ…同じ台詞言って、仕切りなおしてる…!!)



・・・多分、あたしが”はい、そうです”というまで女神は、同じ話をするんだろう。

初期のファミコンの・・・選択肢あってもないような、あの無限ループ状態。



  ※例 


王様:「おお!勇者殿!洞窟の化け物を倒してくださらんか!」


勇者:「いいえ」



王様:「そんな事を言わずに、どうか頼む!


 …おお!勇者殿!洞窟の化け物を倒してくださらんか!」


     
勇者:「いいえ」



王様:「そんな事を言わずに、どうか頼む!


 …おお!勇者殿!洞窟の化け物を倒してくださらんか!」




・・・以下、はいを選ぶまで、延々と続く・・・。



ただでさえ、うざったいのに・・・これ以上ウザくなるのは、ちょっとキツい・・・。



「・・・ライト。いい加減にわかってよ。あたし、すっぴんがどうの言われてもね。

 勇者になって、モンスターと戦う気なんかないのよ。全く、露ほども。」



あたしは、今まで面倒臭がって、女神を冷静に説得する事をしなかった。

こうなったら、面倒臭くなった、ついでだ。根気良く、説得しようじゃないか。


・・・が。


「…周囲が、どんなに、ぅ…変わっても…グスッ…貴女自身が、変わらなければぁー…」


女神は泣き始めた。泣きながら、無限ループの台詞を続けている。


(・・・コイツは、小学生か・・・!!)


あたしは、呆れながらも、泣きながら同じ台詞を言い続ける金髪の女神を

そのままじ〜っと、見つめていた。


変な事言ったり、ごろごろうだうだしたり、変な行動しなければ…

本当に、見た目”だけ”は、綺麗な女神様だよなぁ…。とかのんびり思いながら。








   ― 1時間後 ―






「…ぁ、貴女はぁー…ぐすっ…だ、誰よぢもぉ…

 ”変わりたい”とー…思っていだのでず…違いますかぁー…!」



「・・・ん?なんだって?今、よく聴いてなかった。もう一回言って。」



TVを見ながら、あたしはそう答えた。

あたしの後ろで、泣きながらライトはまだ同じ台詞を繰り返している。



結構、意地っ張りなんだな、と思う。




「…周囲が、どんなに、ぅ…変わっても…グスッ…貴女自身が、変わらなければぁー…」


「えー?周囲のあと、よく聞こえな〜い。」



「…周囲が、どんなに、ぅ…変わっても…グスッ…」




あたしはこれを”強制・無限ループ・プレイ”と名付けようと思う。




女神が飽きるのが先か、あたしが飽きるのが先かは…わからないけれど。

これだけやれば、さすがの女神も勇者にしようだなんて、思わないでしょ。







   ―更に1時間後―






「しゅ、しゅしゅしゅ…すーい(周囲)が、ど、どどどど…どんなにぃ、ぅ…

 かわ、くぁわってもぉぉ…あう…グスッ…」



女神は嗚咽をこぼしながらも、まだ無限ループの台詞を繰り返していた。


いや・・・もはや、台詞にもなってない。




(…泣きすぎだろ…うるさいな…)



しかも、あたしの枕元でそれを続けるものだから、気味悪くて仕方が無い。



「おうッ…おぅおぅおぅ…ひっく…うぉぅえぇ…」




(…新種のトドか…オマエは…!)



あたしは無視を決め込み、瞼を閉じた。

朝には、このはた迷惑な女神がいなくなっている事を、願いながら。






「…ナセ…カナセ…!!」





だが、夜中にあたしは女神に叩き起こされた。

目を擦り、あたしはあくびをかみ殺しながら、女神の方を向いた。


「何よ、まだ夜中で・・・ん・・・んン!?」



突然塞がれる口。というか…ライトの顔が近い、近いと言うかくっついて・・・



(…うわッっ!ら、ライトーッ!?)



信じられない!この馬鹿女神!…突然あたしにキスをかますとは…ッ!


女神と合体して、勇者に変身する為には…2つの方法がある。



一つは

”臭いが気にならない♪なのに綺麗に染まる♪ビゲ●香りのヘアカラー♪勇者で郁恵(行くえ)♪”

と歌う事。



もう一つは…女神とキスをする事。



途端にあたしの格好は、またしてもあの白いスカートに赤い鎧…のコスプレ衣装に変わってしまった。

…ライトと強制合体して、勇者の力を解放してしまったあたしは、とりあえずベッドの上で叫んだ。



「…何してくれとんじゃ!この馬・・・」



 ”カナセッ!声を出してはいけません!”



頭に、ライトの馬鹿でかい声が響いた。

思わず、頭を抱えてあたしはそのままうずくまった。




 ”カナセ…声を出さずに、私の話をよく聞きなさい…

  今、悪魔軍の10将軍の内の一人が、この地区に来て、勇者狩りをしています”



外からは、人々の悲鳴や、何かの爆発音が聞こえる。

どうやら、モンスターが…女神の言う通り、将軍とやらが、近くに来ているらしい。


(・・・え?勇者狩りって…あたしも入るの?)



 ”ええ。先日、逃げたのがマズかったようですわね…あのモンスターが将軍に報告でもしたんでしょう…

  この場所がバレるのも、時間の問題ですわ…”



(ど、どうするの…!?…た、戦う…いや、逃げよう!早く逃げよう!)


ただでさえ…モンスターにも逃げ出した私と光合成の女神なのに…

将軍なんてクラスの高いモンスターに敵う筈もない。つーか、死ぬ!絶対死ぬ!!



 ”いけませんカナセ…今動けば…死にます。

  ぶっちゃけ…今の私達では戦う事も、逃げる事も不可能でしょう。

  例えるなら、ドラゴンクエスト5で、サンチョ一人でラスボス挑戦みたいな!”



(・・・・ぶっちゃけ過ぎだろ・・・というか、どうなの!?その例え!わかりにくいッ!!)


 ”…悔しい…ですわね…私は、女神なのに…人々を守る事はおろか…

  …勇者として、認めた貴女一人ですら守れないなんて…でも、諦めてはいませんわ…カナセ…

  必ず、貴女を守って見せます…!というか、逃げ切ってみせます!!”




(…ライト…!……でも、結局は逃げるのね…!!)



 ”…信じて…今は嫌かもしれませんが…光合成の力をフルに使って、貴女を逃がして見せます…!”




ライトの声を、頭で聞きながら…あたしは少し…ライトに申し訳ないと思った。

さっきまで、強制無限ループプレイをしていた自分が恥ずかしい。


(ライト…さっきは、ゴメン…。)


 ”いいのです・・・カナセ。女神は…広い心で、人を許しますわ…”



(ありがとう…。)


…あたしは、カーテンの隙間から、外の様子を見た…


(・・・あ、あれは・・・!!)

 ”カナセ…あれが、悪魔軍10将軍の内の一人…ナメクジ将軍バルザイオンです!”




(・・・・・・・・・・・・・・・。)



窓からは、4tトラックくらいの大きなナメクジが国道をにゅるにゅると移動している姿が見えた。



・・・なんというか・・・名前の割に、普通の大きいだけのナメクジに見える・・・。

動きも鈍いし、見た目もなんか普通の…ナメクジなんだけど…。


(ライト…あれ…ナメクジだよね…?)


 ”そうです!伝説のナメクジ将軍です!…あのバルザイオンの凶悪さと言ったら…!”



(そ、そんなに凶悪なの…?強いの?普通の、ナメクジに見えるけど・・・)


 ”バルザイオンは、その昔…天界の建物の窓ガラスという窓ガラスに己の体液をベタベタとつけた罪人!

  ・・・あの時の戦いの後・・・掃除が、どれだけ大変だったか!!”




(・・・え?他は?毒霧出すとか・・・)


 ”バルザイオンは…窓ガラスの天敵です!もう、窓ガラスを穢す事だけにかけては、悪魔軍一で…”



・・・ああ、そう・・・窓ガラス、汚すだけなんだ・・・へー・・・




「じゃあ、まるっきり普通のナメクジじゃねえかあああああああああ!!!」





  数分後。




もう完全にブチ切れたあたしは、自分の部屋にある塩の袋をもって外に出ると

冷静に、ナメクジ将軍の後ろから回り込んで塩をかけた。

徐々に縮み出したナメクジ将軍…将軍っていうか、単なるデカいナメクジは縮みまくり

やがて土佐犬くらいの大きさになった。


水分を補給してしまえば、また元に戻ってしまうので、あたしは台所用洗剤5〜6本をナメクジにかけた。



何が腹立つって…こんな敵…敵と言うかナメクジごときにビクビクした挙句

女神の話にうっかり反省してしまった自分が一番腹立たしかった。


「てゆーか、勇者じゃなくても勝てるだろーがあああああああああ!!」





    ―次の日―



憂鬱な顔のあたしと、ウキウキ顔のライトは、いっしょにTVを見ていた。


『…と言う訳で、バルザイオンついに退治されました!これで、高層ビルの窓ガラスは守られましたね?』

『いやぁ…良かったですね。ぬるぬるして本当に気持ち悪かったですからねェ。』

『今回、バルザイオンを退治した勇者様なんですが…残念ながら!インタビュー及び、映像もありません…』

『それは、残念ですねェ…』

『我々マスコミが駆け寄ろうとすると、光合成フラッシュ!と叫んで、いつの間にか消えてしまったんです』




あたしは、溜息をついた。

隣のライトは、ビデオまで撮ってウキウキ気分だ。




「カナセの知恵と勇気、そして私の力のおかげで、あの将軍を倒せたのです!

 やはり、私とカナセはいっしょにいて良い勇者コンビなのですよ♪

 正直、倒せるなんて微塵も思ってませんでしたが…ラッキーラッキー♪」



「・・・もうやだ・・・(泣)」



ついに、あたしは・・・勇者デビューしてしまった・・・。

幸い…まだ顔バレしていない・・・なんとか、このまま逃げ続けよう。





   ― END ―






 あとがき


1周年なので、とりあえず…アホなお話を。

早いもので、これ3発目なんですよね。


このお話は、勇者のお話でありながら、まったく平和に貢献しない勇者のお話です。