「じゃあ、こっち。」
私は、女殺しを着る事にした。
文字が文字だけに、やはり気が進まないが、忍さんが選んで買ってきたのなら…。
「・・・・・。」
忍さんは実に悲しそうな顔で、私を見ていた。
「・・・忍さん?」
「そっち、選ぶんだ…。」
「え?」
―― もしかして、ハズレ!?
忍さん…まさかの一人大奥の方がお気に入り!?
でも、正直”一人大奥”って全く意味がわからないんですけど!!
しかし、車内には確実に気まずい空気が流れている。
どうしてTシャツ一枚でこんな空気にならなくちゃいけないんだ…!?
ここでTシャツの選択肢が出てくる意味もわからん!!
「水島さん…」
「はい!?」
「私のTシャツのセンスを疑ったでしょう?」
「え…ええ!?」
「私、結構真剣に選んだのよ!?そのTシャツ!」
「ええ!?さっき急いで買ってきたって…!」
その後、忍さんのTシャツへのこだわり数時間に渡り、聞く羽目になった…。
(ああ、ダメだ…他人なんか、やっぱり好きになれない…。)
私は、再び人嫌いに戻った。
― BAD ED 『百合関係ないじゃん!!』 ―