「最初は痛みを伴う事もあるけど、回数を重ねていく内に気持ちよくなってくるモノ、なーんだ？」



私は、なぞなぞを出した。



「・・・ん？」


この反応は大いに正しい・・・が！



「なぞなぞです。答えて下さい。」


「えーと・・・どうして、今？」


「いいから、答えてください、阪野さん！貴女なら、答えられる筈です。」



もしも、本物の阪野詩織ならば、絶対に答えられる筈だ。





「………セックス。」



それは、サラッと放たれた答えだった。



　よし。


　疑惑は確信に変わった。



「・・・偽物だああああああああああ！！！！」



「な、何故！？阪野詩織なら、そう答えるでしょうが！！」


そう、確かに阪野詩織は、何でもエロスに変換してしまう。

だが…答え方が全くもってなっていないのだ！！



「解ってない…阪野さんの事を、全然解ってないなッ！！」


「は・・・はああッ！？」



「阪野詩織という人は、そういう露骨なフリには乗らない…。

彼女なら…そう、例えば『そうね、答えは献血…の最中にする［ピ――］行為かしら？貴女も試してみる？』とか

いつも、いつも私の予想斜め上からエロスをぶち込んでくる女なんだ！！」



もしも、目の前の女が本当に阪野さんならば、これ以上無いほどの失礼な発言をしているのだが、これは事実である！



「そ、そんな…無茶苦茶な…！」


「ああ、そうだ！無理も無い…でも、無茶苦茶なんですよッ！！あのエロ秘書ときたらッ！！」


私の言葉に、阪野詩織の格好をした、女は沈黙した。



「・・・・・・。」


「さあ…貴女が誰か、そして本物の阪野さんはどこにいるのか聞かせて…」


私の胸にドン、という鈍い衝撃が当たった。


「あ・・・！？」



ジワリと胸の中心から液体が染み出し、漏れ出す。

それが、私の血液、だと気付くのに時間は掛からなかった。




「・・・ふっ・・・くくくく・・・！」



彼女は…笑っていた。

完全にそれは阪野詩織のものではなかった…！




「時にその鋭さは命取りよ・・・水島さん。」





次の疑問を口に出来ないまま、私の意識は真っ黒に染まり、光が戻る事は永遠に無かった。







　―　ＢＡＤ　ＥＤ　『結局、コイツ誰だよッ！？』　―