[ 水島さんからの年賀状。 ]



”ぴんぽーん”




伊達:「はいは〜い〜……あ、いらっしゃ〜い♪あけおめ♪」



花崎:「………あぁ、あけましておめでとうございます…いや、そうじゃなくて…あの。」

阪野:「……あけましておめでとう…それで、どういうつもりかしら?えーと、伊達さん?」



伊達:「あのね〜海ちゃんに”かどっち”(門倉さんの事)”かもちゃん”(かもめさんの事)も来てるよ〜

はい、2人共、上がって上がって〜。」


花崎:「…いや、伊達さん?聞いて?私達の話…」

阪野:「あの、緊急招集って留守電入ってたから、来たのよ?一体、何なの?」




伊達:「ん?そう?・・・あれ?ウチで新年会って入れたような…気がしたんだけど。酔ってたからなぁ…」


花崎&阪野:「・・・失礼させてもらいます。」


伊達:「え〜…”みーちゃん”(※水島さんの事)も後から呼ぶつも…」


花崎&阪野:「お邪魔します。」




伊達:「お姉様方…切換、超・早ぇー…。」



海:「…来たわね…待ってたわよ。」

かもめ:「あけましておめでとうございます…。」

門倉:「あ、花崎課長、阪野さん…あけましておめでとうございます!」


花崎:「あけましておめでとう。」

阪野:「あけましておめでとうございます。」


海:「ちょっと。…のん気に、新年の挨拶してる場合じゃないわよ。今日は…」


花崎:「新年会、でしょう?先程聞きました。」


海:「違うわよ!・・・今日は、水島に関して、話し合いたいと思って、呼んだのよ。」


阪野:「・・・・え?コレ、新年会って…彼女は…」


海:「…ああ、ダメよ…香里は。これは新年会だと思い込んでるの。浮かれてるから話が通じないし。」



伊達:「♪あーめあめふーれふれもっとふれ〜♪はい、かーちゃん・阪ちゃんも、かけつけ一杯☆」


花崎:「・・・あの、かーちゃんって・・・私?」

阪野:「ぶふっ!(吹出し笑い)」


伊達:「だって、花崎でしょ?だから、かーちゃん。」



花崎:「・・・私は、貴女のおかあさんじゃありませんッ!(怒)」


伊達:「やだな〜知ってるよ、そのくらい(笑)」


阪野:「うくくく・・・”かーちゃん”って・・・ふふふ・・・!!(堪えきれない笑い)」

門倉:「………っ…(笑いを堪えている)」

かもめ:「…………(口元を押さえて笑っている。)」

海:「ぷッ………あぁーッ!!もうッこんな所で初笑いだなんて!不覚だわ!」


伊達:「?どういう事???」


花崎:「とにかく!そのあだ名は却下です!!」


伊達:「ええ〜…じゃあ、別の考えておこ。」



阪野:「…で、話を元に戻すけれど…どうしたの?新年会…ではないんでしょ??」


海:「あ…そうそう……年賀状…来た?」


阪野:「・・・あ。・・・・・・・そう、年賀状ね・・・ああ・・・皆来たの・・・。」

海:「…ちょっと、落ち込んでる場合じゃないわよ。自分だけだと思わないでよね。あつかましい。」


花崎:「…何?年賀状がどうかした?」


門倉:「どうかって…コレ貰って…何も思わなかったんですか?花崎課長。」

花崎:「………どうかって…言われると…そうね…ちょっと、戸惑ったわね…。」


阪野:「…正直…私も、貰ってどうしようか迷ったわ…。」

海:「表には、あたしらの宛て先と、水島の住所は書かれている…なのに。」


阪野:「・・・裏には、何も書かれてないのよね・・・。おめでとうのおの字すら。」

花崎:「…という事は…ここにいる皆…水島さんから、白紙の年賀状を貰ったって事?」



門倉:「そうです…みんな、白紙の年賀状なんです…。」



海:「やっぱ、そうか…水島のヤツ、一体どういうつもりなのかしら…?

聞こうと思っても、電話繋がらないし。メールも返って来ないし。」


かもめ:「…あの、一つ疑問が。……これは…本当に水島さんが書かれたんでしょうか?」


花崎:「……字体は…彼女の?」

門倉:「…間違いありません。水島さんの字です。下の名前も書いてませんし…。」

海:「1枚なら、只の書き忘れと思えるけど…ここにいる全員、白紙なのよ?何かあると思わない?」

阪野:「彼女なりのメッセージかしら…。」

花崎:「…白紙でメッセージ?」


かもめ:「…白紙……白紙に返す…貴女とは、何も無かった事にするって意味、とか?」


門倉:「ひ、酷い!それは酷いですッ!」

海:「ちょっとそれ…シャレにならないわよ…いや、シャレにしてたまるもんですか。」

阪野:「でも、他に白紙でのメッセージ思いつく?」


門倉:「えーと……何も書かれていない、つまり……”何もない”…?」

花崎:「”貴女とは何もない”って意味?」


阪野:「結局、そうなるのよね…。」


かもめ:「そ、そんな・・・新年からそんなプレイ(?)・・・」

花崎:「いえ、彼女がそんな事をして、何になるの?これは、何か…」



門倉:「…でも、水島さん…人嫌い、ですよね?こうする事で、私達に察してもらおうって思ったんじゃ…」



海:「み、認めないわよ!そんなのッ!!あたし、直接聞くわッ!」

花崎:「そうよ!これは…新年会どころじゃないわよ…ッ!」




伊達:「ねえねえ”ザキさん”ってどお?」




全員:「何が!?」


伊達:「いや、花崎さんのあだ名…」


花崎:「今まで黙って、そんな事考えていたの?あなたは!!」



伊達:「え?いや、だって………ねえ、何…みんな、殺気立ってるの?」



全員:「あ゛あ゛ん!?」



伊達:「…怖いよぉ……あ、お腹空いてる?じゃあ、出前届くまで〜………

あっ!私の実家から送ってきたするめでも炙るから、ね?機嫌治して〜」



全員:「はいはいはいはいはい!さっさと行って来いッ!」





伊達:「んもう…みんな…カルシウム足りないんだなぁ…」



キッチンに立つ伊達香里は、ガスコンロに火をつけた。

彼女は、網に故郷の名産の”するめ”を乗せると、振り返り、冷蔵庫の扉を見て、ニッコリ笑った。

何度見ても、彼女はそれが嬉しかったのだ。


花崎ら2009年を迎えた彼女達が、水島さんの年賀状の白紙の件でモメている間…

伊達は一人幸福に浸っていた。



伊達:「にしても…今時、炙り出しの年賀状って…みーちゃんもカワイイ所あるじゃん♪」


苦笑しながらも、彼女は嬉しくて仕方ない。


うっすらと果汁か何かで描かれた”牛のイラスト”と『明けましておめでとうございます』…

そして『今年も宜しく』の文字が、何より嬉しかった。

ほんのりとみかんの香りもしているが、それは、やがてするめの匂いに消された。



水島がいい歳こいて、何故炙り出しの年賀状にしたのかは、疑問ではあるが…嬉しいものは嬉しいのだ。



花崎:「…どうして…白紙なの…?」

阪野:「…白……ダメだわ…後は、アレ(?)しか浮かばない…」

海:「…水島………う…ぅ…あンの…(グス)…ヤロー!」

門倉:「…うー・・・こうなったら、飲んでやる〜!!」

かもめ:「……あ…そういうプレイ?いえ、でも…うーん…」



伊達香里…彼女に悪意はない。

花崎達が、何に悩んでいるのかも、伊達の浮かれきった思考の網には引っかかる事はないだろう。


…ただ、彼女は周囲とのリズムが合わず、人の話をあまり聞いていないだけなのだ。




海:「ちょ、ちょっと!香里!するめ焦げてるッ!!」

花崎:「というか、炎上してるわよーッ!!」




ちなみに数時間後。


初詣先での女難から命からがら逃げ帰ってきた水島が

怒りと酒に溺れ、少し焦げ臭い花崎達に囲まれるのは



…また別のお話である。








君塚:「・・・私には来てませんでした・・・」






  ・・・END・・・



  という、正月のアホなお話でした!














      [ 水島さんは初詣中。]



私の名前は、水島。

今年こそ、ほっといてくれ。


そして、悪いが、新年迎えても、下の名前は聞かないで欲しい。


性別は女、年齢25歳。

ごく普通の、出世願望も、結婚願望もない、本当に普通のOL。


ただし・・・呪われ、女難の女である事以外は・・・。


不本意ながら、私は…道のど真ん中で年を越してしまった…。



しかも、新年早々…女性たちに追いかけられ…逃げる途中…。

買った年賀ハガキをどこかへ紛失してしまった…

・・・くそ・・・800円損した・・・。まあ、済んでしまった事はしょうがない。


年は明けた。


「・・・そろそろか・・・」



新年を不本意な状態で迎えてしまった私だが…。

あれから、年賀状もそそくさと書き、ポストへ投函もした。


これでいい。…心機一転。初詣に行くとしよう。

この時間帯ならば…近くの神社にいる人もそろそろ、まばらになっている頃だし…。

なんとなく、行かないと気がすまないんだよなぁ…。



私の住んでいるマンションから、少し歩いた所に商店街がある。

商店街は、正月を迎えたというのに、やけに明るくたくさんの人々で賑わっていた。

最近、古着屋や若い子向けの雑貨店・飲食店が3、4店増えたせいでもあった。


(なるほど、福袋セールか…)


商店街を抜け、少し歩くと、神社へと続く階段が見える。

その階段を上がれば、やや小さいが神社は存在する。


『五豆武神社(ごずぶじんじゃ)』


…やけに、濁点の多いこの神社は、結構な歴史を持っているとかいないとか。

・・・よくは知らないが、商店街の人に人気はある神社だ。


さすが正月。境内には、いつもよりたくさんの人がいた。

巫女さんが、忙しそうにお守りを売っている。


・・・巫女さん、と言っても。


この五豆武神社の巫女さん、とは。

若さ全開、アルバイトしている地元の女子高校生の事…ではない。


神主さんの奥さん(56歳)の事を指す。


・・・・・・・・。



…神主さんの奥さん(56歳)の事を指す。

※注 大事な事?だから、2度、言いましたよ。by作者。




何を言うか・・・巫女さんは、巫女さんだろう?ね?

若い女子中学生が”悪霊退散”なんてそうそうあるはずないよ。諦めろ。

この世に、むやみやたらにパンチラしながら、恋する清純派女子高校生がいないのと同じだ。諦め…



・・・って、私、一体誰に向けてのメッセージを発してるんだ?


※注 このお話と作者の思想は、全く関係ありません。



いや。油断は出来ない。奥さん(56歳)だって、女性…女難に変化する可能性は、ある…。

新年から…熟女難はカンベンしていただきたい…。

私は、真っ直ぐ神社の賽銭箱へ向かうと、ポケットから小銭を探し取り出した。


(・・・5円・・・。)

金色に光る5円。それを見て…私は、昔、父と静かに、初詣に行った事を思い出した。

地元の神社は、ボロいが大きい神社だった。


賽銭箱に、チャリンチャリンと賽銭が投げ込まれているのを見て、私は…


”ねえ、お父さん、神様は、一体いくら欲しいのかな?”と無邪気に、父に聞いた。



…今、思えば…神様に喧嘩売るような発言を私はしたんじゃないだろうか…。


すると父は、私にボソリと教えてくれた。



”神様はお金はいらないんだ。お金は、神様の面倒を見ている神主さんが欲しいんだ。”




…今、思えば…父も十分、神社に喧嘩を売っていたような気がしないでもない…



そして…私は、父から、15円を渡された。

父から教えてもらった、語呂合わせの賽銭は…


十分なご縁がありますように。という意味を込めて15円

または、2重のご縁がありますように、という意味で、25円を入れるのだそうだ。


「・・・5円、ね・・・。」


もっとも…縁切りの呪いが掛かっている私が、今、十分な縁があるように…などと願うハズもない。

私は、5円ではなく、100円を入れた。


そして、がらんがらんと鈴をならした。


(えーと、2礼して…2回手を叩いて…)


私は、心の中で願った。


(今年は…女難の呪いが解けて、元の平穏な生活に戻りますように…)


”チクン…”

(あ…初・女難の予感…。)


願いの甲斐なく・・・。

お馴染みのあの痛みを感じて、慌てて再び礼をし、参拝完了。後は、帰るだけ!というか、速攻帰る!!

参拝を終えて帰ろうとしたが、私はふと…おみくじの文字を発見した。

毎年、おみくじを引いてはいるが…


(・・・いや、ダメだ・・・きっと、凶だ・・・。)


女難の呪いを喰らっている私には…変な自信があった。

歩いていくと、ご神木の枝には、おみくじがたくさん結び付けられていたのが見えた。


・・・・・・・なんだか、凶ばっか・・・・?


「…悪い事は言わない…ここの”くじ”は、やめときな。」


ご神木を見ていた私の背後から、聞きなれた声が聞こえた。


「・・・・え・・・?」


振り向くと、そこには巫女さんがいた。

奥さん(56歳)ではない、巫女さんがいた。


…短い黒髪に、両手は頭の後ろで組んだ…元・レディース総長…樋口咲(17歳)がいた…。

「よっ。明けたな、水島。」

と、相変わらず、10代とは思えない姉御肌の樋口さんは、にっと笑った。


「え…み、巫女さんッ!?」

「そんなに驚くなよ。…あたしのオヤジの妹、つまりはオバサンが、ここで巫女やってんだ。」

「つまり、ご親戚…。」

「あ、そうそう、それそれ。」


…特攻服を脱ぎ、巫女になった元・総長…そのギャップに私は、驚きで逃げるのも忘れていた。


(……すごい変貌ぶりだ……。)


荒々しい巫女さんに、私は少々後ずさったが、会話を試みてみる。


「で…ここで、アルバイトを?」

「ああ。去年、カタギになったらさ…オバサンが喜んじゃってさぁ〜…手伝っていけって。

 神様のご利益があるからとか言ってな。」


そうですね…この巫女さん…去年まで暴走族でしたね…。


「正直、オバサンの話、信じてなかったんだけどさ……まあ…ご利益、あったかも…」


そう言って、少し俯いてモジモジし始めちゃった元・総長の巫女さん…

私は、嫌な予感がしたので、慌てて話題を逸らした。


「……あ…ええと…あ、あの!おみくじ引くなってどういう意味ですか?」


「ん?ああ…実はさ、ここの神社のおみくじ、凶ばっかなんだ。おっちゃん、発注間違えてね。」

「・・・は、発注?」

「そ。発注。おばちゃんが、大吉多めって言ったのにさ。おっちゃん、書き間違えたんだよ。」


・・・どこをどうしたら・・・そんな書き間違えを・・・

というか、ここのおみくじ…発注モノなんだね……。


「…てゆーかさ…水島…」

「はい?」

「お前…今、好きな女いるの?」



・・・・はい、キター・・・新年一発目の女難の予感・・・!



私は、更に後ずさりした。

女と縁を結ぶのは…新年になっても、お断りだ!!!


「あ、あの、それ…私がまるで、最初から女好きみたいな言い方ですけど、違いますよ!?

 私は、好きな人なんかいませんし!そもそも、普通の女で、OLで…だから…!」


私は、樋口さんの突拍子もない質問に、焦りまくった。

しかし、巫女姿の樋口さんは、巫女らしからぬ仁王立ちで…「で?」と聞き返した。

仕方がないので、私は…「…で…人嫌い…です。」と答えた。


「ふーん…そっか…人嫌い、ね…。なら…。」

ならと言いながら、樋口さんの視線は、私ではなく、私の後ろを見ていた。


「…じゃあ、アレはなんだ?」

「アレ?」


樋口さんの指差す方向には、大晦日振り切ったはずの女性たちが立って、私を見ていた。


いや、それだけじゃない…なんだか…数が増えてる…!?

いやいや…違うよ…これは…あれだ…ただの参拝客だ…!商店街にいた女性たちじゃないよ!

若い女性は…集団で参拝する!これがトレンドッ!!

すごいね!さすが丑年!!ドナドナが聞こえるわ!!どちくしょー!!


なんで、知らない間に大量発生してんのよ!私の女難ーッ!!



※注 只今、水島さんは、新年・初パニック状態です。ご了承下さい。



「・・・・・・」

私は、即座に目で、脱出の道を探した。


しかし、いつの間に湧いて出たのか…神社の境内には、女性が360度…

一人一人の位置は散ってはいるものの、確実に…囲まれている…。

そして…確実に…



・・・確実に・・・喰われる。




「水島。」

「…は?」


「水島、ここはあたしに任せて、下がってな…」

そう言いながら、ニヤリと笑った樋口さんは、紐を取り出すと…

紐を肩にかけて、まるで…大掃除でもするかのように袖を捲り上げ、周囲を睨んだ。


「…え?ひ、樋口さん?何を…」



(ま、まさか…ここで、大乱闘スマッシュシスターズですかッ!?)



樋口さんは、私の前に立ち、私を守るように右手を出した。



(や、やめて…!喧嘩をやめて!大人数を止めてーッ!!)



祈る私と、身構える樋口さんの隣に、巫女さんがもう一人現れた。


「咲ちゃん…。」

巫女さんがもう一人、奥さん(56歳)だった。

そこにいたのは…只の奥さん(56歳)ではなかった。


一見、中年特有の中年太りしているが、箒を…木刀のように肩に載せた…

巫女の、目が据わった…奥さん(56歳)がいた…


「おばさん…悪いね…新年早々…あたし、暴れたくなっちゃってよぉ…。」



(やめてー!折角更正したのにー!!)
※注 水島さんの心の中のツッコミ。



「これも、因果かしらね。この神社は、その昔…

 好きな男を巡って、女同士の決闘が行われた闘技場の跡地だったが…

 裏庭には、戦いに敗れ散っていった女の霊を慰める石碑…『負け女の石碑』が、あるんだ。

 ・・・まさか、現代で起こり得ようとは、ね・・・」



(だからなんなのー!?途中から出てきて、何”これは運命”的なエピソード披露してるの!?

 というか、石碑に嫌な名前つけるな!慰める気ゼロじゃないか!!)



「…ますます、負けられないね…やってやるぜ…巫女の威信にかけて…!」



(いやいや、巫女の役目違うでしょーッ!?そんな巫女いないよーッ!!)



「おばさんも…昔の血がたぎるわ…!!」



(アンタは、たぎらせちゃダメだろーッ!というか、オバサンも過去にグレてたー!!)




どこからともなく・・・ほら貝の音がした・・・。

嗚呼、ここは・・・どこ?現代?戦国?




   ”開戦!”




女達…いや、女武将達が、戦う。

ある者は破魔矢を振り…ある者は、バッグを振りかざし、ある者は素手で…ってあれは樋口さんだ…。


とにかく・・・何がなんだか・・・もう、よくわからない・・・。


女達の低い声や高い声、地鳴りに似た叫びの中を泳ぐように、私は逃げた。


……とにかく、私は…逃げるしかない…と思った。必死に、逃げた。

逃げないと…あの戦の優勝商品にされてしまいそうだったからだ…


地面を這い蹲り…転がり…跳び、滑り……

どこをどう逃げたのか…とにかく、私は、ぼろくそになりながらも、自宅に戻ってきた。



正確には…自宅のドアまで、だが。


「…………。」


「ね〜え?聞いてる〜?らから〜ぁ…ね?」

「何で、白紙なの〜?みずてぃま〜さ〜ん?」



「…あの…皆さん…酔ってます、ね?」



「酔ってる、酔ってないは、かんけいらいろ!!」

「そうれすよ〜!こんなプレイ…もえまひゃん!!」


私は、呆然自失のまま…酔っ払った女難チームに囲まれた。

なんだか知らないが…酔ってるし、怒ってるし…なんか、ちょっと焦げ臭いし…(泣)


私の年賀状が原因らしいので、私は説明を繰り返したのだが、酔っ払い達が素直に聞く筈もない。


(今年も・・・やっぱり、これか・・・。)


私は、ポケットの中の5円玉を、外に放り投げたかった。

ご縁…賽銭に使わなくても、持っていても、私は無駄に、ご縁をひきつける女。


ああ…

”イマドキ、炙り出し年賀状描いて、ドン引きさせよう作戦”…なんてしなきゃ良かった…!(泣)



『水島さん、今年も、呪い50%・自業自得で50%…で、女難を呼び込む。』



ちなみに。

その年から、どこかの神社で…女同士が新年から殴りあい、なにやら凄い歌を歌う

という過激が行事が、数百年の時を経て、つい最近、復活したとか、いないとか…。


・・・ま、どうでもいいや・・・。


  END









今年も、こんなカンジで、よろしくお願いいたします…。


結末は決まってるんですけど、それまでの展開はどう書こうかな、っと。(苦笑)