[水島さんはゲーム中。]
私の名前は水島。
悪いが、下の名前は聞かないで欲しい。
性別は女、年齢25歳。ごく普通の、出世願望も、結婚願望もない、本当に普通のOL。
・・・つい最近、呪われた、という以外は。
『…あの…先輩!タオルです!』
…現在、私は口に咥えタバコ、手にはゲームのコントローラーを持ち
”マックロイ ハラ”というゲームをプレイしている。
暇つぶしの為に、思い切って買ってみたゲームに、こうもハマるとは自分でも驚いた。
最近のゲームは、侮り難し。喋るわ、動くわ…本当に良く出来ている。
このゲームは、主人公の女子高生が、合宿先の観光名所で起きた”殺人事件”に巻き込まれ
さまざまな腹黒そうな女性と知り合いながら、事件を解決するという、サスペンスゲームだ。
そう・・・サスペンスゲーム、のはずなのに。
『あ…あの…私、先輩のことが…好きなんです!』
「……ふー…またか…」
私は、美少女2人が見つめ合うTV画面を見て、溜息と共に、タバコの煙を吐き出す。
『先輩!こんな殺人事件なんかどうでも良いんです!私と、京都に帰りましょう!』
『がってんでい!』
・・・ハッピーエンド♪
先程から、私は、犯人に辿り着くことなく、女性キャラに告られて京都に帰るEDしかみていない。
このEDになると、本編の流れとは、全く関係の無い恋愛シナリオに、突入してしまうのだ。
…女難の女が、どうして自宅で美少女2人の恋愛模様を見なくてはいけないのだ。全く…。
「おかしいなぁ…殺された宝石デザイナーのダイイングメッセージを読み間違えたか…?」
私は、タバコに火をつけて、ゲーム機のリセットボタンを押して再挑戦。
ー1時間後ー
『女将さん!好きです!』
『ああ、お客はん…いけまへん…でも、あないな悲惨な事件…忘れされてくれるんどすか?』
『勿論です!犯人なんか、警察に任せましょう!私、素人ですし!』
・・・ハッピーエンド♪
散々プレイして、またしても、このEDか…!
「…何で、若女将とくっつくんだよッ!もうッおっかしいなぁ…
大女将のアリバイ崩した途端に…若女将モードに入っちゃうし…!!」
攻略サイトを見ようかとも思うのだが、それはやはり推理する楽しみが、半減してしまうと言うもの。
こうなったら、女性キャラは無視だ!
ー1時間後ー
”ザシム…!”
『…ぐはっ…ど、どうして…あなたが、私を…』
・・・バッドエンド。
「主人公、刺し殺されちゃった…」
ー1時間後ー
『好きです!』
『…大女将である私が、初めて人を愛する事を知りまひ…ひゃひゃ…!』
『もうッ大女将ったら、入れ歯が落ちましたよ♪ウフフフ♪可愛いんだから♪』
・・・ハッピーエンド♪
「うわあああ!!またかあああああああ!しかも大女将(68歳)とEDってー!?」
最終手段だ。攻略サイトを見よう!
わたしはPCを起動させて、攻略サイトを探した。邪道だが、仕方ない。私はクリアしたいのだ。
「えーと・・・マックロイハラ・・・ん?なんだ?隠しシナリオ?」
攻略サイトには、ゲームの裏シナリオについて書かれていた。
…もしかして、その裏シナリオじゃないと、犯人を捕まえられないのか?
なんて、ややこしいゲームだ…!
「…何々?…マックロイハラには、隠しシナリオ『百合モード』が隠されていて…
そのシナリオを見る事は、超!困難で……」
さっき、散々見せられたあのEDが…隠しシナリオだと!?
そんなバカな!?私が見つけたい犯人は、どうした…!?
「えーと…『とりあえず、本編は適当に進めていけば、犯人は解るので、割愛します』…。」
その適当が、わかんないからサイト来てるんだろうが!!
「…『管理人、評価…E…クソゲー。結局、本編の犯人しょぼ過ぎ(爆)
このゲームは、裏シナリオがないと、意味が無い。このゲームは堂々のクソゲーですね(笑)』…?」
ちくしょー!!!
もう、こんなもんに頼るもんか!自力で犯人つるし上げてやる!!(泣)
ー1時間後ー
『OH!アナタのような日本人…初めて!アナタの親切心に、ワタシ、恋に落ちてしまいそうデス!』
『ミランダー!私もよッ!!』
『こんなクソ事件、FBIに任せて、ワタシタチは、ラブを育みましょー!』
『ええ!京都に帰って!メイク・ラブよ♪』
・・・ハッピーエンド♪
「うわあああああああああああああ!!!!!一体、犯人は、誰なんだあああああああああ!?」
私は、コントローラーを投げ出して叫んだが、今も犯人は解らない・・・。
[水島さんはゲーム中]・・・END
水島さんに”アオイシロ”をプレイさせてみたい欲求が、ココに出ました(苦笑)
第2弾「まだゲーム中」に続きます♪