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[ ボーカロイドに関する知識が全くない人間が、少ない情報と想像で書いた ルカ×メイ  ]


私は、巡音ルカ。ボーカロイドです。

主に、歌を歌う事を仕事としています。


歌う事は、マスターに与えられた私の能力であり、歌う事は、唯一私が、他の人に与えられる事。



今日のレコーディングは、中止になりました。

マスターが、どうしても私の歌にOKを下さらないのです。


どうして貴女はこの歌を歌うのかわかる?ってマスターに聞かれた時


「私の使命だからです。」


私はそう答えました。


すると、マスターは・・・何も言わずに、苦笑しました。


・・・何か、間違っていたんでしょうか?


今日だって、マスターの言うとおりに、譜面だって、英語の発音だって、私はちゃんと歌っていたと思うのですが・・・。



(もう少し、譜面を読みこめって事かしら・・・。)


あれこれ考えながら、私は家のドアを開けました。


(・・・ミクさんは・・・多分、もう寝てるわね。)


先輩でもあるミクさんに聞こうか、とも思ったのですが、彼女は多忙。

休む時間もままならない彼女に向けて、私の質問をぶつける余裕はないと思いました。



「おっ!お疲れさん!」

「・・・あ、メイコお姉様。」


悩みながら、家に帰ると、メイコお姉様がまだ起きていました。

やっぱり、お酒を飲んでました。


「お好きですね?」

「そりゃ、もう。一日の締めは、これでしょ。」


そう言って、私に向かって乾杯と言いながら、グラスを上げるとぐいっと飲み干しました。

ゴクリ、とお酒が、メイコお姉様の喉を通過する音がしました。


「あー・・・美味しっ♪」


そう言って、少し赤くなった頬に手を添えて、無邪気に笑うメイコお姉様が、なんだか可愛らしく見えます。


(本当に、好きなんだなぁ・・・。)


メイコお姉様は、私に優しくしてくれます。

初期のボーカロイドであり、私の先輩です。

私生活では、姉のように優しく、時には厳しく・・・そして、時には・・・だらしなくて、大酒飲みです。


ミクさんや、リンさん、レンさんに何かあると、すぐ飛んでいくのは彼女です。

カイト兄さんの場合は、少し泳がせてから止めに行きます。

コンビニの行き方、使い方、コンビニキャンペーンの仕方・・・とか、お酒に合うおつまみの選び方・・・私に教えてくれたのは、メイコお姉様でした。


「・・・ルカ。まぁ、ちょっと、ココにお座り。」

「え?」


それは、晩酌にお付き合いしろ、と言うことでしょうか?

という質問をする前に、メイコお姉様は立ち上がり、冷蔵庫から白い丼をテーブルの上に置きました。


「ほい。マグロの山盛り山かけ一丁!・・・好きでしょ?マグロ。」

「は、はい!」


なんて素敵な量!ダイナミック!途端に唾液が、分泌されました。

それにしても、メイコお姉様、私の好物を覚えていて下さったんですね・・・。


「素敵・・・まるで、初冠雪を迎えた山のよう・・・!」

「あはは、いいね、その表現!」


私が箸を持ったまま言った感想に、メイコお姉様は膝を叩いて笑ってくれました。


「やっぱ、好きなものを目の前にすると、素直に嬉しい気持ちが言葉になって出てくるでしょ?」


「はい、そうですね。・・・まさか、こんなのが用意されてるなんて思ってませんでしたし。

ありがとうございます!メイコお姉様!」


私は、箸でマグロを摘み頬張った。

美味しい。

お肉にはない、このさっぱりとしていて、舌の上に広がる旨み・・・。


メイコお姉様は、ニコニコ笑って私がマグロを食べるのを見ていてくれていました。


「・・・マスターから聞いた。今日の事。」

「あ・・・。」


「まっ、マスターのこだわりは、今に始まった事じゃないからね。私達は、それをどれだけ表現できるかだよ。

今日がダメでも、気にしない気にしない。」

「・・・メイコお姉様、聞いていいですか?」


私は、ずっと引っかかっている質問をぶつけてみました。


「ん?」

「メイコお姉様は、どうして歌うのですか?」


「うん、それが私の仕事だし。ボーカロイドなんだし。」

「ですよね?」


間違っていない。私は、やっぱり間違ってなかった。

でも、マスターが苦笑したのは、どうして?



「あと、”好き”だから。歌う事が。」


メイコお姉様が、私の目を見て、そう言いました。



「好き・・・。」


「そ。私が素敵な歌詞と曲をこの声に乗せて、みんなが自分の時間を使って、私達の曲を聞いてくれて・・・何か思ってくれて。

今日は、どれだけ皆の耳から心に私を残せたかな〜とか、考えてると・・・」


「・・・考えてると・・・?」


「酒が最高に美味い!!」


「・・・・・・。」


思わず、前のめりにこけそうになるのをぐっと堪え、私は黙ってメイコお姉様を見つめました。

すると、メイコお姉様は少し真剣な表情で言いました。


「でもねえ、ルカ・・・大事な事よ。歌はね、心に届くものだから。

義務や責任、利益だけの気持ちしかこもってない歌は、そういう表面的な部分にしか響かない。

心の奥深くまで届かない。・・・そういうもんなのよ。」

「なるほど・・・」


「別に、ルカの歌に気持ちがちっともこもってない、とは言ってないわよ?誤解しないでね。

ただ、ルカの好きなものの中に、歌は入ってるのかなって思ったから。」


「・・・メイコお姉様は、好きな歌ありますか?」

「あるよ、いっぱい。」


「・・・歌って、下さい。私に、聞かせて下さい。」


「うん、いいよ。じゃ、もっとお姉さんトコ、寄って。」

「はい。」


メイコお姉様は、隣に座った私の肩を抱いて、耳元で歌ってくれた。


(・・・子守唄・・・?)


メロディは、今まで聞いてきた曲より、正直単純。

歌詞も、すごくシンプル。



『今日は安らかに眠りなさい。

疲れた身体を、横たえて。

ただ、静かに息をするの。

何も考えないで、ただ眠ればいいの。


明日目覚めたら、その日一日笑顔でいて欲しい。


大好き。

何度でも、言うよ。

大好き。


だから、今はおやすみ。

また明日。


明日のあなたに会えるのを楽しみにしている。

おやすみ。

また明日。 』



・・・なんだか、聞き覚えがある。

それに、なんだか・・・落ち着く。


「・・・覚えてる?まだ、貴女が誕生する前に、私が貴女のプログラムに向かって、歌った歌。」

「そんな話・・・」


「ま、それもそうよね。誕生する前だから覚えてないのは当たり前だし、今私が話したんだもの。

ミクも、リンレンも、みんな生まれる前、これ聞いてるのよ。歌い手は私!そして、未発表曲!理由は、地味だから!」


そう言って、メイコお姉様は笑いながら、お酒を一口飲んだ。


「そう、だったんですか・・・」

「私ね、あなた達が、生まれる前、すごく楽しみだった。


カイトに続いて、ボーカロイドが、私の仲間が,どんどん生まれて増えていくって思ったら、もうワクワクしちゃってね。

私にも何か出来ないかなって考えたの。


だから・・・まず、歌う事の楽しさを、この私が生まれてきたみんなに、一番初めに教えようって決めたの。」


「メイコ、お姉様・・・」


メイコお姉様は白い歯を見せて笑いながら、私の頭をくしゃくしゃと少し乱雑に撫でた。


「こ〜んなに素敵なボーカロイドが生まれてきちゃって、素敵な歌がいっぱい生まれて、私達はいっぱい歌える。

それは、とても楽しい事だし、幸せな事だから。


だから・・・私は、あなた達がこの家で眠る時、心の中で歌ってるの。

明日のあなた達が笑顔でいてくれますように、歌う事を今日も楽しめますようにって、願いを込めて。


まあ・・・そんな、自分が好きってのもあるんだけど〜・・・やっだ、私、語りすぎ!?恥ずかしっ!」


そう言って、メイコお姉様はおどけて急に照れ隠しのように、お酒をガバガバ飲みだした。


『歌に想いを、願いをのせる。』



ああ、私達は仕事だけじゃなくて、そういう気持ちでメロディを口ずさんでも良いんだ。

そう思ったら、少し力が抜けました。


「ルカは、歌うの好き?」


私はメイコお姉様の質問に、黙って頷きました。

そして、私は自分が歌が好きなのだ、としっかりと自覚できました。


そして、安堵すると同時に、涙がぽたぽたと流れてきました。



「め・・・メイコ、お姉様・・・っ」



メイコお姉様が、いつもそんな風に歌っていたなんて。

メイコお姉様の先程の歌に、お姉様の気持ちがこもっていたなんて。


「え!?あ、いや!私、そんなルカを泣かすような話を・・・そんなつもりは、なかったのよ・・・!?」


慌てながらメイコお姉様が私の頬を撫でて、涙を拭いてくれた。


嬉しい。


自分がこんなに想われている事が、嬉しくて、涙が出たんです。

私は、自分の頬を撫でてくれたお姉様の手を取り 腕の00の文字に唇をつけ、ただ、メイコお姉様に寄り添い続けました。


(歌声も、この手も、この体も温かくて柔らかくて・・・これが、私のお姉様だなんて・・・)


この人が私のお姉様で良かった、心からそう思えました。


・・・だから、一ミリも離れたくなかったんです。


「・・・お姉様!私、メイコお姉様が前より、もっともっと好きになりました!」

「ふえ!?・・・へ、へえ〜・・・あ、あの、どのくらい?」


「マグロ山盛り山かけより・・・ちょっと上!」

「ちょっとかよ。・・・ぷっ!まあ、いいわ!」


メイコお姉様の笑顔につられて、私は笑いました。


「乾杯しよっ!明日のレコーディングは、大丈夫だ!」

「はい!」






 ― 次の日 ―





お姉様、聞いていて下さい。

私、この曲を大好きなお姉様に捧げます・・・。



私の、想いを乗せた・・・この一曲を、世界にただ一人のあなたに・・・!








『♪ちぃ〜らしぃ〜寿司なぁら〜 このォ〜す〜し〜太ぁ郎〜♪』






「・・・OK!お疲れ!ルカ!最高だ!

ちらし寿司の酢メシの酸味が伝わってきて、食欲と購買意欲が湧いてくる!Sブちゃんも納得の”すし太郎”だ!!」


「ありがとうございます!マスター!!」


やりました・・・!やりました!お姉様!


私も・・・大好きです、メイコお姉様。


明日の貴女が、笑顔でお酒を飲んで歌う姿を私は、すぐ傍で見ていたいです。

今日も、明日も、そのまた明日も・・・ずっと・・・!



レコーディングが成功した日、メイコお姉様は、マグロがいっぱいのった、ちらし寿司を作ってくれました♪


「ルカ。明日は、広東風かに玉の歌だって。頑張ってね?」

「はい!頑張ります!メイコお姉様!」




[ ボーカロイドに関する知識が全くない人間が、少ない情報と想像で書いた ルカ×メイ ・・・END ]


途中までエエ話?やったやないか・・・!という方。ここは、悲しき百合含有・おふざけサイトです。

ずっと、ルカメイ・メイルカのSSを探してましたが・・・自分に合うのが無くて。

じゃあ、書いてみたらって、言われるままに書いてみたら・・・何にも知らなかったので、情報かき集めて妄想して作ったんですが・・・。

・・・まず、ボーカロイドの実生活とか、プロフィールがわからない、という・・・。

ちゃんとした作者さんに、このカップリングを託そうと思ったSSです(笑)



・・・あと、永谷●さん・・・大好きです。