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[ 小ネタSS シンケン編 四十一幕 後のお話です 〜お姉さんからの荷物。〜 ]






あたしこと、白石茉子はその日、稽古を終えて、ゆっくりと過ごしていた。


丈瑠の調子もなんだか、元に戻ったみたいだし・・・取り越し苦労だったかな、と安心していた。

ああ、良かった・・・。ことはも心配してたみたいだけど、余計な心配掛けさせられないし、話さなくて良かった。



それに・・・うっかり、ことはに話して、ことはと丈瑠のフラグが、うっかり立ったりしてたまるもんですかってーの・・・うふふふふ・・・(黒)。

※注 フラグ撤収に必死な茉子さん・・・と作者の私です。


そんな時。



「ことは、姉上から荷物が届いておるぞ。」

「ホンマですか!?ど、どこですかっ!?」


彦馬さんのその声に、ことはは顔をぱあっと明るくして駆け出していった。


「はっはっは・・・慌てるな慌てるな、これだ。」

「・・・ホンマや・・・お姉ちゃん・・・」


差し出された小包を、ことははぎゅうっと大事そうに抱き締めた。


「なあなあ・・・ことは開けねえの?腐るかもしれねーじゃん?」


千明のヤツは小包の中身を勝手に「食べ物」だと思い込んでいるようだ。


「・・・花織みつば・・・ほう、ことはのお姉さんは、みつばというのか。で、開けないのか?」


千明と一緒に小包を覗き込む流ノ介。・・・ヤツも中身が気になるらしい・・・。


「はい・・・あの、でも・・・みんな、そうやって見てると、なんか開けづらいわぁ・・・。」


そうやって困ったような笑顔でことはが、やんわりとそう言った。

折角の家族からの贈り物だもの、ね。空気を読みなさい、2人共。とあたしが言おうとした時・・・


「・・・おっ!どうしたい!?」

「ああ、源太か・・・。」


・・・ああ、ややこしいのが増えた・・・。


「おっ!源ちゃん!ことはの姉さんからなんか送ってきたんだよ。」

「何!?ことはちゃんのお姉さまからっ!?」

「なんでい!?なんでい!?」


・・・ダイゴヨウ付きで、ますます開けづらい状況になってしまったことはにあたしは助け舟を出す。


「そんなに見たら、ことはが開け難いでしょ!?はい、みんな、座る!」

「「「「はい。」」」」

そう言うと3人と提灯は素直に座った。・・・が、視線は小包に注がれている。


「ことは、気にするな。開けろ。」

見かねた丈瑠も助け舟を出す。

「あ、はい・・・」

それに促されて、ことはは丁寧に丁寧に小包を開けた。・・・それをもどかしそうに、3人と提灯が見つめる。

中からは、黄色にKOTOHAという文字入りのマフラーが出てきた。

「・・・あ、マフラーやぁ・・・お姉ちゃん・・・ありがとう・・・」


手作りらしいそれは、とても綺麗に編み込まれていて、作り手の想いが伝わってきそうな品だった。
ことははそれをぎゅうっと抱き締めて、嬉しそうに微笑んでいた。あたしは後ろから声をかけた。

「お姉さん、か・・・いいよね。あたしは姉妹がいないし、そういうの憧れるかも。

それにしても、器用ね?ことはのお姉さん・・・それにそのマフラー似合ってるよ、ことは。」

その言葉に、ことははニッコリと微笑んだ。

「茉子ちゃん、ありがとう。」


「他は!?他はなんかないか!?」「こら!千明!もっと丁寧に探せ!」

「みつばお姉さまの写真かなんかはねえのか!?」

「御用でい!御用でい!捜索でいっ!」


待ちきれず、3人と提灯が小包を漁り始めた。


「・・・あ・・・。」

「ちょっと!人の荷物漁らないの!手紙は、ことはに渡しなさいよ!」


ことはに代わって、あたしが怒鳴ると・・・千明が声を上げた。


「お!なんか出てきたぞ!!ことは、開けてみろよ!」


小包の中から、千明は袋のようなものを取り出し、ことはに、ぽんと手渡した。

「・・・なんやろ・・・開けてみるわ。」

黄色い包装紙に丁寧に包まれたそれを、ことはは不思議そうに見つめると、また丁寧に開け始めた。

それに3人と提灯がありったけの視線を注ぐ。・・・・・・そんなに、暇なの?アンタ達は。


「はいはい、そんなに人の贈り物を意地汚く、見ないの!丈瑠みたいに、堂々と座って・・・」


と言いかけたあたしの視界に入ってきた丈瑠の姿は・・・。


「・・・・・・・・・。」


・・・丈瑠は前のめり気味に座って、ことはの荷物を見ていた・・・。殿様でも気になるものは、気になるって事か。

まあ、あたしも気になるけど。・・・そして、それは取り出された。


「・・・あ・・・『腹巻』やわ・・・お姉ちゃんったら・・・。(恥)」


「「「「「・・・・・・・。」」」」」

丁寧に編みこまれた黄色の腹巻。KOTOHAの文字が今度は哀しく見える。

・・・ことはにかける言葉を失うあたし達。

恥ずかしそうなことはに「あの・・・ことは・・・これから、寒くなるから・・・。」とあたしなりに、そう言ってみる。


「・・・あ、まだあるぞ!ことは!大丈夫だ!」と流ノ介が小包からまた丁寧に黄色い包装紙に包まれたものをことはに手渡した。

・・・一体、何が大丈夫なんだか・・・。再び、それに全員の視線が注がれた。

そして、その視線に答えようと、ことはは震える声で中身を報告してくれた。


「・・・け・・・『毛糸のパンツ』・・・。」


「「「「「「・・・・・・・。」」」」」」


あたし達は、すぐに視線を天井に向けた。


「・・・い、良〜いお姉さんじゃねえか!ことはちゃん!これから寒くなる季節なんだしよぉ!」

「余計なフォローを言うんじゃない!源太!」

「大体・・・それ、さっき姉さんが言っただろ!源ちゃん!」


「親分に悪気はねえです!只、空気が読めないだけで…」「なんだとコノヤロー!」


3人と提灯がモメ始めた時、ことはは気まずそうにあたしにそれを手渡した。


「あ、あの・・・茉子ちゃん・・・これ・・・貰ってくれる・・・?」

「え・・・!?・・・ちょ、ちょっと・・・ことは、折角お姉さんが編んでくれたのに・・・!」


いくら恥ずかしくても、これは、ことはのお姉さんが心を込めて編んだ・・・”ことはの”毛糸パンツ・・・

・・・・・・・ことはの、毛糸のパンツ・・・


・・・・・・ことはのパンツ・・・ことはの・・・・パンツ・・・・


・・・ことはの、パンツ・・・・だったら・・・まあ、良・・・



・・・いや、良くない!良くない!!ちょっと迷っちゃったけどやっぱり良くない!!



「いや、やっぱり、ダメよ!ことは!そんなの・・・せめて、一回貴女が履いてから・・・」とあたしが言いかけたが、それより先に。


「・・・いや・・・ええの・・・・・コレ・・・”茉子ちゃんの”やから・・・。」


「・・・・・・・・・はい?」


ことはから手渡された”桃色”の毛糸のパンツには、ご丁寧にあたしの名前(MAKO)が・・・。


・・・・・・・ま・・・・・・・



・・・ま、マジですか・・・!?・・・お義姉様・・・!!


・・・いずれ、正式にご挨拶には行かないといけないとは思ってましたが・・・

このパンツは・・・その時、これ・・・履いて来い、という事なのかしら・・・!?

※注 多分、違います。


「あ・・・ま、茉子ちゃん?もし・・・嫌やったら、履かんでええから・・・!」

必死にことはがそう言うので、あたしは思わず・・・。


「え?い、いや・・・そ、そんな事ないわよ!?は・・・履くわよ!」

「ほ、ホンマに・・・?」

「ええ、履くわッ!あたし達の未来の為(?)に…!!」


「よ、よかったな!茉子!これから冷える季節だし!(笑)」と流ノ介のウザいフォローが入る。

「そ、そうだよ!姉さん!着ちゃえば、わかんねえし。(笑)」と千明なりのフォローになってないフォロー。

「ま、侍に二言はねえってな!これにて、一件落着ってかぁ!良かったなぁ〜茉子ちゃん!」と源太が陽気に笑う。


「・・・・・・。」

丈瑠は、口元を抑えている。・・・さては、笑ってるのか?このやろ・・・!


(・・・後で・・・覚えてろよ・・・。)とあたしがシンケンマルを取り出そうとしたその時。


「・・・・・あ・・・待って、みんな。」


「「「「「「・・・ん?」」」」」」


「・・・お姉ちゃんの手紙に書いてあるんやけど・・・

腹巻と毛糸のパンツ・・・全員分・・・あるみたい。」




「「「「「「・・・!!!」」」」」」



ことはの言う通り、小包の中からは、色とりどりの毛糸のパンツと腹巻のセットが出てきた。

言葉を失う侍達に、ことはも流石に気が付いて、気を利かせた。


「ご、ごめんなさい・・・お姉ちゃんったら、体が弱いから、編み物しか出来なくて・・・あの・・・皆、嫌なら履かんでええから・・・ごめんなさい・・・」


・・・・・・い、いや、そんなエピソード聞かされたら、ますます後には引けない・・・!


まず、あたしが声を上げた。

「い・・・いいえ!あたしは使わせてもらうわよ!ことは!ほら!この通り!」とあたしは腹巻を身につけて見せた。

・・・パンツは、さすがに今は無理だけど・・・!


「あ・・・茉子ちゃん・・・ありがとう!よく、似合ってるわぁ♪」


「・・・う、うん・・・あ、ありがとう・・・さあ・・・皆もこれから寒い季節が来るんだもの・・・履くわよねッ!?」


あたしの視線に、皆が迷いながらも、一斉に頷く。


「あ、ああ!俺も履くよ!!なあ?流ノ介!?」

「え?・・・あ、ああ!履くとも!なあ源太!?」

「お、おう!侍に二言はねえ!履くぜ!なあ?丈ちゃん!?」

「え・・・・・あ、ああ・・・履かせてもらおう・・・。」


・・・よし。これで、皆・・・道連れよ・・・!!


「…ホンマに?良かったぁ…迷惑やと思って、うちドキドキしてしもうたわ…。

うちのお姉ちゃん喜びます♪・・・あ、源さんのスパンコール付いてますよ♪」


「あぁ、本当ねぇ・・・ゴールドって感じね・・・。良かったわね、源太。」

(・・・お姉さん、どこから源太の事知ったのかしら・・・。)



「お、おう・・・あ、ありがとうな。・・・だ、ダイゴヨウ・・・オマエ、腹巻担当な。

・・・パンツは流石に・・・。あの・・・俺が履くから・・・。(泣)」


源太の言葉に、ダイゴヨウは意外な反応をした。


「えぇーッ!?親分、あっしみたいな提灯なんかに・・・腹巻なんて・・・良いんですかいッ!?いやっほーぅ!!(喜)」

喜んでるダイゴヨウにことはが、スパンコールでキンキラキンの腹巻をつけた。

「・・・あ、ダイゴヨウ、似合ってるわぁ〜♪」

「本当ですかい!?ああ、これが・・・ことはの姉さんのそのまた姉さんの温もりってぇヤツですね!

いやあ〜家族ってイイモンですね!ねっ!?皆さんっ!」


「「「「「「・・・そ、そうだね・・・。」」」」」」


・・・という訳で。

寒い季節、あたし達が出陣の際は・・・袴の下に毛糸のパンツを身に付ける習慣がついた。



「そこまでだ!外道衆!!・・・天下御免の侍戦隊・・・」←※殿、毛糸のパンツ・腹巻着用中。


「「「「「「・・・シンケンジャー!参る!!」」」」」」←※殿、その家臣毛糸のパンツ・腹巻、殿の友人、毛糸のパンツ…着用中。

「御用でい!御用でい!」←※ 提灯は腹巻着用中。



・・・あたしは、負けない・・・だって、ことはのお姉さんだもん・・・つまりは、あたしのお義姉さま・・・!

いずれ・・・挨拶しに行かないといけないんだから・・・こんな事で、こんな所で・・・こんな姿で負けないわッ!

よくよく考えたら・・・ことはと”おそろい”・・・だものね!(茉子さんの脳内妄想では、男性陣との”おそろい”はカット。)



「はあーっ!天空の舞いッ!」※注 茉子さん(腹巻・毛糸のパンツ着用中。)は妄想暴走中です。


―みつばさんの手紙の続き―

『という訳で、ことは・・・皆さんと一緒に、寒さに負けず、風邪引かんよう、頑張ってね。 

p.s あんまり暇やったんで、シャレで編んだ腹巻と毛糸のパンツ(皆さんの分も)送ります♪ウケてくれたら嬉しいです♪

みつばより。 』



― お姉さんからの荷物 ・・・ END ―





今は、腹巻も毛糸のパンツもデザインが可愛いのがいっぱい出てますからね♪

皆さんも風邪には、お気をつけて!!


・・・というか、もう茉子さん変態扱いです。ゴメンナサイ・・・茉ことはファンなのに・・・!!