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私の名は…白石 茉子。

シンケンピンクとして、外道衆と戦い、平和を取り戻すため、殿様に仕え戦っている。

それもこれも、全てはあの、卑怯で極悪非道な外道衆を…この手で倒す為、仕方が無いのだ。

厳しい戦いと、修行の日々ばかりだが…


…楽しみはある。


『休日』


一日、自由に過ごせる日。

外道衆が、いつやってくるかわからない状況だが、たまには息抜きは必要だ。


・・・まあ、私の場合は・・・

ことはの寝顔で、イッパツ軽くぬけ…





 ※注 しばし、お待ちくだされ!!!






(休日かぁ…どうしよっかな……私、観たい映画あるのよねぇ〜……)


雑誌のページをめくりながら、私は上映時間を調べていた。

折角の休日だもの。のんびりは勿論…効率よく楽しまないとね。



(・・・ことはは、どうするのかな・・・?)


あのコ、田舎から出てきて…家とあの公園くらいしか、歩いたこと無いみたいだし…。


それとも…


またオーバーニーソックス履いて、絶対領域晒しながら笛吹いて、半日のほほんと過ごすのかしら…。

 ※注 そして、それを半日ずっと、陰から見ていたらしい茉子さん。


(・・・・・・・・・あ、そうだ・・・・!)


私の頭に、とても有意義な休日の過ごし方が、ひらめいた。


「こ、ことは…。」


雑誌を握り締め、私はことはの元へ。


「んー?」


「ことは、良かったら…私と映画、観に行かない?ついでに、街も色々案内出来るし…」


「映画ってどんなん?」


「あ、えーとね…”必殺!おくりびと”ってヤツとか…

 ”実写版・オバンゲリオン”とか…あ、こっちはダメね。●リウッドだもの。

 ねえ、ことはは、どういう映画が好き?」


「映画って映画館って場所で観るんやろー?うち、行った事ないから、よくわからんけど…

 ・・・うわ、何これーおもろい人やなぁ♪」


「あ、それ人じゃなくて…”ぼにょ”よ……ことはは”スタジオ・ジブレ”が好きなのね。」

「ぼ、にょ??…すたじお・地割れ??」


「うーん・・・まあ、簡単に言うと、アニメ。」

「へぇ…」


やっぱり、ことははアニメ映画かなぁ…雰囲気は、あんまり…だけど…

・・・うん、たまには、いいかも。


「観に行けば、わかるわよ。・・・休みの日・・・い、一緒に、行かない?」

「ん〜と…」


 よ〜し、決まり! 

 ※注 茉子さん、ことはの返答まだですよ。



私の頭の中は、ことはとの初・デート★で、浮かれきっていた。


だから、私達のすぐ傍で、暴走を始めた流ノ介にも気付くのが遅れた。



「折角の休日だ!皆で出かけようではないか!なあ?ことはッ!!」



流ノ介は、爽やかな笑顔で振り向いたかと思えば、ことはに詰め寄った。

ことははことはで、全く話の流れがわからず、聞き返す。


「・・・はい?」


流ノ介のテンションは、上がりに上がっていた。・・・正直ウザイ・・・。

そして、私の計画をブチ壊す一言を発した。


「・・・ことは・・・皆でどこへ行きたい?」


思わず…我が耳を疑った。

なんですって?・・・皆で出かける?・・・”みんな”で!?


「ちょ、ちょっと…流ノ介…!?」


(オイオイオイオイ!空気読めよッ!水の流れ読めるなら、空気を読め!流ノ介!!オイッ!!

 見えないの!?私とことはのA.Tフィールドが!※(A.T=愛.たっぷり)

 ことは!断って!お願い!無視して!今だけ悪い子になっても、私が許すからっ!!)




「・・・ん〜・・・うち、みんなと遊園地行きたいッ!」




こ、ことはあああああああああぁ――――!!(泣)




・・・心の中で私は、軽く泣いた。


「うち、遊園地行った事ないから、みんなで行きたい!」


・・・でも、可愛い…憎めない…ううぅっ…(泣)







 ― そして遊園地にやってきた一行 ―







茉子:「・・・・・・・・・・・。」



※注 茉子さんは只今、ふて腐れていますので、ここからは会話のみとなります。ご了承下さい。




千明:「・・・おい、流ノ介。何が親睦だよ!

 
 ・・・姉さんの機嫌、無茶苦茶悪いじゃねーか。肝心の丈瑠も来ねえし・・・。」


流ノ介:「ん?そうか?・・・おっ!回転木馬だぞ〜千明!


 ああ、是非とも殿に乗って欲しかったなぁ…きっと楽しいだろうになぁ…はっはっは…」



千明:「・・・ダメだ、アイツは・・・ここでも殿馬鹿だ。」


ことは:「ねえねえ…千明、茉子ちゃん、遊園地嫌いなんかなぁ・・・?」


千明:「さぁな。」

ことは:「映画見たかったって言うてたし…来るの、嫌やったんやろか…」


千明:「…そんなに気になるんなら…ことは、何か言って、姉さんの機嫌とってこいよ。」

ことは:「でも…なんて言えばええの?千明。」


千明:「あー…例えば〜…『茉子ちゃん、笑って♪』…いや、ねーさんがそんなんで笑う訳が…」



ことは:「茉子ちゃん、笑ってー♪」



千明:「あーあ…あんの馬鹿…そのまんま言いやが・・・」



茉子:「・・・(ニコッ♪)」




千明:「笑ったーッ!?しかも何!?あの極上の笑顔ーッ!?」



茉子:「アイス、食べよっか?ことは♪」

ことは「うんっ♪…茉子ちゃん、食べたら、何乗るー?」

茉子:「…ん〜………か、観覧車とか、どう?」

ことは:「うん!うち、乗ってみたい!」



千明:「・・・・・・女って、わかんねえ・・・。」



茉子:(・・・おっしゃあ…ことはと2人きりで観覧車よ・・・!意地でもデート満喫してやるわ…)



しかし、残念ながら、この10分後。


遊園地内に外道衆が出現する事になろうとは、この時の茉子さんは知る由もなかったのです・・・。





 『うはははははは…無駄無駄無駄ァー!!』






 茉子:「…無駄は…オマエだあああああああああああああ!!(泣)」












    [ オマケ・・・後日談 ]





私の名は…白石 茉子。

シンケンピンクとして、外道衆と戦い、平和を取り戻すため

シンケンレッドこと、志葉丈瑠こと…殿様に仕え、戦っている。


厳しい戦いの連続。

だが、負けるわけにはいかない。

秘伝ディスクも集まってきている事だし・・・


あぁ、全国の、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん…。

おもちゃが増えるとか、ロボが増えるとか、そんなクリスマス等の心配はしないで下さい。

大抵、クリスマスセールとかあるから、大丈夫です。

ロボの数も多くなったぶん、一体あたりのお値段、お安く出来ると思うし…

第一、今の日本は少子化進んでますからね、ここはひとつ…


 ・・・・・・・・・・・。


えーと・・・なんの話だったかしら・・・???


あ、そうそうそう・・・とにかく、私達の戦いは厳しいものなのよ。



だからね・・・思ったのよ・・・。



・・・”私、もっと、強くならなくちゃ”って。



シンケンマルも、大分馴染んできたけど…。

馴染むよりも、もっと…自分の体の一部のように・・・・な〜んて、らしくないとは思うけど。

…敵も強くなっている。手段も巧妙かつ、卑劣。

そんな奴らと戦うのだから、イザという時、モノを言うのは…やはり、己の精神、そして剣。

このままで良い筈が無い。



…今は、一心不乱に剣を振るしかない。



「…ふっ!…はあっ!」


いつも通り、庭での稽古。

私は基本の型から、剣を振り続けていた。


「・・・はぁっ!…てぇいッ!!」


日々、努力はしているつもりだったし、焦ってもしょうがないとも思ってた。


「…くッ!…やぁッ!!」


でも・・・”つもり”じゃダメよ。

”しょうがない”で済ませていたら…結果なんか手に出来ないし…




…シンケンジャーも、やってらんないってのッ!


それに外道衆に、いつまでも好き勝手させてたまるもんですか・・・!!

あいつら・・・許せない・・・!



 ・・・私の・・・私の・・・・・・




 「・・・(ことはとのデートを)返せぇえええええええええええええ!!!!」


  ※注 前半のシリアス語り・・・台無し。





「・・・おお、殿、ご覧下され。いつにない気迫で、茉子が稽古に励んでおりますぞ!」


「励む、というか、なんというか・・・近寄りがたいな。というか、何を返せと叫んでいるんだ…?」


感心する彦馬さんに、殿様。

人の気も知らないで・・・。

休みを頂戴!そう思うならッ!!


「うわ、姉さん…すっげ…」

「何を言う!あれこそ、まさに…侍の気迫だ!いいぞ、茉子…私は感動した!」


…千明と流ノ介は、いつも通り。

人の気も知らないで・・・。

人の休みを取らないで!そう思うならッ!!


心の中で叫びながら、私は構えた剣を、一旦下ろした。


「・・・ふう・・・・・・あんた達、何をのん気な事言ってるのよ。

 これから先、もっとモヂカラが必要よ?それを使いこなすには、やるしかないじゃないの。」


私が手の甲で汗を拭きながら、ぼけっと見てる連中に”いいからアンタ達も稽古しなさいよ”という視線を送ると

流ノ介達は、やっと剣を振り始めた。


「む・・・確かに」

「そ、そうだな…。」



(・・・・まったく・・・)


再び私が剣を構えると、後ろからほんわかした声が聞こえてきた。



「やっぱ、茉子ちゃん、すっごいなぁ…かっこええわぁ」



その声の少女の名前は、花織ことは。

シンケンイエローとして、私と同じ殿に仕える家臣、大切な仲間。

そして、私の大切な…


「でも、茉子ちゃん。汗はちゃんと拭いた方がええよ?」


ことはは、そう言いながら、ほわほわした空気を背負って、私にふわふわしたタオルを差し出した。


「あ・・・ありが、と・・・」


私は、ことはからタオルを受け取ると、ハッと我に返った。

…いけないいけない…

私は、慌てて乱れた髪を整えて、タオルで汗を拭いた。ことはの前で、汗臭いとか、あり得ないわ・・・


( あ、洗濯洗剤の他に、ことはの匂いが・・・。)


無言で私は、タオルに顔を埋めた。


「あ、首んとこも拭いたほうがええよ?身体、冷やして風邪ひいたら、あかんやろ?」


ことははそう言って、タオルの端を持って、私の首に当てた。


「…うん…。」


ことはの細い指が、私の首に時折触れる。


……ドキドキ、する…。


さっきまで、張り詰めていた私の空気が変わっていくのが、自分でもわかる。



「…茉子ちゃん…あんま、根を詰めたら…あかんよ。」


ことはが私の汗を拭きながら、小声でそういった。


「・・・・・・え?」

「茉子ちゃん、かっこええけど・・・ちょっと怖い顔しとった。」


「そ、そう?」


そんなつもりはなかったのだけど…まあ、外道衆に対して一種の恨みを込めていたのは確かだけど…

き…気を付けよう……朝7:30の戦隊のお姉さんなんだから…

殺気満開の顔は、ね…うん。良ろしくない。うん。



なんとなく気の抜けた私は、一旦…ことはと縁側に座り、休憩を取ることにした。

私の隣に、ことははちょこんと座った。

庭では、彦馬さんが、だらける千明を怒鳴っている。


殿と流ノ介は・・・・


「殿!どうですか!」

「…悪くは無い…もっと来いッ!流ノ介!」

「はッ!」


・・・あー・・・うん、イイ感じね。あーあ…。(棒読み)


「あの、ことは…?」


黒子が持ってきてくれた水を飲んで、私はことはに話を切り出した。


「ん?」


「私の、顔・・・そんなに、怖かった?」


「んー…いつもより、鋭くって…ちょっと怖いな〜とは思った。」


・・・うーん、時々・・・鋭いのよね、ことは・・・。

よく人を見てる、というか…。


「ああ…そっか…。でも、実際問題、強くならないと仕方ない訳だし…。」

「うん。わかる。」

「その…強くならないと…せっかくの休みもこの間みたいに、パアにされちゃうし…。」


私がそう言うと、ことはは私の方へ振り向いた。


「・・・やっぱ、気にしとったん?お休み台無しになった事」


そう再指摘されると、凹むわ…。

大体…休みと言ったって…また流ノ介達がいたら何にもならないんだしー…


「・・・まぁ、ね・・・」

(…正確には、デート台無しになった事だけど…)



すると、ことはは手をぱちんと合わせて、笑顔で私に提案した。


「じゃあ、こうせえへん?今度休み貰たら・・・映画館!」

「・・・え・・・?」


ことは・・・それは・・・



「そんで・・・うちも、連れてって。・・・な?」

「・・・・・・・・・。」


・・・それは・・・もしかして・・・それは・・・




「今度は、うち…茉子ちゃんの行きたいトコ、付き合うから。約束。」


「うん…わかった…」



・・・・・・ことはが、私を・・・デートに誘って、くれている?


 ※注 人の解釈は様々ですね。


私は再びタオルに顔を埋めた。

叫びたい声とこみ上げる気持ちを抑えるように、タオルでごまかした。


貴女ったら…普段、ぼへ〜っとしてると思ったら、突然こんな奇襲イベント発生させるんだもの…!

・・・ときめくじゃないの!もうっ!ぎゅっとしたくなるじゃないのっ!!

朝7:30からとても放送できないような事、口走りたくなるじゃないのッ!!


「…こ、ことは…!」


私は顔を上げてことはの名を呼んだが…隣に、ことははおらず。



「…よーしっ!・・・・ていっ!やぁっ!」



「・・・・・・・。」


ことはは、剣を振っていた。



ああ・・・ことは・・・。

貴女は、いつも私のテンションを上げるだけ、上げて…放置するのよね…。




「・・・ふう・・・」


でも、大分力は抜けた。良い意味で。

私は再び剣を握った。




輝ける”休日”をこの手にする為に…私は…剣を振・・・





「・・・あ、そや。茉子ちゃ〜ん!あとで一緒にお風呂入らへーん?」



その一言で、私の頭の中と、手の中の剣は…



「・・・・ッ!?」



 ”つるっ” ”すッぽーんっ!!”


 ・・・飛んでいった。



「うわッ!あぶねえ!?」
「茉子ッ!シンケンマルを投げるなッ!!」
「投げるというより、飛ばしたぞ!!」
「オイ、黒子に当たったんじゃないのか!?」


「・・・きゃー!茉子ちゃんが鼻血出して倒れたー!」





 ・・・・・・早く、お休みにならないかな・・・♪




 - END -




 あとがき

オマケの方が長い?いやいや気のせいですよ。

ただ…WEB拍手だけの再録だけだと楽しめないと思いまして(苦笑)

それにしても、本家の茉子さんと大分キャラが離れてきましたね…

天然ことはが段々、小悪魔に見えてきました。(笑)