[ 昔の曲の歌詞に、余計な歌詞を付け加えないで。 ~百合やしきCMソング製作秘話~ ]



「えー・・・今回の”テーマパーク・百合やしき”のCMソングは、新人シンガーソングライターを起用したいと思う。」


僕の名前は、木造 学。

CMを作る会社に入社し、今日は先輩達の会議に参加させてもらってる。



「候補は2名いる。いずれも、音楽業界に目を付けられている将来有望な二人だ。

今回、その二人に百合やしきのイメージソングを作ってもらった。諸君に聞いてもらって、素直な感想を聞きたいと思う。」


「「「はい!」」」



「まず、一曲目。東野ナカさんだ。」




『 ドリームランドに一緒に行こう。 作詞・作曲 東野ナカ 』


♪ 行きたいな 行けないな キミの視線が気になって ♪


(歌上手いなぁ・・・さすが、新人とはいえ、音楽業界が目を付けたシンガーソングライターだ!)


♪ なんか、溢れ出しそう~・・・トイレ行きたいのに キミの視線が気になる♪


(い、行けよ―ッ!溢れ出す前に行けよ!緊急事態じゃねえか!彼氏の視線気にしてないで行けよ!)


♪ 手を離したら、お別れかも 早く会いたいな ウォシュレットついてるかな? ♪


(彼氏と別れて、女子トイレ行くだけだけじゃねえか!ウォシュレットの有無を気にしてないで、さっさと行って来いよ!)


♪ 行列が邪魔をする~ あなたは後ろで励ましててくれる~ ♪


(混んでたんだ!トイレめっちゃ混んでたんだ!トイレに並ぶ彼女を励ますなんて、彼氏も変な奴だな!)


♪ ああ~ 新しいドリームランドが見えてくる~!苦しいのに、こんなに楽しい時間は初めてDA・YO~! ♪


(トイレ我慢しすぎて、とうとう幻覚見始めちゃったよ!DA・YO~じゃねえよ!!)


♪ ああ~雨が降ってきたのかな~ 下半身がみるみる濡れていく~ AH~切ない~ ♪


(漏らしちゃったーッ!とうとう恐れていた事態が起きちゃったよ!最悪だよ!!) 


♪ あなたのせいDA・ZO ♪ 


(責任転嫁すんな―ッ!!)


♪ もっとあなたに近付きたい。でも、嫌われたくない。 ♪


(そりゃ、漏らしちゃった後だもん!おいそれと近づけねえわ!絶対嫌われてる!)


♪ 正直な気持ちを伝えようかな~・・・とりあえず、メールで報告~♪


(メール使うまでもねえわ!彼氏、来て見て知ってるわ!その現場!)


♪ 私の今の気持ち あなたにわかるかな~? ♪


(わかりたくないわ!想像は容易いけれど、デリケートゾーンすぎて触れられないわッ!)


♪ 見られて、めっちゃ気持ち良い☆ ♪


(そうでもなかったー!開放感でいっぱいだったー!そして、変態だったわーッ!!)


「うむ。若い女性の心を代弁しているような内容になっているな。百合やしきの利用者は、若い男女のカップルだから、この内容は深く当てはまると思う。」


(え、ええええええええええ!?)


「そうですね・・・」

「十代の女の子なら誰でも思うような身近な歌詞とポップな音楽が良いですね!」


(えええええ!?部長も先輩達も、どうしてこんな歌をべた褒め出来るんだ!?ぼ、僕の感覚がおかしいのか!?)


「では、次は2曲目。この市の出身のシンガーソングライターだ。年も17歳と若くて、インパクトのある歌詞が凄いらしい。

樋口 咲さんだ。」


(今度は、大丈夫かな・・・。)




『 夢の国なんか要らない。 作詞作曲 樋口 咲 』


(おおおーい!タイトルから、テーマパーク全否定だよ!何コイツ!?)


♪ 叫び『ぴぎゃあああああああああああああああ!!』 ♪


(うわ!マズイ・・・これ、マズイよ!夢の国どころか、悪夢の国のテーマソングだ!)


♪ 台詞『・・・お前を菊人形にしてやろうか!』 ♪


(台詞が中途半端な閣下もどき―ッ!?テーマパークのテーマソングに不吉な台詞入れるなー!!)


♪ 『へぇッ!』 あなたと行きたい場所がある 『へぇッ!』 ♪


(・・・・・・・。)


♪ 『へぇッ!』 一番初めに乗る乗り物は決めてあるの~ 『へぇッ!』 ♪


(・・・・・・・。)


♪ 『へぇッ!』 多分、あなたは恥ずかしがると思うけど、ふんどし締めて一緒に乗ってよ! 『へぇッ!』『へぇッ!』♪


(もう我慢できねえ!突っ込む!ふんどしって何だ!もう少し、良いワードあるだろ!?

そして、さっきから歌詞の合間合間に入る不快な『へぇッ!』の連呼は何だー!?和田ア○子みたいな合いの手は何だ―ッ!?)


♪ 『へぇッ!』あなたといつか乗りたかった~・・・・・・・アレ。 『へぇックシュ!!あ゛―』♪


(アレってなんだー!?どれだよ!?そして、合いの手、ただのクシャミになったぞー!!)


♪ 時間は、いつも夢のようにあっという間に過ぎてく・・・でも、私はきっと今日の事忘れな『ブピイイイイン!!』♪


(良い歌詞だったのに、鼻をかむ音で消されたああああああ!ていうか、そもそも歌に鼻をかむ音混ぜんなああああ!!)


♪ 素っ気無いあなたもいつしか笑顔で手を繋いでくれる。 ああ、私・・・し『ウ゛ウ゛ン!あ゛ー!ウ゛ンッ!へぇッ!』♪


(台無しだよおおおお!!後半、オッサンがタン絡んだ時みたいな声入っちゃってるよおおお!これなんで歌に入れようと思ったの!?)


♪ ずっとずっと好きだった この場所とあなたと私 この時間と・・・木村さん。 ♪


(木村って誰だあああああああああああ!?二人きりのデートじゃなかったのかあああああああ!?)


♪ 楽しいね 何人いても楽しいね!忘れないよ!この時間と・・・『へぇッ!』・・・本村さん。 ♪


(謎の本村さん追加ああああああああ!!!)


「・・・うん、いいね。こっちはインパクトに加え、テーマパーク=楽しいというイメージを与えてくれる。」


(ぶ、部長・・・?本気ですか?序盤、菊人形にしてやるって脅されたんですよ?)


「そうですね~・・・曲もアップテンポで全体的に楽しいですし、恋人同士だけじゃなく家族連れにもウケそうですね。

テーマパークは、そもそも幅広い客層に来てもらいたいですしね。」


(せ、先輩・・・!?)



「・・・うむ、じゃあ決まりだな。」

「そうですね。」



(僕は新人だ・・・意見を挟むべきじゃないかもしれないが・・・でも、こんなの絶対ダメだ!!)


「では・・・部長。」


「あ、あの・・・ッ!」


僕は、情けない事に、小さな声と僅かに手を挙げるしか出来なかった。



「うむ、では百合やしき・テーマソングは別の人に、作り直してもらおう。」

「「「そうですね。」」」




・・・ほっ。




 ~ 後日 再度 テーマソング 完成 ~



「えー思い切って、二人に合作してもらいました。二人共、意気投合したそうです。」


部長・・・な・・・なんということを・・・!よりにもよって悪魔二匹の合作だなんてッ!悪夢だ!!

百合やしきを破滅に追い込む気か!?


「では、早速みんなに聞いてもらおう。」




 『 ぴたんぴたん ガスピタン。  作詞・作曲 東野ナカfeaturing樋口咲』



もう、遊園地のテーマじゃねえええええええええ!!腸内のガスをなんとかする薬―ッ!ガスの歌作るなーッ!!



台詞『やばい・・・お腹張ってる・・・超ヤバイ・・・!腸だけに!』


やかましいわ!!この歌の出だしが超ヤバイんだよ!!


台詞『じゃあもう、来なきゃ良いじゃない!』


なんでだー!?遊園地来るなってか!?ガスを溜め込んだ人間は百合やしき来るなってか!!



♪ (二人)フェットチーネ oh~ イン ザ モーニング☆ ひゅー☆ ♪


頭悪い歌詞来た―ッ!!



♪(東野) 朝ごはん そこそこに出かけましょう 気取らなくていいの 楽しむだけだから ♪


♪(樋口) 楽しむのに資格なんて 必要無いよね? あなたと私がいれば 最☆強 ♪


・・・あれ?まとも?まともっぽい?



♪(東野) したい事 我慢するのはお気の毒 ホラ そんな顔しないで笑って ♪


♪(樋口) そうよね 昨日やっちゃったアレコレも みんな水に流して 楽しもう~ ♪


♪(二人) イエイ イエイ イエ~イ! GO TO THE 百合やしき ♪


おおっ!テーマソングだッ!これこそ、テーマソングだ!!


♪(東野) くしゃみと一緒に出たって気にしないで! ♪


♪(樋口) ニオイが、アレでもどうか責めないで! ♪


♪(二人)最近 肉ばっか食ってたから~~~~♪


屁の話にすり替えてんじゃねええええよおおおおおお!!

さっきの我慢しないでとか、昨日やっちゃったアレコレも全部屁の話なのか!?


百合やしきはトイレじゃねえんだよおおおッ!!



♪(東野) あーう お腹の中でプチメテオ連発☆ ♪


♪(樋口) おーう 私はなんとかスカそうと模索中☆ ♪


♪(二人) 結局ニオって台無し~~~ ♪


お前らの歌で台無しなんだよおおお!!!!

二人もシンガーソングライターいて、屁の歌しか作れないのかー!!!


♪(二人) PUPUPU☆プッピデュピデュピ☆PUPUPU☆ ♪


ダメだ・・・!二人のハーモニーは完璧なのに!”ぷ”=屁の音としか聞こえない・・・!

なんなんだ!この無駄な歌唱力は・・・歌詞が最悪なのに・・・この歌唱力はなんなんだ・・・ッ!


”カチッ”


部長は、そっと停止ボタンを押して、曲を止めた。

「うん、曲は・・・楽しかったよね。しかし・・・うん、無いな。この歌は無いな。」


「「「はい。」」」




 結局、このプロジェクトは白紙に戻された。




 [ 昔の曲の歌詞に、余計な歌詞を付け加えないで。 ・・・END ]

最終的に下ネタ。

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