・・・このお話はフィクションです・・・。


実際の人物、団体、その他もろもろ…一切、全く関係ございません。

なお、この作品は、百合・二次創作・同人誌等を好む方にとって、不快感を与える恐れがあります。


この作品についての批判は一切受け付けません。ご了承下さい。


あと・・・作者は、喧嘩は売ってません。






   [とある漫画家の悩み。〜ペンネーム:唐 辛子 の場合〜 ]





「あの、もしもし…鈴木さん…私です、唐 辛子です…。」


 『あぁ、唐先生…原稿出来ました?』


「いえ…あのー…私、やっぱり無理です…描けません。百合は…。

 私の専門、BLなんですよ…しかも、ガチムチ系なんですよ…無理ですって。

 あんな筋肉祭の百合ありませんよ?」


 『…そんな事無いって、十分実力はわかってるから。

 それにですね…一旦引き受けといて、今更ダメですなんて、漫画家ホサれる道まっしぐらですよ?』


「・・・・う・・・でも・・・どうしても、何度見ても良い作品とは思えなくて・・・!」


 『…と言う事は…原稿出来てるんですね?一応は。』


「はい…まあ、でも…世に出せません、あんなモノ…!」


 『それは、こっちで判断します。PCメールで送ってください、修正次第では化けるかもしれませんよ?

 こちらだって、良い作品作りたいんですよ。』


「・・・わ、わかりました・・・では・・・送ります。」


 『………きたきた…』




   ”カチッ”






 『……………………うわぁー……』





「鈴木さん…どうです?ダメでしょ?」


 『ええ…なんでしょうね…最後、ヒロインのお母さんが…

 素手で女の子達を皆殺しにしちゃうのは…ちょっと、台無しですね…。』


「…それが売りなんですけど…愛と破壊…。」


 『先生。』


「…はい?」


 『参考資料を集めましょう。』


「はい??」


 『この際、仕方がありません。

 幸い…インターネットの普及で、妄想を垂れ流しているヤツはゴマンといます。

 イイトコだけガンガン参考にして、描いてしまいましょう。』


「それは…もしかして、他の方の百合作品をパクれ、と…」



 『いいえ!参考資料です!何を言うんです!人聞きの悪い!』



「でも、パク…」


 『先生…参考ですよ。今の世の中、ちょっと●●と似てるね、という作品なんてゴマンとあるんです。

 同人誌描いてる奴が、プロの漫画見て”パクッたなコノヤロー”と言っても

 所詮、プロが勝つんです!先にやったもん勝ちなんですよ!

 ネットで煽られても、1ヶ月もすりゃ、何にも無かったように、他の獲物が炎上するんですよ!

 いいや、炎上すればむしろコッチのものです!悪評も販売につながるんですよッ!!

 いいですか!?先生!この世界は騙し合いで・・・』



 ※注 この物語はフィクションです。実際の人物・団体・思想・その他のものには、一切関係ございません。




「…でも、鈴木さん…人の考えたものをそんな…」


 『先生。甘い!今はね…出版業界も厳しいんですよッ!!売れてナンボの世界です!

 いいですか?!先生!この世界は騙し合・・・』



 ※注 この物語はフィクションです。実際の人物・団体・思想・その他のものには一切関係ございません。




「は、はあ……でも…」



『とにかく、私がちょちょっとサイト巡ってネタを厳選して、お届けするんで

 一応ネームだけでも描いてみましょう。で、所々、先生オリジナルの要素を足しましょう。

 やるだけやってみましょうよ?ね?』



「はあ…」




     ― 2日後 ―



 『早かったじゃないですか〜唐先生〜』


「はあ…でも、やっぱり…正直どうか、と思うんですけど…」


 『判断は、編集者のプロの私がしますから、大丈夫ですよ。では…』




     ”タイトル : トオイシロ”



 『先生、アウトです。…トオイどころじゃなく、これじゃ”近い”です。』




「だから、言ったじゃないですかぁ〜!!」


 『いえ、あからさま過ぎるんですよ・・・

 じゃあ…作品をみてから、こちらでピッタリなタイトル考えます!』



「ストーリーは…大体、王道を目指してみました。

 お金持ちのお嬢様しか通わない、男子禁制の女子高を舞台に…

 貧乏な家の主人公が、特別に入学を許可されてしまったことから始まります。」



 『ほうほう…良いですよ、なかなかの王道です!百合といえば、女子高ですからね!

 では…1p目を…』




    ”あたし、鞠簾川燈嘉瑠 …貧乏女子高校生… ”



 『先生…アウトです。主人公の名前、どう読むんですかコレ…

 しかも、あからさまに、貧乏っぽくないじゃないですか…』



「いや、鈴木さんのくれた資料の中に入ってましたよ?

なんか、珍しい漢字一杯の珍しい名前がインパクトあるって…


 ちなみにこれ”まりすがわ ひかる”と読むんですが…」



 『いや、普通に読めませんよ。…あと、主人公の髪型ですけど…なんですか?コレ…』



「髪は女の命!インパクト重視!と書いてあったじゃないですか…

 だから、いっそこの世に無さそうな髪型を…」



 『だからって、前髪ポニーテールって…これじゃ単なる失敗リーゼントじゃないですか!!

 愛しにくい!この主人公、愛しにくいですよ!先生!!』



「だから、言ったじゃないですかぁ…スキンヘッドと迷ったんですけど、ダメでしょう?」


 『いや、どっちもダメです!ここは、修正しましょう…後ろポニーテールで、無難な名前にしましょう…

 さて…次は相手役の…』



   ”あ…あれは…!”


   ”きゃー素敵!生徒会長よ!”


   ”学校の皆の憧れ…桜吹雪 美津子様よ!!”



 『うんうん…王道ですね。憧れのお姉様…名前がやっぱりアレですけど、さっきよりはマシですね…

 見た目も・・・悪くないじゃないですか!黒髪の少しキツいカンジの目のお姉様タイプ!
 
 注文どおりです!やれば出来るじゃないですか!先生!』



「はあ…で、性格と設定には、オリジナル要素を入れてみました。あ、次のページからです。」


 『そうですか〜♪んじゃ次のページを…』



   ”ひれ伏すが良い!私は、悪魔・サタンの娘よ―ッ!!”


   ”きゃー!会長!素敵ー!!”



 『…先生!?学園モノでイキナリ悪魔出てきたんですけどーッ!?

  しかも、相手役が悪魔!?』



「いえ、資料に…悪女な一面の相手が攻めに回るといいと…

 あと意外な設定とか付けると、読者の興味をそそるって…」



 『悪女と悪魔は違いますッ!普通のスクールライフ崩壊しちゃってますよッ!

 ストーリー王道目指したのに、どうして、悪魔なんですか!!

 読者はそそられるどころか、困惑しますよッ!!』



「だから、私には無理だって言ったじゃないですかぁ…

 私の漫画…ガチムチオンリーだから、基本ジムからハッテンさせるんですよ〜」



 『あー…ええっと…結局、最後2人はどうなるんですか…?』


「あ、はい…貧乏人だと苛められて、苦悩する主人公に、生徒会長が

 実は主人公に一目惚れをしたが為に、自分が無理矢理学園に入学させた事を告げるんです。」


 『おお、告白シーンですか…意外とマトモなシメ(?)じゃないですか…

 そして、2人の絆はラッブラブ☆という訳ですね、うんうん。

 終わり良ければ、あとはご都合的な修正で全て良しです。…どれどれ…』



   ”受けモンスター!ゲットだわよ!!”


   ”ピカニャ〜ン☆”




 『先生ッ!アウト!なんか、どっかで見た!コレ!地上波のTVで見たコレ!!

 それから、どういうストーリー展開したら、こんなオチにーっ!?』



「だから言ったじゃないですかぁ!!私には、無理なんですよぉ!!

 もうどこからがオリジナルで、どこからがパクリなのかわかりませええぇえん!!」






・・・・こうして、唐 辛子 先生の原稿は落ちましたとさ。




 END



・・・ええっと・・・ノーコメントで・・・。(笑)