・・・このお話はフィクションです・・・。


実際の人物、団体、その他もろもろ…一切、全く関係ございません。

なお、この作品は、百合・二次創作・同人誌等を好む方にとって、不快感を与える恐れがあります。


この作品についての批判は一切受け付けません。ご了承下さい。


あと・・・作者は、色んな所に喧嘩は売ってなどいません。絶対に。マジで。






 [とある漫画家の悩み。〜ペンネーム:三島 十留の場合〜 ]






私の名前は堺 良子(さかい よしこ)。


表向きのペンネームは『三島 十留』(みしま とおる)と名乗らせてもらっている。

同人の世界では『しま美=オルトネック』と一応、三島十留をバラバラにして『ック』を付け足しただけの名を使っている。


そう名乗ってはいるのだが、読者からは、画風から完全に『三島だよね』とバレバレだ。





「……困った事になりましたね…三島先生。」


担当の赤木 博子(あかぎ ひろこ)は、溜息混じりにそう言いながら散らばった原稿用紙やコピックを拾っていた。

溜息をつきたいのはこっちの方だと、私はソファに座り、テーブルに足を投げ出して言った。


「…いや、正確には…今の私だけだと、『三島先生』じゃなくて、『三島ハーフサイズ先生』よ。」


「何、ピザみたいな表現してるんですか!…一体、原稿どうするんですか!?」

「どうするって…」


どうするかなんて、聞きたいのはこっちの方だ。


…よりにもよって、相方と喧嘩してしまったのだ…。

そう、三島十留は2人で1人の作家。


私は、描くのが専門。

相方は、ストーリー担当兼助手なのだ。

どうして、原稿執筆途中で喧嘩してしまったんだろう…!

肝心のストーリーの終り、どういう風にするか聞いてないんだよぉ…!!


だから…彼女がいなければ、原稿が描けない…!


「そりゃあ…うちの雑誌は、まだ百合系雑誌として、創刊して間もないですし、ペーペーですし

三島先生クラスの作家さんなら、休載1回くらいなら大丈夫ですけど……」


「問題は、1回で済むか〜って話よねぇ…あっはははははは…うっふ…ふはぅ…う…うう…」

「いや…泣きながら笑うの止めましょうよ、三島ハーフサイズ先生…」


「しっかり呼んでくれてありがとよッ!赤木さんよッ!」


…このままじゃ、原稿は落ちて、コンビ解散だ…。


「・・・大体、どうして喧嘩になったんです?日頃から、仲は良かったんじゃないんですか?」

「赤木さん……貴女は、蕎麦派?うどん派?」

「・・・うどんです。香川出身なんで。・・・ん?・・・ま、まさか、そんな・・・

そんな、蕎麦かうどんかの…くっだらない論争で喧嘩したんじゃないですよね!?」


赤木さんの目が痛いが、そんな場合じゃない。


「ちがうわよ!今の話は関係ないのッ!例え話なの!

 世の中には、蕎麦が好きな人もいれば、うどんが好きな人もいるし、両方好きだって人もいれば、その逆もある…

 …要するに!人には”好み”があるでしょうって事よ!」


「・・・あ、そういう事ですか。・・・で、どうして喧嘩に?」

赤木さんは、冷静な態度で散らかった部屋を掃除していた。


「・・・アイツ・・・アイツ・・・全然解ってないのよ!あたしはね!いつだって、ヤツの注文通り描いて来たわよ!

何言われても、怒らずにあたしは描いてきたわよ!!

あたしだって、ヤツのストーリーに口を出したりもしたけど、喧嘩なんかした事無かったわ!」


「だったら、尚更!どうして!喧嘩したんですかッ!?」

赤木さんは雑巾を絞りながら、目をカッ開いて、私にそう叫んだ。


「…アイツ…何も解ってないからよ…」

「…だから、何をです…?」




〜回想〜


三島ハーフサイズの相方『…ねえねえ良。』

三島ハーフサイズ:『んー?』


三島ハーフサイズの相方『やっぱ、あたし達ってさ、BLやってナンボだよね〜…鎖骨に筋肉、細い腰に、肩幅恋しぃ〜♪みたいな?』

三島ハーフサイズ『・・・・・・・う・・・・うおおおおおおおおおおおおおお!!!』



〜回想END〜



「……アイツ…アタシが…!

アタシが…女が、好きな女のブラを外して、乳に初めて触るコマ描いてる時に

そんな事言うのよ!?一気にバカらしくなるじゃないのッ!

女の感じてる顔より、男子高校生の乱れた制服から見える筋肉と、脇を描きたいんだよッ!!


…好きなんだよ!!心底、アタシだってBL大ッ好きなんだよーーッ!!」


「だったら!何で百合雑誌の仕事引き受けたんですかーっ!?」


「相方と同じ事言うなああああああ!」


「言われたんですか…それで、部屋この有り様ですか・・・。」


「グスッ…半年前…たまには、女体描きたいね☆って言ったら、百合の仕事あるよって吉田さんに言われてぇ…

今度の同人誌費用になるかなって引き受けたらぁ…」


「……動機、不純ッスね…。」


「意外と好評だから、この調子で、引き続き描いてくれって…そのまま、後は…

 そう、まるで・・・坂を転がり落ちるがごとく・・・」


なんだか、思い出すだけで、涙がこみ上げてくる。しかし、赤木さんは相変わらず冷静だ。


「あの…”百合=転落”みたいな事言わないで下さい。私、その専門雑誌の担当で飯食ってるんですから。」


「しかも…巷じゃ『リリカル&Hな百合の巨匠☆』なんて、言われるようになって…!!

…女体なんて…女体なんて…ちょっとで…ちょっとで良かったのに…!

ううぅ・・・大体・・・リリカルって何?『リリカルな●は』見ても、未だに意味分かんないの…」


「…それは私の担当じゃあないですね。編集部で、原稿や表紙に読者が釣れそうな文やキャッチコピーをガンガン差し込みますからね。

大体、そのキャッチコピー、考えたの私じゃないですよ。吉田さんです。

あーそうだ・・・・・・じゃあ・・・もう・・・今回の仕事終わったら、BL描けばいいんじゃないですかぁ?

”リリカル”の意味は、ネットででもググッて調べて下さいな…。とりあえず、相方さんと連絡とって・・・」


「・・・気付いたのよ・・・一旦引き受けた仕事はプロとして、仕上げるのが当たり前でしょ・・・。…それなのに…!」

「・・・あのぉ・・・三島ハーフサイズ先生、聞いてます?私の話。」



「そんなプロとして、頑張ってるあたしの気持ちも知らずに…あの作業中に・・・ヤツは・・・!ヤツは・・・笑顔であんな事を・・・ッ!!」


「・・・まあ・・・要するに・・・

ラ●ュタの城を崩壊させるような、言ってはならない一言を言ったんですね?三島ハーフサイズ先生。」



「ええ、そうよ!だからあたしも言ってやったのよ!!」

「はあ・・・何を?」


「・・・『オマエのストーリーいつも後半、尻つぼみなんだよ!』って…『オマエ、髭オヤジキャラにハマり過ぎなんだよッ!』って…!」


「前半は、相方さんが腹立つのも納得は、一応いきますが・・・後半は、傷つく共感性ですね。」


「・・・あぁ・・・でも、言うべきじゃなかった・・・あんなに怒った相方初めて見たのよ…

あぁ・・・あたし、何やってるんだろう・・・このままじゃ、三島ハーフサイズどころか、三島クォーターサイズだわ…」



「・・・ええ、本当に何してくれてるんでしょうね・・・仕事もしないで。(怒)

 ・・・わかりました、とりあえず、編集長と連絡を取らせて下さ・・・」


赤木さんは立ち上がり、携帯電話を取り出した。

すると、玄関からドアの鍵が開き、ドアの閉まる音、そして…聞き慣れた足音が聞こえた。


「・・・・・た、ただいま・・・」

「あ・・・愛ちゃん・・・?」


相方こと、愛ちゃんが苦笑いをしながら、小声で言った。


「・・・その、さっきは・・・ごめん・・・あのさ、お詫びに、コンビニで・・・

 『OH!BOY’s L〜褌編〜』買ってきちゃった…♪」


「あ、愛ちゃああああああああん!あたしもごめぇえええええええん!そして、それ大好きいいいいぃ!!」

「私も、ゴメン…描いてる良の気持ち考えてなかった…!」


「いいの!もう、いいの〜ッ!私、もう中途半端なGL描けない…BLしか描きたくないッて気付いたからッ!」

「・・・良・・・!」


私と相方は抱き合い、謝りあった。


「今度の同人誌も頑張ろうね…」

「うん・・・Jニーズか、理系男子モノにしようね…」

「・・・うん!」



こうして、仲直りは成立した…。



「・・・・あ、もしもし?編集長ですか?赤木です。お疲れ様です…

・・・はい、三島先生の作品ですね、今回で最終回だそうです。はい、決定で。」




結局、今回『少女トキメキ導火線☆〜爆発3秒前☆〜』は、その号で最終回となった。


因縁の組織に男装して潜入した主役の美少女コンビ。

戦いはエスカレートし、遂に組織のトップ・悪女4人衆を倒し、そして、組織のアジトへ侵入に成功。(ここまで11P使用)

何故か仕掛けられた罠の爆弾解体に成功。(ここまで15P使用)

組織のボスとそのビルごと、爆発させて、2人の戦いは終わった・・・(ここまで17P使用)

それから、2人の想いは森の中で高まり…唇を重ね、男装を解き放ち、女同士で愛を確かめ合う。(ここまで22P使用)

そして、最後は、百合カップルの結婚式・・・(ここで全24P完了)。


長期連載の予定だったのが、結局、前後編になっちゃったけど、こればっかりはしょうがない。


赤木さんは『よく、ここまで、まとまりました…ね。うん、ホント。』と言いながら、原稿を受け取ってくれた。

そして、発売された雑誌の私達の作品の最後のページにこんなテロップを付けてくれた。



[ ご愛読ありがとうございました!コレ一応、百合ですから、大丈夫ですよ! ]



・・・赤木さん・・・そのフォローコメント・・・いらなかったよ・・・(泣)



…でも、これで吹っ切れたわ…遠慮なく、頑張れる…!



「さあ、愛ちゃん!描こうか…鬼畜生徒会長と応援団長の禁断の儀式!」

「・・・良、さらしと筋肉、忘れないでネ☆」


「OKOK♪眼鏡と鎖骨、体液全開出していくわよっ!!」





結論: BL描きたいなら、素直に、BLを描けば良い。



 「「・・・ウホッ☆イイ男☆」」






ー とある漫画家の悩み。〜ペンネーム:三島 十留の場合〜 END ー



 あとがき


何度も何度も言いますけど、神楽は…本当にどっかに喧嘩を売ってるつもりは無いんです・・・。

ただ、このシリーズ、書いたら絶対、こうなっちゃうんです・・・。

神楽が、何かの抗議活動でこのSSを書いているのかと勘違いしてらっしゃる方、いましたら・・・

是非、勘違いしないで頂きたいと思います・・・。

確かに・・・私、BL読んだ事ありますけど、読むのは好きですよ。ただ・・・不思議と、BLモノが書けないし、書きたいと思わないしで・・・。

だからって、BL否定してる訳じゃあ決して無いです。

・・・ただ、BLを性転換したらGLになるんでしょ?なんて人がいたのなら、全力で2時間は説明します。違うぞって。

・・・そこんとこ、夜露死苦。・・・あ、やばい・・・やっぱり喧嘩売ってる感じになっちゃったよ・・・おい・・・


えーと・・・つまりー・・・(以下 多分炎上するから 省略!!)