−懐かしいあの頃へ−
FZR250Rを探す
この車体は年式も古く今から30年も前のものとなります。
普通に走行可能な新品or中古で探すなんて無理に近い。
このFZR250Rは僕よりもずっと年上だ。
オークションやら個人売買やら探しまくってみたが
車両自体にプレミアがついているようで良好なものはまったくもって高すぎる
僕が用意した予算は・・・（教えない）
1万円か、それとも500円か
いや、車両価値を考えて2千万位は用意した（大ウソ）（だったら、新車レベルのものが買えるだろって話！）
超低予算で考えているため程度の良いものは諦めることにして
部品単体レベルで探し始めた。
別にボロで良い。
程度が良くても悪くても、どちらにしても修復作業が必須となるのは確実だ。
今まで色々なFZRを見てきたが
ダメ・・・の一言。
予測通り生産から30年という時間は金属、プラスチックを劣化させ
当時状態を保っている個体はゼロ。
貴重な車体を保有している超オタクなオーナーであれば新車状態のものも数台はあるかもしれない
しかし、基本は全てボロであることには違いない。
所詮古い個体なのだから。
いずれにしてもサビやら劣化でパーツは使えない。
全て修復以上
よって、オークションや個人売買系は全て諦め
業者、バイク屋に程度の良いものはないかと打診して待つことにした。
連絡をまったが、予想通り無駄だった。
待てど暮らせどまったく入荷の連絡がない。
依頼した業者に完全に忘れ去られてしまったということだ。
こういう業者は今後取引しない。
後数社打診している。
多分、出てくることを願って。
2か月くらい経過した頃に連絡が来た
確認のため外観写真を送ってもらうことにした。
結論から言えば
やはりボロだ。
本体内部を見る前、写真の段階で
レストアップ作業確定である。
ま、業者歩きだけではなく、自分の足でコツコツと探し歩いてみるしかない。
オークション系は全滅だった。
いくら待っても僕が思う個体に出会えないのである。
原因は予算が低すぎた（笑）
でも探すのである。
高価なFZRを見つけることは可能だが、それでは意味がない。
プロレベルまで到達した僕としてはどんなものでも修復して走り出すことができると思う。
古いバイクになればなるほど手を入れないと直らないものばかり
それならば、状態が良い物ではなく不動車レベル以下でも十分と思ったのだ。
要するにボロならばパーツ取り車、単品販売で下取りされ数千円以内で売られるということは知っている
徹底的にボロ限定で探しあるってみた。
バイク屋の紹介もあってか、様々なボロバイクを見てきた。
ライト類、ランプ類がごっそり盗まれて、外国人が所有していたと思われるもの（超危険→購入却下）
フレーム曲がり、盗品で構成された綺麗なFZRもあった。
距離疑義車、カウル補修歴多数痕、ほとんどの車体が「粗末」にされたオンボロしかなかった。
それでも待っていればいつか必ず見つかると信じて動いていたのだ。
以前と同じような流れと似通ってきた頃
ある業者より連絡が入った。
ボロだけどFZR250が一台入ってきたと。完全な放置車らしい。
値段はあってないような価格だった。
うん？FZR250って話だったがそれって2KRのこと？
ま、いいかたまに2KRを見てみるのも・・・
おっさんの話では
理由は、いつものものだが「個体で売るより、パーツ単体で売った方が利益が出る、つまり解体費が不要だからさ」
「分解の手間と解体費を考えたら分解販売！の方が利益率が高い」とのことだ。
「ま、分解する前に紹介願う」と先手を打ったおいた車体である。
「これから、現物を見に行くから解体はそれからということで」
で、電話を切った。
F6Bカプチーノで迎えに行ってみた
結論は以下
2KRじゃなくて、3LNだった。
僕が求める「生き物」をついに探し当てた。(単なる捨て猫ではないかと・・・）
状態は実に良くない。
瀕死の状態そのもの。
しかし、僕だけにしか感じない「特別な何か」見えるのである。
「特別な何か」が感じとれるのである。
外観はあまりにも酷いものの、内部状態もあまりよくないだろうと予測しております。
写真を載せてしまうと特定情報源になると思いますのでこの点については開示しません。
よって今回も文章で説明していったほうが良いかもしれません。
だけど、何だろうか
この込み上げてくる、微小なうれしさは。
古き良き思い出が蘇るということなのだろう。
バイクを探す場合、業者任せでは良い物も悪い物も含め見つかることはない。
自分のチカラで、歩いて探すしかない。
僕の思いは通じた。
だが、これからが大変だ。
相当な覚悟がいるだろう。
今は眠いが
あと数日で主本体となるFZR250R(3LN）型が到着する。今、机に座って昔あったことを振り返って懐かしんでいる。
あの時の懐かしい記憶と悔しい記憶が交互に蘇ってくる。
ああそうだ・・・
まだ、何も受け入れ準備をしていないことに気付く。
少し狭いが駐車場だけは確保したのだが。（屋根付きで鍵のある倉庫内保管がベストだからね）
修理書、当時のカタログ他をガソゴソ・・・
カタログは当時のものを保管していたため・・・あった、ありました（笑）
何時かは手に入れられるだろうと大切に保管していた（ちと、カビがついていたが）
修理書を眺めてみる。（今もヤマハから直接購入可能らしい）
そういや、必要工具はどんなものがいるのかしらねぇ
などと、いろいろ思いを巡らせております。
もう明け方になる。
あの時感じた、悔しい気持ちをグッと抑え込んだ時間帯に差し掛かる
やっと、バイクを手に入れることができた。このうれしさはやはり言葉には表せず
一時は忘れていた、忘れようとしていたあの時の思いが今は嬉しさに変わる時。
多種多様な人生の中で一台のバイクを見つけて直すという行動が追加されたことだけは間違いない。
まったくのボロで新車じゃねぇ〜からさ。
ただ、欲だけは出さない。僕だけの特別な楽しみなのだから。
2KRと3LNのカタログを見ながら（どちらも今は亡きチャリンコ屋からもらったものだ）
機械の進化、時代は常に変化していることに気付かされる
そして、変化することのない時間、時代があるということに気付かされる。
MONOを通してその時に戻れる
これこそ僕だけが感じることができる幸せ。
このような気持ちの積み重ねが整備技術と技能を向上させる力になっているのではないかと思うのである。
昔じゃ、勉強不足知識不足は否めない
絶対的に維持も管理もできなかっただろう
今だからできる。
だからだろうか、今更になって僕の元にその捨て猫は来たのかもしれないと思っている。
あの頃を思い出す
あれは6月のある日、一つの無言宣告を受けてしまった。
結論からすれば、バイクを飼うことができなくなったのである。
そしてその年の冬、決定的となった。
働き帰宅するとき、真冬の深夜除夜の鐘の音が鳴りだそうとしていた時間
独り寂しく新しい時を迎える時だった。
FZR250R 3LN3を新車購入が決まり安心していた時だった。
金を貯めて夢にまで見たバイク、念願のバイクが手に入れられると思った矢先
ある理由で突如入手不可能になってしまった。
もうそれは決まってしまった。
バイク購入不可の決定事項は変えようのない事実だった。
その時の悔しさ、むなしさは一生忘れることはない。
自分自身の心の中でつぶやいた言葉
「もう、買えないな」の言葉が残っている。
そしてその場所に僕の気持ちを置いてきてしまった。
今の僕には、当時の僕を迎えに行くという気持ちがある。
その気持ちがバイクを修復したいというエネルギーが湧きだして後押ししてくれている。
FZR250Rという一台の個体に対して、僕のチカラで完全に修復したバイクが動き出す。
動き出した後、その後の行動がまだ残っている。
「もう、買えないな」の一言
あの時から僕の気持ちは止まったまま
だが、今は立ち止まったままの時計は動かさなくてはならないのである。
自分自身で過去の自分を迎えに行くことで本当の時が動き始める。
今は昔
その事実を知らされた翌日、現実は良くならなかった。夢ではなかったのだ。
FZR250Rを買うことができなくなった。
その事実だけは変わらなかった。
人一倍働いてきた俺としてはこんな失態があってたまるかと叫んだ。
悔しくて泣いたぜ。
人前では絶対に泣かないが、人間の人生とはこういうものなのかと原因を作ったボケと自分自身の人生に対して恨んだりした
俺が悪くて手に入れられなかったわけじゃない。
ある人間のせいで一切全て駄目になった。
もう、購入できないだろう。
金を貯めるまでには時間が必要になる。
心の声
「諦めろ」
の一言だけが手元に残ったのだった。
しかし、何時かは手に入れてやる。
絶対に手に入れてやると心に決めていた
俺が手に入れるはずだった個体車両が全くの他人がこのFZR250Rを手に入れ、僕の目の前を通っていった悔しさ。
何故にこう人の人生は多種多様なのだろうか
どんなに頑張っても、意味のない現実化不可能な頑張りなのだろうかと見えない誰かを恨んだりもした。
窓の外に見える桜を眺めながら何故に僕の思う人生に突き進むことができないのだろうか
今のこの時、1分1秒が大切な時なのに。
その時、眼前に見えた光景が思い出される
立ち上る朝日をあるビルの一室にある小さな窓から見ていた。
ああ、まだ俺は生きてるのか。
生きていても意味ないな。と
早く大人になりたい。そうすりゃ人も金もモノも買えるから。
その時の空気感、時間を感じる何もかもが不幸に感じた。
この思いは一生忘れることはない
太陽が立ち上ってくる
少しだけ赤らむ夜空を見て思った。
苦労から救ってくれる神様なんて絶対にいない、と
生きていられるだけ幸せと思え、と無理強い納得させられている気がしてならなかった。
出る杭は打たれる、世の中の構造というのはこういうものなのか？と
俺はこんなもの闘って絶対に、絶対に勝ち得てやると思った。
今思い出してみても
当直明けの朝焼けの記憶は「眠い」だけの辛い思いと、空しさだけしかなかった。
世の中金なのか？そんなもの全否定してやる。そう思ったのだ。
そんな環境から闘ってきた俺だが
バイクを買うことを諦めた記憶さえ忘却の彼方へ吹き飛ばし、それを忘れるくらい必死になって働いて
どうにかこうにか生きてきた感があった。
最近になってそういや昔の俺はどんな風に生きてきたかを遡ってみた。
数十年という長い時を経て得てきた知識や技術を生かせば、あの時の悔しい気持ちを取り戻すことができる。
そして技能が過去に置いてきた俺自身を迎えにいかなくてはならないと思えたのである。
結局俺にしか分からない感情と思いだ。
誰に説明しても分かっちゃくれない。分からせようとも思わない。
分かってくれている人間は俺の戦友ひとりでいい。
今は少し余裕も出てきたのだろうか
そう思えるだけで幸せだ。
ボロバイク、クソバイクではあるが
今は契約を済ませFZR250Rが届く日をある場所で待っている俺がいる
やはり心が躍る。眠いのに眠れない。
きっと、うれしいのだと思う。
クルマを買った時の心境と同じかもしれないが、バイクに関してはもっと特別な想いがある
さわやかな空気感といえばいいのだろうか？
この辺の感覚が全く違う。
辛かった気持ちと懐かしい気持ちが入り混じって気持ちが交錯するのが分かる
嬉しさと当時の悲しさを払しょくできる瞬間を待つ時間。
こういう日も人生の中で少しはあって良いと思います。
自分に対してのご褒美。
価格は車体がボロだけにボロ安だった
もっと程度の良い物が良かったが、付き合いというものも大切だ。
機械だけど、生き物が一つ増えることがうれしい。
あの時の辛さや悲しさは、努力で報われたのだと思っています。
諦めずやり続けるという意識と感覚はとても重要なのだと。
知人が同じバイクをもっていたが、僕はそれに対して指をくわえて、いいな、とは顔には出さずに
心の中で悔しがっていた。
3LNに加え2KRも持っていたのだ。そいつは。
しかも自分で買ったものじゃない。親から買い与えられたもの。
そいつの元にはもうないが
今度は、僕が同型を手に入れた。ボロだが、これを完全体に近い状態で修復する。
そして一生手放すことはない。
新たなステージが用意される。
その環境がもう少しでやってくるのだから。
今は、素直にうれしさがこみあげてくる。
だから眠れない。のである。
窓から外を眺めている
漆黒の闇から空が少し白み始めた。
あと数日待てばあの時の悔しさが、懐かしさへと変わる。
ボロだからどのように修復していくかじっくり考える。
今、このペースでゆっくり時間が過ぎてくれればよいと思います。
一気に時間経過してしまったら、この楽しみは味わえないのだから。
まずは、オイル交換、キャブ調整
初爆はあるのか、ギアは大丈夫か
想像をめぐらせてみた。
多分、全てにおいて僕の手を入れないと直らない
そのようなことを思いつつ、いろいろと今後の整備メニューを考えています。
フルオーバーホールは確定事項でしょうが、じっくり、コツコツと直していく。
あの頃にかえるために。
そして今
「強力」になった俺が
さらにバージョンアップするために。
車体をお出迎え
輸送手配していた業者が携帯へ突然連絡してきた。
まだ、朝の8時も回っていない。
大体、正午前になるって話していたのは誰だ？
早すぎだろ。
やっと眠れたと安心していたところ
いきなり到着
ま、こんなもんかね。お出迎えというのは（笑）
バイク自身がハヨ俺んところに来たいと思った証拠だろ。
遠くに僕のFZR250Rが積車に載っている姿が見える
やっぱりボロだ
でも、うれしい。
あの時の思いが蘇ってくる。
バイクに乗るどころか本体購入すら強制的に諦めさせられ、結果あの悔しさ残った。
しかし、今度は僕が作った整備場の中に入ろうとしている。
どんなにボロくても今は、俺の手の中にあるのだ。
キャリアリフターからFZR250Rが降ろされていく
250CCクラスなので楽々。
不動車だが、押しも軽い。
エンジンは起動せず移動してきた。
どうやらエンジン起動せずに移動するというのが配達業者の決まりらしい
もっともエンジンはかからないからどうしようもない
契約書にもそれらしい一言が記載されている。
業者のおっちゃんが、一言
FZRですよね
懐かしいですねぇ
最近見かけることなくなりました
これパーツ取りですか？
いや、違いますねん、ナンバーとるため直すんですわ。
直すのは大変じゃないですか？
ま、どうにかこうにかやね。
まだ、多少パーツもあるし何とか直せますわ。
私も、昔FZR乗っていたことがあるんですが、いい音するんですよね
と話す。
良いバイクですよね
外観からボロだけど、多分中身はしっかりしてますわ。
何とか直して走れるようにしてみます。
しかし、誰がみても普通に見てもボロですねん。
と言った感じで
少し言葉を交わして、引き取り書にサイン。
業者は次の目的地に向かっていきました。
とりあえず外観を味見してみる
僕の整備場に到着してまだ、朝8時を回っていない。
外遠くを見てみると休日ということもありいつものおっさん連中がヘタクソ野球をするために集まりダベっている姿が見える
さて、引き取り時に手渡されたキーをバイクに差込みハンドルロックを解除
即席駐輪場の前まで少し移動させた。
この時点でバッテリーが死んでいることが分かる。
スターターボタンをONにしてみたが、ウンともスンとも言わず。
せめてニュートラランプ位は光って欲しかったと思いました。
スタンドをかけて初めて買った自分のバイクを眺めてみました（ボロゆえ値段もボロ値でしたが）
FZR250R 3LN3
ボロな3LNが停まっている姿はこれからの状況を察しているのか
安心した感じが見てとれました。
直すのも僕独りだけ、誰にも頼る気はありません。
今日は朝から快晴
とてもさわやかな朝でした。
ここのところ忙しく、空なんてゆっくり眺めたのは久しぶりだ。
遠き彼方まで透きとおった青空。
あの時の思いが蘇ってきます。
この感覚はなんだろうか。
祖母が亡くなり、葬儀が終わった後の透き通るような青空と似ていると思った。
あの空は、祖母が作ったさわやかな空気そのもの。
その時感じた空気感と今日は同じ。
今日のこの日は、良き日として一生忘れることはないだろう。
F6Bエンジンが到着し、初期分解作業をしていた時の気持ちが蘇ってきます。
辛く、長い時を重ねて良き日、時間に変えてみせる。
そんな感じの思いがふつふつと涌いてくる。
本来あるべきパーツがない箇所もある
錆びも酷いし、かなりの手間がかかるものと覚悟した瞬間でもある
じっくり方向性を考えていくことにする
いきなり整備にはいることはしない。
前回同様、外観を眺めて寸法採寸からスタート
